[A] Across The Universe -42ページ目

Saxophone Colossus / Sonny Rollins

定番、名盤。
サキソフォン・コロッサス、通称「サキコロ」
録音は1956年。ということは1930年生まれのソニーはまだ26歳だ。
そんな若造が、アルバムの題名を「サックスの巨人」としてしまうところがソニー・ロリンズのスゴさなのだろう。
最後まで叶わなかったが、マイルス・デイビスがずっと一緒のバンドでプレイしたかったプレイヤーがソニー・ロリンズ。コルトレーンにでさえ文句ばかり言っていたマイルスがほれ込んだ男がソニー・ロリンズ。

きっとだれもがどこかで耳にしたことがあるであろう、St.Thomas。
カリプソのリズムが聞く者の気持ちを明るく、穏やかにさせる。

そして、Moritat。
これは別名 Mack The Knife。
Mack The Knifeといえばエラ・イン・ベルリンのシャバダバ、ウディウディも気持ち良いが、ソニーのMoritatも気持ち良さ満開。
なぜ同じ曲が二つの曲名を持つのかは不明。

マイルスが、事前に計算し尽くされたアドリブをいかにもアドリブらしく演奏する名手なら、ソニーは全くその逆で、ものすごいテクニックを使うアドリブを、聞き手には全くアドリブと気づかせないで演奏する名手なのだろう。だから、初心者にも非常に聞きやすい。そこが永遠の名盤たる所以だろう。

私もJazzを聞き始めの頃に買ったのだが、改めてメンバーを見ると驚く。
Sonny Rollins (ts)
Tommy Flanagan (p)
Doug Watkins (b)
Max Roach (ds)

トミー・フラナガンのピアノに、ドラムスはマックス・ローチ、ベースはダグ・ワトキンス。
最高だよ。


Sonny Rollins
Saxophone Colossus


包帯クラブ / 天童荒太

天童荒太、6年ぶりの書き下ろし。
なぜか単行本でもなく、文庫本でもなく、ちくまプリマー新書からの刊行。

好きな作家は少なからずいる。
尊敬している作家もいる。
しかし、信頼できる作家の数はそう多くはない。
天童荒太は、私の中でそんな「信頼できる」作家の中の一人だ。

この人はどうしてこんなにも人の心の痛みがわかるのか。
おそらく、彼自身が物語の中の登場人物になって書いて行くからなのだろう。
そして、心の奥深くの痛み、苦しみ、喜びを我が物として感じるという作業を必要とするがゆえに、寡作なのだろう。

ある精密機器の製造で有名な地方の高校生の話。
彼らは心の傷がある場所に包帯を巻いていく。
その情景がとても鮮やかだ。美しい。


ディノは過去に同級生にひどいことを言ってしまったと後悔する。
しかし、ワラは「ありふれた思い出だ」と切って捨てる。
ディノは言う
「あ。それ言っていいの。だれだって経験するから、傷つかないわけじゃないぜ。育った環境も性格も違うんだから、経験が似てても、受ける傷の度合いは違うはずだろ。」

そう、最近自分の目線でしか物事を考えて、話してしまっていないか。
子どもの目線に降りていって話をしているか。
相手の立場に立って話をしているか。
みんな違って、みんなどこか傷ついて、みんなそれぞれ愛されたいと願っているんだ。


大切なことを思い出させてくれる、天童荒太の素晴らしい力量に拍手を贈る。
ありがとう。

天童 荒太
包帯クラブ The Bandage Club

フィッシュ! 鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方

読書は、本の内容のみならず、出会うタイミングもその本に対する評価を左右する。
この本はまさしく現在の私に必要な一冊だった。
5年前でも半年前でもなく、まさしく今の自分に必要な内容が凝縮されていた。

シアトルに引っ越し、良い職場を見つけたのも束の間、夫に先立たれた女性キャリアが直面する社内の思わしくない環境。
働いている者はみな悪くなさそうなのだが、働き具合が悪い。
社内でも札付きの評判の悪い部署。

