明日じゃなくて今日ですね^_^;。
今回は柴田くんのオノロケ話から始まりますが、エンキドゥ
くんの告白は驚き!です(^_^;)。
そして、その時の美子ちゃんの台詞も考えさせられます。
とにかく読んでみてください。余計な予告は要らない内容で
す。大学時代を思い出しました。いろいろあった時期ですも
んね(^^)。
今回はちゃんと水曜に公開します(^^)。
よろしくお願いします!。
明日じゃなくて今日ですね^_^;。
今回は柴田くんのオノロケ話から始まりますが、エンキドゥ
くんの告白は驚き!です(^_^;)。
そして、その時の美子ちゃんの台詞も考えさせられます。
とにかく読んでみてください。余計な予告は要らない内容で
す。大学時代を思い出しました。いろいろあった時期ですも
んね(^^)。
今回はちゃんと水曜に公開します(^^)。
よろしくお願いします!。
まず最初に、7月の月間アクセス集計から。
7月1日~7月31日の31日間でカウントすると・・・
アクセス者数(UU:PCのみ)・・・3015名
PC(PV)・・・4313
モバイル(PV)・・・737
総アクセス数(PV)・・・5050
でした。来ていただいた皆さん、ありがとうございました。
3000人の方に来ていただけて、感謝です。
最初は、少しガッカリしてしまいました。それは、先月の
アクセス者数(UU:PCのみ)・・・3305名
PC(PV)・・・5159
モバイル(PV)・・・1166
総アクセス数(PV)・・・6325
に比べて1日多いのに、アクセス数が減ってしまったからで
す。
旦那にそのことを話すと、
「いやいや、大したもんだよ。こっちの不手際で、PCが使
えなくなってから、ペタ返しだって出来てないんだろう?。
約5日は、思うように出来てないんだ。それでその数字を維
持出来たのは、ほづみさんの作品力のおかげと、何とか届け
たいと思ってる3人の力じゃないの?。それで3000人を
超える集客が出来て、5000を超えるPVがあったんだか
ら、喜ばなきゃ(^^)。雑誌だって、創刊号は売れるけど2号
から半分になるのが凄く多いんだぜ。最初は期待感がある。
でも、読んで面白くないと判断した人は、買わないって決め
る。ブログはタダで読んでるから、時間が無駄だと思う人は
来なくなる。その中では、健闘してると思うよ(^^)」。
そう言われて、更なる闘志が湧いて来ました(^^)。これから
も、読みたくなるブログを目指して、いろいろ挑戦(チャレ
ンジ)してみます(^^)。
さて、いつもの3人の感想です。
今回は、比較的さらっと行きます。
Tちゃんママ:今回は、神話の話から始まって、メニューの
中身まで書いてあって、私、その内の2つは自分でも作って
みた。美味しいのよ、ホントに飲みに行ったみたいにおつま
み感覚で食べたらイケルんだから(^^)。ほづみさんは自分で
も作ってるのかしら。
居酒屋では旧友と再会する。そのエンキドゥくんがドク太に
2人が付き合ってるって言った友達の名前は意外で驚いた。
柴田クンも波瑠と付き合い始めたみたいだし、次回は恋愛話
かな?って期待が膨らんでる(^^)。私の好きな分野だから。
そうだ!、Kちゃんママ、PC壊れて大変だったね。いつ直
って戻って来るの?。早くいつも通りになるといいね。
アクセス数は頑張ってると思うよ。だって1つの作品だけで
これだけ来てもらえれば凄いよ。ほづみさんも凄いし、Kち
ゃんママも凄い。私の友達は、3人読むのやめてるらしいん
だけど、5人増えたよ(^^)。その5人は、作家さんに会わせ
てって言い始めてる。不思議なんだけど、料理のネタが入っ
てから、興味を持ったみたいなのよね。どうしてだろう?。
でも、妙に艶っぽいのも居るから断ってる^m^。
これから暑くなるかも知れないから、体に気をつけて頑張ろ
うね(^^)。
Mちゃんママ:霧亀と伊寿樽のカップルは、意外だった!。
何かあったんだろうね?。どうしてエンキドゥが苗字で呼ん
でるのかも気になる。
再会は、結構自然だったなあ。もっとタメるのかと思った。
料理は美味しそうだよね?。Tちゃんママが作ったって言っ
てたから、今度ご馳走になりに行こうかな?。
居酒屋のシーンは、どういう伏線なんだろう?。きっと何か
あると思う。でも、わからないなあ(^_^;)。
今度は3カップルの話になるのかな?。恋愛系の話はいいか
もね。読んで、Tちゃんママみたいにいい台詞を探してみよ
う(^^)。
神話が登場神物に合わせてシンクロし始めてるよね。以前、
ほづみさんが「神話は××(ほづみさんに確認したところ、
次回のキーワードなので・・・と伏字にしました)です」っ
て言ってたけど、思いの中に生きてることっていっぱいある
よね?。
それがタイムマシーンなのかなあ・・・と思ったことない?
あ、でも、未来のはないね^m^。未来にも行けないとタイムマ
シーンにはならないか?。
Kちゃんママ、大変だったね。PCは貸せればいいんだけど
ウチは1台しかなくて、みんなで使ってるからごめんね。
早く直って帰って来るといいね(^^)。
毎度おつかれさまです。
私(Kちゃんママ):皆さんには本当にご迷惑をかけて申し
訳ありません。金曜日にPCの接続が出来て、どうしたんで
すか?、とか、待ってたのに、とか、水曜はチェックしてる
のにやめちゃうんですか?、とか、中には、有料サイトにし
ちゃうんですか?っていうお問い合わせまでありました。
本当にごめんなさい。PCが壊れただけです。今まで通りに
やりますのでご安心ください。
今回、インターネットカフェから出来ないかな?と思って、
PCが壊れてすぐ近所の店に言ったんですけど、ワードが入
ってなくて、メモ帳でテキストファイルでやろうとして、ガ
タガタになっちゃって諦めました。
サイトを開設しても来ていただくのは無料でやります。
有料化すると、作品を賞に出品できなくなるんですって。
ほづみさんと相談の上で無料でやりますから、ご心配なく。
今後とも、よろしくお願いします。
で、感想の方に移ります。
ギルガメシュ叙事詩の前提を破っちゃったよね、いきなり。
どうしてそうなったのか、知りたいなあ。
神話のシンクロが始まって、タイトルはSynchronicity。前
回の名付け親から、名前のことはいろいろ考えた。エジプト
のイシスに興味が出て来た。でも、イシスはストーリーには
あんまり絡んで来ないのかな?。
今回は、メニューがたくさん。私も3つ作ってみた。前回の
山芋は本当に美味しいの!。簡単だし、もう3回作った。
「鮭持って来い!」と「よっしゃもう1つ」。鮭は見た目が
面白いの。今度、もっと上手に作って写真をアップしようか
な?。
ししゃもは、オスは高いのねー。あんまり意識したことなか
ったけど、子持ちししゃもの方が安いのね。オスのほうが脂
が軽いから、体にはいいのかも。でも、ウチでは子持ちしし
ゃもの方が人気は高いわね(^^)。子持ちししゃもの上にオス
を乗せると、見た目はかなり変わってしまう。外見はオスの
上にメスの方が全然いいんだよ。
柴田くんは良かったね(^^)。波瑠ちゃんは、どんなふうに喋
るんだろう。遠木藤くんも、ほとんど喋ってないから、感じ
はわかるけど、次回のメシアでの会話が楽しみ(^^)。
今回は、こんな感じです(^^)。
皆さんへのお知らせです。私もとても嬉しいお知らせです。
皆さんから、いろいろなメッセージをいただきます。その中
で、ここの所、特に増えて来たのが「作品の頭から順番に読
めるようにならないかなあ?」というお問い合わせです。
ブログテーマの「連載小説『同時生起(シンクロニシティー
)』」をクリックし、1番前まで戻り、1つ読み終わると、
また、1つ上のタイトルまで動いて・・・を繰り返すことに
なる訳ですが、その1章が長いので、戻っているのが大変だ
と思うことが増えてきました、という内容のメッセージです。
実は私も、同じ感覚を持っていました。戻るのが大変なんで
すよね^_^;。
最初は、もう少し短く分割して格納するようにしたらいいん
じゃないか?とか、いろいろ工夫をしてみましたが、頭から
そのまま読める、というのは実現できない、という結論にな
ってしまいます。どうしたもんだろう?。
そんな時、神に・・・じゃない^_^;、紙に打ち出した原稿を
見せてもらいました。字がビッシリのA4の紙が80枚!。
