JohnnyClassic

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ロック・ヴォーカリストJohnny が、厳選し紹介する
次世代にも引き継いで行きたいクラシックの名盤選集です
このブログで、クラシックを好きになってもらえると嬉しいですね ♪

室内楽曲・器楽曲シリーズ始めました!

【指揮】 ジョルジュ・プレートル

【演奏】 シュトゥットガルト放送交響楽団

【録音】 1997年

 

前回からブラームスとマイナー盤続きです。

 

晩年ウィーンフィルとの数度のニューイヤー・コンサートなどで評価を高められたプレートル氏。一度このブログでも取り上げておきたいな、と思いました。なぜか不思議な事に2010年のニューイヤーはBlu-rayでの発売がなく(その前の登板のCDはかなり売れたとの事だったのに)、結局HD画質で映像作品が残っていないのが残念です。ニューイヤーでは、苦虫を噛み潰した様な表情と(笑)、独特な動きが良かったですね。笑顔が多いお顔の写真を見ても、氏の楽し気なご性格が伝わってきます。

 

wikiでも「時折見せる奇抜さ」と書かれていますが、少し変わった演奏をするところがあり、それが往年の大指揮者の様な評価に結び付かなかったのかもしれません。巨匠時代はやはりカラヤンやショルティらの音楽を聴いて十分満足していましたし、実際CDも多くは出ていません。以前にサン・サーンスの交響曲全集を有していましたが、結局、ミュンシュの3番「オルガン付」だけでいいやとなり、売り払ってしまっていました。

 

そんな中、唯一手元にあるのがこの盤。これも前回同様、輸入盤で希少盤です。この曲でも、最も有名な5番は、かなりユニークな解釈をしており、到底初心者に勧められる盤ではありません。が、5番を聴き飽きた者にとっては面白いですね。

 

この曲は、アバドとVPOによる盤が有名です、以前持っていた様な気もします。テンポが速い爽快な演奏で、かつかなり激しめです。一般的にはそちらの方が良いでしょうね。

 

プレートルは、私の中ではテンポが遅い方のイメージがあります。最も遅い群がバーンスタインやジュリーニやベーム辺り、その次といった感じです。ニューイヤーもちょっと遅めでした。この曲でも決して速くはありませんが、ブラームスらしい、やや枯れた堂々とした演奏になっています。

 

私は冒頭の1番が1番好きなのですが、ここでのプレートルの解釈は、切ない感じで進み、ラストは大仰に締めくくります。この締め方がとても良くて、アバド盤とは全く異なっています。一旦タメを作ってから締めくくるプレートルの方がグッときます。あらゆるこの曲の録音の中で一番良い締め方の様に思っています。アバドのは全曲中の1曲という感じですが、プレートルのはたった3分のこの曲で、もう一つの交響曲を聴き終えたかのような感じです。

 

あとは、5・6番までは分かるのですが、7番がおとなしいからか、以降は、例えば適当に聴かされて、今何番が演奏されているか、なんて絶対に分かりません(笑)。リスナーさんで分かる方いたら凄いですね。1曲毎は2分程度なので気軽に聴けますが、通して聴くと50分以上もあり、到底気軽には聴けません。最後は段々飽きてきちゃうので、分けて聴いた方が良い様に思います。

 

録音状態からも、VPOの様な明るい音色ではありませんが、ドイツのシュトゥットガルト放送交響楽団(現在は統合されて無くなりました)の演奏はブラームスらしさがあっていいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【指揮】 クリストフ・エッシェンバッハ

【演奏】 ヒューストン交響楽団

【録音】 1995年

 

先日、エッシェンバッハ氏の同曲のYouTubeでの演奏が素晴らしい、との事で書きましたが、マイナーながら、ブラームスの第五交響曲とも称されるこの曲、CDの方でも持っておきたいなあ、と思いました。

 

有名なのは、ドホナーニとVPOのですが、どうも盛り上げりに欠け、指揮者の限界を感じる演奏でした。やはりエッシェンバッハ氏にとってはこの曲は十八番の様で、20世紀に録音を残しています。ヒューストン交響楽団、正直、初めて聴きましたが、いい演奏だと思います。アメリカの楽団らしく明るい音色で、オーマンディのフィラデルフィア管に似ている様にも思いました。

 

以前より、もはやCDではなく、Spotifyで何でも聴けてしまう時代になりました。このブログでは、入手しやすい国内盤の紹介を心掛けていました、また、輸入盤にまで手を広げると、自身のライブラリもお金面も際限がなくなってしまいますので。ですが、ここにきて、Spotifyにも上がって来ない様な、まさにCDによる名盤を挙げてみるのも面白いかな、なんて思い始めました。

 

このCDも以前は国内盤も出ていましたが(エッシェンバッハ氏のドアップのセンスのないジャケット^^;)とっくに廃盤です。そのため、Amazon.comから直接、輸入盤の新品を取り寄せました。1997年発売なので良く私のために残っていてくれたなあ、と思います。ジャケットは当初のこちらの方がずっと良いですね。リマスターなどはされていませんが、20ビットで録音されているのと、さすがRCAのRED SEAL、それなりの音で問題なく聴けます。

 

エッシェンバッハ氏のこの曲の特徴は、第1・3楽章は、他の演奏者のCDより時間が長いのに、反対に第2・4楽章は一番短い、という点です。敢えて、遅い、とは書きませんでした。聴いていても決して遅いとは感じません。むしろドホナーニのなどは、セカセカしている様に聴こえます。また、第4楽章も特別速いようには感じません。先日の投稿でも書きましたが、力点の集中とメリハリが効いています。そのため、盛り上がる箇所はひときわ盛り上がり、聴いていて高揚します。


曲的には、第1楽章はオープニングらしく、第2楽章は今ひとつ良くわかりませんが、第3楽章はしっとりとしていて良いですが急にシェーンベルクぽく賑やかなところも、第4楽章はラスト僅か数十秒のクライマックスに向けて、という感じです。

 

