受験プロ視点での私立小考察と注意点 | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 僕は元々、中学受験のプロからスタートし、塾講師時代に高校受験と大学受験でもプロ化して、経験を深めていった経緯があるのですが、最近では、年少から小3までのコンサル依頼も多くなっています。

 

 この辺りはあまり専門ではなかったのですが、さすがに低学年だけでも今までコンサルを200件以上はやっておりまして、情報が集まってきたので、注意点などを書いておこうと思います。(受験期は、受験学年を優先したいので、小3以下の方のコンサル依頼などは4月以降にお願いしたいです)

 

 

・(個人的に)異常に思える私立小学校受験

 ……田舎育ちの僕の素朴な疑問としては、「なぜそんなに私立の小学校に行かせたいのか?」です。あの有名な佐藤ママですら、私立小は一切考慮していなかったと記憶しています。関西にも洛南小、立命館小や各種国立附属など名うての私立小があるのに、です。(国立小らしいです)

 

 要は、ちゃんと考えて行かせてますか? ということを言いたいです。なんか良さそう、お坊ちゃんお嬢ちゃんに見える、扱ってもらえる、ということで選んではいないでしょうか。

 

 もちろん、私立小のメリットは非常に大きいです。現在、ほとんどの公立小学校の子が学級崩壊を経験するようになってきてしまっていて、学級崩壊を経験すると、本当にマイナスしか子供にはありません。

 一度でも経験すると、大人が信じられなくなり、大人を舐めるようになり、授業中に座ってもいられなくなるし、胆力もなくなります。もちろん、漢字の書き順などはむちゃくちゃ、躾面もうすくなります。

 

 その危険性がゼロに近くなるのは非常に安心です。私立小では、学級崩壊をしかけても、保護者からの申し入れ一つで学校側が積極的に動いてくれます。できる限り失態を隠そうとする公立とはえらい違いです。

 

 また、安定したカリキュラムをこなすことができ、中学受験に向けたハイレベル授業をしてくれる学校も多いです。名門校系のところでは、内進する子も多いですが、中学受験組に負けないようにそこそこ勉強させるところも多いです。(が、もちろん、概して外部の子の方が勉強はして入ってくるので負けやすいです)

 

 もちろん、大学までエスカレーター式に行けるところは、なにやら安心というのもあるとは思いますが、それは一長一短であり、陰陽が必ずあることに思います。

 「いつ頑張るの?」という疑問は僕には残ります。我が子は人生で一度も頑張らないでいい、というならそれでも良いと思います。(そんな人間は社会人以降不幸になりやすい気もします)

 

 欠点としては、小学受験時の試験では、その後のその子の勉強適性は到底測れないことで、その後の猛烈なカリキュラムや定期テストを、小1や2のころからしっかりやらなければならない、というのが、発達や成長具合の遅い子には負担になります。

 公立小なら少々遅れても、どこかでやる気になりさえすれば簡単に覆せます。

 

 これは中学受験でも同様の傾向は見られます。身体の成長具合は人それぞれで、中学くらいからやっと思考が育ってくる子も多いのですが、その前にいろいろぶっこんでしまって、不適応を起こす子が多いように見受けます。

 

 

・子供の負担はどうでもいいのか

 ……私立小で非常に気になるもう一つの点は、家からの通学時間です。拙著(下記にリンク、まだの人は買ってねw)でも述べましたが、小さな身体のうちは、通学時間で使う体力やトラブルが大きなダメージになりやすいです。多くの私立小出身の子を見ていますが、ほとんどの子が、ドアトゥドアで1時間くらいのことが多いようです。朝5時起き、というのもザラで一人や二人ではありません。

 

 

 ここで考えなければならないのは、もし中学受験をするとなった際の、塾通いです。内進等をするなら、安定した環境でじっくり身体や心を鍛えればよく、フォロー程度の塾(つまり個別など)で特に問題はありません。(暁星小、筑附小、関西では洛南小など、一部内進がしんどい学校もあるようですが)

 

 このブログでは再三お伝えしているように、塾は家から近いほうがよく、それだけで大抵の条件より優先順位が上にきます。といいますのも、小5以降は非常にきつい戦いが待っていて、夜がどんどん遅くなってしまい、体力的に削られるパターンがあるからです。

 

 小学校が遠い、ということそれ自体が非常に中学受験には不利です。15時半くらいに学校が終わって大急ぎで塾に行ったとしてもギリギリ16時半だったとします。大体、間に合わないので、学校に塾の用意を持っていくことが多いです。

 

 例えば、サピでは小テストが最初にあるのでそれがしっかり受けられません。弱点などが判断しやすい定着度を見るテストですので、5分遅れても損です。家で時間をとって解き直すなどの時間は非常にもったいないです。

 

 また、コアプラスのテストという、理社の復習小テストがあるのですが、それも、あまり調べる時間がなく受けてしまいます。調べずに受ける、というのはただの時間の浪費です。調べたうえで受験し、弱点を埋めるように使うべきでしょう。

 

 サピだけでなく、他塾でも似たような傾向になりやすいです。(ま、とりあえずサピやグノは避けるのがおススメ、とは言えます)

