２年ほど前に上記のような記事を書き、当時は結構な反響がありました。今現在も、私立小のことを悪くいうつもりはありません。今の階層化が進む日本には、必要な部分があるでしょう。
ただ、流されるように課金する親御さんには「考えてほしい」ということを上記記事では述べています。あなたのおうちは、そんな階級なんですか、と。
当時は、筑附小やさとえ小に通う自分のある教え子が「（結果として）つぶされたな」と感じて、ちょっと憤りを感じて書いていた背景がありました。記事からは、（恥ずかしながら）不動明王の憤怒の炎が見えるようですね🔥
教育者・塾関係者の怠慢や欺瞞（ごまかし）などには、すぐに腹立つ傾向があり、まだまだ青いです(笑)
最近ではそういう方々にやはり熱心な層が多いのか、受験系私立小やまったり系私立小、付属系私立小、国立小の生徒のレギュラー指導やコンサルが、毎年毎年、結構な数が舞い込むようになりました。
新設の小学校の方からも、早くも相談があり、様子を伺いしることができています。
今年度の中学受験の生徒さんたちは、有名な中受系私立小（勝手に名付けてますｗ）の子が一ぞろいと国立小の子もいて、その悲喜こもごもを共に感じることができました。
やはり一番に感じたのは、
・子供が疲れ切っていた
ということです。これははっきりと感じました。
私立小の子たちはどの子も、特に小５の後半から小６の夏くらいまでにかけて、疲れ切っていて、僕の方も「大丈夫か？」と心配になるケースが多かったです。もちろん、その間成績の方も低迷していくことが多いわけです。
要因の一つには、「学校⇔塾⇔家の距離が遠い」ということが挙げられます。やはり、この距離のどこかが遠い場合は、あまり良い結果になっていません。
仮にこの距離が電車で２，３駅だったとしても、公立小の子がテキトーに遊びながら５分くらいで歩いて帰ってこれるところを、３０分はかけて通学・通塾しています。これが、予想以上に小さな身体にはダメージになり、中学受験が激しくなる小５の６月くらいから、如実にパワーダウンしていく傾向がみられました。
基本的に中学受験は、塾も学校も家から近いところでする、というのが鉄則です。それ以外は本当に些末なことで、遠いところにある有名塾や校舎などに通って、何かが好転するとは思えません。
結果が結構物語っています。同業の先生などと話すと、意外に私立小の子の中学受験戦績がよくないことに気づくこともあります。途中までは結構ぶっちぎりでできるのですが、難しい時期がやってくるのです。
開成や筑駒、桜蔭などにいけている子は、「体力のある子」ばかりです。うまく行った子は男子が多いです。
例えば、有名大学付属だったりした場合、中学受験もする、というのはおいしいとこどりの欲張りであり、二兎を追う者感がでます。
そんなに大学への内進資格や小学校のカリキュラムが惜しいのなら、近くに住むべきに思います。
私立小の子は、とにかく低学年のころはよくできるのです。小４いっぱいまでは偏差値６０超であることも多いです。
ただ、盟友の熊野孝哉先生もよく「どこにピークをもってくるか」というお話をされてましたが、小４にピーク持ってきてどうすんねん、という状況はありましたね。小４は簡単ですから、何度も周回すれば、だれでも完成度はあげることができ、偏差値も高くでます。
ただ、それは「小さなころからバチバチにアジア（儒教）的繰り返し演習やってきただけ」であって、本当の優秀層に行くためには、一段深い思考力をつけようとする発想が要ります。
これを身につけるには、中学受験でも上位の子ですら小５まるまるかかるようなイメージです。
特に、サピやグノでは、教材のレベルは高いですが、図を書いてちゃんと考える、などのじっくりした勉強にならず、一段深く、が難しい現象をよく見かけます。
すると、「とりあえずやり方を覚えるまでやっちまえ」という発想になって、最後まで深くならない、ということが多いです。それでも四谷偏差値６０くらいまでの学校なら受かりますが、御三家や海城・駒東・渋々、関西の灘・甲陽・神戸女学院、地方のトップ校のラサールや愛光・北嶺などは難しいと思います。
そもそも、そんな勉強法では、子供の負担は増すばかりだし、東大などにはチャレンジすらできないと思います。勉強とは、本質を抑えれば本当に物理的な勉強量は３分の１くらいになります。
小４の時期は、どうせそんなに難しいことはやっていないのですから、目先の成績ではなく、式や図を書いたりといった習慣づけ、そしてなにより読書に勤しむべき時期に思います。
そうして、ピークを小６の夏以降にもっていく心づもりでやりましょう。
そして、私立小では、学校でも結構難しいのをやっているのですが（それは助かる）、この思考力重視にはなっておらず、単にサピの廉価版をやっているようなパターンが多いです。