先日のYouTubeの演奏の方が全体的には少しゆったり目ですが、フィナーレはむしろこのCDのより早くて、20年経過してもなお、よりエネルギッシュになっていらっしゃる事に驚きます。エッシェンバッハ氏はやはりピアノのイメージがまだ強いのですが、元より最終目標は指揮者であったようで、背筋がシャンとしていて、太ってなくて、指揮台に立っている姿がカッコいいですよね。やはり指揮者はこうであって欲しいですね、さすがでいらっしゃいます。

 

このCDには、バッハの曲も併録されています。悪くないですね。

 

シェーンベルクは、戦時中にナチスの迫害から逃れてアメリカに来たわけですが、そこで指揮者のクレンペラーに勧められて、オーケストラ版に編曲を施したとの事です。自身も演奏者だったので、四重奏曲の事は知り尽くしていたのでしょう。やはり編曲の決定的な箇所は、ブラームスが使わなかった鉄琴などの楽器類の追加ですね。実のところ私的には、それ程ブラームスの交響曲の延長の様には聴こえてきません。それらの楽器類の使い方から、やはりシェーンベルクの無調のわけわからん(笑)音楽に近いな、と思います。


がやはり、私も含め、ブラームスが好きなリスナーにとっては、聴き逃せない曲ではないでしょうか。このブログでもカテゴリはもちろんブラームスの交響曲内に放り込んでおります。現在はこのCDの入手は困難ですので、良かったら先日の投稿のYouTubeで気軽にお聴きになってみて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【指揮】 クラウディオ・アバド

【演奏】 シカゴ交響楽団

【録音】 1983年

 

私自身、割と夢を見て覚えている方で、起きてから半日経っても、その夢の雰囲気を引きずっている時もあります。翌日にはまた違う夢で薄れていきますが。奇妙な夢を見るのが怖くて、眠りに落ちるのが不安な時すらあります。と言っても、眠たさでストンと落ちてしまうのですが(^^;)

 

夢に出てくる女性は、不思議な事に、これまで見た事もない顔の女性であることが多く、過去の女性であることもあります。過去の女性…私も色々とありました。実のところ、ベルリオーズの様に、劇団の女優さんに何度か花を上げた事もありました、ベルリオーズ同様、全く取り合ってもらえませんでしたけどね(笑)。思い返すと、酷い対応をされたなあ、なんて思います(プンスコ)。なので今はもう、な~んとも思っていませんけどね。

 

さて、3歳年上の女優ハリエットに純潔さを求め、まさに恋焦がれていたベルリオーズでしたが、その後、醜聞なども聞くに及ぶと、いわゆる愛が憎しみに変わるというやつで、「主人公の青年が麻薬の中毒で朦朧とし、その幻想の中で彼女を殺害し、自身は断頭台に引かれていく」という、NGワードばかりの普通に考えたらドン引きというか怖すぎる曲を書きます。が、曲中に現れる彼女のテーマが、実は音楽史の中では、「固定楽想」というものを生み出した画期的な事柄となります。

 

数年後にこの曲を耳にしたハリエットは、自身の事を現した曲だと気付き(演奏会用の説明のパンフレットもベルリオーズ自身が書いていたので、文章で見ても伝わったのかも)、不思議な事に、引くどころか、そこまで思ってくれているなんて、となり!?なんと二人は結婚する事に。

 

よく、男友達同士で、「頭の中をのぞいてくれたら、どれだけ思っているか、好きな女性に分かってもらえるのになあ」なんて話をします。男の見てくれが良くなくても、女性にとってはやっぱり、一番思われるのが一番幸せな様に思うんですよね。中途半端にお金や条件で選んでも、その後上手くいかないでしょう。

 

まさにハリエットは、ベルリオーズの思いを分かってくれたわけで、そこは男としては、良かったなあ、と思います。が、子供も出来た後、別居となります。まあこの辺りは、若い人が勘違いしがちな、結婚は決してゴールでなくあくまでスタートだという事です。どんな美女と熱々だったとしても、実生活の中では必ず冷めてきます、そういうもんです(苦笑)。別居後にハリエットは亡くなり、ベルリオーズはまた再婚します。が8年後にその奥様も亡くなります。

 

また、ハリエットへの思いが叶う前には、別の女性と婚約をしていましたが、その母親から、娘は他の男と結婚します、という手紙を受け取り、彼女と相手と親族ともども殺害しようと計画していました(母親への憎悪はわかる、酷いな)。ところが向かう馬車の中で、海の波の音を聞いているうちに心が落ち着き、引き返すことになったといいます。そんな人達と関わって自分を落とす必要はなく、目の前の事に囚われ過ぎなかったのは良かったですね。

 

と、彼のお話ばかりになっていますが、この交響曲は、先の通り、ハリエットへの愛と憎しみが渦巻く中で書かれたものです。第1楽章は出会い、第2楽章は舞踏会、第3楽章は孤独、第4楽章は断頭台、第5楽章はあの世での再会、という構成になっており、第5楽章は更に4つに分かれます、このCDでもちゃんとチャプターが振られていますね。

 

第1楽章は彼女のテーマがメインで明るく、出だしとしてはいいですね。第2楽章は優美で好きです。特に、最後の締め方ですが、アバドは、弦楽の音を優美に伸ばして締めています、ここが大きなポイントです、こういう解釈は少ないですね。殆どが、バシっ!と締めて終わるのですが、それだと何だか最後だけ厳しい感じになってしまいます。最後を穏やかに締める事で、終始優美な雰囲気の楽章として聴けます。

 

第3楽章、実はこれが退屈で苦手です、なくても良かったんじゃなかろうか。幻想交響曲が苦手な人(=私)は、この楽章がある事で、冗長な5楽章形式になっている事が要因かもしれません。単体の管弦楽曲として聴けば悪くないかもしれませんが、第3楽章が16分以上もあるのは辛いですね。

 