第9章までのプリントアウトです。30行×35文字で8万
4000字!。400字詰め原稿用紙なら、210枚分!。
前回見せてもらったのは2週間前でしたが、確実に分厚くな
っていました。
ほづみさんは、今は原稿を手書きするんじゃなくてご自身で
テキストデータにしてメール添付で送ってくれます(^^)。最
初のうちは、データ作成もお手伝いして、レイアウトしてア
ップ、という作業でしたが、今は、いただいた原稿をレイア
ウトすれば、アップ出来ます。
今回、PCが壊れたのを謝りに行った時に、その原稿を見せ
てもらいました。どうしてだか解らなかったのですが、「こ
れだ!」と思いました。後で考えたら、作品の頭から順に読
んで行けるからです。
ぱらぱら見せてもらっているうちに「?」という箇所がいく
つも出て来て、ちゃんと読み始めていました。加筆・修正さ
れています。皆さんや私達3人の感想を考慮して、書き加え
られている部分がかなりあります。
「手直しするのが本当にラクなんです(^^)。書き直さずに、
追加や修正がすぐ出来るんで原稿をいじりたくなるんです。
最初の頃のJUNさんにお願いしたデータをお手本にしてフ
ォーマットとして使わせてもらってました。今は文庫本の小
説を参考にして、1行35文字で打つようにしてます。縦書
きにしても、横書きにしても、プリンタのソフトで自由に打
ち出せるので、何で今まで使わなかったんだろうって、反省
しました。でも、打てるようになったのはJUNさん達3人
のおかげですし、作品を読みやすくしてくれたのはJUNさ
んのおかげですね(^^)。」
いえいえ、読みやすくなってるのはほづみさんの努力の賜物
です。
そこで、お話をしてるうちに、いくつかのポイントが見えて
来ました。名簿を見ながら読みたいという意見には、こんな
対応の仕方がある、とか、起承転結で「起」の部、「承」の
部・・・というように、前から読めるまとまりの区切り方、
等々。
そこで、『シンクロニシティー』専用サイトを起ち上げよう
という構想が湧き上がっています。専用サイトになるとキャ
ラのイメージも必要になって来ますよね?。この世界を描け
るイラストレーターさんも欲しくなります。登場人物が大人
達なんですけど、高校時代のショットも欲しくなります。
つまり高校生キャラも、カッコいい大人の(特に男)キャラ
も描けるイラストレーターさんが見つからないかなあ、等と
妄想は広がります(^^)。旦那は昔、そういうプロデューサー
をしていた時期もあるので、帰って来て訊いてみたら、予算
無しでやるにはキツイぞ、って釘を刺されてしまいました。
ほづみさんは「イラストレーターさんの前に、僕の頭にある
世界観を共有してもらえるサプリメントがまず必要だと思う
んです。絵も描けないなりに、こんな感じ、っていうコンテ
レベルで伝えられるコミュニケーション・ツールは作らなき
ゃならないでしょうし、もし、頭から読めるサイトが出来る
なら、最初はコツコツとラフ画でもいいから、取り込みでも
なんでも手作りで行きましょうよ。それだけでも最初は大変
だと思います。字だけで充分ですよ。それに、メビウスの輪
だとか、クラインの瓶だとか、イメージを入れていただいた
だけで、凄く解りやすくなったと思うんです。サイトとなる
と、そういうのも手起こしになるでしょうから、そういうパ
ーツなんかを理解してもらうために載せるっていう感覚で充
分スタートは切れますよ。」
そう言ってくれてます。なので、まずは、頭から読めるシン
クロニシティー!をモットーに、サイトを起ち上げようと思
っています(^^)。
お時間のある方は、立ち寄る心構えだけしておいてください
ね。実現する前に、皆さんにはお知らせしますので、よろし
くお願いします。
目処は、「起」の部が終わる「12、アダムとエバ」を発表
した後くらいを予定しています。今が「9、共時性」なので
あと3回連載したら・・・って頃になると思います。
そちらの情報もリリースして行くつもりなので、皆さん、応
援してくださいね(^^)。
9、共時性(きょうじせい)
Synchronicity
1週間が経つのは早かった。まだ柴田は自宅には帰るな、
と言ってくれてるおかげで、1週間ずーっと美子の部屋に
泊まってる。郵便だけは気になるが、電話は自宅で出られ
なくても、急ぎの用件の電話は携帯に掛かってくるし、何
も問題は無かった。根本があと1~2日で帰れると思うっ
て言ってるらしい。
「沙羅もドク太を殺す気でいた訳ではないみたいだって伝
えてくれ」って柴田に言って来たそうだ。
美子は、柴田と早く会いたいそうだ。顔を合わせたら、
霧亀瞬と伊寿樽美里手は今どうなってるのか聞きたいそう
だ。瀬臼先生が気にしていたのは、「ジャミラ」こと(肩
のイカッた)遠木藤正夫が同じクラスに揃ったからだ、と
いう部分に興味をそそられているらしい。
ギルガメシュ叙事詩は読んでみた。俺がネットで探して、
その文献を読んでいると、それよりこっちの方がわかりや
すいよ、って別のサイトを教えてくれた。本当に読みやす
いサイトで、俺と美子はくっつくようにして、同じ画面を読
んだ。その中に出て来るイシュタルに魅かれているのが
よく解る。イシュタルの説明には、こう有った。
「アヌ、またはシンの娘。愛の女神、また金星の神。時代
が下り、アッシリア時代になると戦闘神の一面も持つよう
になり、祭儀ではライオンが捧げられた。以後ライオンは
彼女のシンボルとなる。フェニキアのアスタルテ、エジプ
トのハトホル(あるいはセクメト)、ギリシアのアプロデ
ィーテー、ローマのウェヌスに相当。」
「ギリシアのアフロディーテも、ローマのヴィーナス(イ
ギリス読み)も、エジプトのハトホルも、このイシュタル
っていう女神様が元になってるんでしょう?。でも、他の
女神様は『美と愛の女神』っていう感じだよね?。イシュ
タルだけはどっちかって言うと『性愛』の女神だよね?。
みんな金星の神っていう所も共通してるけど、イシュタル
は『愛欲』。他の女神は『美と愛の女神』っていうイメー
ジ。メソポタミアだけ、どうして『性愛』とか『愛欲』の
女神様なんだろう?。」
美子が不思議そうに言う。俺は思ってることを言った。
「アフロディーテもヴィーナスも奔放な性格で浮気好きだ
よ。似てると思うけどなあ。ローマ神話では、『愛欲の神
クピド』つまり、イギリス名でキューピッドを連れてる。
役割を分散させることでイメージを持ち上げたんじゃな
い?。」
「でも、イシュタルはもっぱら性愛の女神ってイメージだ
よね?。性交は新しい命を産む行為だから『豊穣の女神』
でもあるし、古代バビロニアでは性交は一種の神聖な儀式
だったって言うじゃない?。女達は生涯に1度、イシュタ
ルの神殿で見知らぬ男に抱かれる義務を負っていたとも言
われてるって書いてある。のちのキリスト教徒がバビロニア
を背徳の都って言ったのはその風習が理由でしょう?。」
美子はキリスト教徒の考え方が当たり前みたいに言う。
俺は、
「たぶん『豊穣の女神』としては、妊娠・出産を増やした
かったんだよ。とっても仲のいいカップルほど、なかなか
妊娠しないって知ってた?。いつもえっちしてザーメンを
出すけど妊娠しないように膣外射精とかをしてると、精液
は膣が覚えて『異物』って判定するようになるんだって。
だから、子供を作りたいと思っても、いつもえっちしてる
相手の精子は異物だから着床しなくなる。そこで、他の男
の異物が入って来ると妊娠しやすくなる。子供はできやす
いけど、育てる人がいなくなるのは困る。だから一生に一
度、イシュタルの神殿で神聖な儀式として執り行う必要が
あったんじゃない?。」
と言うと、美子は、
「え~、ホント?。じゃあ、私の体ってヒロシの精子を異
物って判定してるのかな?。」
俺は笑って、
「まだそうなってないと思うよ。なんなら今から試してみ
る?。」
美子は「う~ん・・・。」と唸ってから、
「今日は、美味しいものが食べられるのに、うぷっ、とか
なるとイヤだからヤメとく!。」
「あはは(^O^)。今日、つわりにはならないから大丈夫。
ほら・・・。」
と 抱き締めて、美子の背中に回した手をクッションにし
て横になった所で、
「ストップ!。今夜メシアから帰って来てからにしよう!。
そのまま眠ってもいい時間に、ね(^^)。」
