ヴィヴァルディ : 協奏曲集 <四季> | JohnnyClassic

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ロック・ヴォーカリストJohnny が、厳選し紹介する
次世代にも引き継いで行きたいクラシックの名盤選集です
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【指揮】 クラウディオ・アバド

【演奏】 ヨーロッパ室内管弦楽団

     ヴィクトリア・ムローヴァ

【録音】 1986年

 

この曲については、年代的には、管弦楽曲のカテゴリを設けた際に、最初に挙げるべきだったかもしれませんが、わりと選盤に悩みました。最初は、同じアバドでもクレーメルのを挙げていました。が、以前に書いたように、10年ほど前、殆どが大手企業の懇親会名目のクレーメルのコンサートで、会議室の様なサロンで人数もたった数十名のなか、終演後私一人だけ、CDにサインを頂けないかとお願いすると、係の者からの伝言で拒否られるという塩対応をされた事で嫌いになり、外しました(笑)。

 

音楽や関係者には鬼才でも変人でも良いですが、ファンに対して変人でどうする。ファンあって音楽が出来ている事を分からない者は最低です。スポーツ選手でも同じですね。もちろん私もTPOはわきまえていますよ。

 

まあそんな事がありましたが、冬の雨音が聴こえる第2楽章だけは、この盤よりクレーメルの方が良かったかな。とは言え、それはロンドン響の音で、そもそもソリストの印象が薄い盤でもありました。また、クレーメルは自伝の中で、アバドを無能扱いしているそうです(知らんがな笑、wikiより)。

 

という訳で、他にも色々と聴いてきました。イ・ムジチのは古風で穏やか過ぎて、まさにお年寄り向けの音楽でした。かと言って、新進気鋭的な女性のヴァイオリニストが弾くのも、テクニックをこれ見よがしで、内容は薄い。結果、この盤に「戻り」ました。

 

私がこの盤を知ったのは、90年代に入ってアバドがベルリンフィルの首席についてから、アバドから知ったというところでした。今更言うまでもなく、当時のアバドの愛人です。男なので、なんや羨ましいやんか、と理解できるし(笑)、その事に拒否反応があったわけではないですが、自分の愛人の演奏者を立てたCDを何で聴かなあかんねん、的な感じはありました。

 

時代は流れました…既に氏はこの世になく、なんとムローヴァは認知されたアバド姓の息子と共演してCDも出したりしています。アバドの正妻との関係、正妻のお気持ちなどは分かり兼ねますが、時間がその辺りの事を穏やかに包み込んでいった、そんな感じでしょうか。勿論、不倫はダメです、民法上の違法行為ですからね、これを知らない人が多い。ただ、不倫と言っても、継続的な事実の証拠が必要になります。当時の彼らについては、堂々と?一緒に来日までしていて、なんだか寛容だなあ、なんて思ったものです(苦笑)。まあ日本も昔はそうでしたが…

 

さて、肝心の内容ですが、今、色眼鏡を外して聴くと、これがなかなか爽快で良いです。バロック的な感じではなく、今の21世紀に聴いても古さを感じないスピード感のある演奏です、実際速いです、退屈せずに聴き通せます。アバドが作ったヨーロッパ室内管の演奏も弦楽陣がブンブン言っていて良いですね

 

録音は今でこそDECCAになっていますが、昔はPHILLISでした、茶色の帯で分かりますよね。若干、雑音があるのですが、そこまでは気になりません。90年代に入ってから知った盤なので、86年の録音だとは思いませんでした。アバドがVPOとベートーヴェンを録音し始めた時期で、一番良かった頃でした。

 

事あるごとに書いていますが、そのベートーヴェンの交響曲全集が素晴らしく、カラヤンの後を襲名する前から始めていたBPOとのブラームスと、この時期に一気に好きになりました。70年代や80年代のロンドン響やとの録音などは、録音も悪かったし、何だか変わった感じで全く好きになれませんでしたね。実際、珍しい版を採り上げたり、奇をてらった演奏を売りにしていた様に思います。例外として、これも後日紹介しますが、ベルリオーズの幻想交響曲は良かったです、なんせショルティのシカゴですから。同じくシカゴとのSONYへの録音のチャイコフスキーの5番も、明るく分かりやすくて悪くなかったです。ただ、チャイコの5番に関して言えば、珍しくショルティの方が後出しじゃんけんで、その数年後に録音しましたが、お手本を見せたような感じでした、リズムの刻み方とか、やっぱりショルティの方が風格があっていいんですよね。

 

で、BPOを継いでから、またベートーヴェンを録音するのですが、これが奏法もイマイチで、以降の録音も何だかパッとせず、といったところでした。また後日解説しますが、VPOとのブルックナーの一部の4D録音は良かったのですが、その後はご病気をされてメジャーレーベルからドロップアウトし、ルツェルン祝祭管との味気ないマーラーなど。振り返ると、私的には好きな時期は案外短かったのかな、と思いました。以前に書きましたユースオーケストラとのチャイコの6番は本当に素晴らしかったですが、まさに燃え尽きる前の最後の炎でした。

 

ベタ過ぎる選盤かもしれませんが、改めてアバドはこの86年頃から一気に良くなっていくので選びました。イ・ムジチは、アイネクライネは素晴らしく、以前に選盤していますが、基本的には室内合奏団だけより、ちゃんと指揮者がついた楽団の分厚い演奏の方が好みです。この曲に関しては、管弦楽曲⇔協奏曲⇔室内楽曲、と、演奏によって感覚が異なってきます。このCDは管弦楽曲の色合いが強いですね。

 

以前から、女性の奏者に惑わされないよう、クラシックは「耳で聴け、顔で聴くな!」と言っていますが(自分に^^;)、ムローヴァは今はもうすっかりおばちゃんですし、この頃の写真でも全然私の好みではないので、安心して聴けます(笑)。

 

「四季」は、女性奏者によるものが多いですが、切っ先鋭く美しく弾ける人なら、男性のごつごつした演奏より合っている様にも思います。映画「ジョン・ウィック Chapter3」のNYのコンチネンタル内でのバトルシーンで、冬の第1楽章が使われていましたが、そちらは、ナクソス・レーベルの創設者の奥様の西崎崇子さんの演奏でした。テンポはややゆったり目で、エコーが効きまくっている演奏です。そちらもいいなあと思いましたが、飽きないテンポ設定と演奏時間でムローヴァを選びました。