第4楽章は、テンポが良く、チャイコフスキーの悲愴の第3楽章と似た雰囲気の様に思います。チャイコフスキーは、ロシアにやってきたベルリオーズの歓迎会で式辞を読んだそうです。断頭台に上がるのは最後のところの雰囲気で伝わってきますが、それまでは勇壮な音楽が楽しめます。が、残念なことに、殆どの盤がこの楽章のテンポは遅いんですね。アバド盤はスピード感があって良いです。またこの楽章は一番盛り上がる楽章なので、アバドは反復して6分台に仕上げています。他の盤はテンポが遅くて4分台です。アバドはブラームスのでも反復して長くしがちですが、ここでの反復は的確です、テンポも良いので聴いていて飽きる事はなく、むしろここにクライマックスの照準を合わせてきている感じです。

 

その分、第5楽章は少し退屈になってしまいます。第3楽章が要るのであれば、第4楽章で終わっておいても良かったのでは、と思います。フィナーレの締め方は、アバドはとても良いです。他の盤と聴き比べましたが、やはり他の盤の殆どは遅く、勢いに欠けています。第2楽章の締め方、第4楽章のテンポ、このフィナーレの締め方で、アバド盤を選んだというところです。

 

楽団はシカゴ、ショルティから借りてというところですが、金管陣に全く不安がないので、そのフィナーレも安心して任しているのがわかります。この辺りがシカゴで録音した理由かな、とも思います。ショルティは70年代に録音しています。かつて、このブログではそちらを挙げていましたが、やはり少し剛直過ぎるのと、演奏時間も殆どの楽章でアバドの方が短くて聴きやすいですね。やはり後出しジャンケンの方が勝つでしょうか。

 

当初のCDでは、とても遠い音像でぼやけた感じで、幻想だから?なんて思ってました。ショルティとシカゴのLONDONへの録音はとてもクリアでしたしね。グラモフォンはLONDONよりは柔らかい音にはなりますね。アバドとロンドン響のグラモフォンの一連の録音と同様、音があまり良くない印象があったので選ばなかったのですが、最近、Ulitimate Hi Quality CDとしての発売のを買い直して聴いてみると、とても良い音で驚きました! 特にリマスターはされていないのでしょうが、UHQCDの良さを実感しました。広島の「平和の鐘」の音も以前所有していたCDよりクリアに聴こえてきます。私が以前所有していた1000円のCDとは原盤が違うのかもしれませんね。

 

という訳で、音が良くなり、アバドが、他の盤とは異なる特徴を打ち出して、それが良い結果となり唯一無比となっているこの盤が、自身の中では決定盤です。ジャケットも幻想の中では一番好きですね、昔、最初に購入した際は、このジャケットに惹かれて購入したものでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【指揮】 クラウディオ・アバド

【演奏】 ヨーロッパ室内管弦楽団

     ヴィクトリア・ムローヴァ

【録音】 1986年

 

この曲については、年代的には、管弦楽曲のカテゴリを設けた際に、最初に挙げるべきだったかもしれませんが、わりと選盤に悩みました。最初は、同じアバドでもクレーメルのを挙げていました。が、以前に書いたように、10年ほど前、殆どが大手企業の懇親会名目のクレーメルのコンサートで、会議室の様なサロンで人数もたった数十名のなか、終演後私一人だけ、CDにサインを頂けないかとお願いすると、係の者からの伝言で拒否られるという塩対応をされた事で嫌いになり、外しました(笑)。

 

音楽や関係者には鬼才でも変人でも良いですが、ファンに対して変人でどうする。ファンあって音楽が出来ている事を分からない者は最低です。スポーツ選手でも同じですね。もちろん私もTPOはわきまえていますよ。

 

まあそんな事がありましたが、冬の雨音が聴こえる第2楽章だけは、この盤よりクレーメルの方が良かったかな。とは言え、それはロンドン響の音で、そもそもソリストの印象が薄い盤でもありました。また、クレーメルは自伝の中で、アバドを無能扱いしているそうです(知らんがな笑、wikiより)。

 

という訳で、他にも色々と聴いてきました。イ・ムジチのは古風で穏やか過ぎて、まさにお年寄り向けの音楽でした。かと言って、新進気鋭的な女性のヴァイオリニストが弾くのも、テクニックをこれ見よがしで、内容は薄い。結果、この盤に「戻り」ました。

 

私がこの盤を知ったのは、90年代に入ってアバドがベルリンフィルの首席についてから、アバドから知ったというところでした。今更言うまでもなく、当時のアバドの愛人です。男なので、なんや羨ましいやんか、と理解できるし(笑)、その事に拒否反応があったわけではないですが、自分の愛人の演奏者を立てたCDを何で聴かなあかんねん、的な感じはありました。

 

時代は流れました…既に氏はこの世になく、なんとムローヴァは認知されたアバド姓の息子と共演してCDも出したりしています。アバドの正妻との関係、正妻のお気持ちなどは分かり兼ねますが、時間がその辺りの事を穏やかに包み込んでいった、そんな感じでしょうか。勿論、不倫はダメです、民法上の違法行為ですからね、これを知らない人が多い。ただ、不倫と言っても、継続的な事実の証拠が必要になります。当時の彼らについては、堂々と?一緒に来日までしていて、なんだか寛容だなあ、なんて思ったものです(苦笑)。まあ日本も昔はそうでしたが…

 

さて、肝心の内容ですが、今、色眼鏡を外して聴くと、これがなかなか爽快で良いです。バロック的な感じではなく、今の21世紀に聴いても古さを感じないスピード感のある演奏です、実際速いです、退屈せずに聴き通せます。アバドが作ったヨーロッパ室内管の演奏も弦楽陣がブンブン言っていて良いですね

 

録音は今でこそDECCAになっていますが、昔はPHILLISでした、茶色の帯で分かりますよね。若干、雑音があるのですが、そこまでは気になりません。90年代に入ってから知った盤なので、86年の録音だとは思いませんでした。アバドがVPOとベートーヴェンを録音し始めた時期で、一番良かった頃でした。

 