そんな部署のボスとなった女性が、世界的にも有名な魚市場からヒントを得て組織を立て直していく。

荒唐無稽ではない。
自分が入社したころの2週間の研修を思い起こさせるから、尚更説得力がある。
当時は「洗脳研修」などと悪態をついていたのだが・・・

・仕事に漠然とした不満がある
・転職したいが勇気がない
・仕事に不満はないが、なんとなく会社に行くのが嫌だ
・仕事に不満はあるが、転職するほどではない

まさにそんな方に向けて書かれた内容。
読むと元気が出ること請け合い!
私はこの本を読んで、自分の責任から逃げていたことに気が付いた。のみならず、勇気も湧いてきた。


こんな経験が得られるから、読書は素晴らしい。



仕事そのものは選べなくても、どんなふうに仕事をするかは自分で選べる。
by  ロニー


スティーブン・C. ランディン, ジョン クリステンセン, ハリー ポール, Stephen C. Lundin, John Christensen, Harry Paul, 相原 真理子
フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方


ラーメンセット@鳥や

今日のランチは、日本橋室町で焼鳥といえば定番の「鳥や」でラーメンセット。
あっさりしっか鶏ガラベースの醤油スープがたまらなくおいしくて、焼鳥の小どんぶりもついていて¥1,000。
痩せてきた途端に先週から少しランチが脂っぽくなってきた。

月曜に飲んだ串焼き屋の焼酎が悪かったらしく、次の日からなんとなく頭が痛い。
頭痛持ちではないので、どう考えてもあの焼酎が原因だ。(と思う)
そんなわけで、ラーメンと焼鳥丼で脳に栄養を注入することにした。
ここのラーメンのスープはほんとにおいしくて、飲み干してしまいそうになる。
ラーメン単品でも十分勝負できる。

鳥や

脳に栄養注入した結果。


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結局その後も微妙な頭痛は治らず、普通にアスピリンを飲んで治したw

梅干と日本刀 / 樋口清之

子どもの頃、NHK平日夕方の帯番組で「600こちら情報部」という番組があった。
非常にバラエティに富んだ内容で、毎日楽しみに見ていたことを思い出す。中でも金曜日の「何でも相談」(確か)という、視聴者からの難問奇問に専門家が答えるコーナーが特にお気に入りだった。今考えると回答者も豪華だった。全員は覚えていないが、バレーの松平康隆氏、TV構成の塚田茂氏、歴史学者樋口清之氏、等々。

その我らが愛すべき梅干博士こと樋口先生が書かれたのが梅干と日本刀。
題名からしてベネディクトの「菊と刀」を意識しているのだろう。
内容は端的にいうと「日本文化礼賛」
こう言うと単なる復古的な内容だと誤解されるかもしれないが、全く違って日本文化の合理性を事例を示しながら伝えている、樋口先生らしい本である。

日本文化のちょっとしたトリビア本と言っても良い。
文庫で600ページ超のボリュームなので読むのに骨が折れるが、それだけの価値あり。

面白いこと満載で沢山書きたいが、少しだけご紹介。

・日本酒は元々壷に入れて保管していた。しかし、腐ると困るのでフーゼル油という防腐作用のある杉の新芽を漬ける。その後、酒を杉樽に入れるようになるが、酒を温めて飲むようになる。これは杉樽に含まれるフーゼル油は飲むと頭が痛くなる作用があるため、暖めて揮発させるためであった。また、酒の本場は関西で、関西から江戸に運ばれてくる酒は「下り酒」と言った。江戸で作られた酒は評判が悪く、関西から下ってきていない酒、つまり「下らない酒」だった。これから意味が転じて物事がつまらないときなどには「くだらない」と表現されるようになった・

・住んでいる村に著しい被害を及ぼすようなことをした村人は「村八分」にされる。絶縁して孤立させることである。これは言葉の示す通り、八分であって十分ではない。十分とは、出産・成人・結婚・葬式・法事・病気・火事・水害・旅立ち・普請である。このうち二分を残すのが村八分なのだ。ちなみに二部とは火事と葬式。絶縁していても火事と葬式だけは村中の人が手伝うと言うことなのだ。

こんなトリビアが満載だ。
某局の世界一受けたい授業の歴史ネタはこの本か?と思ってしまうほどである。
それはそうだろう。樋口先生は私たちが歴史で習った登呂遺跡の発掘をされた方だ。

