エール大がシンガポール国立大と新大学設立へー日本は素通り
今日、エールのレビン学長から一通のメールがきた。シンガポール国立大学と新大学を設立し「アジアにおけるモデル」にするという内容だった。エールは2年前に東大と学務提携をしたが、アジアにおいて東大と何かをするわけでなく、シンガポールの大学と組むことにしたというわけだ。大変残念な話だ。
思えば、ハーバードもアジア初の分校を上海につくった。これも日本は素通りだ。日本が改革が遅れ、経済的にも落ち込んでいく中で、アジアの中心は日本から中国、シンガポールに移っていくことを実感させる事実だ。今回の大地震後の原発対応で日本の国際的地位はさらに下がった。日本は科学技術は世界のトップクラスだと自負していたが、それがもろくも崩れた。
これから日本および日本人は何で生きていったらいいのだろうか。早く自分たちの比較優位を探していかないとこの国は大変なことになるだろう。それを政治に任せてもムダだ。菅首相をはじめ、日本より自分の地位を守ることしか考えていない人々ばかりだ。菅首相が地震翌日に原発を視察するとは、自身のパフォーマンスにはいいが、原発で働いている人にとってはそちらの迎えの準備が優先になる。それが今回の事故の初動の遅れにつながったことは想像に難くない。
日本は何もかも問題だらけの国になってしまったが、今回の震災、事故で落ちるところまで落ちたという見方もできる。これからは少しでも日本の地位を上げるために、終戦時に戻ったつもりで(その時のことはわからないが)私も一から始めたい。
原発処理に見る日本の「縦割り」-欧米に比べ遅すぎる処理
今回の原発処理を見ていて、おそらく日本人の誰もが「何箇所で同じことをしているんだ」と感じているだろう。東電はもちろんのこと、経済産業省の原子力安全・保安院が会見し、同じことを枝野官房長官が説明している。はたまたマスコミも各局が同じ報道をしている。報道だけでも「一元化」できないかと思っているのは私だけではないだろう。
ことほど左様に、日本は未だに社会構造がおそろしく「縦割り」なのだ。取りまとめ役を決めて、皆がそこに情報を集中させることはできない。まずは「誰がとりまとめるか」が決まらないのだ。そこで関係者がそれぞれ自分のテリトリーでできることをしている。結果として、連携が取れずに20日くらい経った今でも、解決の道筋ができていない。
あの忌まわしいチェルノブイリやスリーマイルでも、こんなに時間はかかっていない。彼らは国家が一元的に担当を決めて、そこに皆が協力するという体制があるのだ。技術大国日本も、縦割りの弊害により国際社会での評判も落としてしまった。
私が「ファミリーオフィス」を始めたのも、日本社会の縦割り体制に風穴を開けるためだ。縦割りの弊害は戦前から言われていたが、「横割り」の実例が日本ではないため、縦割り打破への手本がないのだ。「ファミリーオフィス」とは、まさに欧米的な横割りの例だ。こういうものが日本でも広まれば、長年の悪習を打破する突破口になるうるのだ。
今回のような大事件が起きたときこそ、日本社会の病理を根本的に直すことを考える時だ。
経団連が法人税減税を放棄ー空気を読んだか
日本全体が大変な時なので、今は「空気を読む」ことが重要になっているようだ。最も空気が読めなかったのはプロ野球のコミッショナーだったが、このドタバタを見て皆が空気を読むようになったのだろう。今日は経団連会長が法人税減税は結構、と表明した。
経団連にとって、今時点での存在意義である法人税減税をあきらめるのは相当葛藤があっただろう。しかし、今の世間の雰囲気は法人税減税どころではない。しかも、東電、東芝、日立といった今回の事件の関係企業は言うまでもなく経団連の主要企業だ。ここはおとなしくしていなければいけない。
トップの判断なので経団連事務局は何も言えないが、昨年末に必死に減税を勝ち取った(と思った)担当者の落胆は相当なものだろう。長く税を担当している人もいるので、その方の落胆の顔が浮かぶ。しかし、さすがにこの状況では仕方がないだろう。