と キスだけされた。俺の腕から起き上がり、
「さっきの続きが気になるんだもん。もう少し教えて!。」
と 言われると、今は諦めるしかなくなる。美子はイシュタ
ルの生まれ変わりじゃないのか?と思う。だって「ダメ!」
って言われたら、強引にでもしちゃおうと思うけど、そのま
ま眠ってもいい時間がいいってシチュエーションをハッキリ
させて(私もしたいけど)今はストップ!って言われると、
男は自尊心も満たされるから、とにかくしたい!じゃなくな
る。このパターンを使えば120人くらいの恋人は作れそう
な気がしてしまう。
「イシュタルは、ギルガメシュを気に入った。ギルガメシュ
は、イシュタルと付き合った男達の捨てられたり飽きられた
りする悲惨な末路を知ってたから、断った。イシュタルは激
怒して復讐を誓い、その結果、エンキドゥが犠牲となって病
死しちゃうって話だよね?。親友を失ったギルガメシュは嘆
き悲しみ、人の命が永遠ではないことに気付く。以後『死』
を極度に恐れるようになる。そして、永遠の命をどうしても
欲しくなって、生命の秘密を知り得た唯一の人間、ウトナビ
シュティムに会うために過酷な旅を続ける。ウトナビシュテ
ィムは、ギルガメシュの熱意にほだされ、自分が不死となっ
た経緯を彼に伝える。それが、のちの聖書の『ノアの方舟』
伝説の原型と言われてる。そこでヒロシに質問でーす。」
美子は手を上げた。俺は
「はい、水門くん。」
と、美子を指す。
「このウトナビシュティムさんは、なぜノアさんではなく、
ウトナビシュティムさんなのでしょうか?。」
と訊くから、適当に思いついたことを答えた。
「それはね、イシュタルはなぜ、ギリシアではアフロディー
テ、ローマではウェヌスと呼ばれたのか、説明できるか
い?。」
「なるほど!。了解。じゃあ、メソポタミアの人達は、自分
はウトナビシュティムの子孫だって信じてるってコトだよ
ね?。」
美子が言うので、俺は
「聖書に書いてあることは事実だ!、と思う人と同じくらい
の割合で、バビロニアにも、ウトナビシュティムが自分の祖
先である、と思ってた人はいるかも知れないね。」
と 答えた。すると、
「もう、ヒロシったら!。さすが先生だね。納得できる答え
方だよ。」
と 言ったので、少し冷やかすように言い返した。
「そんなことが知りたかったの?。もっと、本当に知りたい
ことが別に有ったんじゃないの?。」
「う~ん。そうなんだけど、うまく言葉にならないんだ。例
えば・・・、イシュタルの怒りはギルガメシュに対してなの
に、どうしてエンキドゥの死で落着するのか?。この時代に
は身代わり意識が強いような気がするんだよね。例えばピラ
ミッドの中に一緒に埋葬されてる生贄(いけにえ)の数。王
様に殉死することを誇りのように思えた時代があったってコ
トだよね?。でも、恨みって、その特定の相手に向くものの
ような気がする。ギルガメシュの人生を、あっ、2/3は神
の方の神生か、台無しにすれば復讐ってOKになるのかなあ、
と思って。」
美子は、考えながらゆっくりと言った。そして、
「イシュタルの冥界下りのお話はストリップみたいでしょう
?。娼婦の守護神だし、イシュタルって、当時の男性の願望
が生み出したセクシュアルな圧倒的パワーを持ったアイドル
なのかなあ・・・と思って。しかもドSの。男の人はドMが
多かったのかもね。なんかイシュタルのコトを知るうちに、
レディー・ガガみたいって思えて来てね。男達を振り回すみ
たいな感じで。
それにしてもエンキドゥは可哀相だよね。1週間もの間、娼
婦のシャムハトと交わり続け、人間になったって言われてる
神の造った存在なのに、ギルガメシュの代わりにイシュタル
のプレゼントを取りに行って、呪いを受けちゃったんでしょ
う?。」
美子はエンキドゥが可哀相だと思っている。エンキドゥは
どう思ったのだろうか?。最初、神聖娼婦のシャムハトを恨
んだ。しかし神に諭され、自分の運命を穏やかに受け入れ、
死んで行く。オリエント哲学の基本を定着させたとも言われ
ている。友の身代わりとなって死すのは本望、を地で行って
るような人物だ。
「そういえば神話クラスには亜幌出唯呈(あほろでゆいて)
っていう子と、鳩堀美瑠紅(はとほるみるく)っていう子が
居て、伊寿樽美里手(いすたるみりて)とは仲良しだったん
だけど、みんな元は同じ祖先だったんだね。」
「へえー、そうなんだ?。ヴィーナスって言う名前の人は居
なかったの?」
と 美子。
「ああ、神話クラスにはね。3年の先輩の中に、美偉那須奈
々(びいなすなな)って美人が居たなあ。」
「ふーん。ちょっと面白くないなあ。どうして私の前でそう
いうこと平気で言うかなあ。」
少しほっぺたを膨らませる美子。可愛いオンナ(^^)。
「あ、もうこんな時間!。早く居酒屋さんに行かなきゃ!。」
美子はさっと支度をして、俺の靴を揃えてくれた。一緒に
部屋を出て、居酒屋に入る。ランチでお客さんがたくさん居
るが、いつもはランチでは開けないAダイニングに衝立は
立っているが白衣を着た調理師達が何人か居る。カツオ
ちゃんを見つけて、美子と俺が
「今日はお世話になります(^^)。」
と 声を掛けると、
「やあ、ありがとうございます。ご無理言って申し訳ありま
せん。」
と 頭を下げて、こっちに歩いて来た。
向こうに居た大柄な図体の男が、こっちを振り向きながら、
「おお、ドク太じゃないか!。」
「おい、何でジャミラが居るんだ?。もしかして、福島店の
調理長って、おまえのこと?。」
俺がびっくりして言うと、美子も、カツオちゃんもキョト
ンとして突っ立ってる。
「今夜は俺、こっちに泊まりだから、後でゆっくり付き合え
よ。おまえのウチに泊めてもらおうかな。」
「あ、それは今はちょっと・・・。沙羅の呪いがハッキリし
てからじゃないとなあ。」
「沙羅?。アイツ、何かドク太に悪さしたのか?。・・・こ
ちらのお嬢さんはドク太の恋人?。」
「あ、みこっていいます。みなとみこです。」
突然話を振られて慌てて答える美子。俺は言った。
「あ、美子。コイツ、おまえが可哀相だと思ってる遠木藤だ
よ。まあ、直接コイツが可哀相な訳じゃないけどね。名前は
正しい夫って書いて『しょうふ』って読むんだ。まさにギル
ガメシュ叙事詩の世界だろ?。」
「おいおい、いきなりそういう紹介はないだろ?。本当のこ
とだから何とも言えないけどな。あははは。」
ジャミラは大きな声で笑った。美子の方を向いて、
「みこさんて、神社とかに居る巫女さんのみこ?。」
「いいえ、その・・・美しい子って書いて美子です。水門
(すいもん)て書いてみなとです。」
美子はテレながら答えた。
「積もる話もあると思いますが、美子さんは16時くらいま
でしか時間がないと伺ってますので、そろそろ始めさせても
らってもよろしいでしょうか?。」
カツオちゃんが、申し訳なさそうに割り込んだ。後ろで偉
そうに腕を組んでるのが本部の連中だろうか?。
「ああ、どうぞ。すみません、凄い偶然でビックリしちゃっ
て^_^;。」
俺はカツオちゃんに向かってそう言った。
「私も驚きました。10年ぶりくらいだったもんで、失礼し
ました。」
ジャミラも皆さんに向かってそう言って、試食会が始まっ
た。
「あ~、これ美味しい。これ、『カツオちゃんの土佐作り』
ですよね?。これは人気メニューになりますよ。」
みんな、同じ意見みたいだ。これは美味い。
「これも食べてみてくれ。」
ジャミラが出してくれた小皿に乗っているのは、牡蠣を少
し炙ってレモンと紅葉オロシで食べる美味しい料理だったが
名前を見ると『エン結び!美(味)し(い)な牡蠣』と書い
てある。ジャミラに
「何て読むの?」
と訊いてみたら、
「えんむすび、おしながき。」
ぶふーっと、吹いてしまった。かなり無理がある。美子が
「作った人の名前と料理の素材が名前に入ってるのがルール
なんですか?。」
と訊いた。本部の人が
「頑張ればメニューに自分の名前が出せる、という従業員の
モチベーションのアップも考えているので。」
と 答えた。美子は訊いた。
「遠木藤さん。本当は、どういう名前にしたかったんです
か?。」
「美味しいな牡蠣(おいしいながき)。」
美子はパチンと手を叩いて、
「そっちの方が全然良くないですか?。」
と 本部の人達の方を見た。そして、続けて
