今回は『The Gift』(Recado Bossa  Nova)を取り上げようと思います。


https://youtu.be/5t35D0y6obA 



 You Tube検索したら同名の曲がたくさんありますね🤗 この曲はその中でも最も古い、と言って良いでしょう。


 リリースは1960年、日本では80年代にCMで流れて人気が出た曲です。自分もなんとなく知っていました。ボサノバによくある微妙な音程の洒落た感じですよね。


 でもなんで曲名がいつも2つセットになっているのでしょう?『The Gift』なのか『Recado』なのかどっちなの?

 これはもともとポルトガル語で作られたものをのちに英訳されたということらしいです。


 題名が2つあるボサノバ曲はよくありますよね。ポルトガル語の原題と英訳された題名。他にはCorcovade (Quiet nights of quiet stars)とか。

でもなぜボサノバはポルトガル語がメインなんでしょうか?


 知っている方には何を今さら!と言われそうですが、ブラジルは公用語がポルトガル語だそうです。


 ではなぜポルトガル語なのかというと、大航海時代まで遡る果てしない歴史の積み重ねがありました。


 wikipediaでブラジルの項目を見ると長い長い複雑な経過があります。私は侵略とか支配とか戦争とかがメインテーマになる歴史の勉強がもともと嫌いで興味も薄いのですが、ボサノバって何? サンバとどこが違うの?とか素朴な疑問を調べるとどうしてもブラジルという国の成り立ちを読むことになってしまいました。


 詳しく知りたい方はwikiのブラジルの項目を見てくださいね(・o・;) 

 ブラジルについてもほとんど知らない私です😅


 まず、どこにあるの?アメリカの下、つまりあの大きな南米大陸、そしてそのほぼ右半分がブラジルで上の方を横切ってアマゾン川が流れています。そこはほぼ赤道直下。そしてリオデジャネイロとかサンパウロとか聞いたことのある都市はほぼ右側の海岸線に並んでます。(簡単に説明…)


 面積は世界5位、ヨーロッパ全体くらい。日本の22倍。人口は2億一千万で世界6位。日本の密さがわかりますね😅


 で、今はボルソナーロ大統領。長い左派政権のあとの極右で国内外で賛否両論あるとか。新自由主義、軍政の再評価などブラジルのトランプとも呼ばれているそう。経済的にはかつて一度繁栄したあと、ハイパーインフレで債務不履行になったりデノミ4回やったりした経緯もあるなかで、現在はBRICsの一角にもなって債務国から債権国に転換できているらしいです。


 その始まりは大航海時代1500年にポルトガル人が来航し移住したことによります。

 「赤い木」という意味の「パウ.ブラジル」とよんだことが国名の始まりらしいです。


 サトウキビやら後にはコーヒーのプランテーションや金鉱山の発掘のために先住民が奴隷化され、アフリカから奴隷として黒人が大量に連行されてきたという悲しい歴史。先住民やアフリカの黒人たちの悲しい歴史。その歴史を知ると心が痛みますね😔


 1888年に奴隷制は廃止になりましたが、その間黒人による独立運動や、ポルトガルからの独立戦争(1822 独立宣言)がありました。帝政から共和制、その後の軍事独裁を経て1974年にやっと軍政から民政に移管しました。果てしない争いの記述があります。


 政治的に安定したときもありました。左派のルーラ政権の時にはワールドカップや、オリンピックの招致に成功し、これは記憶に新しいですね。


 その後汚職やら治安悪化やらで現代に至ってるわけですが、これからのブラジルにもちょっと興味が湧いてきました。世界中が同時に生きてるんですよね!

 日本もいろいろ過渡期の中にありますが、同時進行でいい方向に動いていってほしいものです😔


 前置きが長くなりましたが、ラテン音楽という括りはブラジルよりももっと範囲が広い周辺の島々のリズムをも含めているもので、むしろブラジルを除外したものを指す場合が多いそうです。


 ブラジルでは先住民のリズムやポルトガル人のもたらした音楽が混じり合って行進曲やダンス音楽に発展、躍動感あふれるサンバととなって人々が人生の悲しみや苦しみや恋する気持ちなどを共有したとのことです。


 その後1950年代によりクールで洗練されたスタイル(ボサノバ=ニューウェーブの意味)になってジョビンなどの白人のミュージシャンが広めたといいます。

 

 中産階級のボンボンたちの間で流行ったとのことでサンバと違い淡々とクールに囁くように、自分や友人に聞かせるようなものであったらしいてす。


 1960年代にはアメリカのジャズミュージシャンたちにクールなサウンドスタイルが取り上げられ世界的なムーブメントになったそう。日本では特に受け入れられ人気があるとのことです。


 ざっとボサノバ周辺の基礎知識を得たところで和訳を始めたいと思います😅


 まず原題はポルトガル語でRECADO、英題でRecado  Bossa Nova または The Gift。ブラジルのジャルマ.フェヘイラが作曲。ポルトガル語作詞はルイス.アントニオ、英詞はポール.フランシス.ウェブスターということです。(リリース1960年)


                     RECADO


  No strings have pearls in a velvet glove.


