今日は 前回の記事に書いた
”フィンランド・デザイン展” が開催されている
東洋陶磁美術館 についてご紹介します。
その名のとおり 陶磁器の美術館で
国宝2点、重要文化財13点を含む
約2700点の秀逸な作品が所蔵されています。
美術館の中核を成しているのが 安宅コレクション
総合商社・安宅産業株式会社の創業家2代目の安宅英一氏が
社費を投じて集めた中国・韓国陶磁のコレクションです。
(個人的な趣味に会社のお金をつぎ込んじゃったのです)
経営が傾き、1977年に伊藤忠商事に吸収合併されてしまいますが
この時、コレクションの散逸を惜しんだ住友銀行(現・三井住友銀行) が
住友グループ21社協力のもと
コレクション買い取りの為に152億円 を大阪市に寄付し
1982年 ”東洋陶磁美術館”が建てられました。
すごいですね~! 住友グループ
美術館が誇る 国宝2点がこちら
(写真は 東洋陶磁美術館HP より)
油滴天目茶碗 (国宝)
南宋時代 (12~13世紀)
径12.2cm と小さいのですが、大きな存在感!
模様は、窯の高熱により表面の釉薬が煮えて泡になり
泡が破れた場所に鉄が集まってできたもの。
光や角度によって 銀色にも瑠璃色にも輝きます
美術館ではこんなふうに覗きこむことはできないけれど・・・
飛青磁花生 (国宝)
元時代 (13~14世紀)、高さ 27.4cm
鉄で模様(茶色の部分)を付けてから青磁の釉薬をかけて焼きます。
これはまだ拝見したことがありません。
東日本大震災以降
災害時に2点とも無くなってしまう事がないようにと
交互に展示されるようになったそうです。
今は ”油滴天目茶碗” が展示されています。
白磁 壺
朝鮮時代、17世紀
高さ45.0cm の大きな壺。
この壺には驚くようなエピソードがあります。
元々、文豪、志賀直哉氏(1883-1971) が所蔵していたのですが
親交のあった東大寺観音院管長の上司海雲氏に贈られ
東大寺に飾られていました。
1995年、これを盗もうとした犯人が
石畳にたたきつけて逃走したため、粉々に割れてしまいました。
当時の管長であった新藤晋海氏がこの破片を東洋美術館に寄贈。
半年間の修復で見事に甦った壺なのです。
この壺と共に展示されている粉々の破片の写真を見ると
”これを修復してこの形に?” と感動します。
破片はほぼ欠けることなくあったそうです。
気の遠くなるようなパズルです。
陶磁器についての知識はありませんが
美しいものは見ていて飽きませんね
【大阪市立東洋陶磁美術館】
大阪市北区中之島1-1-26
http://www.moco.or.jp/index.php
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最後に本2冊をご紹介します。
■ 中国と茶碗と日本と
青磁・天目茶碗・染付について詳しく書かれています。
日本で国宝になっているお茶碗がなぜ作られた中国に1点も残っていないのか?
日中の歴史と文化を紐解き、「なるほど」 と思える1冊です。
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■ 空の城
安宅産業の崩壊を描いた松本清張の小説。
社業の話がほとんどですが
どのようにして美術品を集めていたのかも描かれています。
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