今回は、おすすめの旅本を名作の10作に厳選してご紹介していきます。
旅本は大きく分けて2つのジャンルに分けることができます。
バックパッカー系と冒険系の2つです。
このページではバックパッカー系と冒険系の2つのジャンルに分けて、それぞれの名作をランキング形式で紹介していきます。
バックパッカーのバイブルともいえる沢木耕太郎著『深夜特急』。
1970年代の前半という時期に、インドのデリーからロンドンまで乗り合いバスだけで旅をしようとした若者の旅行記です。
50年も前の旅ということで、古臭い本という印象を持たれるかもしれませんが、決して色あせることのない旅本です。
ある日、26歳の著者はすべての仕事を投げ捨て、旅に出ることを決意します。
インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗り合いバスで行ってみようという酔狂な考えを実行にうつすためです。
デリーに行く途中、香港・バンコク・シンガポール・カルカッタ・ネパールなどを放浪していきます。
様々な街で様々な人と遭遇して、それをきれいな日本語で描写していきます。
素直な心情の描写が気持ちよく、著者の良い人柄もにじみ出て、気持ちよく読める文章です。
それが今でも生々しい実感をともなって読者に届くのです。
当時と現在とでは世界の状況は大きく違っていると思いますが、
旅を通して得た著者の残した文章は永遠に輝いています。
最高の紀行文がここにあります。
元祖バックパッカーのバイブル。といえばこの本ではないでしょうか。
1950年代の後半に、アメリカのハーバード大学に留学するため、日本を船で出国。
留学中にもアメリカやメキシコを放浪。
留学後に船でイギリスにわたり、ヨーロッパ各国を放浪し、エジプトやインドなどにも途中機降し壮絶な貧乏旅行が繰り広げられます。
「何でも見てやろう」の精神のもと、気になるものはとことん体験し記録してしまうバイタリティにあふれた著者。
コミュニケーション能力が異常に高い著者ならではの、真似のできない人との交流などの貴重な体験がつづられています。
様々な人と交流し、様々な場所を訪れ、率直な感想をユーモラたっぷりに記した紀行文。
文明や文化の批評までに至る中身は大変濃いものになっています。
第二次世界大戦が終わって15年後の世界の叙述になりますが、文明・文化の批評については、現在に通じるものがあって、大変興味深いものとなっています。
『深夜特急』の著者である沢木耕太郎氏も愛読したという本書は、旅好きには欠かせない一冊となっています。
平成の深夜特急といえる作品ではないでしょうか。
すばらしい紀行文です。
26歳であった著者は2年間にわたりユーラシア大陸とアフリカ大陸をバックパッカーで巡ります。
2006年という比較的最近の紀行文というのが親近感がわくところでもあります。
著者は旅先で無数の「小さい声」を聴いて回ります。
「小さい声」とはどこにでもいる人の声のことです。
様々な人と出会い話をして世界を理解しようとする著者。
その声は、南北問題のような社会問題から、人々の人生観まで様々なものです。
旅に出て、世界中の人々の声を聴こうと歩き回ったこの記録は読むに値する作品であり、すばらしい旅本です。
アジアの旅で出会った旅人の群像を描く、少し異色の紀行文です。
著者はカメラマンとして働いていた新聞社を辞め旅に出ました。
アジア6カ国。約100日の旅。
本書では、タイ、インド、ネパールなどを旅する中で出会った日本人の旅人との交流や会話を中心に描かれています。
多くの旅人がどうして旅に出たのか。
旅で何をえたのか。あるいは、失ったのか。
ポツポツと語られる旅人の話は興味深いものがあります。
旅好きな人々の逸話に興味はつきません。
旅と人生を考えさせられる名著です。
爆笑物の旅本。
香港・シンガポール旅行とインド旅行の2編が収録されている本書。
1991年の旅の記録です。
なんでも著者の社交的で大胆な性格が旅の内容を決定しています。
とにかくエネルギーに満ち溢れていて、好奇心旺盛で、どんどんと勢いに任せて旅をすすめていきます。
