夢見てズレて転び続けたオレの黒歴史ノート -3ページ目

夢見てズレて転び続けたオレの黒歴史ノート

【連載】

なぁ、あの頃のオレ。
ちゃんとできへん人生の話

青春編 (64話完結済)
社会人編 現在執筆中

第1話はこちら
https://note.com/regal_wren4369/n/n802c36a0d555



◆昨日までのオレ、どこ行った


なぁ、あの頃のオレ。

昨日まで胸張って言うてたよな?

「サッカーがない世界なんて、考えられへん!」

……せやのに。

次の日には、

「やめよかな」

って思ってるやん。

ツッコミ追いつかんわ。

人生ってな、
ほんま急カーブ曲がる。

ウインカーも出さずに、
ドリフトしてくるんや。

---

◆ほんまに普通の日やった

事件が起きたんは、
ほんまにいつも通りの練習の日。

特別な予兆?
なし。

空は青い。
ボールは丸い。
オレは調子に乗ってる。

「今日も走ったるでぇ!」

そう思った、その矢先や。



◆ゴリラ先輩、現る

相手チームにおった先輩がな、
ちょっと様子おかしかった。

“先輩”って言うより、

進化の途中で人間になった
ゴリラ寄りの霊長類。

胸板は鉄板。
肩幅は軽トラ。
太ももは神社の御神木クラス。

あれ、
サッカー部やんな?

動物園ちゃうよな?

そのゴリラ先輩が、
こっち見てニヤッて笑った瞬間、

嫌な予感しかしなかった。

---

◆人生最大の水平移動

次の瞬間。

「フンッッッ!!」

ドーーーーン!!!

オレ、吹っ飛びました。

軽くじゃない。

ガチで。

人生で一番、
水平移動した日やと思う。

ケツから地面に着地して、

ズサァァァーーーッ!!

太ももズルむけ。
砂は入る。
血は出る。
涙は勝手に出る。

「……魂、今ズレたよな?」

一瞬、
自分が自分じゃなくなる感覚。

---

◆風呂場で消えたサッカー熱

でもな、
ほんまの地獄はそこからやった。

その夜の風呂。

足先ちょっと浸けた瞬間──

「ぎゃああああああああ!!!!」

完全にホラー。

兄貴が

「殺人事件か!?」

ってドア開けてくるレベル。

その時や。

心の中のサッカー炎が

「ボワァァ……」

って、

一気に弱くなった。

---

◆行きたいのに、行けない

次の日から、
自分でも分かるくらい変やった。

放課後、
家の前で棒立ち。

ランドセル下ろしたまま、
空を見る。

「今日サッカー来るん?」

「……いや、今日はええわ」

言うた瞬間、

一番びっくりしたのは
オレ自身やった。

足は動く。
ケガも治りかけ。

でもな、

走りたい気持ちが
出てこない。

---

◆初めて出てきた感情

原因はケガの痛みちゃう。

「また、あんな思いするんちゃうか」

その映像だけが、
頭から離れへん。

前なら

「ボール蹴りたい!」

やったのに、

この日は違った。

「痛い思い、したくない」

その気持ちが、
勝ってもうてた。

---

◆オレ、やめるんかな

放課後、
空を見上げながら、

ふと思った。

「……オレ、サッカーやめよかな」

人生で初めて、

その言葉が
本気で浮かんだ。

声には出してへん。
誰にも言うてへん。

でもな。

あれは、
ほんまの本音やった。

“サッカーのない世界”