事あるごとに書いていますが、そのベートーヴェンの交響曲全集が素晴らしく、カラヤンの後を襲名する前から始めていたBPOとのブラームスと、この時期に一気に好きになりました。70年代や80年代のロンドン響やとの録音などは、録音も悪かったし、何だか変わった感じで全く好きになれませんでしたね。実際、珍しい版を採り上げたり、奇をてらった演奏を売りにしていた様に思います。例外として、これも後日紹介しますが、ベルリオーズの幻想交響曲は良かったです、なんせショルティのシカゴですから。同じくシカゴとのSONYへの録音のチャイコフスキーの5番も、明るく分かりやすくて悪くなかったです。ただ、チャイコの5番に関して言えば、珍しくショルティの方が後出しじゃんけんで、その数年後に録音しましたが、お手本を見せたような感じでした、リズムの刻み方とか、やっぱりショルティの方が風格があっていいんですよね。

 

で、BPOを継いでから、またベートーヴェンを録音するのですが、これが奏法もイマイチで、以降の録音も何だかパッとせず、といったところでした。また後日解説しますが、VPOとのブルックナーの一部の4D録音は良かったのですが、その後はご病気をされてメジャーレーベルからドロップアウトし、ルツェルン祝祭管との味気ないマーラーなど。振り返ると、私的には好きな時期は案外短かったのかな、と思いました。以前に書きましたユースオーケストラとのチャイコの6番は本当に素晴らしかったですが、まさに燃え尽きる前の最後の炎でした。

 

ベタ過ぎる選盤かもしれませんが、改めてアバドはこの86年頃から一気に良くなっていくので選びました。イ・ムジチは、アイネクライネは素晴らしく、以前に選盤していますが、基本的には室内合奏団だけより、ちゃんと指揮者がついた楽団の分厚い演奏の方が好みです。この曲に関しては、管弦楽曲⇔協奏曲⇔室内楽曲、と、演奏によって感覚が異なってきます。このCDは管弦楽曲の色合いが強いですね。

 

以前から、女性の奏者に惑わされないよう、クラシックは「耳で聴け、顔で聴くな!」と言っていますが(自分に^^;)、ムローヴァは今はもうすっかりおばちゃんですし、この頃の写真でも全然私の好みではないので、安心して聴けます(笑)。

 

「四季」は、女性奏者によるものが多いですが、切っ先鋭く美しく弾ける人なら、男性のごつごつした演奏より合っている様にも思います。映画「ジョン・ウィック Chapter3」のNYのコンチネンタル内でのバトルシーンで、冬の第1楽章が使われていましたが、そちらは、ナクソス・レーベルの創設者の奥様の西崎崇子さんの演奏でした。テンポはややゆったり目で、エコーが効きまくっている演奏です。そちらもいいなあと思いましたが、飽きないテンポ設定と演奏時間でムローヴァを選びました。

 

 

 

 

【指揮】 レナード・バーンスタイン

【演奏】 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

【録音】 1987年

 

という訳で、以前に書きました交響曲第25番と同じCDのカップリング曲です。私はもう一つ併録の第29番が好きではないですが、お好きな方にとってはとてもお得な盤と言えます。

 

クラリネット協奏曲は、25番と違って録音場所が若干違う事と、編成も少なくなっているかと思いますが、当時の良かったウィーンフィルの音色を味わう事が出来ます。

 

基本的にこの曲が録音される際は、主席のクラリネット奏者が吹く事が殆どですよね。ここでもシュミードル氏によるものです。お顔の写真を見ると、あーなんか見た事ある、気がする(^-^:) となります。素人ですみません。

 

この曲は、他にも有名な奏者さんによる盤などがあり、選ぶ際に多少悩みましたが、正直に言うと、この曲のためにだけCDを買うつもりはないかな、と。あくまで25番と一緒なので購入した次第です。

 

個人的にはホルン協奏曲がダントツで好きなので、モーツァルトが貴族に向けて書いたものではない(明るく楽しい音楽になる)という、似通ったところはあるとはいえ、そこまで好きではありません。演奏時間もやや長いし。でも、モーツァルトらしさが聴こえてきて、悪くないな、と思います。

 

ここでの演奏のテンポは、他の盤と比べると丁度中間くらいです。これより速い盤も遅い盤もあります。いつもめちゃくちゃ遅いレニーにしては、というところで、安心して聴く事が出来ます。やはりこの辺りはウィーンフィルの自発性かと思います。

 

この曲についてはこの様なところで。やっぱり25番と一緒に収録されると強力ですね。

 

【指揮】 ヘルベルト・ブロムシュテット

【演奏】 サンフランシスコ交響楽団

【録音】 1988年

 

これも随分前に、セルのものを挙げていた様な気がします。R・シュトラウス本人から、「彼の様な若者がいれば思い残すことはない」的な事を言われたとの事で、それだけに好きな解釈でした。ただ、ステレオの最初期の1957年に真っ先に録音されていて、ギリギリ、ステレオに聴こえるみたいな感じです。そこが難点でした。

 

ショルティも完璧なシュトラウス指揮者と言えますし、シカゴの鳴らしっぷりは、もはや恐ろしさすら感じますが、70年代の録音で、何だか周りでガチャガチャとノイズが入っているのが玉に瑕。テンポなど解釈は一番好みでした。

 

マゼールとVPOのも解釈は悪くないけど、例によって彼らの60年代のは音が悪い。ハイティンクのは音がはっきりと左右に分離され過ぎ、ヴァイオリンが左からしか聴こえてこない。

 

後のは、カラヤンも含め、みんなテンポが遅い。これもまたなかなか決定盤を見つけられずにいました。そこで、このブロムシュテット氏のもの。氏にとってもシュトラウスは十八番なのでしょう、これ以前に音楽監督をしていたドレスデンとも録音しています。事あるごとにドレスデンの大人しい音があまり好きでない、と書いていますが、その録音では冒頭のティンパニのダダダダン!の音なんて、風呂の中でこいた屁の様です(失礼)。

 

このサンフランシスコ響との録音ではティンパニは明瞭に強打しているので安心。ブロムシュテット氏も、サンフランシスコ響ひいてはライプツィッヒ管とドンドン良くなっていきましたよね。以前、サンフランシスコ響とのマーラーの交響曲第2番「復活」を挙げていました。スマートで聴きやすい盤です。ただ、特に最終楽章の盛り上がりの音のレンジを捉え切れておらず、鉄板のカランカランという魅力的な音も小さかったですね。「復活」のベストはベルティーニ、ショルティのも良いし、シャイー氏とライプツィッヒ管のBlu-rayも決定盤。比べるとどうしても劣るので外した次第でした。