「どうしても作った人の名前を入れたければ、メニューとし
てじゃなくて、コピーライトみたいに、その名前の上か下に
サブタイトル風に添えるようにするとか。」
そう言うと、本部の人達は、
「う~ん、それではモチベーションが・・・。」
「本当にそうでしょうか?。自分の作ったメニューが人気ラ
ンキングでベスト3に入ってる!とか、そういう方がモチベ
ーションは上がると思いますよ。」
美子はキッパリと言った。本部の人は「そうなのか?」と
隣に居る調理長の1人に訊いた。
「ええ、結果がしっかり出た方が名前が出る出ないではなく
、モチベーションが上がります。海野の場合は、たまたまベ
スト・ネーミングだったから、凄くピッタリでみんなに羨ま
しがられたけど、僕の場合は田中だから『棚からぼた餅』し
か思い付きませんでした。」
みんな、ドオーッと笑った。美子は
「たぶん、制約を作ってしまうんじゃなくて、お客さんが呼
びやすいネーミングを優先して、その後で改めて名前をサブ
タイトル風に考えてもいいし、お客さんが言い辛ければ、そ
のままのネーミングで行く方がいいですよ。でも、『棚から
ぼた餅』は美味しかったんで、ベスト・ネーミングの1つか
も知れないですよ(^^)。」
と 言った。また、みんな笑った。俺も意見を求められた。
今日の20品の中から、良かったものを聞かせて欲しいと言
われたんで、
「僕は、1番が『カツオちゃんの土佐作り』、2番が『美味
しいな牡蠣』、3番が『鮭持って来い!』、4番が『ホッケ
もん食おうぜ』、5番が『餃子威勢』だと思います。今回は
ベスト10までが全店メニューになる?。それじゃあ、6番
が『よっしゃもう1つ』、7番が『棚からぼた餅』」、8番
が『馬い刺身』、9番が『白子の浜辺』、10番が『ツボっ
たサザエさん』だと思います。美子の方がメニュー決定には
見る目があると思いますが、1番から5番までは、メニュー
に載ったら間違いなく自分で頼むので選びました。」
①『カツオちゃんの土佐作り』はカツオの刺身の鱗側を少し
炙って浅葱がぎっしり乗った上に三杯酢と大根おろしが掛か
ってるメニューで、文句なく美味い。
②『美味しいな牡蠣』は、さっき説明したので省略。
③『鮭持って来い!』は鮭のハラスに竹串が3本末広がりに
(放射状に)刺さってて、皿の渕に竹串が乗っかってるんだ
けど、その皿の中が大根おろしと少し甘辛いタレで、海のよ
うに波打った感じがとても食欲をそそる。白髪葱が波の強さ
を演出してて見た目にも注文したくなる一品だ。
④『ホッケもん食おうぜ』はポケモントローゼのパロディー
だと思う(^^)。ホッケが2本の串に刺さって、大根の台座に
立っている。台座の回りには大根おろしがやはり波のように
うねってる。付け合せのキュウリと鰹節と醤油とを和えたの
が波頭風で、やはり盛り付けにセンスを感じる。
⑤『餃子威勢』は注文すると「行財政」と同じ発音になる。
でも、ふっくら肉厚で大き目の蒸し餃子5個の皮をパリッと
焼いて、角が2本あるみたいに餃子1つずつを立てて皿に
盛ってあるのが面白い。確かに餃子達の威勢がいいのだ。
⑥『よっしゃもう1つ』は焼いたシシャモが4尾並んでると
ころに、1つだけ子持ちシシャモが上にでーんと横切るよう
に乗っかってる。1尾だけ女王様のように見える様子が面白
い。合計5尾だが、4つシシャモ+子持シシャモ1尾ってい
う数がネーミングの動機のようだ。
⑦『棚からぼた餅』は、そのまんま。2段になった棚状の大
根の器に白玉のような丸い餅が上に7個、下に7個入ってい
る。それを倒して大根おろしをかけ醤油をたらせばからみ餅
風に食べられるし、甘いのが好きな人は、一緒に付いて来る
小皿の餡子の中に餅だけ取って食べれば、甘いデザートにも
なる。
⑧『馬い刺身』は、馬刺し。ニンニクと生姜のタレにつけて
食べる。お好みで胡麻油をつけても香ばしくて美味い。皿に
7切れ乗っているが、その1つ1つが馬の首から上の形に包
丁が入っている。紙切りのように、馬そのものの形と、切り
取った後の形と、14枚楽しめる。
⑨『白子の浜辺』は、白子が大根の千切り(刺身のツマのよ
うに細い)の上に乗ってる。皿の窪みにポン酢が入っていて、
そこが波打ち際のように見える。食べると白子は絶品だ。い
つの間にか大根の千切りも全部ポン酢で食べてしまう。これ
は日本酒を飲みながら食べるとペロリとなくなってしまうだ
ろう。
⑩『ツボッたサザエさん』は、サザエのつぼ焼。ただし、塩
を台座にして、そこに立ててあるサザエの貝殻の外側から、
酒をたらして火をつけて持って来る。火が消えると食べられ
るのだが、いきなり貝殻の蓋を自分で取ろうとすると火傷し
そうになる。お店の人に取ってもらって食べないとツボる。
美子は『ツボッたサザエさん』は企画第1弾メニューから
は、外すべきだと言った。たぶんヤケドする人が多いから、
ということらしい。代わりに選んだのは、『もう何皿だ?』
というメニュー。野菜サラダの上に牛肉をすき焼き風に味付
けしたのが乗っかって、ちょっと小さめの皿に盛り付けてあ
る。1皿だと少し物足りないから2つ3つと注文が増える、
というメニューだ。
あとは俺と同じものを選んだ。
「ありがとうございました。初期の企画メニュー10点がお
かげさまで決まりました。このあと、レシピ化して、来月か
ら新メニューを展開します。これからもよろしくお願いしま
す。選ばれた者も、今回は惜しくも選に漏れた者も、常にお
客様に喜んでもらえるメニューを考案すべく、日々精進する
ように。」
本部の中の1番にこやかな人がそう言って、調理長達と握手
して行った。そして、俺達の所へも来て、
「海野君から、選考していただく審査員をお願いしたいお客
様が居る、と聞いた時、まさか山門先生だとは思いませんで
した。先生の「男と女の『言挙げ』の違い」も『男と女の人
生相談』もずーっと拝読しておりました。」
俺が修士課程での勉強を終わる頃からやってる連載の仕事
だ。サイト上ではまずまずの人気だと聞いていたが、丸2年
も続けているとこういう偶然も出て来るんだなあ。ちょっと
ビックリした。
俺達には、優待券が渡された。何と10万円分!。しばら
くは、この店にはお金の心配をしないで来られる(^^)。
美子は「そろそろメシアに行く時間だよ。」と小さな声で
俺に言った。そして、本部の人に向かって、
「お役には立てたでしょうか?。」
と 訊いた。
「はい。それはもう。本当にありがとうございました。」
と 言われた。
「これからも、いろいろな段階でお力添えをいただきたいと
思っています。今後とも、我がメビウス・グループをお引き
立てください。よろしくお願い致します。」
丁寧な挨拶をされて、俺達は店を出ようとすると、カツオ
ちゃんとジャミラが一緒に外に出て来た。いつの間にか「準
備中」の札が掛かっている。カツオちゃんは、俺達に礼を言
うと、いつでも来てください、優待券が終わっても新しいの
を渡しますから、とウインクして行った。それも凄いなあ、
と思った。だって、ずっとタダじゃ店は儲からないじゃん?。
きっと、「いいメニューを出せば他のお客さんから稼げます
から」とか言うんだろうけど、お金を払って食べた方がいい
意見が出て来ると思う。
ジャミラは、片付けが終わったら今日は上がれるそうだ。
メシアの場所を伝えて、俺はそこに居るから、と言うと、店
を上がったら追いかけるよ、と言った。
そして、
「意外なこと、知ってた?。今、霧亀と伊寿樽は付き合って
るんだぜ。」
「えっ?、ホント?。神話の世界と違うことも起きるんだね
・・・。」
俺は、漠然とした不安が胸をよぎるのを感じた。
「アイツらは、きっといい夫婦になるよ。」
ジャミラは、嬉しそうに言った。美子も、嬉しそうに笑って
いたが、ジャミラの表情に少しだけ浮かんだ陰りを俺は見逃
さなかった。この違和感の正体は何なんだろう?。店に戻る
ジャミラの背中を見送りながら、俺は美子に訊いた。
「今ジャミラは、霧亀って言わなかった?。」
美子は「うん、言ってた。」と答えた。
それだ!、違和感の正体。ジャミラが霧亀瞬のことを苗字で
呼んだのなんて、聞いたことがない。しかも、アイツらは本
当にいつも一緒だった。部活だってアメリカンフットボール
部で一緒だし、クラスも3年間一緒。大学も同じ所に行った
筈だ。いつもジャミラは「瞬!」って呼んでた。霧亀は、ジ