今は、お金があると思われている人には寄付の圧力がかかり、国会議員も歳費を減らされる時だ。また復興も軌道に乗ってくれば、今回分くらいの法人税減税も実行されるだろう。今は東 電も批判されているが、東京圏は東電がなければ経済活動も我々の日常生活も成り立たない。日本は企業が元気にならないと国全体も元気にならない。
今日の米倉経団連会長の決断には1票を入れたい。
日本人は世界で一番ファミリービジネスが好き?-ある専門家の話
昨年末にあるファミリービジネスの団体の方から、そもそも日本ではファミリービジネス(同族企業)の印象が悪いので同族であることを隠す企業も多い、という話を伺った。その時からずっと私は、「この状況を何とかしなくてはいけない」と思っていたのだが、先週、またあるファミリービジネスの専門家から違った角度の話を聞いた。
確かに、チャンドラー初め世界の経営学者は20年ほど前までは、ファミリービジネスに否定的だった。日本のファミリービジネスのオーナー達もこの意見に反論していた時期もあったという。ところが、最近は「ほっておく」傾向にあるという。消費者側の別の傾向がむしろ重要視されているというのだ。それは、日本の消費者は世界一ファミリービジネスの商品が好き、ということだ。
言うまでもなく、ヴィトンやグッチ、フェラガモ、ZARAなど、日本人が好きなブランド品は全てファミリービジネスの会社がつくっている。こういうブランド品を世界一買うのは日本人だ。もし本当に日本人にファミリービジネスへの偏見があるのだったら、こんなことはない。またより卑近な例として、我々は菓子折りを持っていくときに、スーパーの羊羹ととらやの羊羹とどちらを持っていくだろうか。相手の印象を考えて100人が100人、とらやの羊羹を持っていくだろう。
もちろん、この前提には、こういう商品がファミリービジネスから生まれるということを全ての消費者が知っていなければならない。しかし、「ほとんど」知っていると考えていいのではないか。となると、日本人はマイナス面もあるものの、多くの人がファミリービジネスのことを好きで受け入れていると考えてもよさそうだ。
ハーバードでの私の指導教授でもあったジョゼフ・ナイは「ソフトパワー」という言葉をよく使うが、まさにファミリービジネスは「ソフトパワーがある」といえそうだ。そういう前提だと、もはやファミリービジネスのイメージをよくする努力はあまり必要ないことになる。私もここしばらくは、「ファミリービジネスはなぜ強いか」という、まさに今アメリカのビジネススクールで盛んな議論を、日本企業のケースで研究するのがよさそうだ。
原発危機で日本の技術力を証明ー「アポロ13」の再現のよう
日本が今日でも誇れるのは科学技術だろう。特に原子力の技術は高いといわれる。今回の原発危機でその真価が問われているといってもいいだろう。こういう時にはいろいろな風評が立つが、今日の動きを見る限り、かなり危機は回避されたという感じだ。
状況はかなり違うが、国家的危機という意味では「アポロ13」を思い出す。これもある意味、国家の威信をかけた戦いだった。3名とはいえ、宇宙飛行士がどうなるか世界中が注目した。アメリカは技術の粋を集めこの苦境を逃れ世界を感動させた。
今回の原発はそれよりも人的な影響は遥かに大きい。一時は地方に逃れる人まで出てきたが、終息に向かいつつあるようだ。消防庁や防衛庁、文部科学省、経済産業省、東電と関係者も相変わらず縦割りになっていて心配されたが、大きな混乱も出ていないようだ。
ここでこの危機を乗り越えれば、技術大国日本を再び世界が認めることだろう。まさに日本にとっては今日、明日くらいが正念場だ。GNPでは中国に抜かれたが、まだまだ技術力では中国やアメ リカにも負けないところを見せてほしいものだ。
東電はどうなるのかー硬い組織がどこまで踏ん張れるか
