NILS LOFGREN  「THE LONER : NILS SINGS NEIL」   2008
 
 タイトルにあるように、ニルスはニールを唄う。
 
 
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 「ゴールドラッシュ」前後からニールと親交があったニルスは
後にブルース・スプリングスティーンのバンドでギターを弾いてましたが、
やっぱ、このヒトに流れてる血はニールそのものだね。
 
 このアルバムを作るにあたって、「GOLDRUSH」時代に使われてた
ニール師匠のマーティンD-18を借りた、という力の入れよう。
 
 アコギとピアノだけのソロ・プレイ。
中には「Like A Hurricane」のような曲もアコギで静かに唄ってます。
未だにCD化されてない「TIME FADES AWAY」に収められてた
「Don't Be Denied」なんかもやってくれちゃって、
このヒト、ホント、「通」ですよ。
この「Don't Be Denied」を始め、「Fying On The Ground」、
「Winterlong」、「Wonderin'」あたりのマイナーな曲もカヴァー、
スライド・ギターで弾き語る「World On A String」なんてサイコー!
タダモノじゃぁないね。(笑)
ERIC JOHNSON  「AH VIA MUSICOM」     1990
 
 邦題は「未来への扉」。
 
 
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 あのアラン・ホールズワースが絶賛してたギタリスト。
ボク的な位置づけとしては、アランやスティーヴ・ヴァイ、
ポール・ギルバートあたりと同列のスーパー・ギタリスト。
ま、アランが頭二つ程抜きんでてるけどね。
 
 そう言えば、昔クリストファー・クロスの「南から来た男」の中の
「Minstrell Gigolo」という曲でソロ弾いてたよね。
なかなかメロディアスなソロで、「バカテク」って印象じゃなかったな。
 
 「遥かなるドーヴァー」を聴くと、これまたメロディアスなフレーズに
さりげなく速弾きで聴き手をワクワクさせちゃう。
確かこの曲でグラミー獲ってるんだよね。
 
 ルックスもいいし、4曲ほどでヴォーカルもやってるし。
「失われた大地」ではヴォーカルと併せてブルージーなギターが聴けるし、
「East Wes」はタイトル通り、オクターブ奏法を披露して
ウェス・モンゴメリーに捧げた曲に仕上げたり、
いろんなタイプの曲を書ける、というのがこのヒトの魅力だね。
RICHARD & DANNY  「INDUSTRY」     1997
 
 片やエレクトリック・トラッド・バンドのフェアポートにいたリチャード、片やアコースティック・トラッド・バンドにいたダニー、
血縁関係のない両トンプスン氏。
60年代はライバル・バンドにいて、お互い無視し合ってた、
というから、出逢いとは面白いもの。
 
 
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 オープニングの「Chorale」からして、どこかもの哀しげ。
両者の祖先世代が従事していた炭鉱が近代に廃坑になったことを題材とした
ひとつの「インダストリー」の終焉を描いたアルバムのようです。
 
 リチャードらしいロックンロール全開の「Big Chimney」でさえ、
どこか「怒り」を感じます。
かと思えば、ダニーのダブル・ベースに導かれた「Kitty」は、
フィドルやホーンも交え、ユーモラスな展開だし、
怒りやある種のあきらめみたいな心情に2人が見事に感情移入した、
といった作品ではないでしょうか。
 
 英国の産業史や労働問題には疎いのですが、怒りや苦しみみたいなものが
音から感じ取れます。
NEIL YOUNG INTERNATIONAL HARVESTERS 
「A TREASURE」
1984-1985
 
 『1984年から1985年にニール・ヤングが
インターナショナル・ハーヴェスターズと行ったライヴ音源集。
5曲の未発表曲を収録。』
 
 
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 ニール・ヤングがカントリー臭を出し始めたのは、
78年の「COMES A TIME」、80年の「HAWKS & DOVES」あたりから。その後、「RE・AC・TOR」~「TRANS」~
「EVERYBODY'S ROCKIN'」などのロックンロール~
エレクトロニク・ポップ~ロカビリー調の作品をリリース、
85年の「OLD WAYS」で再びカントリーに回帰した、まさにその頃の
ライヴ音源です。
 