 

で、ここで再度、サンフランシスコ響とのコンビでご登場願ったわけですが、うん、これはテンポ感もいいし、録音の瑕疵も少ないし良い演奏ですね。演奏時間も17分台に収めていて、実際に聴くともっと短く感じます。

 

サンフランシスコ響の音はなんだか掴みどころがないです。マズアによってマズくなったライプツィッヒ管をブロムシュテット氏が復活させましたが(ご自身の伝記で相当酷い状態だったと書かれています)、素晴らしくなるライプツィッヒ管の前段階にあるような音です。この楽団の音をベストとは言えませんが、悪くはないです、少なくとも氏のドレスデンの録音よりは。

 

正直、嫌いなR・シュトラウスものなので、そこまでこだわりもありません。自分の好みのテンポで演奏してくれたら、というところです。前から書いていますが、未だにR・シュトラウスの音楽が理解出来ません。なんか音が流れているけれど、分かりづらいなあ、と。「ティル」とかも全く好きになれません。そんな中、数年前にシャイー氏がルツェルン管と来日した際は、プログラムがR・シュトラウス一色でガッカリし、悩みましたが聴きに行きました。「ツァラトゥストラ」と「死と変容」が、生で聴くととても素晴らしかったですね。ライブなら良いと思えるんだな、と驚きました。

 

そんな中、この「ドンファン」だけは昔から特別に気に入っていました。R・シュトラウスは、交響詩というジャンルは、実は青年期で書き終えているのですが、その最初の曲がこれです。なので、変に凝ったところがなく素直なのが良いのかもです。巷では、「ティル」とか「英雄の生涯」の方が、下手すると「アルプス交響曲」の方が評価が高いのは残念です。このCDのカップリングがその「アルプス交響曲」で、念のため聴いてみましたが、やはり訳わからず途中で聴くのを止めました…

 

さて、気を取り直して、ドンファンもまた、オープニングの1分30秒ほどのテーマで、解釈の好き嫌いがはっきり分かります。セルやショルティ、アバドにマゼール、ハイティンク、そしてこのブロムシュテット氏のはどれも快速テンポでほぼ似通っています。なので、冒頭のティンパニの元気の良さと、録音の状態から選盤したという感じです。ただ、ルビジウム・クロック・カッティングと表記されていますが、イコール=リマスターしてません、なので音量はかなり小さめです。

 

ドンファンのテーマの後に、ドンファンが関わってきた女性のテーマが流れますが、この辺りは、ブロムシュテット氏より他のCDの方が感傷的な様に思います。後半もう一度盛り上がるところは、やはり氏の解釈はよろしいですね、楽しめます。

 

さて、ブロムシュテット氏、昨年の秋のN響は来日されずキャンセルになりました。払い戻しがなかった事には憤りました。コロナ禍になる前のライプツィッヒ管との来日を観ておけば良かったなと、とても後悔しています。数年前に転ばれてから、椅子での指揮にもなってしまいました。Blu-rayで観たベートーヴェンの交響曲が最高に素晴らしかったので(CDも)、哀しい気持ちです。やはり椅子での指揮には魅力が感じられません。そこまでいけばもう裏方に回られた方が良いのではと。

 

ライプツィッヒ管を降りてもCDは活発に出ていました。ただ、バイエルン放送響とのモーツァルトの40番のライブ録音は良かったのですが、古巣とのブラームスの交響曲、シューベルトなどは、どれも信じられないくらいテンポが遅くて、ベートーヴェンでの快活さは完全に消えてしまいました。ああ、遂に「上がり」だな、と思ったものです。昨年のドタキャンからもう来日はないかと思っていたら、2024年の10月もN響とやるみたい。正直、怖くてチケット買えません。座っての指揮でしょうし。もちろん、もう無理はして頂きたくないですね。Blu-rayでの良い時のお姿を観て楽しむ事にします。

 

ショルティは、年齢は82歳と少し若かったですが、凄かったですね。最後の来日時に、小走りで走ってきて、指揮台に飛び乗って、喝采を浴びていましたから。ビール腹にならないように節制しているとも言っていました。バーンスタインみたいになったらいけませんもんね。人間いつか死に、活動を終えますが、ああいう世界に知られる様な芸能人さんが、最高の状態で、こんな日本人の記憶に残っているなんて、素敵だな、と思います。やっぱり終わり方が大事ですね。まさにドンファンの様に、女好きとも批判されたショルティですが、女好きで何が悪い!男として当然でしょう(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【指揮】 クリストフ・エッシェンバッハ

【演奏】 フランクフルト放送交響楽団

【録音】 2017年

 

遂にこの日がやってきました。レコードでもなく、CDでもなく、Blu-rayでもなく、YouTubeからの選盤です。もはや「盤」ではありません。なんか、昭和世代にとっては、抵抗感があります(涙)。もちろん、私は堅物ではないので、一緒に進化していますよ。もはや映画はBlu-rayの画質では耐えきれず、クラシックでも4Kが出ないものか、と思っています。ですが、よもやYouTubeから最高の演奏が見つかるとは…

 

ですが良い点も。そう、このブログに目を留めて頂いた方でしたら、直ぐに観れます!(^-^) 1080Pとは言え画質はあまり良くないですが、音質は素晴らしいです。最近はYouTubeもテレビと外付けのサラウンドスピーカーで観ますが、迫力があり、弦の音も瑞々しく、なかなかのおうちコンサート体験になりました。今日は連休なので、少し時間が取れるかな、と、観るのを楽しみにしていました♪

 

 

 

さて、この曲。ご存知の通り、ブラームスの第五交響曲と言われていますが、シェーンベルクが編纂しているので、打楽器や鉄琴など、まさにシェーンベルクぽい音楽になっています。正直、そこまで分かりの良い曲ではありません。そのためか録音も多くはありません。ドホナーニとVPOの盤が一番有名かもしれません。色々と聴きましたが、あまり納得できるものはありませんでした。ハイメ・マルティンとイェヴレ交響楽団という最近の盤は、イメージに一番近かったですね。ドホナーニのは1楽章は速く、演奏時間も短いのに、盛り上がるはずのフィナーレがモサっとしていて台無しです。