ャミラのことをいつも「エンキド!」って呼んでた。伊寿樽
はいつも霧亀にアツい視線を送っていたが、霧亀は眼中に
無し、って態度をいつも取ってた。でも、確かに断ったことは
無かった筈だし、付き合っても不思議じゃない。しかし、神
話のイメージからして、アイツらが付き合うのだけはないと
思ってたけど・・・。
「霧亀さんは、きっと神話クラスの課外授業で、ギルガメシ
ュ叙事詩のストーリーを知ったんだよ。エンキドゥさんが生
きていられるように、そういう選択をしたのかも知れない
よ。」
美子は、ゆっくりと言葉を噛み締めるように言った。
「そして、エンキドゥさんもそれに気付いてる。だから、自
然と距離を作っちゃうんじゃないかなあ・・・。」
美子の考えてることは当らずといえども遠からず、だと思
う。ジャミラは霧亀に思った通りに生きて欲しいんだよな、
きっと。自分の存在に縛られてる霧亀より、好きなことを言
ってくれる「瞬!」を望んでるんだろう。
メシアへ向かって2人で歩き出したら、福耳の「星のかけ
らを探しに行こう」が鳴り始めた。俺の携帯が鳴ってる。
「はい、山門です。」
「おお、ドク太。今夜からお前、自分の家で寝ていいぞ。沙
羅の件、何もないって確認出来たそうだ。というより沙羅と
は直接関係ないって裏が取れたってさ。原因にはなってる
みたいだけど、あの4人を呼び出して叱ってくれたらしい。
詳しくはこれからメシアに行って話したいんだけど、時間
あるか?。」
柴田の元気な声が携帯から響いて来る。俺は、
「ああ、俺も今、美子とメシアに向かってるトコ。」
と 言った。柴田は、
「おっ、それじゃ美子ちゃんに代わってよ。」
とすぐに言った。
「どうせ今夜からは1人でゆっくり寝られるよ、とか言うん
だろう?」
俺が切り返すと、
「いや、伝えたいことがあるんだ。」
俺は、美子に携帯を渡すと、
「はい、代わりました。・・・はい、さっき聞きました。え
ーって、声が大き過ぎますよお。・・・はい、後で、もっと
驚くかも知れませんよ。・・・秘密です。じゃあ、ヒロシに
戻します。」
と 笑いながら受話器を返して来た。耳を当てると
「何で霧亀瞬と伊寿樽美里手が付き合ってるって知ってるん
だよ?。俺に会いたいって思ってくれてたから、折角調べた
のに・・・。」
「おまえ、人の恋人にテレパシーでアクセスしてんじゃねー
よ!。」
「違う違う!。それは誤解だ。俺がアクセスしたのはドク太
だよ。」
どこまで本当かは判らないが、まあ、そういうことにして
おこう。
「逆にドク太は俺にアクセスしなさ過ぎだぞ!。俺、波瑠と
付き合い始めたのに、全く興味も示さなかっただろ?。」
と 少しムッとした感じの声。
「えっ?。いつの間に?。それはおめでとう(^^)。良かった
じゃん、思いが叶って。」
と 俺が言うと、待ってましたとばかりに
「波瑠からコクって来たんだぜ!。」
って嬉しそうに言う柴田。
「え~っ、何で?。どういう成り行きだったの?。」
俺が訊くと、
「それは、後でのお楽しみ。それより誰が来るんだよ?。」
と 柴田が訊くので、俺も言った。
「じゃあ、それも後ほど。知らないで会った方が面白いじゃ
ん。でも、すぐ分かるぜ。」
「ふーん。了解。」
と 柴田は携帯を切った。
「何かシンクロニシティーの嵐みたいな日だね(^^)。」
美子がニコニコ笑いながら言う。俺は内心思った。テレパシ
ーを使えるヤツは、シンクロニシティーって言わないのかも
知れない。神々の思いはアクセスすれば分かってしまう。
だから神々はそれがウザクて人間を愛するのかも知れない。
PCが壊れてしまいました。申し訳ありません<(_ _)>。
今、修理に出してます。
これ、ホームページのバックアップ用のPCをつないでやってます。でも、入ってないソフトがたくさんあって、いつもと勝手が違います。作業があんまり進められなくて、本当にごめんなさい。
水曜連載なのに、2日も遅れてしまいました。
待っててくださった皆さん、謹んでお詫び申し上げます。
では、お待たせして申し訳ありませんでしたが、シンクロニシティー 9、共時性をお送りします。
いよいよドラマが動き出します!。
神話の世界のストーリーがシンクロしてくる予感(^^)!。
もしかすると「人生」って、そのシンクロする人と人が織り
成すストーリーそのものなのかも知れません。
神話クラスと言われたドク太の高校1年時の同級生が登場し
ます。その人の歩んで来た道と、その他のキャラとの交差点
のような出来事!。なぜ、前回のタイトルが「名付け親」で
今回のタイトルが「共時性」なのか、読み終わってからじわ
じわと浸み込んで来ました。
「物語」って、人を引き込んで行く力がありますね。
ストーリーって言うと流れのような感じがあって、物語って
言うとじっくり聞いたり読んだりっていう感じになるのは、
なぜなんでしょう?。
登場人(神)物の話は物語風で、バックグラウンドにある神
話等の話はストーリー風に展開する・・・。そんな風に感じ
ているのは私だけでしょうか?。
今回もとてもいい感じに各キャラの人生が溶けて行きます。
最後に私です^_^;。
私(Kちゃんママ):私も美子ちゃんにはとても親近感を感
じるわ。素直だよね、自分に。そういう感性って、若い時に
はたくさんあって、年を重ねると減って行くものかも知れな
いわねー(^^)。娘を見てると感じる。小3なんだけど、恐い
もの知らずにズケズケ言うんだけど、それが心地いいみたい
な感覚があるんだよね、ホント。
ほづみさんが、今回の感想は、とっても嬉しいってコメント
くれたよ。すぐに転送して見てもらってね。そういう感覚に
なってもらえて凄く嬉しいって。特にTちゃんママ。すごく
自分が出て来たって感じがして、良かったって思ったって。
私、シンクロニシティーを読んでて思うのは、懐かしさかな
あ。どんなことでも興味が出て来る時期が小学生の頃にあっ
たでしょう?。その頃のことを思い出すんだよね。中身は、
全然高度なんだけど、感覚がね。
同時生起(シンクロニシティー)の同時生起って言葉、今、
私達3人には、知識欲みたいな感じで湧き上がり始めてると
思うんだけど、なんかいい感じに謙虚になって行く感じがす
るんだよね。私は息子に言われて気がついたんだけど話をさ
れて、中途半端に答えちゃうんじゃなくて、「何でそう思う
の?」とか「え、どうして?」って相手の思いを聞くことが
増えてるらしいの。
そう言われると思い当たることがいっぱいある。相手の話に
素直に好奇心が反応するっていうのかなあ。純粋に知りたく
て訊いちゃう感覚なんだよね?。
今回は「シンクロニシティー」、「名前」、「商品」の定義
って言うのかな?。それにハマってきてるなあ、って思う。
Tちゃんママの所に出て来た山崎ナオコーラってこの間、芥
川賞か直木賞の候補者だった人なんだってね。書いてあった
タイトルの映画観たわ。松山ケンイチと永作博美の、ね。
いい映画だった。しばらくぶりに、あったかい気持ちになる
映画を観た気がした。最近、魔法や神話ものばっかり見てた
から(^O^)。たぶん、そういうものがシンクロしてるんだよ
ね、今の私達。それが一緒に起きてるのが普通のことかも知
れないなあって。しばらく、何かに集中するのがいいことだ
っていう催眠に掛かってたような気がする。バランスが大切
なのかもしれないよね?、自由に思ったままをしてみるって
いう・・・。
ほづみさんは、起承転結の起はまとまって来たみたいなんだ
けど、承を大幅に変えてみるつもりなんだって。説明的な部
分を減らして、物語に引き込んで行く作風が求められてるっ
て感じてるみたい。私達からすれば、その方がありがたいよ
ね?。
頭の中身、見てみたいね。どうして広範囲な内容を書き換え
たりしようと思うのか?。実は、今までの所も、加筆修正し
た「現在までの」真・シンクロニシティーがあってね。
その方がいいんだよねー(^^)。感心しちゃった。連載を進め
ながら、過去に載せた方まで新しく手を入れてるその姿勢が
すごく好きだなあ、って思ったわ。だってね、今までの所の
加筆修正版て400字詰め原稿用紙に換算して、もう170
枚を超えてるんだよ!。ここに連載してた分で、140枚く
らいなんだって!。
私は3回くらい読んでるんだ、全体を。でも、加筆修正版を