その扉に、

オレは初めて
手をかけたんやと思う。

---

【一言まとめ】

好きすぎたからこそ、

初めて「怖い」が勝った。

次回

サッカーから距離を取ったオレは、

別の“逃げ場”を探し始める。


前回

 ▶第18話 「サッカー中毒だった小学生のオレ」


次回

 ▶第20話「サッカーやめたのに、またボール追ってたオレ」




はじめての方はこちら👇 

【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



 まとめて読む方はこちら👇 

  【青春編まとめ】





なぁ、あの頃のオレ。


ちょっと落ち着けって、
今なら言いたい。

◆ 気づけば“遊び”じゃなくなってた

気づいたらサッカーは、
「遊び」でも
「部活」でもなくなってた。

もうな、
生きること=サッカー。
この公式が、脳内にガッツリ刻まれてた。

重症やで。
ほんまに。

◆ 朝イチで天気に感情を握られる男

朝、目ぇ覚ました瞬間に考えること。

「今日、晴れてるかな?」

天気予報?
そんな文明の利器、使ってへん。

カーテンの隙間から空チェック。
青空やったらガッツポーズ。
雨やったら布団に顔うずめて絶望。

天気ひとつで情緒乱高下。
思春期でもないのに、
情緒不安定なサッカー中毒者。

◆ 部活は最低ライン、毎日が本番

部活は月・水・土。
でもな、オレにとってそれは最低ライン。

それ以外の日?
当然、運動場。

神社は卒業。
学校の運動場に完全定住。

太ももパンパン。
階段は敵。
正座は拷問。

それでも、
その痛みが誇らしかった。

誰にも言われてへんのに、
心の中でドヤ顔。

完全に
“筋肉信仰宗教”の信者。

◆ 放課後=集合儀式

放課後になったら、
体が勝手に運動場へ向かう。

「今日は誰も来てへんかな〜」
って言いながら、
結局いつものメンバーが揃う。

示し合わせてもないのに集合。
毎回や。

「また明日な!」

明日も来る前提。
疑う余地ゼロ。

◆ 授業中、脳内フォーメーション会議

授業中?
そらもう上の空。

先生の声はBGM。

頭の中では、
フォーメーション会議が開催中。

ノートの端っこは
矢印と丸だらけ。

先生に言われる。

「おい、寝るな!」

ちゃうねん先生。
寝てへん。
むしろフル稼働。

脳みそ、
サッカー専用CPU。

◆ サッカーが消してくれた“どうせ”

でもな。
サッカーしてる時だけは、
自分の中の「どうせ」が消えた。

「どうせオレなんか」
それが、

「オレでも、いけるんちゃう?」
に変わる。

ゴール決めた瞬間の、
胸がドクンッて鳴る感じ。

今思えば依存。
でも当時は、

「生きてる!」

その感覚そのものやった。

◆ 逃げ場じゃなく、居場所

嫌なことあっても、
ボール蹴ったらリセット。

風の匂い。
砂の感触。
仲間の声。
ボールの音。

それが揃ったら、
どんな日でも立ち直れた。

サッカーは、
逃げ場やなくて、
オレの「居場所」になってた。

◆ そして、現実が追いついてくる

なぁ、あの頃のオレ。
そこまでのめり込めるもんに
出会えたんは、正直すごい。

でもな。

このあと、
その“好き”が強すぎたせいで、

現実が、
一気に追いついてくる。

なぁ、あの頃のオレ。
お前、まだ知らんよな。


【一言まとめ】
サッカーは遊びでも部活でもなく、
オレにとって「生きてる実感」そのものになっていた。

【次回】
「オレ、サッカーやめよかな事件」

――その“居場所”が、揺らぎ始める。


前回

▶第17話 「柔道なめてたら女の子に1秒で投げられたオレ」



 次回 

▶第19話「オレ、サッカーやめよかな事件」




はじめての方はこちら👇 

【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



 まとめて読む方はこちら👇  

 【青春編まとめ】






調子に乗り始めた、いちばん危険な時期


なぁ、あの頃のオレ。 


今思えば、 

あれは完全に調子乗ってた。 


 柔道、 

ちょっと勝てるようになってきてな。 


 「オレ、もしかして向いてるんちゃう?」


 ……このあと、 

女の子に一瞬で投げられるんやけどな。


◆ 男女・体重差なし!?ルールが狂ってる

小学生の柔道の試合ってな、
今思うとルールが攻めすぎてる。

男女関係なし。
体重差?知らん。
学年一緒なら、はい試合。

冷静に考えてみ?

これ、だいぶワイルドやで。

そんなある日、
オレは女の子と対戦することになった。

試合前、
その女の子がオレに聞いてきた。

「アンタ、強いの?」

……困る質問すな。

「強いで!」って言うほど自信ないし、
「弱いです」って言うのも違う。

どう返すか悩んでたら、
横におった知らん男の子が急に言う。

「この子な、なかなか強いで!」

誰やねんお前!!!
なんでオレの営業担当みたいなことしてんねん!!