 

 考えても見ていただきたいのですが、塾で21時くらいまで授業をし、下手をしたら居残りなどもあって、そこから30分程度かけて家に帰り、ごはんや風呂を済ませ、復習など軽くして寝る、となって23時くらいになった場合、翌朝が5時起きで、まともな生活が送れるでしょうか。大人でも難しいと思います。6時でもきついです。

 

 公立小の子は、7時起きや6時半起きでそこから基礎トレをする時間があるし、最悪8時起きでも間に合います。徒歩で5分から10分の子が大半です。帰りも、ゆとり以降は随分おそくなりましたが、15時半から16時には一度帰ってこられます。

 

 これを乗り切る方法は以下の通りです。

・(親も子も)身体を鍛え、少々ではへこたれないようにしておく

・車などでの送迎をしっかりする

・小学校の近くに引っ越す、物件を借りる

 

 親が1週間倒れたり、何らかのアクシデントがあっただけで、この生活は崩壊しやすいことを覚えておいてください。

 過去には、1週間親が風邪で倒れ、送迎が難しくなって塾に行けなくなり、その1週間をきっかけに成績が下がり、クラスもさがり→(前回記事の転落パターンにはまる)という例もあります。

 

 親も年をとっていくものです。親御さんが若いうちはフォローできても、段々と難しくなっていきます。その視点が抜けている方も多いようです。

 共働きではそもそもがこのような生活は不可能でしょう。

 

 以上のような可能性も考慮に入れておくべきです。親御さんも不摂生や運動不足にはお気をつけください。30代中盤以降は、簡単に倒れますよ。

 

 

・そもそも思考していない親御さんが多い気がするのが、私立小の特徴

 ……また、僕の個人的な「嫌な予感」という言葉がまさに当てはまるのですが、私立小などの方が「塾に行っている率が高い」ということです。上記のように負担が大きいはずなのに、無理くり有名な大手塾に通わせているパターンが多いです。

 

 そもそもそうしないと、おそらく小6で来るであろう内進テストにパスできないパターンもあるのでそうせざるを得ない、という実情もあります。

 

 公立小よりもはるかに高い学費を払って私立小に行かせ、さらに高額な大手塾に通い、その生活は非常に母親だのみの厳しい生活になっています。反抗期が重なって、親の言うことをきかなくなってきたら、詰みやすいです。

 

 私立小っていうくらいなんだから、フォローもしっかりあって、昼間の授業をしっかり受けたらそこそこの中学受験くらい突破できるんだろうなあ、……って、ちゃうんかーい! と僕はズッコケてしまうことも多いです。(中学受験する私立中の感覚で言っているためw)

 

 内実としては、私立・国立小は2パターンあるようで、内部カリキュラムによる中の「きつさ」で判別しますと、

・公立小とそんなに変わらないカリキュラムで、実験や情操教育などが多い(例:御茶ノ水、筑附など国立の大体、慶応・早稲田などの有名大付属など)

・定期テスト、英語特別カリキュラムなどがありバキバキオリジナル教材で仕込む(さとえ、宝仙、洗足、洛南、暁星、カリタスなど)

・その中間(目黒星美、精華、雙葉など)

 

 という感じなのですが、後者のバキバキパターンでは、ついていくのに塾がいる、という状態であることが多いです。「あれ?」ということになりませんか?

 いや、学校やねんからもっとフォローしてよ、と思うのですが、やはり勉強に対する個々の適性とご家庭ごとの考え方にものすごい差ができています。差が大きすぎる集団の全体を、フォローすることは難しいでしょう。

 

 小3時点ですでにサピでいう最下位クラスのような「お客さん状態」の子もいます。そういう子たちに過剰なフォローをするは、先生としては職場のブラック化につながるのでできず(これは公立小でも同様、現代教育の問題点の一つ。そもそも若い先生ほどそういう情熱を持つ方は少ない印象)、

 そもそも塾があるから早く子供を帰せ、というのが私国立小では強いようで、フォローは甘いところが多いです。

 

 ということは、できない子にとっては、学校でも地獄、塾でも地獄、とストレスが倍加する構造になって、つぶれやすくなってしまいます。もちろん、中学受験もそこそこのところまでしか行きません。(僕が現在受け持っている不登校の子も、とある有名私立小出身。完全にストレスでつぶれた)

 

 このような事実を考えず、「なんとなく育ちが良さそう」「我が子にはしっかりした教育を」と考えて私国立小に入れたなら、なぜ大手塾に通っているのか。

 周りに流されたりしていないか、親の過度な執着がないか、公平無私なる思考になれているか、を自問自答ください。中学受験のことだけを考えるなら、近くの公立小で十分かもしれません。

 

 時には我が子のために、はみ出す覚悟もするのが子育てに思います。

 

 

・中学受験の実績は、必ずしも公立小<私立小とならない

 ……現在の東京都の小学生の数は1学年あたり10万人くらいなのですが、私立小受験生は、大体首都圏比較で3万から4万(ま、東京都なら2万人くらい)、中学受験生は4万から5万人程度(東京都ならおそらく2万5千人程度)です。

