「せっかく生まれてきたのだから、世界じゅうを全部この目で見てみたかった。」
7年5ヶ月に渡る自転車での世界一周紀行。
「記憶に刻みつけられ、一生の思い出に残るような宝を、世界じゅうを巡って探してみたいのだ。」
自転車にこだわったのは「汗をかいて、自分の足で探したほうが‘宝’に出合えたときの喜びも大きい」からだという。
食品会社の営業マンを4年続けたが、世界一周の夢をかなえるため仕事を辞めて旅へ出かけることを決める。
期間:7年5か月
走行距離:9万4494キロ
訪問国数:87か国
パンク回数:184回
使用タイヤ:37本
半端ない規模である。
名紀行文には必ず、すばらしい出会いが記されている。
この紀行文でもすばらしい出会いがちりばめられている。
カナダのユーコン川では現地で知り合った日本人とカヌーで下る。
そこでユーコン川の大自然を満喫し、旅人同士の交流を深めていく。
アイルランドでは一人旅の素敵な日本人女性と出会って、読者もドキドキしてしまう。
南米では孤独な若者の家に泊めてもらうことになる。
言葉は通じないが、寡黙な若者と心が通じ合うさまが心にしみいる。
また、長い旅には、絶体絶命の危機も待ち受けている。
これも旅のアクセントになるのである。
南米の砂漠の真ん中で強盗に鉢合わせ。いったいどうなることやら。ハラハラ。
アフリカではマラリアにかかって40度の熱にうなされる。大丈夫かぁ?
人々との交流や様々なアクシデントなど旅本としての魅力がたくさんつまった作品。
絶対に真似のできないが、読む分にはめちゃくちゃ楽しい冒険記である。