日本ファミリーオフィス協会 -70ページ目

ある出版社の編集者と懇談ー富裕層向け雑誌は廃刊に

昨日、ある出版社の方と懇談した。その中で、その会社の雑誌で有名な富裕層向け雑誌が、名前を変えながらも昨年、廃刊になったことを伺った。要は、売れなかったという単純な理由であるが、その原因は単純ではない。なぜダメだったかは明確な原因はわからないようだが、他の富裕層向け雑誌も売れないのだからしょうがないねということになったようだ。


確かに、富裕層向け雑誌で今もあるのが、高野育郎さんの「ADDICTUM」(会員制)と「NILES NILE」(高年収者に無料送付)だけになった。以前、私も何度か記事でお世話になった「FINANCIAL JAPAN」は富裕層向け雑誌という性格を変えた。このように、富裕層向け雑誌は売れないのだ。なぜか?それは編集者が富裕層のことを知らないからではないか。


高野さんも指摘していることだが、自分が富裕層、あるいは多くの富裕層と付き合いがなければ、富裕層の気持ち、ニーズなどわかるはずもない。ところが、従来の多くの富裕層向け雑誌は人事異動でたまたま富裕層本の編集になった方が担当になっていた。これでは、なかなか富裕層の読者を引き付ける内容にはなり難いと思われる。


廃刊になった雑誌「SEVEN HILLS」は、臼井編集長が自分が富裕層になった気分で豪邸やクルーザーなどを持つ生活をしていたが、やはり背伸びのしすぎで、破綻し詐欺事件に手を染めることになった。自分が富裕層になるというアプローチはよかったと思われるが、本当の富裕層でなければ意味はない。


これからも、また富裕層向け雑誌は出ては消え、を繰り返すと思われる。もちろん編集者は編集のプロなので富裕層のニーズを探り雑誌づくりをするわけだが、簡単ではない。それほど富裕層のニーズを探ることは難解でもあるという証左でもある。





ハーバードが上海分校を開校ーアメリカ以外で初めて

3月18日にハーバードが上海分校を開校した。ハーバードロースクール出身の石角莞爾弁護士がそのセレモニーに参加され、今日、報告書をメールしてくれた。これを読むと結構、日本人には衝撃的なことが書かれている。その概要を紹介したい。

石角さんは、ハーバード日本同窓会にもよく参加されている主要メンバーで、アメリカ留学のコンサルタントもしている。何といっても最近「ユダヤ人になった」というからユニークな人だ。当協会の研究会の第1回講師もお願いした。視点もユニークなので時々お話させて頂いている先輩だ。

まず、場所は上海のHSBCのワンフロアーというから意外だ。特定の金融機関に間借りしているのだ。資金はハーバード・チャイナファンド(中国の大企業が一口5億円出資)から出されたという。これは驚きだ。

今のハーバードには、とにかく中国人が多く、その留学生の数は日本からの留学生の20倍にものぼるという。私が行った1991年には中国人はほとんど見なかったことから、ここ20年で、この分野でも日中は逆転し、かつその差はとんでもなく開いたのだ。これもショックだ。エズラ・ボーゲルの「ジャパン・アズ・NO1」が書かれたのが1979年で、このあたりがハーバードが日本に関心を持ったピークかもしれない。

でも未だに日本人の教授などは「中国に金があるからなびいているだけだ」と言っているようだ。石角さんがそのあたりをハーバードの教授に聞くと「日本の学生、教授などに研究への意欲、活力が最近は感じられない」と答えたそうだ。その通りとはいえ、改めてショックだ。

日本からのセレモニー出席者がファウスト学長(女性)に「日本経済建直しのための処方箋は」と聞いたところ、学長は「そんなことは私の前任者に聞いてくれ」と答えたそうだ。前任者はサマーズ元財務長官(サムエルソンの甥)だが、現学長は日本には全く興味がない感じだったという。中国重視を顕在化させているわけだ。これも分かっていたとはいえ、ショックだ。

日本がまさに「失われた20年」を過ごしている間に、中国はアメリカにも認められる国になっていたことを改めて認識させられた話だ。東大もエールとは提携できたが、ハーバードはまだだ。次にハーバードが分校を設置するとしたら、インドのムンバイだといわれているそうだ。

日中逆転?ー今は中国人が日本の一等地の不動産を買っている

日本のバブルも今は昔、20年前のことだ。当時私はアメリカに留学中で、よくニューヨークに行っていた。ロックフェラーセンターを三菱が買ったとか、そういうことが日米摩擦のもとになっていた。今は日米摩擦などもなく、いたって平穏だが、これはアメリカが日本を相手にしていないだけのこと。今のアメリカの標的は間違いなく中国だ。