 私立小は、50%以上が中学受験をする学校も多いです。公立小では、中学受験をする子の数が50%を超えるのは文京区など都心くらいです。

 

 私立小から中学受験をするのは、大体50%だとして、約1万人(ま、大学付属も多いのでもっと低いと思われる)。その他の公立小の子は、残り8万人のうち15%くらいが受験をすると考えると、1万3千から1万4千人くらいで、私立小出身:公立小出身=5:7くらいであることが推測できます。

 

 で、例えば、御三家に言っている子の率なのですが、これは、大体私国立小:公立小=5:7だと思います。つまり、中学受験がうまく行っている子の率は、私国立出身でも有利になっていないばかりか、まあ同様(プラマイゼロ)に思うのです。

 

 もちろん、熱心な方が私立小の方に多いので、実際は率としては多いかもしれませんが、それは学校のおかげではなく、家庭要因だけのものです。

 

 こと中学受験においては、私立or私国立小、うまく行く率も失敗する率も「同じ」ではないか、と中学受験と大学受験のプロの僕には思えるのです。

 

 ちゃんとデータを調べたわけではないし、地域性もあるので一概には言えませんが、ま、僕から見ると、私立小の子はただ忙しく毎日が大変で、「(中学受験には)不利だな」と思えることの方が多いです。

 

 例えば、僕が指導をする場合にも、小学生は16時からというのが理想なのですが、学校から遠いとその時間には組めないことも多いです。

 巷の優秀な家庭教師からどんどん予定が埋まっていくことを考えると、16時が使えないというはそれだけで不利です。(ま、19時半からとかにすればいいだけのような気もしますが、僕に関してはその時間は高校生で埋まることが多い。日程の不利をここでは言いたい)

 

 ま、統計をとってみたいものですが、とったらとったで、とんでもないことが分かりそうですね。ざっくりとした論で申し訳ありません。

 

 王様は裸だ、というのが僕のお役目でもあると思いますので、書いておきたいと思います。

 

 中学受験が決定事項としてあるなら、私立小に通う場合は注意が必要である、との注意喚起程度にとらえておいてください。また、このブログに集う方の視野を広げる一助とすべく書いています。

 

 このように言うと、その小学受験指導の方もいるわけで、あまり中傷のようになると嫌だなとは思っています。業界関係者の率直な意見などを訊いてみたい所です。

 ま、同じ文法を用いて、「中学受験は小さな子には無茶だ」ということも言えますよね(笑)

 

 ただ、私立中学は、ちゃんと昼に東大にまで行けるような授業をしているという事実はあります。私立小でも、昼の授業だけで開成に行けるような授業をするだけで良いと思います。塾に夕方行かなくていいという小学校なら魅力はあります。ただ、実際にはひとつもない、ように僕からは見えます。(おそらく、首都圏は9割方の私立小の子を教えた、またはコンサルしたことがあります)

 

 でも、4歳くらいの子に試験をして、その適性が測れるんですか? という疑問はどうしても残りますね。そもそも、御三家を狙えるような授業を昼間にやる、そのための小学校など、無理なんじゃないですか? というのが僕の率直な意見です。

 

 本気でやるなら、小4くらいで能力振り分けの試験が必要でしょう。でも、そんなこと、小学校でできますか? 下の子たちはクビですか?

 そう、そんなこと、できるわけがないんです。「教育」を謳う限りは。大手塾はビジネスだから、下のクラスをやんわり在籍させて「お客さん」にできるのです。

 

 でも、「学校」を謳う限りは下の子もフォローすべきに思います。特に小学校では。斬り捨てたり、差別化した瞬間に、それはビジネスであり、文部科学省が認可を出すべき学校とは言えないと思います。

 

 

 ブログに書けないような「それはヤバいだろ」という事実を僕は何点か持っています。私立小もそのような爆弾(笑)、のひとつですね。

 

 

 反論は認めますが、論理的にお願いいたしますね(笑) 私立も公立も、国立も、いい所も悪いところも、その陰陽を理解しているつもりです。

 

 理論的に考えたら私立小界隈には、おかしなことが多いんじゃない? という僕の素朴な疑問のひとつでした。頭でっかちな東大卒なものですから、ま、理屈だけです。お許しください(笑)

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

おススメ読書タイトル100、問題集など https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12589194343.html

 

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できれば相談内容などは短めでお願いいたします。1件のメールに、1時間近くかけて返信することも多いので、そのあたりをご配慮ください。

 

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<追記>

この度、僕がベース軍師として加入している戦国バトルメタルバンド『Allegiance Reign』の初MV@小田原城

是非ご覧になってください。僕は烏帽子かぶってるのが僕です。

◆MV
https://youtu.be/tI4YvWd8sz0

 

また、初のフルアルバム『EiEiO』が発売となりました。ブログでお世話になってっし、応援してやるか、という方は是非お願いいたします。この売上で、今後の僕らの流れも変わりますm(__)m

また、各種サブスクでも聞けるようになりましたのでよろしくお願いいたします。

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