高野秀行氏は1966年、東京生まれ。

 

早稲田大学探検部在籍中に『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)でデビュー。

 

世界の辺境を舞台に執筆活動を続けている。

「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットーとのこと。

「エンターテイメント的なノンフィクション」略して「エンタメ・ノンフ」を推奨。

  

高野氏の旅の内容は、はっきり言って、ぶっ飛んでいる。

今回は、「西南シルクロードを全部、陸路で踏破する」という。

西南シルクロードとは、中国の四川省・成都からビルマの北部を通ってインド・カルカッタへ抜けるというルートである。

中国からインドへ至るビルマ北部一帯はまさにジャングである。

しかも、ビルマ北部とインド北東部は長いこと少数民族ゲリラと政府軍の紛争地域になっている。

しかし、高野にはゲリラの知り合いがいるという。

そのゲリラを頼って、旅をしようというのである。

それも中国からビルマ、ビルマからインドへはゲリラに頼って移動するため非合法に出入国するという。

 

2002年成都からカルカッタへ向けて旅立つ高野氏。

中国からゲリラを頼ってビルマへ。ビルマからジャングルを2ヶ月彷徨いインドへ。

密林の中を徒歩やゾウを使っての移動である。

ジャングルの中を反政府少数民族ゲリラと旅をする。

そこで垣間見える現地の生活が生き生きと描かれている。

また、ゲリラの見せる人間性を捉え、ゲリラと育まれる友情を微笑ましく描いている。

どんどんと高野の文章に引き込まれていく。

ゲリラの紛争に巻き込まれそうになるところなどはこちらも手に汗握る展開が待ち受けている。

 

決して真似のできないハラハラドキドキの旅を追体験できるノンフィクションである。

究極のエンタメ・ノンフィクションと言われる所以を確かめてもらいたい。