すると女の子、

「え〜!?ほな初戦で負けかぁ〜」

って、めっちゃ嫌そうな顔。

……この時のオレの心の声。

(まぁまぁ勝ててるしな)
(初戦でオレに当たったん、運の尽きやな)

完全に天狗。
鼻、富士山クラス。

---

◆ 初戦?まぁ、いけるやろと思ってたオレ

試合開始。

女の子、
めっちゃ勢いよく来る。

技!技!技!

オレはというと、

(おっ、ちょっと危ないやん)
(まぁかわしとこ)

とか余裕ぶっこいてる。

すると次の瞬間。

脚つかまれた。

「あ、持たれたな」

って思った次の瞬間、
逆の脚払われて――

ドーン。

一本負け。

……は?

え?
今、何した?

オレ、何もしてへんねんけど?

女の子はというと、
めちゃくちゃ大喜び。

ガッツポーズ。
満面の笑み。

オレ?

恥ずかしさMAX。
畳に顔埋めたい。

なぁオレ。
「初戦でオレに当たったんが運の尽き」
とか思ってた自分、どこ行った?

---

◆ 優勝候補と熊

また別の試合。

今度の相手は、
何回も優勝してる有名な男の子。

身長も体重も
ほぼ同じ。

……やけどな。

心の中では、
もう負け決定。

柔道ってな、
強い人は組んだ瞬間にわかる。

「はじめ!」の合図で組んだ瞬間、

オレの脳内。

(え?)
(熊?)
(これ人間?)

何しても動かん。
ビクともせん。

でも試合やし、
とりあえず技出す。

すると――

なぜか投げれた。

技あり。

しかもそのまま
ガッチリ押さえ込み。

オレの心の中、

『勝ったぁぁぁぁぁぁ!!!!』

なぜならな、
オレは今まで
押さえ込みで逃げられたことがなかった。

優勝候補筆頭、
撃破目前。

完全に舞い上がるオレ。

---

◆ 下から聞こえる、地獄の音

すると下から聞こえてくる声。

「フンッ…フンッ…フンッ…」

低い。
怖い。

オレは思う。

(逃げれるもんなら逃げてみろや)

次の瞬間。

「フンガァァッ!!」

……え?

視界が一回転。

気づいたら、
オレが下。

キョトン。

何が起きたか
まったく理解できん。

そのまま押さえ込まれて、
敗北。

喜んだ時間、
たぶん3秒。

ジェットコースターでも
もうちょい余韻あるで。

---

◆ 決定的に「違う」と思った瞬間

その後も試合には出される。

先生は言う。

「体重増やしたらいけるで」

……それ、
根本解決ちゃいます。

そんなある日、
中学生の試合を見た。

目の前で首締め。

泡吹く。
首ガクッ。

オレの脳内。

「……死んだ」

次の瞬間。

「待て!」

普通に立ち上がる。
普通に礼する。

……え?

今、生き返った?

柔道、ガチすぎる。

ここ、
命かかってる世界や。

オレが求めてたの、
これちゃう。

---

◆ 向いてないものを知っただけ

そうして数年後、
オレは柔道を辞める。

理由はシンプル。

怖かった。

でもな。
この経験で、
はっきり分かった。

オレは、
人を投げたいんちゃう。

人と走りたい。
人とボール追いかけたい。

なぁ、あの頃のオレ。

その答えは、
最初からずっと
サッカーの中にあった。

【一言まとめ】
柔道はオレを強くはしなかったけど、
「向いてない世界」はちゃんと教えてくれた。

【次回】
サッカー部に本格合流。
ここからオレの居場所が、

少しずつ形になっていく。


前回

▶第16話
「サッカー部員のオレ、柔道着を着せられる」
▶第16話「サッカー部員のオレ、柔道着を着せられる」



次回

▶第18話「サッカー中毒だった小学生のオレ」



はじめての方はこちら👇 

【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」


まとめて読む方はこちら👇  

 【青春編まとめ】



 




