浜田宏一教授も日本の詰め込み教育に苦言ー記憶力だけでは何もできない
昨日はエール進学予定の若者と報道関係者とともに、浜田教授にお会いした。今は浜田教授は分刻みの日程でダブルブッキングも起きているそうなので(同時に4名とか)、朝、確認の電話を入れた。内閣官房参与になる前はこんなことは無かったのだが、本も30万部売れるようになると、東新ハイスクールの「今でしょう」講師並みの時の人になった。
過去15年にわたり日銀批判を続けてきたが、今や自分の推薦する人が総裁、副総裁になったので日銀批判は終了だ。代わりに、今度は日本の教育制度に対する長年の疑問をテーマにする感じだった。アメリカに留学した人は誰でも経験するが、日本人は自分の「覚えた」ことをズラズラ書く傾向にある。それはアメリカでは全く評価されない。
私自身も苦い思い出だが、アメリカの大学院での最初の試験でこれをやってしまった。自分では日本の大学での試験と同様、楽にAが取れていると感じた。しかし結果は、Cだった。あまりに驚き教授に「なぜだ」と問い詰めると、むしろ教授は「なぜ疑問を持っているのか」という感じだった。要は、書いてあることは正確で君の記憶力の良さは認めるが、自分の考えが全く書いてなく、Cでも甘くつけたと言われたのだ。
これは結構ショックだったが、日本人留学生はほぼ同じことを言われていた。日本の教育のおかしな点が指摘された気分だった。浜田教授も最近はよく言われるようになった「東大までの人」につぃて厳しい意見を持っていた。記憶力がよくて東大に入れても、社会に出てから「何もできない」人が多すぎるというのだ。
大学に入ってから遊んでいる日本人と、大学に入ってから自分で深く考える訓練をするアメリカ人とでは4年間に相当大きな差がでるというわけだ。私も留学生活でこの差は大きいと愕然とした思い出がある。しかも、その前の中高時代に記憶ばかりさせられる日本の教育と、考える力を重視するアメリカの教育との差もある。
ただし、この問題は「言うは易し、行うは難し」の典型で、文部省なども昔からいろいろと考えてはいる。ただし、それが「ゆとり教育」の大失敗に終わったり、むしろやるだけ悪くなる日本の現状は絶望的に思える。もっとも、教育は国際的に開かれているのでどんどん留学すればいいのだが、語学や経済的な壁もあり、誰でもというわけにはいかない。まずは国内の教育システムを改革するのが先決だ。
その意味で、浜田教授には、日銀問題の次は教育問題にメスを入れ、「学界のハマコー」の名を轟かせてほしいものだ。
日銀の歴史的政策転換で日本はどうなるのかー浜田宏一教授は「壮大な実験」と
4日の日銀政策決定会合の結果は、多くの日本人のみならず外国人も驚かせたのだろう。その後の為替や株の動きも記録づくめだ。また、国内でも浜田教授(学界のハマコー)の唱えるリフレ派と反リフレ派の論争も盛んになってきた。気になるのは、全て「学者」の間での論争になっていることだ。
特に日本の学者は「一回も企業で働いたことがない」人が圧倒的に多い。だから、麻生さんではないが、実体経済のことは分かりようもない。紙の上の理論で「こうなるはず」の連続なので非常に危うい。アメリカの教授は特にビジネススクールでは自分の会社を持って経営もしている人が多い。それでもノーベル経済学賞の天才ロバート・マートンがLTCMという会社を潰し、世界経済に影響したことは記憶に新しい。
当初、黒田さんは大蔵官僚出身なのでドラステッィクなことはしないだろうと思われていたし、私もそう思った。期待を裏切り、また円高になり白川総裁と同じ道かなと考えていたが、どうもこの人は大蔵省では異端とされていただけあって、今までの日銀総裁とは違うようだ。財務省としては年功序列、あるいは旧役職から武藤さんを日銀総裁に推薦していたようだが(組織としては当然だ)、安倍さんの判断で黒田さんになった経緯もある。
今日の日経朝刊によると、昨日浜田教授は自民党に登場し、「ハマコー節」をぶってきたらしい。77歳でアメリカから帰ってきたばかりなのに異常に元気だ。政治家のハマコーと「囲碁対決をしたかった」とまだ言っているが、今日は私が若者を連れて浜田教授に会うのでハマコー節を十分に堪能したい。
浜田宏一教授に日本の若者を見てもらうー将来のリーダーに期待