昨日、ある中国の実業家にお会いし、日中逆転を肌で感じた。日本の一等地の不動産を買いたいというのだ。これはまさに、20年前に日本人がハワイなどでやっていたことだ。当時は経済面で日米逆転したと日本人は思っていた。それも長くは続かなかったが。


今年はいよいよ、GNPで日中が逆転する。日本は世界第二の経済大国の地位を中国に譲ることになる。信じられない気もするが、向こうはここ10年以上、10%成長を続けてきたのだから仕方がない。日本はゼロ成長だったのだから。残念ながら、今後の再逆転は不可能のような気がする。


でも歴史的に考えてみれば、日中で日本の国力が上だったのは、ここ数十年だけだ。単なる例外の時期だったと見れなくもない。中国は元と明の時代には世界一の大国だった。古くは唐の時代もそうだったかも知れない。都の長安には世界中から人が集まっていた。


日本の低成長が続けば、あと10年で日中の経済格差は2倍になるだろう。意外に早く、中国経済が世界一になるかもしれない。アメリカの研究者も2030年には政治的にも米中が逆転する(世界の覇権国はアメリカから中国へ移る)と見ている人もいるが、その時に日本がどうなっているか、心配だ。たかだかあと20年後だから。

昨日の日経新聞コラム「春秋」の「経営者が小粒になった」についての一考

昨日の日経コラムには、最近の経営者が小粒になったと、「ある経済団体の元事務局幹部」が語ったとある。これはおそらく三好正也(元経団連事務総長、当協会理事)の発言だと思われる。三好は雑誌「経済界」で名経営者についてのコラムを連載中だ。


確かに、かつては「財界4天王」と言われた綺羅星のような名経営者であり、政治にも物が言えた財界人がいた。

最近は全くいないどころか、政治との距離は開くばかりだ。土光敏夫のような財界人がいれば、先日のトヨタの公聴会のときのように、ある大企業が困ったときには政治にもバックアップを頼むこともできたはずだ。


日本一の企業が窮地におちいり、アメリカの議会で問いつめられるときに、政権与党の幹部が「一企業のこと」などという国が先進国であるだろうか。アメリカなどは大統領の外国訪問にビッグ3のトップが同行して売り込みをすることなど、当たり前のことだ。アメリカ国民もこれを国益のために当然と見て、「政財の癒着」などという批判は出ない。


本当になぜ、大物経営者がいなくなったか、私などには分からないが、これは経営者だけの話ではない。政治家でも学者でも大物が少なくなった。それで日本自体の国力が衰えているのだから、捨てて置けない問題だ。間違いなくいえるのは、日本人にハングリー精神がなくなったことが1つの大きな原因だろう。


大物がでる風土を今一度取り戻したい。そういう中で若者に期待したい。

MITとボストン大同窓会にも顔を出すー卒業していないものの

私はアメリカの2大大学(ハーバード、エール)の日本同窓会によく参加しているが、卒業していないのに関与している同窓会がある。MITとボストン大だ。なぜかというと、MITはハーバードに在籍しているときに「授業」を受けていたのだ。サムエルソンやソローといったノーベル賞学者がいたためだ。MIT日本同窓会の準会員になっているのだ。


ボストン大はたまたま知っている人がいる関係もあるが、こちらは「歯科病院」に通院していた関係もある。アメリカにいる間、歯の矯正をしていたのだ。ボストン大と東京歯科大が提携関係にあり、東京歯科の大学院生がボストン大に何人もいたのだ。この関係でボストン大の歯科病院にはお世話になった。帰国後は水道橋の東京歯科大病院に世話になったのだ。


MITは日本ボストン会の元会長の佐々木浩二さんが昔、日本同窓会の会長をしていた。基本的に理系の大学だが、経済は有名だ。綺羅星のような有名教授がいて、教授の質では明らかにハーバードより上だった。またアメリカの大学は結構異動があり、1990年エールにいたときの経済学部の有名教授であるステファン・ロスが2002年にはMITに来ており、12年ぶりの再会を果たした。


これらの日本同窓会には、当然一角の人物もいて、ハーバード、エールとは違った雰囲気もある。自分の幅を広げる意味でも時間が許す限り出席することにしている。

民主党副幹事長の解任問題ー組織ではどこでもあること

マスコミに対し小沢一郎批判をした副幹事長が解任された。奇異な話のようだが、これは「組織」あるいは「サラリーマン社会」ではどこでもあることではないか。民主党も1つの会社と同じなので、会社として考えると身近なことのように思える。

