ニキビ(尋常性痤瘡)と整体治療
患者Ｓさん=21才-女性・学生の症例
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① Ｓさんの病歴・・・
患者Ｓさんは、中学2年生頃からニキビが生じだし、次第にひどくなってきたそうです。時々、Ｓさん自身でニキビを潰す事もしばしばあったそうです。高校生になる頃にはさらに悪化し、皮膚科を受診すると抗生剤によるニキビ治療を始めたそうです。一時的に改善する事もあったそうですが、すぐに悪化する、と言った事を繰り返すうちに3年ほどこの抗生剤による治療を続けていたそうです。結局ニキビをこじらせる結果になったため、その後は漢方薬に切り替えて、何度か漢方の種類も取り換えながら2年近く漢方を服用していたそうですが、全然変化は無く、さらにひどい状態になったそうです。最近は特段の治療を全て止めて、市販の洗顔剤などによる洗顔を頻回にしているそうです。
② Ｓさんの診察
・Ｓさんの身長と体重は161cm/53kgだそうです。
・ニキビの部位は左右の頬部一面に広がり、表皮全般的にピンク色に染まっていました。前頭部と下顎は少なめでした。以前にニキビを潰した瘢痕もいくつかありました。白っぽい閉鎖性面皰もいくつかありましたが、主に赤い嚢胞が多く観られました。
・頬部全般に「ほてり感」があるそうです。
・月経周期は30日で、月経期間は7日くらいだそうです。月経血は「多い方だと思う」との事でした。
・生理痛は月経の始まる前後4日間にあり、主に腰全般が痛むそうです。
・頸部前面の筋肉は全体的に緊張していました。
・食欲は普通で、便はほぼ毎日出ているそうです。
・腹部聴診上、グル音は健常に聴取され、血管雑音はありませんでした。
・腹部初診上、全体的に膨満傾向で打診上鼓音が全般的に聴取されました。その他の所見は特にありませんでした。
➂ 治療目標と整体治療
⑴ 交感神経の緊張(?)を緩和して神経終末よりのSP(サブスタンスP)分泌を抑制させ、皮枝腺細胞と肥満細胞の増殖を抑制する
⑵ 胸腺およびバイエル板・小腸リンパ節の機能亢進(?)を緩和して、面包形成亢進作用のあるIL-1分泌を減少させる
⑶ 男性ホルモンのデトックス作用を向上させて同ホルモンを減少させる
⑷ 血流を改善し、表皮への酸素・栄養供給を向上させ、過剰角化(?)の解消と皮膚上皮細胞のターンオーバーを促進させる
・頸部交感神経幹解放テクニック
・胸腺マニピュレーション
・小腸平滑筋テクニック
・門脈解放テクニック
・外頸動脈解放テクニック
・線維芽細胞活性化テクニック
④ 経過と結果・・・
・2診目来院時、「便の調子がいつもより良く、1,5倍以上は出ています」と仰っていました。
・3診目来院時、「(頬部の)ほてり感がかなりましで皮膚の色も減ってきました。赤い嚢胞がピンク色に薄くなってきました」と仰っていました。
・4診目、5診目と「ほてり感軽減、表皮と嚢胞の発赤の軽減、快便傾向」が続き、6診目には「面皰も小さくなり、嚢胞の赤みもかなり薄くなっています」と仰っていました。また、ほてり感はほとんど感じなかったそうです。
・6診目来院時、ニキビを潰した瘢痕は残存していますが、それでも面皰や赤い嚢胞、あるいは顔のほてり感も改善し安定した状態でしたので、ここで治療を終了し、様子をみて頂くことにしました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
・まず把握しておくべきことは、よくニキビの原因であると言われて悪玉菌扱いされて皆に嫌われ、常に水と石鹸などで洗い流されようとしている「アクネ菌＝Ｐアクネス」は、実は誰の皮膚にも常在している常在菌で、「むしろ善玉菌である」と言うことです。これだけでも、一般的に若い方(☚Mさんも含む)を中心になされている“ニキビ対策”に異常がある、と言うことは明々白々なことです。
・また、下記「3. 抗生物質耐性の挫創」でも記していますが、この善玉菌であるアクネ菌を殺す所業＝抗生剤の長期使用＝は、ニキビについては自殺行為でもあります(☚短期で抗生剤使用が終わるのであれば別ですが)。
・さらに、現代日本女性の習慣として、顔面を化粧品や洗顔剤で”必要以上に(いたずらに)いじくりまわす所業”は、皮膚を防御している「酸性皮脂膜」と呼ばれる4層の防波堤=バリア=の崩壊にほかならず、これも皮膚科の専門医師であれば、自殺行為であることは周知の事実なのです(☚但し、化粧品メーカー当の圧力・ＣＭ効果が圧倒的に優勢なため、この事実は専門家の間でも封殺されています)。
それでは以上のことを踏まえて「なぜ、ニキビができるのか？？？」について見ていく事にします。
・一般的な挫創(ニキビ)の原因には下記の様なものがあります。
1. 過剰角化による毛疱皮脂管の遮断による挫創
ａ. 表皮の必須脂肪酸
ｂ. 表皮自由水枯渇
ｃ. 表皮の酸素負荷の低下
ｄ. 不適切な洗顔剤・化粧品の使用あるいは過剰な洗顔
ｅ. 日光暴露の増加
2. 毒性物質由来の挫創
ａ. ステロイド
ｂ. テストステロンやアンフェタミン
ｃ. 高すぎる湿気・湿潤剤
ｄ. 紫外線暴露
ｅ. 合成色素
f. 他
3. 抗生物質耐性の挫創
a. 抗生剤長期使用による耐性菌↗
4. ホルモン媒介性挫創
ａ. エストロゲン↘ (☚影響は少ない)
ｂ. アンドロゲン↗ (☚影響は大きい)
・Sさんのケースでは、上記の内でどれが主因かを特定する事は難しいですが、問診などからある程度上記の一般的ニキビの原因から当てはまる事は、
1-「過剰角化による毛疱皮脂管の遮断による挫創」
ｃ. 表皮の酸素負荷の低下
1-「過剰角化による毛疱皮脂管の遮断による挫創」
ｄ. 不適切な洗顔剤・化粧品の使用あるいは過剰な洗顔
2-「毒性物質由来の挫創」
a. 抗生剤長期使用による耐性菌↗
4-「ホルモン媒介性挫創」
ｂ. アンドロゲン↗ (☚影響は大きい)
などと思われます(他にあるかもしれませんが、、、)。
・とりあえず上記の様な多方向性から治療を進めていく事にしました。それが➂「治療目標と整体治療」に掲げた施術へと繋がりました。
・結果的にこの事が、ニキビの早期解消に寄与したのでは、と思われます。ただ、正直申し上げて抗生剤の長期服用者はニキビ=皮膚環境=をこじらせている事が多く、難治性になる場合が少なくありません。今回のSさんも同様のケースでしたので「長期間の整体治療が必要かも、、、」と当初は心配しましたが、意外にも早期に解消したのは、ラッキーだったと思います。
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