 

そこで、このエッシェンバッハ氏の。氏もやはり私の中で20世紀からの最後のサバイバーです。ブロムシュテット氏がもはや限界だと思うので、その次にご高齢という事になります。ただ、最近のブラームスのチクルスをSpotifyで聴いてみましたが、うーん、ちょっと遅い。私が以前に選盤したアバドとBPOのでもそんなに速くはないのですが、それに比べても遅かったですね。これも以前に挙げたメストとクリーヴランド管のが、かなりの快速テンポで聴きやすいので、あれを聴いてしまうと、といったところです。

 

この曲でも、演奏時間は長い方です。なのに遅いと思わず飽きがこないのは、まさにメリハリが効いているからです。盛り上がる箇所での力のこもり方が、他のCDとは全く違います。やはり音楽はライブだな!と改めて思い知らされました。また、氏はマイナーともいえるこの曲を何度も取り上げてきており、十八番なのでしょう。指揮台なしの暗譜も凄いです。

 

おおよそ1~3楽章までは、それ程大きな身振りや手振りもなく、楽章ごとに手を前で組んで休憩して、とても紳士的な感じです。

ですが、4楽章で、一気に動き出します(笑)。このために力を温存していたのか、とまで思えます。そして、フィナーレの持って行き方、ここがどの盤よりも一番素晴らしいですね。一気に加速します、まさにフルスロットルです。最後は大仰に締めるので、聴き終わった後のカタルシスが凄いです。この辺りはさすが大ベテランといった気が致します。この演奏を聴くと、やはりYouTubeから選ばざるを得なかったところです。ここまで良い音質で録音しているのだから、いつかBlu-rayで発売してくれたらいいのに、と願います。

 

楽団員は様々で、若い人も多いですね。楽しそうに笑顔で演奏している場面もあり、それが素晴らしいフィナーレの盛り上がりに繋がっている様に思えます。歌でなくても、やはり演奏している人の気分って伝わってきますからね。画角は同じようなところからばかりで鮮明ではありませんが、それはやはりYouTubeなので仕方ないのかなと。

 

ブラームスの交響曲を4つで止まっている方、多いと思います。是非、5つ目をお聴き頂ければと思います。また、この演奏を聴いちゃうと、他の盤を聴けなくなっちゃいます。前回のレニーとVPOのライブ盤でも書きましたが、やはりライブの演奏は燃焼度が全く違いますね。いや、素晴らしいです、ブラボー!

 



 

 

 

 

【指揮】 レナード・バーンスタイン

【演奏】 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

【録音】 1988年

 

モーツァルトが青年期に書いた交響曲では一番演奏機会が多いと言われるこの曲。後の40番と共に唯一の短調(ト短調)の曲です。

 

人気のある曲だけに、ジョニーはどれを選びおるのかな? 的なところですが、40番に比べると、2.3楽章がやや退屈で、そこまで思い入れはありません。映画「アマデウス」ではメインテーマの様に使用されていましたね。

 

という事で、これも実は散々悩みまして。なかなか思っている様な盤に巡り合わなかったというのが現実です。レヴァインとVPO(ウィーンフィル)のはテンポが速過ぎて軽薄で、アバドとBPO(ベルリンフィル)のもテンポ感が良くて聴いてきましたが、何だろう?中身がないというか飽きてしまう。

 

また、両者ともテンポは快速なのに、反復が多いためか、1楽章が10分超え!になっています。ここで私が選んだバーンスタインのは8分台ですが、テンポはそれらに比べると遅めです。不思議な現象ですが、モーツァルトの交響曲で一つの楽章が10分を超えるとそれはもう、明瞭で簡潔なモーツァルトらしさが失われてしまいます。

 

他にはワルターのもの。これはまた異質な録音で、1楽章がなんと4分台です。聴いてみると、速いというより、はしょっている、という感じで、なんかもうこの曲演奏するの嫌なん?とさえ思えてきます(笑)。ワルターというと古典的な演奏のイメージがあるので、この解釈にはとても驚きました、むしろ、これが正解なのか!?と。

 

とは言え、音楽は趣味ですから、どんな風に演奏されようと、自分の好みのを聴けばいいですよね。その時代に応じて、流行も変わってくるでしょう。一時、一世を風靡したピリオド奏法は大嫌いです、あれ、ロックで言う処のグランジ・オルタナが流行り出した頃と時を同じくしている気がします。世紀末への焦燥や不安感、不景気から生み出されたのでしょうか。

 

話しが逸れましたが、40番で選んだのは、私にしてはテンポがゆっくりなクーベリックのもの、端正で良かったですね。ここでも同じく、テンポは決して速くはないレニーのものを選びました。自分でも少々意外ですが、先述の通り、速いだけの演奏は時に薄っぺらくなってしまう事もあります。フレージングがないがしろにされて、曲そのものの魅力が伝わって来なかったり。

 

この盤の4楽章はゆったりめです。でも、フィナーレは、ちょっとブルっとくるくらい、迫力があり暗くて美しい締め方になっています。この辺りは、さすがバーンスタインというべきでしょうか。それともウィーンフィルの自発性?