でも、定期テストもあるし、それが悪いといろいろ補習だのクラス落ちだのが学校でもあるので、学校についていくためにも小１からサピや大手塾に行く、というよくわからないことになっています。
塾でも学校でも家庭でも勉強勉強。子供はいったい、どこで心を休めればよいのでしょうか。
また、中学内進がある私立小の生徒の学力をいかに担保して中学にあげるか、が内進のある私立一貫校の最大課題であると思います。さとえや洗足などでは、結構内進の試験基準が厳しく、さすがに勉強している子しか上にあげない意志を感じます。
やはりそのような学校では、中学以降の経営がうまくいっているパターンがあります。
僕はいろんな子を見ていて簡単に比較ができてしまうのですが、中学受験を小４から頑張った子とそうでない子では、そのプレッシャーや我慢の程度を比べた場合、その学力や成長度においては月とすっぽんくらいの違いがあります。
そりゃ内進は言うまでもなく、ぬるいです。
小学内進組と中学受験組、高校内進組と高校受験組など、違う立場で入学してくるケースがある場合、大きな差がある学校ほど、行き詰まりやすい印象です。どうしても、成績の低い方に授業や課題をあわせねばならず、ぬるくなっています。
「いや、小学内進組も小さなころから大手塾に通っているから（学力的に）大丈夫ですよ」と言ってくださる方もいるのですが、その発言の大きな矛盾点やおかしな点に気づいていないことが怖いです。私立なら、勉強のフォローもせえよ、というのが、私立中高一貫で鍛えられた僕の率直な感想です。
何のための高額な学費なのでしょうか。
だったら家から近い公立小でそっちではのんびりさせながら、大手塾に通い、中学受験をすればよいのでは？ と思ってしまうのです。サピや四谷大塚なら真ん中らへんでも、中学受験での進学先であんたらの通っとる大学付属先の大学くらい簡単に受かるで、と。
しかも、自分で大学受験を戦って勝ち得た合格は、例えば内進で法政大の子と、大学受験で法政の子がいたといて、自信の持ちようが全く違います。また、人生の主体性が全く違います。
これからの社会では、学歴の意味も薄れるかもしれず、そうなると、一流私立大であっても、社会にでれば実能力が問われるようになったり、メンタルが病みにくいことが大事であったりするはずです。
甘い環境で育った子が、今の斜陽に傾き始めた経済の日本で、生き抜いていけるのでしょうか。
学歴に最も依存して存在しているのは、東大生や京大生ではなく、大学付属の内進あがりの方々だ、と僕は思います。それでよい、日本はよくなる、というのならそれでも構いません。でも皆さん、個人主義で自分のことばかり考えて、そのような進路をとっている面はないでしょうか。
子育て・教育は鍛えてこそ、試練を与えてこそ、ではないでしょうか。
子供が曲がりなりにも自分で受験する大学を選び、その勉強の途上で苦労をする、そこで挫折する、という経験は、社会に出る前に挫折の予行演習としてやっておいてもよいのではないか、と思ってしまうのです。
ま、これも中流階級の子息である泥臭い僕の単なる個人的見解なのかもしれません。
もちろん、安定した大金持ち家庭と特殊な一族の方、楽器やスポーツなどに大きな才能がある方ならば、やはり受験などに振り回されないほうがよいと思います。
最近、ユーチューブで聞いてぶっとんだ下記のような子には、やはり一貫校でその才能を伸ばしてほしいです。
僕の好きなヴィルヘルム・ケンプやアファナシエフに、たった１０歳で匹敵する音を出しています。これは、僕が言うまでもなく、とんでもない才能に思います。クラシックはにわかで、メタル・ロック専の僕が聞いても、「音」が違うと思えました。
やはり日本的な受験などで停滞させるのは罪深いでしょう。いつか、ライブで音を聞いてみたいですね。
まあ、でもクラシックの世界は厳しいですから、僕らが受験でくらう以上の苦労は、もうすでに経験されているかもしれません。
ということで、ちょっと金もってるくらいの僕ら一般市民は、普通に苦労して、妙な策を弄さずに子供を鍛えていけばよいのではと思います。
小学校受験も否定はしませんが、ちょっと額が異常かなと思います。月に１０万どころではない塾が多すぎですね。ちょっと階級が違うのかなｗ
仮に今後自分の子供が生まれても、小学校受験は微塵も考えないと思います。不安で不安定でも公立小に入れて、ただただ、学級崩壊などに気を付け、何かあったらすぐに校長や教育委員会にかけあう準備だけしていることと思います。
子供も与えられた環境で遊んだり努力したりしながら、大人になってくれればよいのではないかな、とも思います。
いつも読んでくださってありがとうございます。
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