本の後半は精神論っぽくなるため面白さは薄れてくるが、全体を通して先人たる日本人への尊敬に溢れた内容である。それゆえ、読む側にも自然と勇気が沸き起こる。

食文化、住文化、精神文化、全て今まで生きてきた方々の試行錯誤の上に、現在最適な形のものが残っているのだと納得した。

いやー面白かった。
だって銀座も日本橋も元々海の中で、江戸時代に埋め立てられた土地だったなんて・・・
このくらいにしておこう

日本に生まれることができた幸せを実感する。

樋口 清之
完本 梅干と日本刀―日本人の知恵と独創の歴史

Moanin' / Art Blaky and Jazz Messengers

それにしてもこのジャケットはすごい。
この写真では絶対にジャケ買いはされない。
「Moanin'」と聞けば自動的にアート・ブレイキーのすごい「どアップ」を思い出す。

そして、次に1曲目のボビー・ティモンズの印象的なフレーズを思い出す。
このフレーズ、発売当時は「蕎麦屋の出前も口ずさんだ」と言われるほどメジャーだったらしい。自分も確か小学生のころにTVで聞いた。CMで使われていた記憶がある。
うねるようなボビー・ティモンズのピアノと、かりっと揚がった唐揚げのような(笑)リー・モーガンのトランペットと、後ろから叱咤激励するアート・ブレイキーのドラムスと、そして何と言ってもこの曲を書いたのはテナー・サックスのベニー・ゴルソン。
誰が聞いてもカッコイイと思うだろう。

それにしても、曲名のモーニンは「moanin'」で「mornin'」ではない。
「おはよう!」ではなく「うーうー」とうめくほうのモーニン。
確かにみんな少しうめき気味にプレイしてるように聞こえる。

5曲目のDrum Thunder Suiteと6曲目のBlues Marchはアート・ブレイキーのドラム・プレイを思う存分楽しめる。

そして、7曲目のCome Rain・・・は個人的にとても思い入れの深い曲。
Come Rain・・・の曲を初めて聴いたのが、このアルバムだったのだ。
私の中でのこの曲の基準は彼らの演奏となっている。
そして、彼らの演奏以上に良いと思う演奏をまだ聞いたことがない。

Art Blakey & The Jazz Messengers
Moanin'

1. Warm-Up and Dialogue Between Lee and Rudy
2. Moanin'
3. Are You Real
4. Along Came Betty
5. Drum Thunder Suite: First Theme: Drum Thunder/Second Theme: Cry a Blue
6. Blues March
7. Come Rain or Come Shine
8. Moanin' [Alternate Take]

生きて死ぬ智慧 / 柳澤桂子 

日本を代表する生命科学者による「心訳」般若心経。

一度は般若心経をきちんと勉強したいと思いつつ、難解な世界に入り込む勇気もなく今まで生きてきたが、ベストセラーとなった本書をやっと買ってみたのが昨年。それから、「生きて死ぬ智慧」と言う背表紙を見つづけて半年以上。
やっと手にとって読んでみた。


読んでみる。
科学者による文だからだろう、透明感がある。

薄い本なので5分もかからずにすぐに読み終わる。

声に出して読んでみる。

もう一度声に出して読んでみる。



色即是空 空即是色

深く理解できなかったところに少しだけ近づいてきている気がする。
色即是空の世界に少しだけ触れられた気がする。

いやまだまだ理解には程遠い。
しばらく、寝る前毎日読むこととする。

般若心経、
もう少し勉強する必要あり。


柳澤桂子さんの文、堀文子さんによる絵のコラボレーションはすさまじいエネルギーを発している。
40年近い原因不明の病による闘病生活をおくられて来た著者による、静か、かつ圧倒的な迫力をもつ本である。