 

これまで、このブログでは、バーンスタイン=遅い=退屈、の様に評してきましたが、ドヴォルザークの「新世界」で選盤した様に、60年代のニューヨーク・フィルとの録音の頃はそうでもなかったですね。この盤では、ウィーン・フィルが頑張ってくれたお陰か(笑)、そこまで遅くはありません。これより遅い盤も沢山あります。また、これも先述の通り、テンポ自体はそれ程速くなくても、演奏時間としてはトータル21分台に収めています。快速テンポのアバドのは26分です、さすがにこの5分は大きいですね、やはり飽きがきます。

 

あと、ベーム翁とBPOの盤は、めちゃくちゃ遅いです。以前、選盤したホルン協奏曲はあれで良かったのですが、この曲をこんなに遅く演奏しちゃうと、モーツァルト特有の疾走感がなくなります。後年のVPOとの40番も酷いですね、当時からなぜか日本で評価が高かったのが分かりません。多分おじいちゃん向けなんでしょう。

 

レニーのこの盤の1楽章は、決して遅くはなく、むしろ丁度良いテンポです。晩年のレニーにしては本当に珍しいテンポ感です。VPOの弦楽がとても美しく、例によってしょっちゅう採り上げている(また後日再発盤を採り上げます)アバドとのベートーヴェンのと同時期です。この頃のVPOの瑞々しい音が一番好きでしたね。

 

しかも同じくライブ録音です。ライブ録音というと、音が悪い、雑音が、拍手が、などというイメージを持たれるかと思いますが、この頃のVPOのライブ録音は、若干、カチャ、っという音や指揮者の唸り声が聴こえたりするものの、気になるほどではありません、とても優れた録音です。もちろん客の咳や拍手も収録されていません。

 

むしろVPOのライブ録音での燃焼度が高くていいのですよ! ライブになるとテンポが急ぎがちになる方が多い気がしますが、VPOは腰を据えてじっくり演奏している感じになります。かつて、ベルティーニとケルン放送響のライブでもそんな感じでした、あれ?CDよりテンポが遅いな、でも迫力あるなあ、みたいな。やはり通常の録音とは聴いていて全然違いますね、この盤の1楽章は大変素晴らしく、同じメロディの繰り返しでも、どんどん高揚して行っているのが聴いていて分かります。

 

とは言え、この曲って、1楽章が早やクライマックスなんですよね、40番もそうですが。なので、そこまで超オススメ!とは言わないのですが、カップリングにクラリネット協奏曲が付いているのです。ここがポイント!(≧▽≦) ちょっと安易ですが、この盤に決めた理由でもあります。まさに、昭和の人しかわからない(苦笑)一粒で二度おいしい、というやつです。クラリネット協奏曲についてはまた次回書きます。

 

あと、もう一つのカップリングの29番は、カラヤンとBPOの最後の来日でも演奏され、私も生で聴きましたが、退屈で爆睡していました(^^;) 1楽章から、あの幼稚なメロディが嫌いで全く聴かないですね、ごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

【指揮】 ジェラード・シュワルツ

【演奏】 シアトル交響楽団(ソロ:Maria Larionoff)

【録音】 2011年

 

最近、選盤の見直しを図っています。過去に、ちょっといい加減に挙げていたものもあったなあ、なんて。もちろん巷では名盤誉れ高いものではあったりしますが、「我が人生でこの曲はこのCD!」とまで言い切れるものもあれば、そうでないものがある事に気付きました。


今回のシェエラザードもその一つ。以前はカラヤンの60年代のものを挙げていました。もちろん、コンマスのシュバルベのヴァイオリンを始め、悪くはありません。ただ、どうしても古い録音のため、迫力のある音や、繊細な弱音を捉え切れていないところがあるというのは、以前の投稿でも書いていました。

 

その様な中で、発見したこの盤。その内容を紹介する前に、以前の投稿で書いていたシェエラザードにまつわる話を補筆訂正し、紹介致しましょう。

 

『ミリ・アヴィタルが主演のテレビ映画「アラビアン・ナイト」を観ていて、この曲を思い出しました。映画中で使用されてはいませんが。この映画は、テレビ用のため3時間近くあり、今はDVDも廃盤になっていますが、これがなかなか良い内容なので、こうして風化していくのが勿体なく思えます。

 

M:I2で憎々しい悪役を演じたダグレイ・スコットが王の役で、弟の裏切りと妻の不貞から心を病み、迎えた新妻を次々と部下に命じて殺害していきます。ところが実はその部下も、今は王のもとを離れている弟の間者なのでした。幼馴染のシェエラザードは、何とか元の彼を取り戻そうと、敢えて新妻に名乗りを上げます。こんな王なのに、「愛している」と優しく接します。ところがやはり王は、その母性的なところが却って癪に障り、美しいシェエラザードの美貌に惹かれながらも、殺害しようとします。シェエラザード自身も実は恐怖と戦いながら、かろうじてのところで逃れ、事なきを得ます。

 

そこで思いついたのが、次の日の朝に殺害されないよう、毎晩、夜更けまで王に話しを聞かせていくこと。これが「千夜一夜物語」で、ディズニーで有名な「アラジン」も、その物語の中の一話です。さて、その話しが詰まらないと飽きられてしまうため、続く。。。と引っ張ったり、うまく違う話に繋げたりして、王を惹きつけていきます。またそれらの物語には、政治の中でも教訓になる含蓄もあり、最終的に、シェエラザードの献身的な愛に気付いた王は、攻めてきた弟と戦う際に参考にし、勝利を収め、二人の間に子供も生まれ、大団円となるのでした。めでたしめでたし。

 

だけど、過去に殺害された新妻への罪は何処へ?王なら心神耗弱という事で許されるのか? というか、こんな綺麗で親身に思ってくれる女性がいるのに、いつまで病んどんねん、読み聞かせって子供かよ!なんて思います(笑)。私なら、彼女が新妻で来てくれたら、膝枕一つで治りますね(笑)。


まさにそう思わせられるほど、ミリ・アヴィタルが透き通るような美しさです、この時のミリは、私の理想の女性像です。しかし花の命は短けり(相変わらず男尊女卑ですみません)、ミリの美しさもまた遠い伝説の物語の一部になってしまったのだなあ、などと思います…(涙)。

 

で、そのシェエラザードを題材にしたのがこの曲です。近代のロシアものは苦手と思ってしまう私でも、この曲は大好きです。まさにフィルム・スコアのようで、どの演奏がどの場面を表しているか知らなくても、そのムードを楽しめます。全4楽章からなり、タイトル通りほぼ交響曲ですが、CDショップなどでは管弦楽曲の部類で並んでいるため、そのカテゴリにしました。』

 

との事でした(笑)。

 