最近の浜田教授は分刻みの忙しさだ。昨日はようやく電話でコンタクトが取れたが、アメリカと日本を往復していることもあり、とにかく時間がない。「あまり雑誌の取材を受けない方がいい」と申し上げたが、本人は出るのが好きなのでまだまだ受けるだろう。
浜田教授の近著「アメリカは日本経済の復活を知っている」は30万部売れているそうだ。既に改訂版まで考えているそうで、その時には213ページの「ハマコー囲碁対決」の場面は事実誤認があるので書き直させてほしい、と申し入れたところ、「お願いする」とのことであった。
昨日は浜田教授に、ある高校生に会って進路の指針を示してほしいというお願いをした。昨年から開成高校の柳沢校長の関係で、ハーバード・ブック・プライズが始まったが、目出度く第一号生がいろいろな大学に合格した。今度は「どこに行くか」という大変な判断をしなければならない局面になる。ここはさすがに私では荷が重いので、実際にハーバードもエールにも行って私よりはいろいろ知っている浜田教授にアドバイスをお願いしたわけだ。
浜田教授も、安倍政権の内閣官房参与(金融)だけあって、日本の将来のことは考えている。特に若者の留学離れには当事者意識を持っている。高校生との面談も快く引き受けてくれた。果たして彼が何を言うか注目される。
私も開成の成績トップの学生を留学に導くきっかけを作った責任があるので、既にハーバード名誉教授の吉野洋太郎先生には意見を聞いている。吉野先生はシャープな方なのでクリアカットにお子さんの例をだして、「長男は日本には興味がないのでエールに行き、長女は日本に興味があったのでハーバードに行った」とのことである。この一言で尽きているかもしれない。
要は、日本に帰ってきて就職するならハーバードの方がよく、アメリカで働くならばエールの方が評価が高いということだ。事実、学部の入試レベルはエールの方が高い。もちろんアメリカ人の発想は日本人のように偏差値の高い方にいくというものではないが、そういう評価はよく聞く。ところが、日本ではハーバードが全ての分野で世界一だと一般には思われている。留学経験者はそうではないことを知っているが、その割合は日本人全体の1%にも満たない。
ことほどさように、進路は難しいものだが、当の柳沢校長自身は常に「開成は面倒見が悪い高校なので校長は進路指導はしない」と言っている。それも一つの見識で、確かに一学年400人もいたら校長が一人ひとり面倒を見れるはずもない。アメリカの大学も同じだ。
進路はともかく、ハーバード・ブック・プライズ受賞者の中から将来の日本のリーダーが出て、日本の再生を担ってくれることを願ってやまない。
浜田宏一内閣官房参与が絶好調ーアベノミクスによる円安、株高で
最近の日本経済は本当に分からない。円安はどんどん進み、株価までもが予想以上に上がっている。来週も強含みの動きだ。この全てが「アベノミクス」のおかげだと信じられており、その提唱者である浜田宏一エール大名誉教授は既に一部から神様のように崇められている。体調がよかったら本当に「日銀総裁」になったかもしれない。個人的にはそうなってくれると面白かった。
10日付け日経新聞では、浜田教授が日経の記者に、最近イラン大使館幹部から経済制裁の緩和を求め
られたという話をしたそうだ。こんなことを記者に言うべきではないと思うのだが、現在、学界のハマコーは完全に舞い上がっていることは間違いない。だからこういう軽口も出てくるのだろう。為替も以前言っていた「95円から100円」に本当になってきた。全てが自分の思い通りに進んでいる。
日経新聞の今月の「私の履歴者」はカーラ・ヒルズであり、今思えばこの人にエールの卒業式で若干お話をしたことを、すぐに浜田教授に話した。浜田教授は大変うらやましがって、自分も卒業式に行けばよかった云々と言っていた。やはりこの人は政治家好きで、ミーハーだ。だから現在のようにマスコミに持て囃される状態は本人にとって非常に心地いいものではないか。
世の中、結果が全てなので、反金融緩和、リフレの野口さんや小幡さんの意見は表には出にくい。しかし経済は生き物なので、状況によっては反リフレ派が息を吹き返すことも十分ありうるのではないか。株も円も過熱感がある状態なので、どこかで必ず暴落は起きるだろう。それがリーマンのような大きいものにならぬことを今は祈るばかりだ。
ハーバードがいいかエールがいいかー学部による
