インスタントジョンソン じゃいオフィシャルブログ『マルいアタマをぐちゃぐちゃにする』powered by Ameba -255ページ目

エジェットの死紙

今まで何人に手紙を書いただろう?


手紙を送り始めてもう四年以上が経った。


めちゃくちゃ多いわけではない。


ファックスから送られてくるのは東京の人しかいなかった。おそらく範囲があるのだろう。


しかも、本来の寿命じゃなく突然死ぬ人だけ。さらにその中で厳選された人だけだ。


一月に一通なんてこともあった。


それでも、100通以上は送っているだろう。


実行しているかは分からないが、手紙には読んだら破棄するように半ば脅し的に綴ったので、このことは噂にならなかった。


そんなある日ファックスから流れてきた死紙を見てエジェットは驚いた。


その紙に書かれていたのは紛れも無く自分だった。


最初から決まっていた寿命が突然短縮される人なんて5%くらいしかいないんじゃないかと思ってた。まさか自分のが送られて来るなんて考えもしなかった。



驚いたが、ショックという感じはなかった。


次の日ケラースにこのことを話した。


「君もこっちの世界に来るんだね」


この部屋のおかげで、デスフィールドの知識はあって、そこが恐い場所じゃないことを知っていたので、死ぬ恐怖はさほど感じなかった。むしろ妻と同じフィールドに行けるという喜びさえあった。ただ、エジェットがライフフィールドの記憶がある可能性は少ないだろう。


エジェットは思った。もしかしたらこのライフフィールドもどこかのデスフィールドなのかもしれない。


記憶がなければデスフィールドに行っても、自分が初めからこの世界の住人だと思うだろう。


「で、手紙どうするの?」


ケラースはエジェットに言った。


「僕が死ぬのは間違いないですから。手紙も後一ヶ月で送れなくなりますね」


ケラースは少し考えて


「君を継いでくれる人を探そうか」


思いもよらなかった台詞にエジェットは目を丸くした。


「えっ?」


「君の功績をここで終わらせることはないでしょう。良店には跡継ぎが必要なんです」


エジェットは納得した。そしてそのことを望んだ。


「でもこんなことやる人がいますかねぇ?」


「分かりません。まず、どうやって探すか考えてみます」


こうしてエジェットの二代目を探すジョーカーズのプロジェクトが始まった。

レッドシアター

ライブがあって、まだ観てないです。


帰ってビデオ観てみます。

コメントありがとう。

再会

ストースがジョーカーズを去って半年、701号室に出入りするのはケラースとエジェット(徹)だけだった。

そんなある日、突然ストースが帰って来た。


「エジェット!」


彼は興奮気味で徹の名前を呼んだ。再会を喜んでいる興奮とは違う。


「ストース!どうしました?」


「喜べ!エジェット!」


何かの合格を知らせるようなテンションでストースは言った。


「真壁絵蓮が見つかった」

「えっ?」


真壁絵蓮・・徹の妻の名前だ。


ストースが玄関の方に戻り、軽くドアを開けドアの向こう側に軽く合図をした。

ストースが妻を見つけて呼んで来てくれたのだと思った。


何故か玄関からケラースが現れ、その後ろから30歳前後の女性が現れた。


ところが、現れた女性に見覚えはなかった。


妻じゃなかった。


ストースが「エジェットの奥さんだよ」と言った。


ストースが手の平で指したのは、その女性の後ろにいた4歳くらいの女の子だった。


「この女の子が?」


「真壁絵蓮さんです」


ケラースが言った。


「半年前にケラースさんに頼まれたんだ。君の奥さんを探してくれって」


「それでジョーカーズを?」


「それだけじゃないけどね」


「あのぉ」


30前後の女性が話しかけてきた。


「本当に娘の旦那さんだった人なんですか?」


徹は返事に困った。何の確証もない。


「そうです」ケラースが言った。


「私もライフフィールドの噂は聞いたことありますが、正直信じていませんでした。今も半信半疑です」


「この娘の名前は?」


「絵恋(エレン)です。」

「一緒なんだぁ」


「必ずしも一緒というわけではありませんよ。ただ、同じ確率は結構高いです。それでも30%くらいでしょう」


「あっ、僕は江連徹です。娘さんには生前お世話になりました」


変な会話だ。言いながら思った。


「僕が結婚したときに絵蓮が苗字が江連(えづれ)だとエレンエレンってなるから嫌だって言って、彼女の苗字の真壁にしたんですよ」

これを聞いた母親はちょっと驚いていた。


「私、苗字言ってないですよね」


「はい?」


「私、江連なの」


「きっと奥さんは君を心から愛していたんだろうな」

エジェットは4歳の絵恋を見て微笑んだ。意味を理解しているか分からないが、絵恋も微笑み返した。


「デスフィールドの住民の中には稀にライフフィールドの記憶がある人がいる。ストースもその一人だ。彼女がそうなのかはいずれ分かるでしょう。そのときまた再会するといいよ」


ケラースは優しく言った。

「ありがとう、ケラース」

母親と絵恋が帰るとき、ケラースは母親に何か渡していた。


おそらくお金だろう。


しかも、大金だ。


一体彼は何者なんだろう?

エジェットは改めて思った。