点の移動⑦ | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

こちらも点の移動の今年の出題例になります。

 

下の図のような、AB=AC=10cm、BC=12cmの二等辺三角形ABCがあります。はじめに点Pは点Bの位置に、点Qと点Rは点Cの位置にあり、3点P、Q、Rは同時に移動を開始し、点Pと点Qは点Aへ向かって辺上を毎秒1cmの速さで、点Rは点Bへ向かって辺上を毎秒[ ア ]cmの速さで移動します。直線QRは常に辺ABに平行であるとき、次の問いに答えなさい。(聖光学院2023)

⑴ [ ア ]にあてはまる数を答えなさい。

 

右矢印 はじめに点Cの位置にある「点Qは点Aへ向かって辺上を毎秒1cmの速さで」進むから「AC=10cm」よりAに着くのは10秒後。

とするとCを出た点RがBに着くのも10秒後(そうでないと「直線QRは常に辺ABに平行」とはならない)

よって「BC=12cm」より点Rの速さは 12÷10=秒速1.2㎝ だから ア=1.2

 

⑵ 三角形APQと三角形QRCの面積について、面積の大きいほうが小さいほうの25倍になるのは、3点P、Q、Rが移動を開始してから[ イ ]秒後です。[ イ ]にあてはまる数として考えられるものをすべて答えなさい。

 

右矢印 たとえば3秒後の「三角形APQと三角形QRCの面積」を調べると次のようになっている。

PとQの速さは同じだから直線PQは常に辺BCに平行になるということ。とすると「直線QRは常に辺ABに平行」だから三角形APQと三角形QRCは常に相似となる。

 

したがって「面積の大きいほうが小さいほうの25倍になる」とは面積比が大:小=25:1ということだから辺の比AQ:QCが5:1か1:5になるところをさがせばよい。

 

よって①CQ=⅙×CA=⁵⁄₃㎝となる⁵⁄₃秒後と、②CQ=⅚×CA=²⁵⁄₃㎝となる²⁵⁄₃秒後が条件に合うから イ=⁵⁄₃, ²⁵⁄₃

 

⑶ 3点P、Q、Rが移動を開始してから5秒後の3点の位置をそれぞれP₅、Q₅、R₅とし、8秒後の3点の位置をそれぞれP₈、Q₈、R₈とします。直線P₅Q₅とP₈R₈の交点をX、直線P₅R₅とP₈R₈の交点をY、直線P₅R₅とQ₈R₈の交点をZとします。このとき、直線AR₅の長さは8cmとなります。
① 三角形P₅XYの面積は何㎠ですか。

 

右矢印 問題文にある情報を書き込むと次のとおり。

このとき△P₈P₅Xと△P₈BR₈は相似だから BP₅:P₅P₈=5:3 より

 R₈X:XP₈=5:3…㋐

また次のようにP₈からBCと平行な補助線を引いてできる三角形の相似を2通り考えると

 R₈Y:YP₈=1:1…㋑

㋐㋑を比合わせして

 R₈Y:YX:XP₈=4:1:3

とすると辺の比と面積比の関係から

 △P₅XYの面積は△P₅P₈R₈の面積の⅛倍

だとわかる。

よって

  1. △ABCの面積は BC×AR₅÷2=12×8÷2=48㎠…❶
  2. △P₈BR₈の面積は隣辺比と面積比の関係から ❶×⁸⁄₁₀ײ⁄₁₀=48×⅘×⅕=¹⁹²⁄₂₅…❷
  3. △P₅P₈R₈の面積は ❷×⅜=⁷²⁄₂₅…❸
より三角形P₅XYの面積は
 ❸×⅛=⁹⁄₂₅=0.36㎠

 

② 直線YZの長さは何cmですか。

P₅P₈は3㎝、R₈Zも3㎝(=BP₅×⅗)だから 

 △P₅P₈Yと△R₈ZYは合同

よって(P₅Z=AQ₈=2㎝より)

 YZ=P₅Z÷2=1㎝ 完了