目標は達成水準の表現方法により、達成水準を量的に表現する「定量目標」と質的に表現する「定性目標」に分けることができる。
どの表現方法によるかは、目標項目の内容、個人の役割に応じて適切なものを選択する必要がある。いずれの表現であっても、目標の達成度を客観的に判定するために「後から計測できる表現」にすることが必要である。
○ 定量目標
目標の達成度を客観的に判定するために、目標はできるだけ定量化(数値化)して設定することが有効である。定量目標では、パーセント、実数、計算の根拠(計算式)を明らかにし、比較対象となる判断基準を示すようにする。
ただし、定量目標に固執しすぎると次のような問題点も出てくるので注意する必要がある。
① 短期的な結果目標ばかり設定する。
② その結果、中長期的な目標が欠落する。
③ 結果を出すためのプロセスを顧みず、結果主義になってしまう。
④ 定量化しやすい目標ばかり設定され、数値化しにくい重要な目標が欠落する。
⑤ 定量化するために、内容や効果よりも単純な回数や件数を目標にしてしまう。
○ 定性目標
目標の中には達成水準を数値化するよりは「どのような状態になったときに、目標が達成されたのか」を質的に表現する定性目標を設定したほうが適切な場合がある。特に、スタッフ部門では質的な目標にならざるを得ないケースが多い。この場合、仕事の出来栄えを測るときに何をもって判断するのかという観点で判断指標を選定することが必要である。
定性目標を設定する場合、達成レベルがわかるよう状態や条件(期限、目標が達成された状態のイメージなど)を明らかにし、「~~の状態になる、なっている」「~~の行動をする、完了する」というように表現する。
なお、意識や精神状態などは記述しないようにする。(積極的に、一生懸命など)定性目標設定の方法として次のようなものがある。
① 現在の条件、レベル、状況を記述する。
今後○○のような環境変化が見込まれるが、現状の○○を維持する。
② 望ましい条件、目標が達成されたときの状況や状態を記述する。
○○を実施することにより、○○の重複をなくすようにする。
③ ねらいとする改善、革新の内容を記述する。
○○処理時間の短縮のため、○○マニュアルを新たに作成する。
④ 望ましい結果を記述する。
○○処理ミスによる修正作業を、○○をすることにより、発生させない。
⑤ スケジュール化する。
○月までに、上司の承認をもらい、その結果、○○までに○○を実施する。
○○処理を、○○することにより、現状の○日から○日以内で実行するようにする。
⑥ 複数の状態条件を記述する。
○○の定着化(定着とは1~~、2~~、3~~になっている状態をいう)
会社によっては、目標は「定量目標じゃないとだめ」とか、「定性目標は評価点が下がる」ような仕組みになっていところがあるが、立場・役割によって求めることが違ってくるので、あまり「定量目標」にこだわると、弊害が出てくる恐れがある。
確かに、定量目標の方が明確に評価できるが、評価のために目標管理を行うわけではないので注意することが必要である。