今日の日経「私の履歴書」ではカーラ・ヒルズがスタンフォードの教授にハーバード、エールのどちらがいいか聞く場面がある。教授は明確にロースクールはエールがいいと断言したようだが、アメリカでの評価もその通りだ。アメリカ最初のロースクールであり、少人数教育を旨とするエール・ロースクールは大統領を何人も輩出している。
ところが、日本ではおそらくそういう事情が知られていないせいか、何でもハーバードが世界一だと考えている人がほとんどではないか。私もアメリカに行く前には分からなかったが、アメリカではハーバードとエールとプリンストンはどこが上でもない。全くの同格であり、学部によってどこが上かという評価がされるくらいだ。
だからハーバードでも学部によっては全米10位以下なんてところはザラにある。日本では全ての学部で東大が一番なので日本人にはこの感覚は分かりにくいだろう。ハーバードが東大でエールは京大だ、という言い方もよく聞くが、これは全くの間違いだ。
なぜ日本ではハーバードが有名なのか。このあたりの事情を、今をときめくエール浜田宏一教授に聞いたところ、「ハーバードは宣伝がうまい」ということだった。確かに、オバマという久々のハーバードからの大統領が出るとハーバードのキャンパスを使って大きく宣伝する。
実はその前の20年間、ずっとエール出身の大統領だったことを知る人は少ない。しかも2004年の大統領選(ブッシュ対ケリー)などは、エールの同じサークル(スカル・アンド・ボーンズ)出身者同士の戦いだった。アメリカ人は知っているが日本ではほとんど報道されなかった。ハーバード卒業生同士の争いだったら、ハーバードのキャンパスを使って大いに宣伝がされただろうに。
でも日本人で両方合格したら、どちらに行くかは悩ましい問題だ。少なくとも、学部とロースクールはエールの方が難易度も授業の質も上だが、日本での評価は反対かもしれない。その後の進路を考えて決めるしかない。
今月の日経「私の履歴書」はカーラ・ヒルズーエール大の卒業式で会った人
今月の「私の履歴書」はカーラ・ヒルズだ。日本が競争力があったころ、日米貿易摩擦のアメリカ側の代表であり、日本のマスメディアでも連日報道され、大統領より有名だった人だ。私の2年間の留学生活でも、この人にエールの卒業式で会ったのは忘れえぬ思い出だ。
その日は忘れもしない1991年5月27日、エールの卒業式で、当日はエールの卒業生でもあるブッシュ大統領(父)が来るということで大変な警備だった。入り口には入国時のようなゲートが設けられたため、卒業式の会場であるヤードに30分も待ってようやく入れた。その時、普通席にカーラ・ヒルズらしき女性が普通に座って誰かと談笑している姿が目に飛び込んできた。
これは声をかけねばいけないと思い、「アンバサダーカーラ・ヒルズさんですか」と聞くと、「イエス」と答えたのには驚いたが、すかさず、昨年経団連であなたに会った(見た)こと。あなたは日本でも非常に有名なことを話した。
そうすると、「日本では私のことをよく言う人はいないでしょう」とニコニコしながら言ってきた。私は思わず、「イエス」と答えてしまったのだが、近くにいた男の子二人のことを聞くと、「二人の息子をエールに入れたいので今日はプライベートで、ブッシュ大統領とともにワシントンから来たのよ」と言っていた。これではプライベートでもないと思うのだが、ともかくそれだけ話してその場を去った。
この間、わずか一分ほどだったが、不思議な感動を覚えた。その後はブッシュと握手する機会にも恵まれたが、それは全くと言っていいほど感動せず、カーラ・ヒルズと握手した感触だけが残った一日だった。もう20年以上も経つが、あの二人の息子はエールに入ったのだろうかと気になる。多分、母親と同じくエール・ロースクールを出て、ワシントンあたりで有名な弁護士か、政治向きの仕事をしているのではと想像する。
「私の履歴書」は今日、エール・ロースクールに入ったところで終わっているが、これから息子さんの話も出るのではと期待している。
武田家の正当な末裔ー武田邦信氏
最近、武田信玄の末裔を名乗る女性モデルが出てきた。今日は武田家側から明確に否定するコメントがあったそうだが、こういう詐称は本当に腹立たしい。武田という姓が一般的だからでもあるが、明治時代には「末裔争い」にもなったそうだ。結局は信玄の二男の龍宝の系統が「正当」となり、八男の信清の系統は正当ではないということで決着がついた。以前、米沢に行ったときに思わず信清の墓があった。姉が上杉景勝の正室だったので、武田滅亡後は上杉家に身を寄せていたそうだ。