 この発掘音源が陽の目を見たのは2011年になってからだから、
その時のオープニング・チューン「Amber Jean」のような
フィドルやスティール・ギターをフィーチャーしたサウンドを聴くと、
ワクワクしちゃいますよ。
その上、名盤「HARVEST」の「Are You Ready For The Country?」と来た時にゃ、70年代ファンは涙ちょちょ切れますぜ!
DIXIE CHICKS  「TAKING THE LONG WAY」      2006
 
 『伝えたいことがあるアーティストは強い。
あの事件によって、3人はより成長した。
全米で社会現象を巻き起こしてから3年、
心境を初めて、このアルバムで語る。』
 
 
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 イラク侵攻を進める当時のブッシュ政権に対し、
「ブッシュ大統領が私達と同じテキサス州出身で恥ずかしい」
とステージ上で口にしたことに端を発し、
南部や中西部の保守的なファン達からもバッシングされちゃいました。
そんな事にもめげず、「自分達は信念を崩さない」と唄うチックスの
勇気ある行動がファンの心を再び揺さぶった...
という美談めいたハナシ、いかにもアメリカらしいですね。
 
 たしかに「Not Ready To Make Nice」には
そのあたりの意気込みみたいのが感じられ、
一層逞しくなったような感さえあります。
 
 そんなポリティカルな姿勢はこっちに置いといて、
「Bitter End」のようなカントリー・ワルツ、
ケブ・モと共作のブルージーな「I Hope」、
特にこの「I Hope」はゴスペル風のコーラスが効いてるし、
後半のジョン・メイヤーのギターは、かなりB.B.を意識してるみたいで
面白いわ。
LEVEL 42  「FOREVER NOW」     1994
 
 「ハートは熱く。
小粋にホーン・セクションをアレンジした痛快ポップ・アルバム。」
 
 
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 このレヴェル42というユニット、一言で表現するなら
「コンテンポラリー・ホワイト・ファンキー・ミュージック」ってとこかな?
 
 相変わらずマーク・キングのバンドですね。(笑)
前作ではアラン・ホールズワースがギターで参加してたけど、
本作では心なしかベースの音が小さくなったような気もするな。
 
 ボクが一番好きなのは初期の「TRUE COLOURS」というアルバムなんだけど、その頃のサウンドと比べると、かなりカドがとれてポップな感じ。
ホーンもフィーチャーしたりしてるけど、ジャジーな雰囲気とか
もろファンキーとかじゃなくって、さりげないファンキーさがいいのかな。
コーラス・ワークを多用したのもポップさを増した要因でしょう。
 
 「All Over You」なんかは、
まさに「ホワイト・ファンク」と形容するにふさわしいノリの曲ですね。
でも全体的に大人しくなったのがちょっと寂しいね。
JOHN MAYALL
「DRIVIN' ON - THE ABC YEARS 1975 to 1982」
 
 タイトル通り、ABCレーベルに移籍してからのコンピレーションです。
 
 未発表音源や、82年に再びミック・テイラーを迎えたライヴ音源など、
この時期のメイオールを俯瞰できる2CDです。
 
 
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 面白いのは75年にニュー・オーリンズへ渡り、
アラン・トゥサンをプロデューサーに迎え、作った「NOTICE TO APPEAR」というアルバム。その中から4曲(1曲は未発表)が収録されてますが、
メイオール自身、トゥサンのレコーディング・スタイルに違和感を覚え、
「やっつけ仕事」で済ませた不本意なアルバム。
同年代のメイオールとトゥサン、どちらも一家言を持つ巨匠、
メイオールが永年貫いてきたスタイルをトゥサンに否定された、
というところでしょうね。
アウト・テイクとなった「It Ain't Easy」なんかは
メイオールに歌わせずにディー・マッキニーという女性に唄わせてしまった、という曰くつきのテイクで、リズムもセカンド・ライン...、
これじゃメイオール校長が怒るのも無理ないなぁ。(笑)
もちろんメイオールの意向で没テイクに。
結局そのアルバムは全10曲の内、7曲がトゥサン作、
メイオール作は2曲のみ、という屈辱的な内容となったのです。(笑)
そのメイオール作の2曲のうちの1曲「Old Time Blues」は
トゥサンの不在時に録ったテイクで、さすが御大も活き活きしており、
これぞメイオール・ブルーズ!ってとこかな?
 
