【天声人語】2006年06月29日

 「もし完全になりたいのなら」とイエスが言う。「行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい」。更に弟子たちに述べた。「はっきり言っておく。金持ちが天の国に入るのは難しい。重ねて言うが、金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい」(聖書・新共同訳)。



【感想】
キーワード:金の遣い道
 金遣いの荒い人、ケチな人、働いてもなかなか稼げない人、働かなくても金が増える人。お金に関して言っても様々な人がいる。
 世界の富豪、ビル・ゲイツが引退し、慈善活動に専念するというのは驚いた。明らかに一生で使い切れない額を稼いでいるのだ。金の遣い道を探していたのか。
 そこにさらに目玉が飛び出るほどの金額の寄付が来た。金が集まるところには集まるということか。
 その集まった金をうまく使って、人々の役に立ててもらいたいものだ。そういえば、日本人にはこういうでかい人がいないなぁ、と思った。

【天声人語】2006年06月28日(水曜日)付

 半世紀近く前のことである。学校からの連絡や保護者の短文を載せたガリ版刷りの学年通信が、時折配られた。ある時、万葉集から山上憶良の歌を引きつつ我が子への愛をつづった、ひとりの母親の随想があった。


【感想】
キーワード:溝
 子が親を、または親が子を殺す事件が多い。最近は、子が親を殺す事件のほうが多いか。
 原因は何か。親子の考え方の行き違いか。子供のためを思って、行動する親が多いとは思うが、それは必ずしも伝わらない。むしろ、伝わらないほうが多い。それは今も昔もあまり変わらないように思う。
 子は親を見て育つのだから、親に問題があると言えなくはない。しかし、そうなると今度はその親を育てたのは誰か、ということになる。これでは堂々巡りで終わらない。
 人との繋がりが薄くなってしまったことに大きな原因が隠れていると思う。子を含め、人との接し方が下手な人間が増えている。間違った子育てをすると、自分の身に降りかかってくるかもしれない。子育ても命がけか?

【天声人語】2006年06月26日(月曜日)付

 30年以上前のことだが、通っていた中学校に米国から日本人の女生徒が転校してきた。英語はもちろん完璧(かんぺき)で、2カ国語を滑らかに話すバイリンガルに会ったのは、初めてだった。


【感想】
キーワード:文化の違い
 住む場所が違い、住む人が違う。当然考え方も違うし、生き方も違う。そういった人同士が出会うとどうなるか。仲良くなるのか、喧嘩をするのか。
 生き方の違う者が2人で出会うならばいい。1人が別の文化圏に入る。そのとき、どうなるか。その文化圏に合わせなければならないのか。
 グローバルな社会。人はもっと別の文化や考え方、生き方を認めなければならないだろう。

【天声人語】2006年06月23日

 道ばたに、一鉢のあじさいが置かれている。どんよりとした空の下、控えめに、ほの青くたたずんでいる。ぬれているようないないようなぼんやりとしたところも、この季節によく似合う。


【感想】
キーワード:梅雨
 都会に住んでいると、梅雨の季節はどんよりと、雨が多く、洗濯物が乾かない嫌な季節だが、農業などをしている人にとっては恵みの雨の季節である。
 最近、野菜が高いというニュースを見たが、日照時間が少なかったのが原因らしい。確かに5月はあまりいい天気ではなかったように記憶している。
 昨今の異常気象の影響をもろに受けているのが農業だろう。去年も野菜が高騰していた。毎年毎年、不作が続いているような気がする。
 温暖化、異常気象。都市部で働いて過ごす人にとって、これらは重大だが、差し迫った問題ではないように感じてしまう。野菜の値段など身近な変化もあるにもかかわらず、危機感は持っていないように思える。もっと危機意識を持たなければならないのだが、人とは何も起こらなければ何もしないものだ。個人個人の対策が非常に効果的なのだが、打開策は見つからない。

【天声人語】2006年06月22日(木曜日)付

 同じ職場の人が転勤や定年で去る時、我流の折り句を献呈することがある。例えば五七五の上に、その人の名を一字ずつ置いてゆく。こちらは転勤でも定年でもないが、最後の国会を終えてロスタイムに入った観もある小泉首相で、長めの一句を試みた。


【感想】
キーワード:送る言葉
 出会いがあり、別れがある。節目節目に現れる恒例行事のようなものだ。その際に、挨拶をする人もいれば、気づいたら会わなくなってしまう人もいる。
 知り合いが多い人間と少ない人間がいる。その差はなんだろうと考えてみる。一つに知り合いが多い人は別れが少ないのだと思う。もちろん、それだけではないが。
 ようするに、人と付き合っていくのがうまいのだろう。そんな人は別れの言葉ではなく、再開に向けた言葉を使うのか。
 知り合いは多いほうが楽しい。たくさんの知り合いを作るには人としての魅力を磨くだけでなく、別れる人を少なくすることも必要か。

【天声人語】2006年06月21日

 一般にはなじみが薄いが、たまに目にする言葉に「ディシプリン」がある。英語では「discipline」で、規律、鍛錬、しつけ、懲罰などの意味がある。サッカーでは、チーム全体の「共通理解」や「約束事」といった戦術面での徹底を指す意味で使われることが多いという。