という訳で、この盤の特徴ですが、まず音が澄み切っていて、聴いていてとても心地良いです、快感とまで言っても良いかもしれません。重厚感にも欠けていません。新しい録音だから、というだけではないでしょう。指揮者を始め、エンジニア達も含めた素晴らしい仕事ぶりの成果だと思います。ナクソス・レーベルだからと言って決して舐められませんね。

 

シュワルツとシアトル交響楽団、正直、初めて聴きましたが、ブラボーです! この曲を改めて聴き直す際に、またSpotifyで色々と試聴しましたが、この盤がダントツで良かったですね。テンポ感、演奏、録音、全て良しです。

 

最初は、スメターチェクのにしようかとも思ったんですね。ただ、若干テンポが遅い。カラヤンのとこの盤は、速めでテンポ感も似ています。ただ、2楽章はシュワルツの方が1分以上速いため、こちらの方が飽きずに聴けますね。4楽章の畳み掛けるところは物凄い迫り方で、カラヤンのとは10秒しか速くないとは思えないくらい、速さを感じます。

 

まあ決して速いは正義ではないですが、この曲に関しては、ゆったりペースだと飽きが来ます。カラヤンのですら退屈でした。ところがこの盤は、聴いていて楽しくて一気に聞き通してしまいました、寝落ちもせずに(笑)。

 

ソロのヴァイオリンは、カラヤンの時もそうでしたが、コンマスが弾く場合が多いですね。ここでもコマンスの方です。マリアさんという女性の方ですが、ここがポイント。普段は過去の苦い経験から、「女性奏者は顔で聴くな、耳で聴け!」と、他人ではなく自分を戒めている私ですが(苦笑)、このシェエラザード、タイトルの通り、王様ではなく御妃様の方です。なので、女性がヴァイオリンを奏でて、物語=音楽をスタートするのは、極めてこの曲に合っています。というよりそうあるべき曲かと思えます。

 

このコンマスの方、もちろん存じ上げません。が、冒頭のヴァイオリンのメロディ、この曲も、この冒頭の奏で方一つで、一瞬で好みの盤かどうでないかを判別出来ますが、素晴らしい入り方です。テンポ感、弾き方、音色、まさに理想的です。うっとりしますね。

 

そして、4楽章の締めの弱音。何と言ってもここが凄い! 聴こえるか聴こえないかの弱音を、とても綺麗に弾ききっています。あまりの素晴らしさに、聴き終えた後、うーん凄い、と唸りました。こんな繊細によく弾けるものですね。で、やはり、ここは新しい録音でないとこのラストの美しさを捉え切れないところはあります。なので、この曲も様々な盤がありますが、21世紀になってようやく出会えた盤と言えるでしょうか、とても嬉しく思えましたね。

 

こんな素晴らしい盤を作ってくれた演奏者やスタッフの方々に感謝です。CDの帯に、「この曲を知らない人がもしいるのなら、すぐに手に取って、そして聴いてみてください」とありますが、私からは、「この盤を知らない人がもしいるのなら」と申し上げたいところです^_^

 

【指揮】  ダニエル・バレンボイム

【演奏】  シカゴ交響楽団

【録音】  1994年

 

何だか新しい録音のイメージがありましたが、もう30年前ですか!信じられないですね。まさに光陰矢の如し。

 

以前に2枚組の方を所有していましたが、曲数が多く、楽団も異なったりと、ややぼやけた感があり、この1枚ものの方がスッキリしており、最近買い直しました。いわゆるワーグナーの序曲や前奏曲の有名なものがほぼセットされています。足りないのは「リエンツィ」くらいです。昔は好きでしたが、最近はあまり好みでないので、収録されていなくても個人的にはOKです。

 

反対に、「さまよえるオランダ人」が入っていない盤は選びませんでした。ワーグナーではこの曲が一番好きですね。このCDでは1曲目に配置されているのが良いところです。

 

さて、ワーグナー、このブログではようやくの登場です。かつての第二次世界大戦中のドイツのイメージがあったり、歌劇は例によって言葉が分からないのでパス、というところから、あまり聴いてはきませんでした。当時と同様、私もブラームス派でして、ブルックナーの様なワグネリアンとは対極にいます。

 

最近のドイツの政治もまた色々とややこしいようで、のど元過ぎればという感じが心配ですね。日本もそうですが、敗戦国だからこそ良い国に生まれ変われたと思いますし、もう二度と繰り返して欲しくない、繰り返させてはいけない歴史ですね。

 

このCDでは僅か6曲、900円台で購入出来ましたが、大仰なワーグナーには相応しくないこれくらいのスッキリ感が、私的には丁度いいですね。実際、演奏もスッキリしています。まだショルティが存命で、バレンボイムがシカゴを譲り受けた後の録音ですが、ショルティのと比べると、TELDECの清澄な録音にも拠るのでしょうが、とてもクリアな音像です。

 

ワーグナーというと文句なしにショルティですが、ショルティのとどちらを選盤するか迷いました。ダイナミックさではショルティが上でしょうか。先の、「さまよえるオランダ人」の冒頭のテンポが、バレンボイムの方が速くて、私の感覚にピッタリでした、これが決定的要因です。ショルティのより録音状態も良いですしね。以前から書いています、意外な程のシカゴ響の弦楽陣の美しさが堪能出来ます。

 

「ローエングリン」では、なんかバレンボイムがぶつぶつ言っている声が聴こえます、これはマイナス材料。でも特に好きな曲ではないので構いません。「トリスタンとイゾルデ」は抒情的な雰囲気で良いですね。正直、バレンボイムの指揮はどうでも良くて(ごめんなさい)、シカゴ響の演奏を聴いているという感じです。バレンボイムは未だにやっぱり昔のピアノのイメージが強いです。CDの帯には、「現代最高のワーグナー指揮者」と祀り上げられていますが。

 

まあ、そう聴くと(^^;) 1000円を切る値段で、粋も集まっているし、1枚持っていても損はないかな、という盤です。2枚組の時はバレンボイムがジャケットでしたが、1枚になるとワーグナーご自身になりました、こっちの方が渋くて良いですね。