読んで欲しいの。で、いろいろ考えてるから、またそのこと
についても別の機会に書くね(^^)。
今回は、感想が長くなってごめんなさい!。もう少し、頭を
まとめておくようにしまーす<(_ _)>。
続いて、Mちゃんママの番です。
Mちゃんママ:美子ちゃんって好きだなあ。こういう娘が居
たら楽しいだろうね。思ってることと体での表現が一致して
る娘だと思うのよね。私も、こういう表現が出来る娘だった
ら、人生変わってたかも知れないなあ。まあ、そういうのが
出来ないから、今の幸せがあるのかも知れないし、それが出
来てたら別の幸せを掴んでたっていうことなんでしょうね。
今回は自分で調べなくてもいいくらい知的に満足しちゃった
わ。なんか、ほづみさんの頭の中を割って見てみたい!って
いう衝動に駆られてるんだよね。頭をカチ割っても解らない
のは解ってるんだけど、どうして、こんなにいろんなことが
つながって出て来るんだろう?。自然、っていうか、そうい
う会話ってあるんだろうけど、この内容で話をされてるのが
美子ちゃんじゃなくて私だったら、どういう反応をするんだ
ろう?って、読み終わってから考えちゃったんだ、私。読ん
でる時は、全然違和感なく頭に入って来てたんだけど、美子
ちゃんが自分だったら、会話に着いていけないよね?。
美子ちゃんが答えて行くのを読んでるから、安心して読んで
いられるけど、私が当事者だったら、会話の内容が難しいっ
て勝手に判断して、かなり早い段階で「よく解らないです」
みたいなコトを言っちゃうと思うんだよね。でも、ヒロシは
答えを欲しくて美子に話しかけてるんじゃなくて、美子は、
どんなふうに思うのかを訊いてるんだよね?。だから、スラ
スラ答えられるんだと思う。
それを、美子ちゃんは解ってるんだよね?。だから正解を言
う必要がないと思う。感じたままを自然体で喋ってる。それ
が羨ましく感じる。答えようって思っちゃうじゃない?、私
達って。母親になってからは特に。
答えが欲しいんじゃなくて、返事が欲しいのよね、ドク太く
んは。
それに直球を投げ続ける美子ちゃんて、いいと思うんだ。そ
れに可愛いよね?、感性が。
でも、そう言っちゃうと夢がなくなるんだけど、きっと美子
ちゃんて、ほづみさんの頭の中で作り出されたキャラな訳で
しょう?。マスターみたいにモデルが居るのかしら?。
居たとしても、仕草や行動・考え方まで、全部モデルの人が
言える訳ないもんね。なんか凄いわよね。
それと、気付いたんだけど、いつの間にか私達の文章って、
長いのを書いても苦痛じゃなくなってるって言うか、何か、
伝え切れる長さで言葉を並べてると長くても平気って言うか
そういうふうになってるでしょう?。
さっき送ってもらったTちゃんママのもそうみたいだし。
Kちゃんママは、最初からそういう所があったけど、私達は
完全に、これに付き合ってるからよね?。
誰かの伝聞で長くなる連絡網みたいなメールと違って、私達
が思ったことの感想や思いをまとめて長くなるのは、ラブレ
ターを書いた頃以来のことだもんね。でも、ラブレターが長
いのは、気持ちが伝わらなかった時の言い訳が長いから、イ
ライラする長さだったような気がする。あっ、これは読んで
くれる人が居るんだから、あんまり書かない方がいいわね。
「シンクロニシティー」、「名前」、「商品」・・・。いろ
んなコトが解った。
早く次回が読みたい。Kちゃんママも、お疲れ様(^^)。
いつもの3人の感想です。
今回は、3人とも美子ちゃんのファンになったことが、共通
した感想でした(^^)。
それから、ほづみさんの頭の中を、割って見てみたい人が
1名、それに類する頭の中にどんなことが詰まっているのか
知りたい人が1人、どうしたら、こんなに色々な分野のこと
を書ける知識が付くのか学習法を知りたい人が1人でした。
おおむね、小説として読みやすくなって来たという意見も、
共通していました。
では、1人ずつ(^^)。今回は久しぶりに2人ともメールをく
れたので、比較的ラクでした。だけど、長いんです!。
と言うわけで今回は3分割して順次出させていただきます。
まずは、Tちゃんママから(^^)。
Tちゃんママ:今回も長いのにすんなり読めて、続きが早く
読みたくなってるのに驚いた。正直に言うと、第1章の書き
始めが、このパターンでスタートしてたら、読者はもっと簡
単に増えてたのかも知れないって思う。山崎ナオコーラの
「人のセックスを笑うな」の世界観に近いかも。美子ちゃん
てその中に出て来るユリちゃんとえんちゃんを足して2で割
ったようなキャラだなあ、と思った。この2人とも好きだか
ら、美子ちゃんはとっても好き(^^)。
でも、いろんな作品に触れると自分の幅が広がる(体型の話
じゃないよ^m^!)のが解るね。山崎ナオコーラって、日常
をほんの少しの変化球を交えて書く作家さんだなあ、なんて
思うようになった自分に驚いてる。楽しみ方は、ありそうで
なかなか無い恋愛話が軸で、作品中で何か1つ以上「これだ
!」っていう台詞があるの。今回の1番好きな台詞はコレ!
っていうのを見つける楽しみなのよねー(^^)。
そういうことを言葉に出して言える自分になってるのが驚き
なんだよね。そういう意味でも今回の企画に参加させてもら
って感謝してるの。
今回の「名前」って、いろんなことを考えるキッカケになっ
た。外国でも同じなんだよね。マイケルとかミハエルってい
う人は「マイク」って呼ぶ、っていうのはまさに「忌み名」
を避けるためでしょう?。世界共通の感覚なのに、そういう
前提を知らなかったから、どうして?と思わなかった。
字(あざな)で有名になった例は「プリクラ」とかかな?と
思った。ちゃんとしたプリント倶楽部っていう名前だった時
より、プリクラって呼ばれて人気が出たんだよねー。そうい
うことって知らなくてもいいんだろうけど、何か豊かになっ
た気がするのよ。話題もだけど、視点がね。
シンクロニシティーを読むようになってから「?」って思う
コトが増えた。Kちゃんママに以前言われた「?」が頭の上
に浮かんだ状態をお釈迦様は「悟りの境地」って言ってるん
だって!、っていうのを思い出した。旦那の受け売りって言
ってたけど、受け売りしてその考え方を持つのは自分なんだ
って気付いた。誰でもない、自分なんだって。
シンクロニシティーのスゴイ所って、今まで読んだ文字から
受けた感想しか書けなかった私に、その作家さんが持ってる
世界観みたいなモノを見ようと思わせる所かな?。そんな読
み方したことなかったから、3章くらいまではとんでもない
こと引き受けたって思ってたけど、今は水曜日になると、ワ
クワクしてる自分に気付く。きっと、美子ちゃんとの恋愛話
が出て来て、気分的に参加できたんだよね、作品を作ってる
側の1人だって言うか・・・。そうは思ってなかったんだけ
ど、主人に言われて気付いたことがあってね。この3人の感
想って、「同時生起(シンクロニシティー)」っていう連載
小説の、JUNのブログっていうメディアの中ではパーツの
1つだろ?って。そう思ったら、急に役割がわかって来たの
よね。作品を読んでもらうためには、素直に思ったことを伝
えて、そう思う人もいるっていう例を見せればいいって。
つまり、作品に触れて成長して行く姿を見せられれば1番い
いけど、成長しなくても思ったことを素直に伝えられる表現
力が大切ってコトよね?。
今回はそういうことを考えちゃったんだ。変わったよね?、
私も。
8、名付け親(なづけおや)
Godparent(Godfather)
「これ、美味しいね。山芋を刺身風に切って、海苔で巻い
て、わさびつけて、青じそドレッシングをかけただけなのに、
ね。」
にこにこしながら、美子は、本当に美味しそうに食べる。
お昼頃起き出して、今、美子の家の近くにある居酒屋で
ランチを食べてるところだ。小鉢に箸をつけるや、今の
台詞を吐いた。美子はAランチの鯖の味噌煮定食を、
俺はCランチのカツ煮定食を頼んだ。この店は、ランチの
ボリュームがあるし、本当に美味しい料理を出してくれる。
1度ランチを食べてみたら美味しかったから、夜もたまに
飲みに来るようになった。美子は、調理長の名前も気に
入っている。「海野 勝雄」さんていうらしい。ネームプレ
ートを見て、俺の耳元に顔を寄せて、「調理長さんの名前
見た?。海のカツオさんだって。サザエさんに出て来そう