いわば民主党はワンマン企業だ。小沢一郎には誰も逆らえない。これは社長(鳩山首相)にとっても同じだ。会長(小沢一郎)には何人たりともかなわない、よくあるオーナー系企業だ。オーナー会長はあまり表には出てこない。しかし、お側用人柳沢吉保のような人がどこの組織でもいる。会長の意向を組んで動く男で、民主党の場合は筆頭副幹事長だ。

ワンマン企業の場合は、お側用人のような男がそのワンマン会長の威光があるうちはドンドン出世する。あるいは普通の大企業でも力のある社長の有能な秘書は出世する。その「有能」のポイントは、社長、会長から言われる前にその意向を正確にとらえ、実行することだ。今回の場合はそれが筆頭副幹事長で、こういう人はドンが生きている限りは出世する。

皆さんの会社でもこういう人はいるのではないか。経団連事務局のような小さな組織でもこういう人はいた。自分がついたボスが出世すれば自分も役員になれ、そうでない場合は自分も一緒に退任だ。だから、誰につくかを決めるのも組織に生きるサラリーマンの能力なのだ。政治家だったらよりこの能力は問われるだろう。

今回の副幹事長解任でマスコミは大騒ぎしているが、組織ではどこでもあることであり、民主党だけを特殊扱いするのはおかしな話だ。

銀座の地価が大きく下落ーブランド店も撤退し銀座のよさがなくなる?

今日、本年度の地価公示があった。中でも衝撃的だったのは銀座の地価下落率だ。1年で25%も落ちているという。従来は銀座だけは下落率は少ないことで知られていたが、状況は全く逆になった。


1つは銀座からの高級ブランド店の撤退だ。ベルサーチなど名だたるブランド店が撤退しており、おそらく今後もこの動きは続くだろう。彼らの重点地域はもはや東京ではなく、上海だからだ。代わりに、ユニクロやH&Mといった大衆店が進出してきたのだから、賃料は当然下がる。地価も下がるという構造だ。


このままの流れだと、銀座が渋谷化してしまう。今でも、銀座だったら飲み屋も高くて仕方がないなと誰しも思うが、ここが渋谷のような場所になったら、飲食店も料金を下げざるを得ない。その結果、賃料も下がり地価も下がるという負のスパイラルに陥る可能性もある。もちろん銀座商店会ではこの辺りの対策も考えているだろうが、時代の流れを止めるのは容易ではないだろう。


そもそも、銀座が渋谷、新宿のようになったら「銀座」の意味はない。東京に住む人にとっても全くいいことではない。繁華街それぞれ特徴があってこそ、東京に住まう人間の選択肢が広がる。


大学時代に大阪出身の男が言っていたことを思い出す。大阪は「キタとミナミ」しか繁華街がないが、東京はそれに匹敵するところが10くらいあるのでおもしろい、とのことだった。これが首都東京の魅力であり、東京に人が集まる1つの理由だろう。それどころか、外人にとっても日本の代表地は銀座なのだ。ニューヨークの書店などにおいてある日本の絵葉書は、「銀座」一枚(強いていえばこれに富士山)であることも多い。銀座のよさを残さねば、東京あるいは日本のよさ、魅力も激減することが心配だ。

ホリエモンに見る「本当の富裕層」との違い

富裕層ビジネスで成功している人は、洋の東西を問わず少ない。それは富裕層ビジネスの難しさにあるが、いくつもの高いハードルがあることは確かだ。マーケティングの先進国アメリカでさえ、富裕層は一番難しいマーケットと位置づけ、その成功への定石など誰もクリアに説明できないのが現状だ。


まず、最初のハードルは「富裕層はどこにいる」というテーマだ。当然のことながら、ターゲットがいないと何の商売も成立しないが、富裕層に限ってはその特定がまず難しいのだ。アメリカの富裕層研究家として知られるトーマス・スタンリーも「世の中の人は富裕層のふりをしている人に営業をして多くの時間を浪費している」と指摘している。でもこれは決して笑えない話だ。


最近、またホリエモンが注目を集めた。わずかに残った資産(約30万円)を差し押さえられたからだ。一時は日本一の金持ちと豪語し、マスコミに豪遊しているところを撮られたりしていたことは記憶に新しい。でもこういう「自己顕示欲の塊」の人は、トーマス・スタンリーがいうように富裕層ではない。富裕層のふりをしている人だ。


でも世間の人は「本当の富裕層」を見たことがないので、マスコミで派手な消費を顕示する人を富裕層だと思い込んでいる。だから、富裕層ビジネスがうまくいかないのだ。本当にお金を持っている人はマスコミでそんなことをひけらかしはしない。ただでさえ、営業をされることを嫌う人々なので、絶対に表に出ることを好まない。