柳澤 桂子, 堀 文子
生きて死ぬ智慧

まなちゃんを救う会【お知らせ】

拡張型心筋症のため、移植を待っている0歳のかわいらしい女の子がいます。

石榑愛(いしぐれまな)ちゃん。

カリフォルニアのロマリンダ大学での受け入れは決まったようですが、渡航費用に1億3千万かかるとのこと。救う会はアメブロで活動しているようです。


ご協力いただける方は、救う会のブログをご覧下さい。

先程私も心ばかり、協力させていただきました。


移植の成功を心からお祈り申し上げます。


子ぎつねヘレンがのこしたもの / 竹田津 実

春から映画公開される「子ぎつねヘレン」の原作。
北海道の片田舎で実際にあった、優しい獣医と子ぎつねヘレンの「あたたかい」物語。
映画「子ぎつねヘレン」を見に行くのを今から楽しみにしている娘が買ってきた本を、寝ている間に先にこっそり読んでしまった。
そしておやじは夜中に一人でおいおい泣いた。

映画では少年とヘレンの話になるようだが、原作は獣医(竹田津さん)とその奥さん、竹田津さんの家に住むその他の病気の動物達との記録だ。
ヘレン、竹田津さん、奥さん、後ろ足をなくしたが一緒に住んでいるキツネのメンコ。この2匹と2人が織りなす温かい心と心の交流。竹田津さんの動物へのまなざし、奥さんの動物への愛情、メンコのヘレンへの愛情、行間からにじみ出るそれぞれの心の温かさが読む者の心にしみる。

北海道の私の実家の近くの出来事であり、余計に情景が目に浮かぶ。

実際のヘレンの写真も数多く掲載されているが、その可愛らしさに驚く。
私事だが、高校時代に実際に子ぎつねを餌付けしようと試みたことがあるが、キタキツネのその眼光の鋭さ、歯の鋭さが特徴的で、最後までヘレンのような可愛らしさを堪能することができなかった。


視力がなく、聴力もなく、嗅覚もない野生の子ぎつねの物語。
本を読んだ子ども、映画を見た子ども、みんながそこから何かを感じ取ってくれたらとてもうれしい。
命の大切さだけではなく、命の「尊さ」を。

この本を子どもだけに読ませるのは、もったいない。

今夜は、ヘレンのことを考えるとなかなか寝付けそうにない。

竹田津 実, 岩本 久則
子ぎつねヘレンがのこしたもの


生きよう今日も喜んで 平澤興語録

先日読んで非常に感銘を受けた本、「現代の覚者たち」 で取り上げられていた平澤興先生。
神経解剖学の世界的権威で、元京大総長だったが平成元年に亡くなった。
その平澤先生に心酔し、先生の言葉を書き溜めておられたのがコスモ証券元副社長の故豊田良平氏。その豊田氏のレジュメを本にして出版したのがこの本だ。

珠玉の言葉の数々に、心が真っ直ぐになるのを感じる。


「生きるかぎり成長することです。それは、あらゆるものに手を合わせて、拝んでゆくことです。」

「人物の四つの型について言うと、
一つは、やせ我慢をして文句を言わぬ人。
二つは、素直に考えて文句を言わぬ人。
三つには、ありがたさを自分で見つけて自分で考え直して文句を言わぬ人。
四つには、何を言われても拝んでゆける人。
こんな人こそまさに大愚に似たりで、こうなればそれは達人の心境であり、対した者である。

「不幸は人間を苦しめると言うが、よく考えてみると、人間を苦しめるのは不幸そのものではなく、不幸だと思うその考え方自体である。」

「欠点を直せと言うよりも、長所をのばしなさい。
長所と言えども癖である。この方の癖を伸ばせば、悪い癖もその大きさの中に隠れてしまう。大木も小さい時は曲がっていても、大木になればまっすぐになるようなものである。そしてかくれた癖は時に応じてその人の味わいとなり花となって、その人に芸術味を与えることとなる。

「本当の教育は説教ではない。」

「楽しんで自分の話を聞いてくれる人を傍に持つことは、世の中でまことに有難いことの一つである。そういう人を友人に持てば、まことに人生は楽しい。」


含蓄に冨み、それでいて温かい平澤先生のお言葉。
ご存命の時にお話を伺いたかったと思うが、こうして数々のお言葉を今でも読むことができるのは幸せだ。

あとがきを豊田氏が書かれているが、豊田氏が平澤先生から聞いた最後の言葉が、
「人生は、にこにこ顔で命がけ。」
だったという。

にこにこ顔で命がけ。
短い中に穏やかさと厳しさを持つ素晴らしい言葉ではないか。

平沢 興
生きよう今日も喜んで―平沢興語録