だね(^^)。」とはしゃいでいた。俺は「調理長だし、ビジネ
ス・ネームかも知れないよ。」と小声で言ったつもりだった
が、調理長に聞こえたみたいで、「いえ、これが本名なん
です。子供の頃は、ずいぶんからかわれましたけど、今
は、とても気に入ってる名前です。」
と 笑顔で答えてくれた。それから美子は「カツオちゃ
ん」と呼んでいる。
夜はカウンターに座ることが多いが、今は座敷のテーブル席に座った。
「美子は前から全部見えてたの?、今日の俺みたいに。」
俺は、気になってたことを訊いてみた。
「うん。でもね。虹の渦巻きみたいなのは初めて経験した。きっと2人の感覚がシンクロして、あんなふうなコンタクトが出来るんだよ。」
美子が言った。
「シンクロニシティーって言葉、知ってる?。」
俺は訊いた。
「シンクロニシティー?。ただのシンクロより難しそうだね。」
美子の感性は本当に面白い。喋る内容が、思わず吹き出しそうになることが多い。俺は、危うくカツを吹き出しそうになった。
「ただのシンクロって、その感性が日本人だなあ。シンクロナイズがベースにあるから、シンクロナイズド・スイミングとか使うだろう?。」
「私達のこと?。」
美子の言葉の意味がわからなくて、
「へっ?」
と、間の抜けた相槌を打つと、
「同調して、寝てるから(^^)。シンクロナイズド・すいみん。」
お茶を飲もうとしてたけど、寸止め出来て助かった。
「睡眠じゃなくて、スイミング!。」
なんか、いつもこういう感じだ。
「シンクロニシティーって言うのは、精神分析学者のユングの提唱した概念で、共時性概念って言えばいいかな?。共(きょう)は共(とも)にの共、時(じ)は時間の時、性は性質の性。意味のある同時生起、ってことだよ。生起はさっきまで2人でくっついてた方じゃなくて、生きるに起きるだ。」
今度は美子が吹き出しそうになってる。
「あはは(^O^)。可笑しい。でも、ちょっと難しいね。ポリスの『シンクロニシティー』って曲は知ってるけど、意味は考えたことなかった。シンクロニシティーがわかるように、例えばこんなこと!っていうわかりやすい例をあげよ!。」
俺は、少し考えて、喋り出した。
「アレクサンダー・グラハム・ベルって知ってる?。」
「うん、電話を作った人。」
「正解!。まさにその電話の話なんだけど、ベルが電話の原理を考えて実験しながら特許を書いて、それを提出したのがバレンタイン・デーの午前11時。それまでお互いに知らなかったエリシャ・グレイって言う人がやっぱり電話の特許を出したのがその2時間後の午後1時。それまで電話ってモノはなかったのに、全く別々の所でまるで同じ時間を共有してたかのように、たった2時間違いで新しい発明、しかも電気で音声を遠くの人に伝えるっていう画期的な発明が行なわれてた、って言うのがシンクロニシティーの代表例かなあ。」
俺が答える。美子は、
「へー、そういうことなんだ!。2人が特許をたった2時間差で出したのは、今まで人類の歴史上なかったものが生まれるタイムラグとしては、誤差の範囲だから、同時に起こったって考えられるもんね。」
美子の解釈は、間違ってもいないけど、正しくもない。
「うーん、そういう感じよりも、その発明に費やしてた2人の時間そのものをシンクロニシティーって言う、って考えた方が近いなあ。」
俺は美子の顔を覗き込みながら言った。
「なるほど。うん、今のはわかりやすい例だった。もう1つ、何かない?。」
美子は興味が出て来ると、納得するまで訊きたがる。その姿勢が好きだ。
「そうだなあ・・・。例えば、カブト虫のコトを考えてる時に、カブト虫が窓から入って来たりすることがあるでしょう?。」
「う~ん、あんまりないけど。」
切り捨てるように早い返事。
「まあ、そのユングさんの時代はそういうことが多かったとしよう。」
美子は少し偉そうに言った。
「ありがと。カブト虫のコトを考えてる時の方が、考えていない時より入って来るコトが多いんだって。それもシンクロニシティーの例。」
美子は、俺のコトをじーっと見てる。
「・・・、あのね、『シンクロニシティー』っていう言葉を説明するのに、もっともっと説明してもらうと、もっとわかると思うんだけど、いっぱい説明の仕方があるよね?。1つの言葉なのに、いっぱい意味があって、面白いね。」
美子は感心したように言う。
「うん、これは『言葉』って言うより『概念』だからね。そういう概念に付けた『名前』だと考えると解りやすいかな。」
ちょっと首を傾けて考えてた美子が、パッと表情を明るくして喋り出した。
「『名前』ってすごいよね?。だって、ヒロシは小学生時代から『ドク太』って言われるくらい冴えなかったのに、結局『名は体を現す』って感じで博士(はかせ)になっちゃったもんね。」
まあ、そう言われると悪い気は・・・少し前半部分で感じたけど、許せる落ち着き方をした。美子は続けて、
「うん、やっぱりスゴイよ。名前がそのものを現すようになるんだから(^^)。いつも感じてたんだけど、名前って不思議じゃない?。私にとってのヒロシと、お父さんやお母さんが呼ぶ博士は、違うモノなんじゃないかなあ、と思うんだけど・・・。」
ふーん。美子って本当に面白い。たぶん頭もいい。俺は、
「どうしてそう思うの?。」
って訊いてみた。
「だって、お父さんやお母さんが呼ぶ博士は、子供としての博士だよね?。私が呼ぶヒロシは、恋人とか男としてのヒロシだもん。」
「なるほど。確かにそういう考え方もあるね。」
俺は感心しながら言った。
「美子さんは短い言葉で本質をズバッと言いますね。」
隣のテーブルの片付けをしていたカツオちゃんが、急に話に入って来た。
「実は昨日(きのう)、調理長会議がありましてね。その時、福島店の調理長から『メニューの名前を付け直したらどうだろう?』って議題が上がって、結構時間が掛かったんですが、わりといいネーミングが出来て・・・。そしたら料理の味まで変わったんですよ。」
「どんなふうに?。」
俺はすごく興味を持った。舌の肥えた調理長達が、ネーミングで味が変わったように感じたとしたら、実際の味にも影響が出るってコトだ。美子も隣で身を乗り出して聞いている。
「はい。例えば今までうちのメニューでは『刺身定食』は1つだったんですが、店ごとに新しいメニューを提案することになったんです。ウチは『カツオちゃんの土佐作り』っていうメニューを出しました。そうしたら、同じ材料でも、だいぶ感じが変わったんです。もちろん使うタレも変えますから、事実として味は変わるんですけど、カツオそのものの素材力が変わったように感じたんです。私だけじゃなく、みんなもそう言ってました。」
「なんかわかる気がする。たぶん、刺身定食の中に入ってるカツオより、『カツオちゃんの土佐作り』の方が活き活きしてそう!。」
美子の言うことに、クロス・トークのようにカツオちゃんが言葉をかぶせて、
「そう!。その通りなんですよ!。定食と、各種魚の名前だけの刺身しかなかったメニューに、名前を変えて作り方も変えたら素材力まで上がったんで、みんなで驚いたっていう感じでした。」
「それって、人間の意識がモノの素材力を変えるってことになるよなあ?。何となくわかるんだけど、証拠みたいなモノって出せるもんなのかな?。」
俺は独り言のように言った。するとカツオちゃんは、
「はい、旨味成分の代表のように言われているグルタミン酸の量が、微妙にですが増えてました。」
「へーっ!。そうなんですか。そうするとアインシュタインが言ってた『観察者の視線エネルギーで、見られているモノの運動が変わる』っていう量子論の検証が感覚的にも実証的にもできたみたいなモノですね?。」
「難しいことはわかりませんが、きっとそうなんだと思います。誰が作っても結果は新しいメニューの方が美味しかったんです。」
「それじゃ、福島店の調理長に感謝しなくちゃね(^^)。」
美子が言うと、
「『カツオちゃんの土佐作り』は全店メニューに決まったんで、来週、その言い出しっぺの福島店の調理長がメニュー構成の打ち合わせに来ますよ。新メニューの責任者に抜擢されましたから。私が選ばれた『カツオちゃんの土佐作り』っていうネーミングは、美子さんにカツオちゃんと呼ばれてたおかげです。感謝してます。」
カツオちゃんが嬉しそうに言う。そして、