東京電力といえば、平岩会長を初め経団連の会長、副会長を常に出している産業界では名門企業だ。私も経団連で働いている時には常にお世話になっていた。特に最初、環境問題を担当しているときに非常にお世話になり、企画部の方には非常にご指導頂いた。留学する前には南さん(後に社長)に壮行会も開いて頂いた。
イメージ通りに硬い組織で5万人の社員のうち特別なエリートは企画部に集まる。企画部でお世話になった方はほとんど役員になっているから驚きだ。南さんは社長になったし、副社長、常務などを輩出している。一応、経済産業省の管轄下にあるが、同省のエリートとも企画部の方は対等に渡り合っている。
経済産業省も役所なのでヒエラルキーもあるが、東電の方がもっと厳格だ。すべてにあいまいなままでは、上に話がいかない。今度の原発の事故でも、東電広報の話が何かはっきりしないのは、あいまいなことは決して口にしない社風からだろう。また原発は特にそういう要素が大きいものだ。
私も原発については、東電の方から折に触れいろいろ教えてもらったが、概ね「絶対安全」、ということしか聞いていなかった。今回の事故でこんなにも脆いものだったのかと驚いた。冷却もすぐにできると思いきや、手間取っていて、大事故にならないか心配だ。こんなことでは原発が日本ではもう作れないどころか、稼動も止まってしまう。いまさら火力や水力というのも時代に逆行する。
今は福島原発に50人しかいないということで、そんなことで日本が守れるのかと心配になる。何とか冷却を成功させて、ここは責任を持って以前の東電に戻ってほしい。これは一企業の話ではなく、世界が注目し、全世界の経済にも大きく影響しているものすごい話なのだ。
長期投資の危うさー株価崩壊は「100年に一度」ではない
今日、長期投資のカリスマ、澤上篤人さんからメールがきた。昔の「長期投資仲間」に出したもののようだ。曰く、「今こそ長期投資家の出番」だと。2年前のリーマンショックの時もそうだった。こういう株価急落は今後は「100年に一度」ではなく、「2、3年に一度」起こると私は言っているが、このタイミングで来るとは思いもよらなかった。
原因が「大地震」およびそれに続く「原子力発電所事故」では予測もできない。当初、東北地方だったら東京は無傷なので阪神淡路大震災のように株価にはほとんど影響ないと思ったが、発電所をやられたらこれは経済活動に大きな影響がある。この影響がアジア各国の株価に大きく響いた。
明らかに経済構造がバブルのときとは異なっており、株価急落の危険性は大きくなっている。株を長く持っていることは、その危険をまともに受けることになる。だからこそ、私は「今後は長期投資はだめだ」と主張しているのだ。それではどうしたらいいかだが、これは誰にもまだ回答がない。多分、永遠にないだろう。投資必勝法は永遠に見つからないものなのだ。
だから、皆、旧態依然の「長期、国際分散投資」を唱えているのだ。当の本人たちもこれではマズイことに気づいているだろうが、代替案がないため同じことを言っている。でも、この方法で素人が自分の虎の子を投資すると、ほどなく今回のようなクラッシュに当たり、ほとんどの財産を失うことになるのだ。信用でもやって逆にきたら、本当に今日一日で全財産を失うだろう。
株式投資をするには、自分の大事な時間も使うし、気にもなる。本業に影響があるだろう。しかも、長く投資をしていると今後はクラッシュに会う可能性が高いだろう。多分、2,3年に1回くらい、原因はいろいろだろうが今回のようなことは起こるだろう。となると、株式投資は時間も使ってお金も失うという最悪の行為になってしまう。
もちろん、何十人かに一人は株式投資やFXで儲ける人もいるだろう。その人でも長く続けていると「一回」クラッシュにあたれば全てを失う。今の環境下で、一時的には儲けても、そこで勝ち逃げしない限り、最終的に投資で成功するのは相当難しいと思われる。このことを分かっていて、趣味でやるとかならいいのだろうが。
漢字の読み違いは誰にでもあるー今村文彦東北大教授の場合