以前、某出版社から、本当の富裕層を実名入りで紹介した本を書いてくれ、と提案されたが、さすがに誰も実名で出てくれる人がいなくて没になった。表に出ない人を紹介する企画は、確かにおもしろいのだが、自己矛盾があるのだ。それでも、何らかの方法で、本当のお金持ちのことを世に示したいものだ。99%の人が誤解をしている状態は決していいこととは思っていないので。



日比谷高校の躍進ー東大合格数は倍増だが留学する人は少ない

この時期になると受験の話題が何かと多い。私の周囲でも結構、東大合格者が出てきているが、近所の日比谷高校は都立の中で受験重点校になったせいか、結果を出しているようだ。もっとも、OBの中には日本郵船の草道さんのように、日比谷の予備校化には反対している人もいる。


また灘高の東大理Ⅲ合格者の突出ぶりも話題だ。2割以上が灘出身なら大学に入っても高校の延長のようなものだろう。先日、エールクラブ(日本同窓会)で会ったS君などは、その灘でトップだったというから理Ⅲに入ってもつまらないと考え、アメリカの有名大に行こうと考えるのも納得できる。もっとも、その灘でさえ、エールに合格したのは4年ぶりだというから、エールの学部の難しさもまた突出しているのだろう。上には上がある。


まだまだ、日本の有名高校のトップがアメリカの有名大学に入る数は少ない。どうしても「英語」が壁になってしまう。日本の受験英語は「話す」ことが手薄なので、なかなか面接をクリアできないのだ。学部レベルの受験生の面接は日本同窓会でやっているのだが、私などは「手伝え」と言われても英語が話せないので、いつも体よく辞退している(泣)。


実際にエールに受かった高校生は皆、英語を話すのには不自由していない。外国経験がなくてもだ。今ではエールやハーバードの卒業生で(帰国子女)、高校生の進学指導をしている人もいるからだ。確かに、人生の中で一番伸びる大学生の時代に、日本の大学でぼんやりしていた人と、アメリカの大学で異文化や英語に苦しみながらも鍛えた人とでは4年間でかなりの差が出るだろう。


留学した人はそれを身にしみて分かっているので、学部レベルでアメリカに行くことをすすめる。私も自身が20代後半で留学し、もっと若いころ来ればよかったという実感があったので、相談があると進めるのだが、実際には相当なスーパー高校生でないと有名どころは受からない。向こうは大学格差が大きいので、誰でも入れる大学も多いが、それだと得るものも少ないというジレンマもある。卒業後、日本に帰国してから就職で困る。


教育にも進学にも、全く正解はないが、若い人に伸びる環境を提供するのが中堅の大人の義務だとは感じている。










トヨタ「プリウス」の急加速問題で、やはり便乗者が出てきた

豊田社長がアメリカ議会で「謝った」映像を見ていやな気がしていた。アメリカで「謝る」ことは「補償もする」と受け取られるからだ。それを見たアメリカの下流の人(上流の人ではなく)はでっちあげで補償をもらおうと考える人がたくさん出てくると予想していた。結果はやはりだ。


他方、アメリカ社会は証拠がないことを言ってはいけない(訴えられる可能性もある)が、証拠がなければ補償もされないという、ある意味フェアなルールがある。実際の急加速の原因は「ブレーキとアクセルの踏み違え」が多いと思われるが、それでも言ってみるのがアメリカ的な訴訟社会だ。これは大きく日本とは異なる点だ。


だからアメリカで何か商売をやるとなると、結構難しいのだ。もっとも、これはアメリカ人が日本で商売をするのが難しいと言っているのと同じで、国によって商慣習が違うのだ。その国に合わせなければいけない。


トヨタは、本当に不具合があったもののみ補償し、でっち上げで補償を取ろうとしている人(多くは借金を抱えている)は厳しく排除すべきだ。ここは本当に厳格にやってほしい。日本一の企業だったらアメリカでも毅然としてほしい。そうでないと他の日本企業まで被害を受けるのが目に見えている。


アメリカ人もトヨタのよさは知っている。私がアメリカにいた1990年には、日米貿易摩擦が厳しい時代だった。アメリカでも随分日本たたきがあったが、日本製品や日本は嫌いでも「トヨタだけは買う」というアメリカ人に何人も会った。確かにあんなに広い国土で人口密度も低い地域が多いので、そこで車が故障したら、まさに命とりになる。


だから、今でもアメリカ人は多少値段が高くてもトヨタを買うと思うのだ。ここはトヨタの正念場だ。