 かつての教え子ミック・テイラーを迎えたライヴ音源、
ミックのスライド・ギターも健在で、校長も水を得たサカナのよう。
やっぱメイオールは「ブルーズ一筋」だね。
築地俊造 「と~とがなし」     2003
 
 『奄美大島の島うたはブルースだ!!
伝統の重さと革新の魂。
奄美民謡界の頂点、築地俊造渾身の作。
その長いキャリアで初となる本格的なスタジオ録音。』
 
 
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 なかなか面白い経歴を持ったヒトです。
1934年、奄美大島生まれで、三線を習い、
1975年、島唄大会で優勝
1978年、アジア伝統芸能大会
1979年、日本民謡大賞全国大会で「まんこい節」を引っ提げて大賞受賞
      フランスの国際伝統音楽祭に出場
1987年、アメリカのスミソニアン博物館主催「アメリカン・フォーク・ラ        イ ヴ」に出演
1997年、フランスのカンヌ国際音楽祭に出演
 
 奄美の島唄を引っ提げ、世界を股に駆けるオトコ。
 
 いきなり無伴奏で唄う「懐かしゃヤー」、
「島を離れても島唄や島の方言、島の踊りを忘れたらいかんよ!」
といった内容か。
 
 三線と太鼓などの鳴り物で唄われるのが中心なんだけど、
三線の弾き語りで始まり、ピアノとキーボードが加わり
ちょっとジャジーな展開になる「南ぬ風(はいぬかぜ)」が印象的でした。
HOLLY COLE
「SANTA BABY : LIVE IN TORONTO」
1989,1994,1995
 
 『シンフォニー・オーケストラをバックにホリーが歌うX’mas
ホリー・コール 初ライヴ・アルバム
2人の気持ちをそっと優しく包みこむ!』
 
 
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 トム・ウェイツ信奉者のホリー・コール、
ここでも「Soldier's Things」と「Jersey Girl」の2曲が収録されてます。
どちらもX’masとはあまり関係ないとは思いますが。(笑)
 
 それにしてもタイトル曲「Santa Baby」、お願い事、多過ぎるんじゃない?
「クロテンの毛皮」だの「68年式コンヴァーチブル」だの、
挙句の果てには「ヨット」や「メゾネットのアパートの契約書と小切手」だの...
BUDDY GUY & JUNIOR WELLS
「LAST TIME AROUND - LIVE AT LEGENDS」
1993
 
 2人がバディ・ガイのクラブで行ったアコースティック・ライヴ。
 
 
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 97年に病床に伏し、翌98年1月に他界したジュニア・ウェルズも
ここでのライヴ・アルバム「LIVE AT BUDDY GUY'S LEGENDS」を
96年にリリースしてます。
 
 永年コンビを組んでたこの二人も、この時点でもはや「熟年コンビ」、
盛り上げ方もツボも当然押さえている。
レイ・チャールズの大ヒット曲「What I'd Say」(と表記されてる)では
バディが刻むリズムにジュニアのハープが乗っかり、ジュニアが唄う、
バディが唄うとジュニアが絡む。
オーディエンスとのコール&レスポンスもお手のモノ。
 
 そしてバディのおそらく即興と思われるマイナー・ブルーズ「I've Been There」、ライトニン、ジョン・リー、ウルフ、マディなど、
先達のブルーズメンをリスペクトしながら回想し、
それにジュニアが絡んでくる様は、一度観てみたかったなぁ。