  The things I long for is the gift of love,


  No ring of gold but a dream to unfold


  When all the stars have flown  and we're alone.



 ビロードの手袋に真珠のブレスレットなんていらないわ

 私が求めているのは愛という贈り物よ


 金の指輪もいらない 広がる夢が欲しいの


 すべての星がみんな流れ去って

        私達だけになったとしてもね                 


 

 1行目の strings of~……s は数珠つなぎになったもの、ひもに通したもの、ということでここはパールの飾り物だろうと思います。ネックレスと訳しているものもあったけどそのあとに in a velvet  glove とあるので(単数…片手? )、手袋の中の飾りならブレスレットではないかな~と想像しました。

 趣旨としては高価な飾り物はいらないの、という流れだと思います😅


 ・a dream to unfold ……広がる、開いていく夢。

昭和歌謡に『夢は夜のひらく』ってのがありました。歌ったのは宇多田ヒカルのママ、藤圭子ですね😅 夢をひらくというイメージ、寝て見る夢にしても、希望の夢にしても改めてナルホドと思います。心をひらくとか普通に使ってるけど un+foldなんだなと…💦


 ・the stars have flown ……flownは flyの過去分詞でtime flyと同じように飛び去るイメージ、星だから流れ去るイメージでしょうか?



 The gift of love is a precious thing,


    A touch of magic on a day in spring.


    The golden dream every dreamer pursues.


    Remember darling never refuse the gift of love



  愛の贈り物ってとても尊いもの


  春の日の素敵な魔法のような


  夢見る人みんなが追い求める黄金の夢よ


  忘れないでね

 

  決して愛の贈り物を拒んじゃダメよ



 ・a touch of~ …気味、少し…。体調を示す言葉があとに続くときは例えば風邪気味(cold)であるとか熱っぽい(feaver) とかの訳になりますが

ここはmagic と続くのでちょっとした魔法というニュアンスでしょうか?あるいは a touch of masterという組み合わせると名人芸と訳せるそうで、どちらでしょうか? どちらにもとれるようにしましたが…😅


 never refuse とダーリンに言うというのは主人公がダーリンへの愛でいっぱいになっていて愛を贈りたいと思ってるってことですね!  決してNoと言わないで! という願いですね。

 自分も愛の贈り物を欲しいけどあなたにも贈りたい!と言ってるんですね。日本人はなかなかはっきりとは言わないけど当たり前の強い愛情表現ですね

( ˘ ³˘)♥


 (サビ)

 For love can be a melody that lingers

  

   Or slip like April wine right through your fingers.



 だって愛はいつまでも消えないメロディなの


 そうじゃなきゃ四月のワインみたいに

    あなたの指からこぼれ落ちてしまうわ


  

  can be として語られているのでそうであってほしいという強い想いを感じます。

・ linger  生き続ける、居残る、いつまでもいる

・April wine  何か特別な性質があるのか? わかりませんでした😅 サラサラしているのかな? (同名のカナダのロックグループがあるということだけはわかりました…😔)



 So kiss me sweet till our secret star


    Illuminates the way to Shangrila.


    Whatever fate may befall


     All I know is the gift of love is 

                                 the greatest gift of all.



    だからね 優しくキスしてね


 わたしたちの秘密の星が

    シャングリラへの道を照らすまで


 どんな運命が降りかかったとしても


 私が知ってるすべてのこと


 それは愛の贈りものこそ

    最も偉大な贈り物だってことなの


                      

  Shangrilaとは何か? おそらくインド的な理想郷? 調べました! wikiによると1933年にイギリスの作家が出版した小説の中に登場したユートピアの名前だそうです。なのでもともと架空のものなんですね。今では観光のためのあえて地名をシャングリラに変えるところもあるとかです😅

 

 それからfate という言葉と befallという表現が合わさると良くないことがふりかかるニュアンスですね。でもどんなことが起きても、愛を伝え合う(recadoは伝達という意味があるとのこと) ことが力になっていくんだと歌ってるんですね(◍•ᴗ•◍)❤