日常生活で、長年、漢字の読み方を間違っていることはよくある。仕事をしていると、時々指摘され、ひどい場合は上司から怒られることもある。金曜日に突然、テレビ朝日の地震特集に登場した今村文彦君とは甲府一高の同級生で、2年生の時に同じクラスだったが、彼には強烈な思い出がある。もっとも当時はクラスでも目立たない男だったが。
古文の時間に「額田大王」を彼は「ぬかたのおおかみ」と読んだのだ。まあ勘違いだ。でもそのころから「こいつは大物になる」と個人的には直感していた。今回の地震はどうやら1000年に1回の規模らしいが、彼はそれを「古文書」で探したという。これは「こもんじょ」と普通読むが、今村君は「こぶんしょ」と言っていた。面目躍如だ。
多くの視聴者がこの読みの間違いに気づいたと思うが、私は特に「いつ何が出るか」に気をつけていた。これは生放送の宿命でどうしようもない。彼の場合、宮城で地震が起きたときにテレビに登場する男なので、常に生放送だ。しかし、東北大なのに金曜は東京にいたということで、その辺も独特の勘なのか、よくわからない。
今回は東京もひどい目にあっており、二度と地震などイヤだ。10年に1回今村君の顔をテレビで見るが、彼の登場は今後ない方がいい。本人も研究しているほうが面白いのではないか。そういう男だ。
石原知事の出馬の是非ー東国原には任せられない
昨日、石原都知事が立候補を表明したらしい。これも全て大地震で注目もされないが、大きな話だ。その理由が「東国原には任せられない」ということだ。これには賛成だ。石原がでないと本当に東国原が都知事になったようだ。東京都民もこれではまずい。
東国原は宮崎を愛するとか言って途中で投げ出した男だ。しかも都知事か国政の方が自分が目立つという計算だ。これでは師匠のビートたけしも応援はしない。反官僚をうたっておきながら自分の後任に自治官僚出身の河野氏を選んだことで、その見識のなさが分かる。もっともお笑いタレントに見識を求めるのが無理な話だ。
おそらく、石原慎太郎は松沢さんが当選するのだったら、ここで身を引いただろう。しかし、状況は東国原有利ということで翻意したのだろう。松沢さんも神奈川で もちょっと人気がないということを後援会の幹部から聞いた。よくは分からないが、また4年間石原都政が続くのだろう。
それでも新銀行東京の話や築地移転の問題は庶民には納得いくことではない。東京オリンピック誘致で不透明なお金を使ったことなど、石原氏も旧来型の自民党政治家の一人だ。それでも彼もタレント候補的な人気があり、何と言っても弟が裕次郎というのは強い。
今のままで東京がよくなるとはとても思えないが、石原知事に変わる存在がいなければ仕方がない。それにしても日本は優秀な人が今は政治家にはならない。まずはここを直すのが先決だ。
大地震で菅内閣は延命ー日本にとっては最悪の状況に
昨日の大地震で皆一瞬は忘れているが、菅総理は外国人からの献金問題で来週中にも辞任に追い込まれる状況だった。ところが、大地震が一瞬にしてこの状況を消し去った。ここでポイントを稼げば、菅政権は延命する可能性すら出てきた。しかしこれは日本にとって最悪だ。大地震がそもそも最悪だし、日本の株価も下がる。
こういうことは、阪神大震災でも実は起きていた。私が当時担当していた 宇宙開発で、今はもう誰もが忘れている打ち上げの失敗事件があった。個人的には忘れもしない1995年1月に、文部省の宇宙科学研究所が「EXPRESS」という衛星を打ち上げた。私も鹿児島の内之浦まで見に行ったが、これが失敗したのだ。翌日の新聞では各誌大きく取り上げた。しかし、これが二日続くことはなかった。翌日に阪神淡路大震災が起きて、皆の目がそこに行ったからである。
でも、宇宙開発にとってはそれで世間の批判を逃れたことは決して良いことではなかった。反省の機会が失われたからである。菅総理もそれと同じことにならないように願うとともに、我々もきちんと違法献金問題については追求しなければいけない。地方選で民主大敗し、辞任になるとは思うが、生気を失った菅総理に日本を任せられるほど、日本は余裕がない。今度の大地震でそこは誰でも実感するはずだ。