先週は、その正当な16代末裔である武田邦信さんからお話を伺った。武田さんには東京での山梨関係の会で何度かお目にかかっている。先日は徳川家と武田家の因縁めいたお話をされた。何ヶ月か前の雑誌で、徳川家の当主、恒孝さんとの対談での話だ。私は読んでいたが、要は今の徳川本家は武田信玄の娘の松姫(織田信忠と婚約)なくしては存在しなかったという話だ。
さように世の中は意外なことでつながっているものだ。私も経団連で宇宙開発の担当が長かったので、ほとんどの宇宙関係者は知っているが、この中に上杉家の当主の上杉邦憲さんがいた。「はやぶさ」をつくったことで有名になったが、気さくな方で、メールの返事も早いし(メルアドはtono@・・・だった)、年賀状もロケットの絵が描いてあるのが特徴だった。
昨年秋にお会いした徳川家広さんは、翻訳家として有名だ。資本主義や金融システムへの批判をしていた。「殿」としては武士道が大事であり、お金儲けには違和感を感じるのだろう。武士は食わねど高楊枝だ。それぞれ末裔は特徴のある方ばかりだ。
武田さんはあまり癖のないタイプで、ずっと丸紅で普通のサラリーマンをされていたそうだ。きっと丸紅でも有名だったのだろう。今は名誉職をいくつかやったり、悠々自適の感じだった。まあしかし、どこに行っても「普通の人」とは見られないので、そういう苦労はしてきたと思われる。
箸墓古墳の調査で再び邪馬台国論争へー学者は客観的な「研究者」か?
先週は初めて箸墓古墳の中に調査団が入ったことが大きく報道された。もう4年ほど前になるが、この近くで「魏志倭人伝」に記された卑弥呼の宮殿に酷似した遺跡が発掘された。また、年代測定で箸墓古墳の制作年が卑弥呼が死んだ年に近いことも分かった。これで、ほぼ邪馬台国論争に終止符が打たれたかと思ったが、北九州説派(東大系)は認めていない。
箸墓には5年前に初めて行ったが、そのころは荒れた雰囲気だった。この2月の三連休にも行ったが、今度はかなり整備されている感じで、「卑弥呼の里」の看板も出ていた。地元としては「もう決まり」という感じなのだろう。素人目にも、多くの人がやはり邪馬台国は大和だったか、と感じているはずだ。
しかし、学会というところは難しいところで、完全な証拠が見つかるまでは北九州派も「参った」とは言わない。負けを認めることは自分の仕事を失うことだからだ。でも彼らは研究者で「真理の探究」を行う人ではないのか。北九州説をまだ言うなら、箸墓以上の「証拠」を持ってきてもらいたいものだ。真理よりも自分たちの面子や地位、働き口を守ろうとしているのなら、もはや学者とは言えない。
また宮内庁の古墳に対する態度も理解に苦しむ。箸墓を掘って調査すれば、何らかの結果は出てくるはずだ。北九州派からの圧力もあるのかも知れないが、卑弥呼の問題をいいかげん解決してほしいという日本人は多いのではないか。完全な確定は永遠に難しいだろうが、ほぼ確定はできるのではないか。
最近では日本の統一は意外に早かったという証拠が全国から出てきている。埼玉の稲荷山古墳と同じものが九州で発見されている等、我々の想像以上に古代の日本は発達していた。紀元230年ころに西日本が統一されていたと考えるのも全く無理がないように思える。卑弥呼は239年に魏の国王に使節を派遣しているが、これは相当な航海技術がなければできなかったはずだ。
分からない方がロマンがあると言う人もいるだろうが、卑弥呼の問題は日本の統一時期に関係する大きな問題なので、確定が必要だろう。宮内庁の方針さえ変われば、確定できると思われる。それによって職を失う「学者」が出てくるのは仕方がないことだろう。
日経も同族経営を礼賛ーアジアでも欧米でも日本でも、強い企業は同族
日本では同族企業というと非常にイメージが悪い。だから団体名でも「同族」という単語を使っていない。全て「ファミリービジネス」で統一している。しかし、このことは国際的には遅れており、日本の競争力低下の一つの原因になっていると思われる。
昨日の日経一面「アジア跳ぶ」では、アジアでの成長を同族企業が担ってきたことを指摘している。確かに我々が知っているアジアの会社、ロッテでもヒュンダイでもタタでも皆ファミリービジネスだ。実は日本でも業績がいい企業はファミリービジネスであることが多い。日経の記事でも触れているが、在任中に最も株価を上げた経営者の上位10人は、全てオーナーだ。