「福島の調理長は、最初に『商品は名前と値段があればいい。』って言ったんです。みんな、あっけに取られました。どんな材料を仕入れればお客さんに喜んでもらえるか、どんな味にすればお客さんがリピーターになってくれるのか、そういうことから積み上げて行くもんだとみんな疑わずに思ってました。なのにアイツは『もし、材料や調理法が1番大切だとすれば、生命保険の保険商品に高い値段を払ってるお客さんは何を買ってるって言うんだ!。「安心」っていう目に見えないサービスを買ってる筈だ。まさか保険証券という紙を買っている訳じゃない。我々のお客さんだって、サービスを買いに来てくださっている筈だ。料理はサービスの1部で素材へのこだわりは他の店との差別化の問題だ!』って言ったんです。そして、『メニューの名前に合わせて、素材を変えたって商品は商品だ。まずはどんなサービスを提供したいのかをメニューにブチ込んでお客さんに選んでいただくんだ!』って、それは何かに取りつかれてる様な有無を言わせぬ迫力で言い切ったんです。アイツの台詞を、美子さんだったら、何て言うのかなって、フッと思って話に割り込んでしまいました。お邪魔して申し訳ありません。」
カツオちゃんは、そう言って下がろうとした。
「メニューに名前と値段を付ければ商品になります。まず、商品に良い名前をつけましょう。素材はこだわりの差別化要因です、って言えば済むと思う。」
当たり前のように美子は言った。
「エラそうに言われると反発する人もいると思うから、折角のアイディアが残念な結果になる可能性もあった訳でしょう?。絶対通したいアイディアなら、まずはみんなに聞いてもらえるように言うと伝わりやすいと思う。」
少しアゴを引いたような驚いた顔をして、カツオちゃんは美子の顔を見た。
「なるほど。そうですね。いやいや、おっしゃる通りです。本当にその通りですね!。」
カツオちゃんは、何かを考えているような顔をしつつ、一礼して、手いっぱいのお皿を持って行った。
「ナイス・アドバイス!。いいコトしたね(^^)。」
俺は笑顔で言った。美子は
「そうかな?。当たり前のコトを言っただけだよ。」
と 言った。
帰りにレジで会計してもらおうとすると、カツオちゃんが出て来て、
「今日は結構です。いろいろとありがとうございました。それで、1つお願いがあるんですが、来週の水曜日に、さっきの話の福島店の調理長が来るんです。その席にお2人に出ていただきたいんです。思いを伝えるのに必要なのは迫力じゃなくて、どうすれば伝わるのかを考えることだと思うんです。お力をお貸し願えませんか?。お忙しいところ、無理を承知でお願いしてるので、その時に食べていただくモノも無料でご招待します。いかがでしょう?。本部の了解も取りました。今は『サービス』を考える時期だから、アドバイスをもらいたい人達がいる、ということで認めてもらいました。本部の連中も来るかも知れません。興味を持ったようでしたから。」
カツオちゃんの真剣な顔。美子は
「昼間なら問題ないんですけど、夜はちょっとダメで・・・。」
カツオちゃんは喜んだ表情になって、
「もちろん昼間にやります。夕方は4時くらいまではいいですか?。」
「あ、それくらいならギリギリOKです。」
ということで、来ることになった。俺はオリエンテーション期間だし、まだ大丈夫だ。食べた分は払うと言ったが、カツオちゃんは受け取らなかったので、お礼を言って店を出た。
「美子は、人にアドバイスするのが上手なんだね。」
俺は美子と手をつないで歩きながら言った。
「そんなことないよ。もし、ヒロシがそう思うんだったら、それはヒロシのおかげだなあ。」
美子が言う。
「どうして?。」
俺が訊くと、
「だってヒロシは、いつも私の言うことに耳を傾けてくれるでしょう?。だから自然に『上から』でも『下から』でもなく、『横から』目線で同じモノを見て話すクセがついたから(^^)。」
自然体。ひと言で言うと、美子の生き方は「自然体」だと思う。肩に力が入ってないから、そのままを見抜く。美子と付き合い始めて、もうすぐ丸7年。8年目に突入する。初めて逢った頃の、何倍くらい好きになったんだろう?。
「ヒロシと付き合い始めてから、もうすぐ満7歳。8年目に入るね。私は、何倍くらい、最初の頃よりヒロシを大好きになってるか、わかる?。」
俺の顔を見上げながら、美子が言う。
「あ、シンクロニシティーだ!。全く同じコトを、今、俺も思ってた(^^)。」
「なるほど。そういう使い方をするんだね、シンクロニシティーって。」
2人で顔を見合わせたまま、どちらからともなく、笑った。
部屋に戻ると、美子がお茶を淹れてくれた。俺の顔を見ながら、
「さっきの『名前』の話ね。親が呼ぶ博士と、私が呼ぶヒロシは、同じ人を指してるけど、指してる中身が違うっていうヤツ。つまり『名前』って、呼ぶ人の数だけ違う中身に分かれて行く『分身の術』なのかなあ?と思って・・・。
『アイデンティティー』って言葉、自己統一性って意味だよね?。前に、その言葉を初めてヒロシから聞いた時、そんな当たり前のコトをワザワザ難しい言葉で言わなくてもいいのに・・・って思ったんだけど、たくさんの人から名前を呼ばれる人にとっては、とても大切なコトなのかも知れないと思った。自分の意志とは関係なく、いくつもの自分に分けられて行って、自分自身が意識してないと、気付かないうちにバラバラにされてたりするのかも知れないと思ったの。そしたら、ちょっと怖いよね?。」
美子が言った。俺は、美子の考えてることって赤ちゃんみたいに素直で、答えるのが大変な質問ばかりだなあと思う。実は、俺、言語文化史を勉強するようになって、1つ大きなテーマを設定してる。まさに「言語における『名前』とは何か?」という命題だ。
「今、美子が言った考え方はとても興味深い、って言うか、あまりそういう考え方はされて来なかったと思う。名前って、今と昔では全然別物って言ってもいいくらい、扱われ方が違うモノなんだ。直接名を呼ぶことは、相手の霊的人格を支配することになる、と考えられていた。だから、昔は『名前』がたくさんあったんだ。本名は直接呼ぶのを避ける名前だから「忌み名(イミナ)」、死んでからその人の功績を織り込んでつけた名前が「贈り名(オクリナ)」、その人の出身地で呼ぶ場合を「本籍」、ふだん本名を避けて使っていた成人になったら使う名前が「字(アザナ)」、役職を持っている人は「官位」で呼ばれた。相手のことはよく知っている上で、無礼にならないように仕組みを作って行った。つまり、直接名前を呼ばない工夫を一所懸命して来た歴史だったんだ。その人の名前を直接呼んでいいのは、親と主君だけ。それ以外の人が呼ぶと極めて無礼とされた。」
俺がそこまで言うと、美子は、
「じゃあ、私は打ち首級に無礼なヤツじゃん。主君でもないのに、いつも「ヒロシ」って呼んでる・・・。」
って言った。でも、名前を呼ぶのは止めないっていう強い意志を感じた。
「あはは。俺も美子にヒロシって呼ばれるのは好きだ。それ以外の呼び名って、きっとシックリ来ないと思う。俺も美子って呼ぶのが好きだしね。でも、歴史は、そういう考え方で本名を呼ばないように動いてた。」
俺は言った。
そして続けた。
「名前は付けた人のモノだったんだと思う。本当の名前を知っているのは、その名前を付けた人だけだからだ。だから名付け親のコトをゴッド・ペアレントって言うんだ。男性が名付ければ、ゴッド・ファーザー、女性が名付ければ、ゴッド・マザーって呼ばれる。つまり、その人にとって、名前を付けた人が『神』になるんだ。名前を付けられた時から、その名前で、人から認識されるようになるからね。名前が付くまではたくさん居る赤ちゃんの中の1人で識別しようがない。そりゃあ、母親とかお医者さんはわかってるかも知れないけど、それ以外の人にはわからない。神によって与えられしモノ、それが名前の本質なんじゃないかと思う。」
美子はポカーンとした顔で、その話を聞いていた。そして突然、
「ねえ、ヒロシ。私って綺麗?。」
「ああ、綺麗だ。美しいよ。美子も『名は体を現し』てるイイ女だ。」
「あぁ、ヒロシ。大好き!」
って抱きついて来た。
「日頃何気なくやってることも、みんなそれぞれ深い意味があるのかも知れないんだね。名前って大切だとは思ってたけど、そんなに大変なものだって考えたこともなかったよ。」
美子はしみじみそう言うと、
「ゴッド・ファーザーってそういう意味だったんだね。知らなかった。」
と言った。