さて、サンクトペテルブルク
のエルミタージュ美術館にやってきました。
ですが、写真に見えているのは冬宮殿と呼ばれる建物でして、
夏はペテルゴフ
やツァールスコエ・セロー
などの離宮で過ごした皇帝が
冬の間はこちらにということだったのでありましょう。
1764年にエカテリーナ2世がドイツの画商からまとまった美術品を購入したのが
コレクションの始まり。これを自分専用のスペースでじっくり堪能したいと
エルミタージュ(隠れ家の意)を宮殿に隣接して増築し、
コレクションが増えるにしたがってさらに増築を加えていったのだとか。
その結果、現在では冬宮殿、小エルミタージュ(最初の隠れ家)、
旧エルミタージュ、新エルミタージュ、そしてエルミタージュ劇場という
混然一体?とした全ての建物を差して「エルミタージュ」と言っているのだそうでありますよ。
ロシア革命後には貴族などからの没収所蔵品を加え
(一方で、外貨獲得手段として売却されたものもあるようですが)
収蔵点数は300万点といいますから、実に巨大な美術館なわけですなあ。
で、入口のある冬宮殿から入りますと、
「大使の階段」と呼ばれるバロックの極致のような飾りの中を進みます。
これは、ロシアを訪れた各国大使に「どうじゃ、ロシアはすごかろう、三等国ではなかろう」と
発信する意図もあったようですから、気負ってやりすぎ?たのかもしれません。
で、さしあたりは美術館というよりも宮殿の見学といったふうでして、
室内装飾や調度品を愛でるといった感じで進んでいきます。
ちなみに上の写真で右下部分、ガラスケースに収まった孔雀を象った時計は
世界最大のからくり時計として有名なものなのだとか。
一方、左下の広間は「大玉座の間」ということで、確かに玉座が据えられている。
ここにもエカテリーナ2世のみならず歴代の皇帝が腰かけたのでありましょう。
と、ここで今さらの話にはなりますけれど、玉座の後ろの紋章は「双頭の鷲」なのですよね。
ロマノフ家というか、ロシア帝国の紋章として、ペテルゴフ宮殿やエカテリーナ宮殿はじめ
そこここで「双頭の鷲」が目につくのですなあ。
日本では「双頭の鷲の旗の下に」なんつう行進曲が有名なだけに、
「双頭の鷲」=ハプスブルク家、オーストリアという印象が極めて強いところながら、
「双頭の鷲」の紋章がハプスブルク家だけでないと気付かされてからずいぶん経ちますなあ。
そも古代ローマ帝国が鷲の紋章を使っており、その衣鉢を継ぐと考えたか、
神聖ローマ帝国、東ローマ帝国のそれぞれが「双頭の鷲」を掲げていたようで。
ロシア帝国は正教を奉じて東ローマ帝国を継ぐものとして「双頭の鷲」を戴くようになったとか。
という余談はともかく、エルミタージュの中で歩を進めますが、
ツアーガイドに導かれてたどりついたのは、「トレジャーギャラリー1」なる特別展示室であると。
「ゴールデンルーム」とも呼ばれますように、
黄金の細工を施した宝物などの展示室であるとのこと。
ある程度の人数がまとまって専門ガイドに連れられて入場可(ですので予約制のようです)で、
古代遊牧民族のスキタイが作った飾りなどには「おお!」と思ったりするものの、
気持ちとしてはエルミタージュの誇る名画の数々をと気は急くばかり。
「ゴールデンルーム」でのたっぷり1時間の解説にやきもきさせられたのち、
いよいよ美術館らしいスペースへと歩を進めるのでありました。
いろんな部屋を通過する途中では、サンクトペテルブルクに来て初めて
ネヴァ川との対面も果たすことができましたですよ。