※第20話まで公開しました。


サッカーにハマり始めた少年の物語、ここから加速します。


▶第1話「親の顔色ばかり見て育ったオレ」



▶第2話 「自己否定、フル装備完了のオレ」



▶第3話 「気ぃ使いすぎて、笑うのも怖なったオレ」



▶第4話 「勇気出したら、心ズタズタにされたオレ」



▶第5話 「とうとう学校を休んでしまったオレ」



▶第6話「生きるより、まず生き残ることを選んだオレ」



▶第7話「その場を誤魔化す才能が伸びたオレ」



▶第8話「正解の顔を探してたオレが、やっと息できた話」



▶第9話「気づいたら、ボールが居場所になってたオレ」



▶第10話「自分を忘れたら、オレが1番うるさかった」



▶第11話「まぐれ一発で人生狂わされかけたオレ」



▶第12話「サッカーで調子乗った結果、教室で現実に引き戻されたオレ」



▶第13話「赤点と雷と、サッカー沼への一直線のオレ」



▶第14話「月500円で7年走り続けたオレ」



▶第15話「一人でサッカー部に立ったオレ」



▶第16話「サッカー部員のオレ、柔道着を着せられる」












なぁ、あの頃のオレ。


サッカー部に入って、
「よっしゃ!これで人生変わるで!」
って、ガチで思ってたやろ。

走って、蹴って、汗かいて。
青春一直線。

……のはずやったのにな。

---

◆ サッカー部員に降ってきた謎の提案

そのテンションのまま、
オトンに言われた一言。

「柔道、行ってみるか」

……は?

なぁオトン。
今、オレ、
ボール蹴ってんねんけど。

オトン曰くな、

「個人競技はな、
 全部自分の責任やから
 人間、強なる」

はいはい。

(心の声)
いやいや、
ただ団体競技しんどかっただけやろ。
協調性ないだけやろ。
自分がそうやったからって
オレに当てはめるな。

でもな、
なぜか断れへんオレ。

流され力、
日本代表クラス。

こうしてオレは、

サッカー部員 兼
柔道初心者

という、
意味不明な肩書きを背負うことになる。

---

◆ 道場の空気、完全に別世界

週1回。
市内の柔道教室。

初日、
道場入った瞬間にわかった。

あ、ここ、
ボール蹴る世界ちゃう。

空気、重い。
湿度、高い。
笑顔、ゼロ。

先生がな、
もう完全に

「怒らせたらアカンタイプ」

眉毛キリッ。
声低い。
目、笑ってへん。

なぁオレ。
この時点で
帰る選択肢、
まだあったぞ。

---

◆ 初日から投げられる人生

でも練習、始まる。

まずは受け身。

ゴロン。
ドン。
ゴロン。

「はい、次」

次って何!?

と思った瞬間、
先生に捕まる。

「ほな、投げるで」

聞いてへん。

次の瞬間、
天地逆。

背負い投げ。

ドォン!!

受け身は取った。
確かに取った。

……けどな。

足の甲。

ズキィィィン!!

なぁオレ。
そこ、完全ノーガードや。

痛すぎて
一瞬、涙出かけた。

そんなオレを見て、
先生が一言。

「背ぇもあるし、見込みあるな」

……どこ見て判断した?

オレ、今、ほぼ瀕死やで。

---

◆ ほぼ未経験で試合出場決定

さらに追い討ち。

「来週、試合あるから出てみるか」

なぁオレ。
この流れで断れるか?

はい。
断れません。

こうして、
柔道歴ほぼゼロのオレ、
試合出場決定。

ちなみに、 

教えてもろた技。 


 大外刈りのみ。 


 以上。 


 ……なぁオレ。


技ひとつだけで 

試合出ろ言われてる。 


無茶ぶりにも
ほどがある。


◆ 試合=異世界転生

試合当日。

相手見た瞬間、
理解した。

あ、この人、
人生で柔道しかやってきてない。

体格ほぼ同じ。
頭ツルツル。
でも目が違う。

「柔道やってます感」
全身から放出中。

組んだ。

……次の瞬間。

相手、消えた。

気づいたら、
オレ空中。

一本背負い。

奇跡的に体ひねって、
なんとか有効で済んだ。

……が、
そこからは地獄。

攻められる。
耐える。
逃げる。

唯一の希望。

大外刈り!!

