…ということこで広い広いエルミタージュ美術館 に足を踏み入れたわけですけれど、

いよいよもって絵画巡りをするお時間でありますよ。


とはいえ、ツアーガイドが「迷子になるから、はぐれないで」と連呼するので、

ひたすらぞろぞろと付いて回る恰好。

自主的にはぐれてやろうかという気持ちが湧いてくるのを必死で抑え、

(ようするに、団体行動に努めねばなりませんのでね…)ガイドが通り過ぎるままに通り過ぎ、

足を止めるところで足を止めるという具合で回ったのでありました。


ですから、どこをどんなふうに回ったのか、とんと記憶に無い状況ながら、

見たものは見たというで、まず最初、レンブラント とご対面ということに。


レンブラント「放蕩息子の帰還」 レンブラント「老ユダヤ人の肖像」

レンブラント「ダナエ」

「放蕩息子の帰還」と「ダナエ 」は先日訪ねた大塚国際美術館 にもあるというほどに

有名作でありますよね。割と時間的に近い間隔で、エルミタージュの現物と

大塚国際の再現作と見ることになったりもしたので、どうしても大塚国際の分が悪くなり…

というところはあったように思いますですよ。



さて、お次は(時代は無茶苦茶ですが)ルネサンス のコーナーに。

ダ・ヴィンチ やらミケランジェロ やら、ラファエロやら





取り分けラファエロによる2点の聖母子像は素晴らしいものですなあ。

当然にして厳しい一面を持つ宗教の、慈愛の側面をこれほどに見せるくれる画家は

そうはいないですよね。庶民を中心にマリア信仰が起こるのも頷けてしまいます。



と、あたかもこまかく見て周っているようですが、

どこを歩いているのか俄かには分からない通路、多い来場者、

そしてガイドをロストしないことにも注力しておりますと、

だんだん写真を撮る暇もなくなって来るような次第でして…。


そこで、いささか落ち着いた雰囲気の展示室でもって、

写真の収めた作品をもう少々だけご披露申し上げることに。



もはや年代的にもばらばらですが、確かに目を止めたくなる作品ではあろうかと思う作品、

ゴヤフランス・ハルス 、そしてルーベンス です。





取り分け若い兵士を描いたフランス・ハルスの作品が印象的でありまして、

笑みをたたえた人物画で名高いハルスにしては…と思っておりましたら、

どうやらこれはフランス・ハルス・ジュニア、息子の作品だったのですなあ。


画家の生きた17世紀のオランダでは、

前半には三十年戦争が、後半には数次の英蘭戦争 があって、

若者も戦場へと出ていくことがままあったということでもありましょうかね。


ともすると、戦争は熱に浮かされた世界を出現させることにもなりますけれど、

この青年が静かな表情の元は奈辺にありやと考えてしまうところです。


と、エルミタージュのお裾分けにしては数が少ないことになってしまってますが、

冬宮殿、小エルミタージュ、旧エルミタージュ、新エルミタージュと繋がった館内を巡っても

近現代作品には出くわすことがない。


なんとまあ、外を歩いた別棟に新館があるということで、

今度はそちらに向かって移動したという次第でありますよ。