【感想】
キーワード:カタカナ英語
 英語が苦手な日本人が多いが、中途半端に英単語使う人も多い。結果、様々な英単語がカタカナで日本語の中に出てくる。日本語に無い言葉を仕方なしに英語のまま使うのならばわかるが、該当する言葉が日本語にもあるにもかかわらず、わざわざ英語を使う人は何を考えているのか。
 言葉とは究極的には伝わりさえすればよいのだ。インテリぶって聞き手側が知らないような単語を使ってしまうのは、話し手としては三流だろう。
 業界用語とか専門用語というものは、そういうなじみの無い言葉がちりばめられている。仲間内のちょっとした暗号とか、方言、若者言葉みたいなものだ。だからこそ、それに関する知識が無い人にわかりやすいように話すのは難しい。
 大学の講義で、教授の話がわけが分からないというのは、ただの学生側の言い訳ではないのだと思う。

【天声人語】2006年06月20日

 実に厳しいことになった。サッカーのワールドカップで、日本はクロアチアに善戦したが、勝てなかった。仮にブラジルに勝ったとしても、決勝トーナメントに出るには難しい条件がつく。

【感想】
キーワード:サッカー
 日本のサッカー熱はいつから始まったのか。Jリーグができた当初はまだまだ人気が無かったように記憶している。そう考えると日本のサッカーはまだまだ始まったばかりだ。そんな歴史はブラジルにはかなわない。
 メディアは盛んに日本を応援している。ワールドカップが始まる随分と前から宣伝に余念が無い。まぁ、格好の視聴率のネタだからしょうがない。しかし、日本が勝たないと高視聴率を保てない。必死に日本の有利な点を挙げ、まだ終わりではない、と言っている姿はなかなか滑稽に見える。
 スポーツは大番狂わせや奇跡と称される結果が起こるから面白いのだと思う。最後までわからない。メディアが何を言おうとも、見る人は見るし、見ない人は見ないと思うのだが。メディアの道化のような姿を見るのが面白いと言う人がいるのかもしれない。

【天声人語】2006年06月19日

 佐藤正純さんは北海道のスキー場で、スノーボードで転倒し、頭を強く打った。1カ月後に意識が戻り始めたが、人の顔もぼんやりし、まるで影絵の中にいるようだった。1年が365日であることも忘れていた。10年前、37歳の時だ。


【感想】
キーワード:障害
 聞くよりもずっと大変だろう。障害のある人の生活というのは、健常者が及びもつかないところに不便があるのだ。目が見えない、耳が聞こえない、歩けない、腕が動かない、体が動かせない。程度も重度もさまざまだが、みな生きている。
 バリアフリーと言う言葉がある。体が不自由な人が苦労しないような設備、考えのことだ。日本はこれから、年寄りだらけになる。体が不自由な人が健常者の上回ることがあるのかもしれない。だが、嘆くことは無い。今のうちからもっと障害者やお年寄りが暮らしやすいシステムを作ってゆけばいい。必要は発明の母。国も、自分たち自信が直面する問題なら重い腰を上げるだろう。
 楽観的かもしれないが、なるようにしかならないのだから、明るい未来を予想しよう。

【天声人語】2006年06月15日

 テーブルにコップを置く。ビールをつぐ。その時、泡が多少勢いをもってあがるくらいにする。泡が落ち着いたら、今度は静かにつぎ足してコップを満たす。かなり前、指揮者の岩城宏之さんが、おいしいビールのつぎ方をテレビで実演していた。試してみると、いつもより細やかな泡に包まれたビールは、味わいがぐんと増していた。


【感想】
キーワード:挑戦
 何か新しいものを生み出すためにはなにが必要か。挑戦する心だろうか。すでにあるものに満足せずに何かを自分でやってやろうというハングリー精神。こういう人が時代の先を行くのだろうか。
 日本人はそういった力が不足しているようだ。生まれたときから豊かな暮らしをしている人が多く、幼い頃からそういった力をはぐくむための環境が無かったからか。中国などよりもそういった面で劣っているように思える。
 しかし、何も革新的なことをやるだけが挑戦ではない。自分では無理だと思っていたものに挑む。そんな小さな挑戦の日々を繰り返すだけで人は成長するものだろう。ほんの小さな挑戦する心が未来の大きな変化をもたらすのかもしれない。

【天声人語】2006年06月14日

 「最後になりますが、私自身、7月で通産省をやめ会社を起こすこととしています。M&A(企業の合併・買収)会社です」。東京地検にインサイダー取引の疑いで逮捕された村上ファンドの村上世彰・前代表は99年、講師として招かれた信州大学の講義でこう述べている(『21世紀を創造する生活文化産業』)。


【感想】
キーワード:金儲け
 金を稼ぐのは悪いことではない。人は当然、生活をするために働いてお金を稼ぐ。多く稼げば稼ぐほど暮らしは楽に、裕福になる。そして、金の魔力に取り付かれ、多くのお金を稼ぐことを至上とする人間が生まれる。
 そうなると、いき過ぎた人は法を犯すことになる。最近も大きな事件としても取り上げられられている。影響力が大きいほどその反響は大きい。
 日銀総裁、「国の経済の未来を左右するほどの力と責任」のある人間が自らの利益を追求してしたのではその影響力は計り知れない。法的に問題ないというが、国民に与えた影響は甚大だろう。自覚の足らない指導者は害にしかならない。