……スカ。

結局、
受け続けて判定負け。

なぁオレ、この時まだ、
知らんかったよな。

柔道が、
ここから本気で
オレの心を折りに来るってことを。


【一言まとめ】
サッカーの青春のはずが、
なぜか柔道で人生の受け身を取らされてた。

【次回】

「柔道って、命かける競技やったんか…?」


前回
▶第15話「一人でサッカー部に立ったオレ」



次回
▶第17話「柔道なめてたら女の子に1秒で投げられたオレ」



はじめての方はこちら👇 

【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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 【青春編まとめ】







なぁ、あの頃のオレ。

お前の一日はな、
今思い返しても働きすぎ小学生や。

◆ 働いて、走って、また走る日常

朝は新聞配達。
まだ太陽も寝ぼけてる時間にチャリ漕いで、
ポストに新聞突っ込んで、
「おはようございます!」より先に
「寒っ!!」が口から出る生活。

ほんで学校終わったら、
放課後は当然のようにサッカー。

家に帰ってきてもな、
“靴を脱ぐ”ちゃう。
靴を飛ばす。

玄関に着地するかどうかは運次第。
ランドセル?
床に放り投げ。

「ただいま!」より先に
「神社いってきまーーす!!」

……なぁオレ。
どんな家庭やねん。

もはや家は中継地点。
水分補給所。

神社に着いた瞬間、
靴下脱いで裸足。
境内入ったらスイッチON。

神社=ホームスタジアム。
賽銭箱=ゴール裏。

完全に、
サッカーが生活の中心やった。

◆ 避けて通れん「部活どれ問題」

そんなある日。
ついに来た。

「部活動、どれに入る?」問題。

クラス中がザワザワして、
「野球部入る?」
「バスケどうする?」
って話してるのに、

オレだけ心ここにあらず。

頭の中は、
夕方の神社。
裸足。
団子サッカー。

……おい、学校戻ってこい。

でも家帰った瞬間、
空気が変わる。

リビングに漂う、
野球部一択感。

兄貴は野球部。
オトンはテレビつけたら
巨人か阪神。

部屋の隅には、
なぜかバット3本。

誰が使うねん。
一家でフルメンバーか。

正直な話、
オレも思った。

「まぁ……野球部なんやろなぁ」

強い意志はない。
ただの流され体質。

◆ ひろちゃんの一言

そんな予定調和を
ぶち壊したんが、
ひろちゃんや。

一緒にアホなことして、
一緒にサッカーしてきた存在。

ある日、
ニヤッと笑って言うてきた。

「なぁ、一緒にサッカー部入ろうや!」

なぁオレ。
この一言、
心のど真ん中に直撃。

ストライクちゃう。
場外ホームラン。

「は!?そんなん決まりやん!!」

オトンの空気も、
野球の家系も、
全部ミジンコ以下。

「ひろちゃんと一緒にサッカーしたい」

それだけで、
入部届に名前書いた。

確認ゼロ。
勢い100%。

◆ まさかのすれ違い

翌日。
ウキウキで入部届提出。

休み時間、
ひろちゃんのとこへ全力ダッシュ。

「オレもサッカー部入ったで!!」

そしたらな。
ひろちゃん、
めちゃ爽やかな顔で言うた。

「オレ、野球部になってん」
「オカンが勝手に出してもうててん」

……ん?

なぁオレ。
今、世界止まったな。

胸の奥、スコーンって音したやろ。

しかもそのあと、
ひろちゃん、
何事もなかったように
プロレスごっこ再開。

切り替え早すぎやろ。

オレだけ、
一人取り残される。

誰のために
サッカー部入ったんやっけ。

◆ それでもボール蹴ったら

その日の夜。
布団の中で天井見つめて考える。

「オレ、なにしてんねやろ」

でもな、
次の日。

練習でボール蹴った瞬間、
胸の奥がズキューンって鳴った。

あぁ、
やっぱオレ、これ好きやわ。

誰がおるとか、
一緒やったとか、
もう関係なかった。

オレはオレで、
走りたかっただけや。

◆ ここからが、本番

こうしてオレは、
初めて
「自分で選んだ場所」に
一人で立つことになった。

心細かったけど、
同時に
ちょっと誇らしかった。

【一言まとめ】
すれ違ったけど、
オレはちゃんと自分で選んでた。

【次回】

次回、なぜか柔道着。


前回
▶第14話「月500円で7年走り続けたオレ」



次回
▶第16話「サッカー部員のオレ、柔道着を着せられる」




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【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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  【青春編まとめ】










