以前の記事の続きです。
坂道問題の第3弾です。
坂道を使った問題には2つのタイプがあるので注意が必要です。
典型的な坂道問題(白百合2023)
百合子さんは、右の図のような登山コースを2日間かけて往復することにしました。1日目は、A地点を午前8時に出発し、山頂で8分間休憩をとった後にB地点に向かったところ、正午ちょうどにB地点に到着しました。
2日目は、午前8時にB地点を出発し、山頂で24分間休憩をとった後にA地点に向かったところ、正午ちょうどにA地点に到着しました。
百合子さんは2日間とも、上りは時速2.7km、下りは時速4.5kmで歩いたとき、次の問いに答えなさい。
⑴ A地点から山頂までの道のりは、B地点から山頂までの道のりよりどれだけ長いですか。
情報を整理すると
- 1日目は「A地点を午前8時に出発し…正午ちょうどにB地点に到着」したから「山頂で8分間休憩」したのを引くと3時間52分かかった
- 2日目は「午前8時にB地点を出発し…正午ちょうどにA地点に到着」したから「山頂で24分間休憩」したのを引くと3時間36分かかった
- この時間差16分は(山頂をPとしてPB=PQとなるような点QをAP上にとったとき)下図のAQ間の距離()を上るときと下るときにかかった時間の差
- 「上りは時速2.7km、下りは時速4.5km」で歩いたから速さの比は上り:下り=2.7:4.5=3:5
- とするとかかる時間の比は速さの逆比だから上り:下り=⑤分:③分。この差②が16分だから①=8分。つまりの上りに8×5=40分、下りに8×3=24分かかった
時速2.7km×⅔時間=1.8km
⑵ A地点からB地点までの道のりを求めなさい。
- 「上りは時速2.7km、下りは時速4.5km」で歩いたとき平均の速さは(和分の積×2より) 2.7×4.5÷(2.7+4.5)×2=時速²⁷⁄₈km
- この速さで 3時間52分-40分=3時間12分(¹⁶⁄₅時間)歩いた
- したがってその道のりは ²⁷⁄₈×¹⁶⁄₅=⁵⁴⁄₅=10.8km
よってA地点からB地点までの道のりは
1.8+10.8=12.6km
そのまま坂道の問題(桜美林2023午後)
下の図のように、A地点からC地点までは上り坂、C地点からB地点までは下り坂になっているハイキングコースがあります。このコースの道のりの比はAC:CB=8:3です。桜さんはA地点から、林さんはB地点から出発し、AB間を往復します。2人が同時に出発してから33分後に、AC間の途中にあるS地点で初めて出会い、それから▢分後にC地点で再び出会いました。桜さんの歩く速さは、上り下りで異なり、上りはAC間、BC間ともに時速4km、林さんの歩く速さは、上り下りともに時速6kmとします。このとき、次の問いに答えなさい。
⑴ CS間の道のりは何kmですか。
「桜さんの歩く速さは…上りは…時速4km、林さんの歩く速さは…上り下りともに時速6km」で「2人が同時に出発してから33分後に、AC間の途中にあるS地点で初めて出会」ったから
- AB間の道のりは (4+6)×33÷60=5.5km
- とすると「道のりの比はAC:CB=8:3」なのでAC間の道のりは 5.5×8÷11=4km
- このうちAS間は桜さん(上り時速4km)が33分で歩く道のりだから 4×33÷60=2.2km
よって CS間の道のりは
AC-AS=4-2.2=1.8㎞
⑵ ▢にあてはまる数はいくつですか。
「2人が同時に出発してから33分後に、AC間の途中にあるS地点で初めて出会い、それから▢分後にC地点で再び出会いました。」の▢を求めるにあたり、ここまででわかったことは
AS=2.2km、CS=1.8km、BC=1.5km(=5.5-4)
とすると
- S地点で桜さんと出会ったあとに林さんが歩いた道のりは SA+AC=2.2+4=6.2km
- この道のりを林さんは「上り下りともに時速6km」で歩いた
よって 6.2÷6×60=62分 より ▢=62
⑶ 桜さんのCB間の下りの速さは時速何kmですか。
S地点で林さんと出会ったあとに桜さんは62分かけて S→C(1.8km)、C→B(1.5km)、B→C(1.5km)と歩いた
- このうちS→CとB→Cは上りだから時速4kmで歩いた。その道のりはあわせて1.8+1.5=3.3kmだからこれにかかった時間は 3.3÷4×60=49.5分
- とすると桜さんはC→Bの下りに12.5分かかった(=62-49.5)
よってBC間の道のりは1.5kmだから
1.5÷12.5×60=時速7.2㎞