シンガポールでは屋台で一緒になった現地人にマレーシア行きをすすめられ、勢いで行先も決めずマレーシア行のバスに飛び乗ります。
そんな旅だからこそ新しい出会いが待っていているのです。
読者はどんどん著者のペースに巻き込まれてしまいます。
インド旅行ではたまたま列車で居合わせたインド人の家族と仲良くなり、家を訪問して、食事をごちそうになったりします。
そんななかでインド人の現地の方とどんどんと交流をはかっていきます。
お調子者で社交的な著者だから体験できた内容の濃い旅。
爆笑必死の旅本である。
さわやかな気風あふれる自由を謳歌した紀行文。
1990年代に著者が29歳から30歳にかけて、中国からインドまでバックパッカー旅をした紀行文です。
とても繊細で良識的な心を持たれた方が書かれたのであろうと思わせられる、読みごたえのある旅本です。
中国での悲惨な旅から、ベトナムでの笑顔に助けられた旅。
タイでのあるバックパッカーとの人生や恋愛について語り合うシーン。
印象的な旅の断片がちりばめられた作品です。
自由とは何か、自由な旅とは何か、ということを考えさせられる真面目な一面もあります。
著者の嫌みのない人柄に好意がもてます。
自由な旅に飛び出したくなること間違いなし。
バックパッカーの教祖「下川裕治」さんの作品です。
下川裕治さんはたくさんの貧乏旅行・バックパッカー旅行の旅本を出されていて、どれも面白いのです。
『5万4千円でアジア大横断』は究極のバス旅です。
日本からトルコまでバスを乗り継いで行くというものです。
アジアハイウェイを走るバスをひたすら乗り継いでいきます。
距離にして1万7千2十キロ。27日間のバス旅。
連続した車中泊で体がボロボロになりながら旅をする姿は、読むぶんには大変面白いものです。
様々な国と通過していき、様々な文化が移りいく姿が描写されていて興味深いものとなっています。
家にいながら、つらい旅を追体験できるのは、面白いものです。
バックパッカー旅の神髄がここにあります。
どんどんと冒険の世界に引き込まれてしまう、臨場感たっぷりの冒険旅本。
文章力と構成力が絶妙で、読み物としてすばらしい作品です。
チベットの奥地にある世界最大規模のツアンポー峡谷。
前人未到という人を寄せ付けない峡谷を初踏査しようとする冒険の記録です。
チベットのツアンポー峡谷というはじめは馴染みのなかった場所も、本を読み進めるうちに、とても身近に感じてしまうのが不思議。
この先いったいどうなるのか、ハラハラドキドキの冒険を追体験できます。
一気に読み通せてしまうナンバー1の冒険本です。
7年5ヶ月にもわたる自転車での世界一周旅行記。
「汗をかいて、自分の足で探したほうが‘宝’に出合えたときの喜びも大きい」という著者は自転車で約9万5千キロもを走破してしまいます。
旅本を面白くするのは、旅のなかでの様々な交流にあると思います。
この本でも、現地の人や同じ自転車旅行者との煌めくほど美しい交流がちりばめられています。
人と人との心のふれあいが旅の醍醐味のひとつということを改めて教えてもらえます。
また、世界中の大自然の美しさの数々を教えてくれます。
オーロラや中米の遺跡、アフリカのサバンナ。
自転車という乗り物で旅をしたからこそ見いだされた自然の魅力が記されています。
また壮絶な旅ならではのアクシデントの数々がアクセントになっています。
若者の勢いと青春の輝きがつまった名旅本です。
「エンターテイメント的なノンフィクション」略して「エンタメ・ノンフ」の傑作。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それをおもしろおかしく書く」がモットーな高野秀行氏。
西南シルクロードを陸路で踏破するという旅に出る。
頼るのは現地のゲリラたち。
中国からビルマ、ビルマからインドへと現地ゲリラとともにジャングルをさまよう。
現地ゲリラとの交流をとおしてゲリラの見せる人間性をうまくとらえているのが面白い。
ゲリラの紛争にまきこまれそうになるところなどはハラハラドキドキの展開である。
エンタメ・ノンフィクションの名の通り、手に汗握る文章に引き込まれて一気に読めてしまう作品である。