なぁ、あの頃のオレ。

サッカーで毎日全力ダッシュしとったやろ。

その余ったエネルギー、
なぜか労働に回されとるからな。

誰の判断やねん。

◆ 兄貴の「働く」宣言

始まりは突然やった。

ある日、兄貴が友達と一緒に
新聞配達を始めたんや。

小学校高学年のくせに、
急に「働く」とか言い出して、
何を目指してたんか今でも謎。

ただな、
新聞配達って
早朝が地獄レベルで暗い。

特に冬。
朝5時。
街灯ポツン。
犬の鳴き声だけ。

完全にホラー。

兄貴、
たぶんビビったんやろな。

ある日いきなり、
オレに言うてきた。

「月500円やるから手伝え」

なぁオレ。
その時の顔、覚えとるで。

「500円!?!?!?」

小2の価値観で言うたら、
20億円。
石油王。
人生勝ち組。

理由?
意味?
将来性?

全部どうでもええ。
500円で即契約。

◆ 暗闇が怖い男たちとオレ

しかもな、
問題は兄貴だけやなかった。

一緒に配っとった
兄貴の友達も、
暗闇が怖い。

友達もオレに言う。

「なぁ…今日オレの方ついてきてくれへん?」

気づけばオレ、
早朝の暗闇が怖い小学生男子2名に
取り合いされる存在。

なんやこれ。
どうなっとんねん。

朝5時に
「今日オレの方な!」
「昨日お前やったやろ!」

人生で一番モテた瞬間、
間違いなくここ。

◆ 気づけば一人、残ってた

でもな、
時間って残酷や。

数年経って、
兄貴と友達、
そろって辞めた。

潔すぎる。

で、残されたのが──
オレ。

新聞屋のおっちゃんが言う。

「頼むでオレくん、このまま続けてくれへんか」

気づいたら、
契約更新。

サインしてへん。
同意してへん。
でも継続。

ブラック企業、爆誕。

◆ 小学生、7年勤務

そこからオレ、
小2〜中学卒業まで
新聞配達継続。

7年。

雨の日も、
風の日も、
台風の日も、
雪でチャリ何回もコケた日も。

なぁオレ。
誰が小学生に
こんな責任背負わせたんや。

◆ それでも走るのが好きやった

それでもな、
当時のオレは
しんどいと思ってへんかった。

サッカーも新聞配達も、
オレにとっては
「働く」やなくて
「走る」やった。

ポストに新聞入れる音。
朝焼けの空。
白い息。

気づいたら、
なんか好きになっとった。

月500円は

どう考えても安い。


まぁ途中からはちゃんと 

普通の配達代もらえる

ようになったけどな。 


最初の500円契約が

すべての始まりやった。



でもな、
オレはここで
「続ける力」
「逃げへん癖」
「自分で動く感覚」

そういうもんを
知らん間に手に入れてた。

◆ 次に欲しくなったもの

走れて、
ボール触れて、
毎日全力。

そうしてオレ、
思い始める。

「これ、もっとやりたい」

走るだけやなくて、
どこかに
ちゃんと属したくなる。

そう。
次は──
部活。

【一言まとめ】
月500円で始まった新聞配達は、
気づけば7年続いてた。
オレは走りながら、
生き方の基礎体力を作ってた。

【次回】
好きだけじゃ通用せえへん世界。
部活という名の、

もう一段深い沼が始まる。


前回
▶第13話「赤点と雷と、サッカー沼への一直線のオレ」



次回
▶第15話「一人でサッカー部に立ったオレ」



はじめての方はこちら👇
【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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 【青春編まとめ】