それでも、なぜか日本では同族企業というと、2代目のバカ息子が会社をダメにするというイメージが強い。またそういう事例があるとマスコミが大きく取り上げる傾向にある。一昨年の大王製紙がいい例で、同族企業の不祥事が起こると必要以上にマスコミは強調する。
アメリカはどうか。ハーバードビジネススクールの吉野洋太郎名誉教授に伺ったところ、アメリカでは全く逆で、「同族だからこそ責任を持ったいい経営をしてくれるので信用できる」というイメージだそうだ。よく言われる、SCジョンソン社(カビキラー等)が製品のパッケージに「ファミリーカンパニー」と誇らしげに印字してあるのがいい例だ。おそらく、欧州やアジアでも同じだと思われる。
それでは、なぜ日本だけが同族企業へのイメージが悪いのか。吉野教授によると、戦後GHQが持ち込んだ「悪平等主義」に起因するのではという仮説をおっしゃっていた。財閥解体や農地解放などで、まさに日本人の中に変な平等主義が根付いた。それから、生まれながらに金を持っている二代目に対する妬みがひどくなったのではないか。
それでも、アメリカ人でも誰でも妬みはある。しかし、アメリカ人が二代目をそれほど妬まないのは「自分たちも努力すればああなれる」という可能性のある社会だからではないか、というのが吉野教授の見解だ。他の経営学者からも同様のことを聞いたことがある。またアメリカ社会は二代目よりも自分で切り開いたベンチャー経営者を尊敬する風土がある。
とすると、日本で「ファミリービジネスが正当に評価されること」は非常に遠いことに思える。しかしそれをしないとますますアジアや欧米企業に先を越されることにもなりかねない。特に、日本経済の大きな問題ー地方の活性化のためにはファミリービジネスが元気になることが必須だ。地方にいくと大きな会社はほとんどファミリービジネスだからだ。
日本で「ファミリービジネスのイメージを向上させること」は道は遠いが、幸いこの私の活動に賛同してくれる方もいるし、今後増えてくると思われる。吉野教授も「日本経済の復活には意義あること」とおっしゃって頂いたので、非常に難しい話だが「一石を投じる」ことを目標に取組んでいきたい。
日銀総裁選びと天下り問題ー天下りは100%悪か?
日銀総裁選びが終盤を迎えている。候補もほぼ絞られているが、まだ学者なのか財務省出身者なのかがブラックボックスだ。「みんなの党」が役人出身者は絶対拒否の意向なので、学者から選ばれるのだろう。「岩田さん」が有力候補だが、岩田さんといっても二人いるのでどちらかは分からない。ちょうど「ハマコー」が二人いるのと似た話だ。
財務省出身者は武藤さんか黒田さんだが、役所の常識としては次官経験者が優先だろう。そうなると武藤さんだが、やはり天下りというところが気になる。ただ、日銀総裁という公的なポジションからして、「国民生活にとって誰がベストなのか」を考える必要があるだろう。出身は関係ないのではないか。
もちろん財務省出身だと、どうしても財務省の利益を考えるので日銀総裁には相応しくないということなら分かる。そういう理由でみんなの党が天下りに反対しているのなら、全く賛成だ。単に、全ての天下りがよくないというのは荒っぽい議論だと思われる。
確実に悪い天下りというのは、企業が規制があるので使えもしない役所OBを受け入れ、規制のお目こぼしを期待するケースだ。残念ながら実際の天下りはこういうケースが多いだろう。私が知る範囲でもほとんどがこういうケースだ。なぜか。
ある中堅官僚から聞いたが、霞ヶ関の役人の仕事は組織内や組織間の利害の調整がほとんどなので、そういうことはプロだが、その技能は民間企業では全く役に立たない、ということだ。まさに慧眼であり、経団連の仕事も同じようなことなので耳に痛いことでもあった。規制がなければ企業はそんな人材を受け入れるはずがなく、そのことは役所側も熟知しているので規制緩和には命がけで反対するのだ。
となると、企業はダメだが公的機関ならば役所時代の経験が活きることになる。そういうところへの天下りは能力がある人であるならば認めていいケースではなかろうか。ただし、正当化される人というのは今天下っている人のうち、ほんの一部だろうが。