◆ 放課後=神社出勤


なぁ、あの頃のオレ。
ここから先、
お前の放課後スケジュール、
完全に狂うからな。

まずな、
オレの放課後は
もはや「下校」ちゃう。

神社出勤。

ランドセル置く

靴脱ぐ

ボール持つ

神社

流れ作業。
出社判子押してへんだけ。

「おい!神社行くでぇぇ!」
「今日はオレ、無双するからな!!」

……なぁオレ。
誰に向かって宣言しとんねん。
ただの小学生やぞ。

◆ 狂気と自由の境界線

夕暮れの境内。
裸足でボール追いかけて、
膝ズルむけてもノーダメージ。

指先から血ぃ出ても、
「見てみ!オレ、戦士や!!」

いやいや。
戦士ちゃう。
保健室案件や。

でもな、
今思い返したら
あのテンション完全に狂気やけど、
あの場所だけは
ほんまに楽しかった。

オトンの顔色も、
学校の息苦しさも、
鳥居くぐった瞬間、

全部ログアウト。

◆ 神社という安全地帯

ミスしても誰も怒らん。
「今の何やねん!」
「天才の逆やな!」

笑って次のプレー。
はい、リスタート。

ここだけは、
オレがオレでいてええ場所やった。

◆ 紙切れ一枚の破壊力

……そんな自由を
満喫しきってたある日。

事件は突然起こる。

テスト返却日。

紙切れ一枚で
人の人生揺らすな。

先生がニヤッと笑って言う。
「はい、もっと…がんばりましょうねぇ〜」

なぁ先生。
その言い方、
人の心を静かに殺すやつやぞ。

答案見た瞬間、
オレの魂、
一回天井突き破った。

真っ赤。
赤点。
もはや芸術。

◆ 雷と比較と心の断線

家着いたら、
当然の流れで──

雷、ドーン。

「なんやこの点数は!!」
「お兄ちゃん見てみい!」

はい来ました。
比較シリーズ第784話。

胸の奥が
ギュウゥゥって縮んで、
その瞬間な、

オレの中の
「勉強がんばろスイッチ」

スッ……

切れた。

「どうせ何しても怒られるなら、
 もうええわ」

こうして、
オレの勉強ライフは
第1話で完結しました。

全1巻。
短っ!!

◆ だから、そこに逃げた

でもな。
その日の夕方。

神社のグラウンド立った瞬間、
全部どうでもよくなる。

怒鳴り声も、
悔しさも、
先生の
「がんばりましょうねぇ〜」も、

ボール蹴った瞬間、
風と一緒に
全部飛んでいく。

神社の砂まみれの地面は、
オレのメンタルの
避難所やった。

◆ 沼は完成していた

毎日、
裸足で走って、
転んで、
笑って、
また走る。

泥だらけ。
汗ベタベタ。
膝ボロボロ。

でもな、
そこにはちゃんと
生きてる顔したオレがおった。

気づいたら、
勉強よりサッカー。
家より神社。
正解より楽しさ。

怒られる人生より、
笑える時間を
選ぶようになってた。


一言まとめ
赤点と雷で居場所を失ったオレは、
サッカーを「逃げ場」から
「帰る場所」に変えていった。


次回
好きだけじゃ、

済まされへん世界が来る。


前回
▶第12話「サッカーで調子乗った結果、教室で現実に引き戻されたオレ」



次回
▶第14話「月500円で7年走り続けたオレ」



はじめての方はこちら👇
【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



まとめて読む方はこちら👇  

 【青春編まとめ】








◆ 世界がちょっとだけ変わり始めた頃


なぁ、あの頃のオレ。
この頃のお前、
ちょっとだけ世界が変わり始めてたやろ。

教室では相変わらずビクビク。
先生の声にビクッ。
後ろの席の笑い声にビクッ。

でもな、
放課後のサッカーだけは違った。

◆ 別人になる時間

ボール蹴ってる時のオレ、
完全に別人。

声出る。
走る。
笑う。
調子乗る。

……誰やねん、それ。

不思議なことに、
その“調子乗りモード”が
ちょっとずつ教室にも
染み出してきたんや。

ほんまに、
ちょっとだけやで。

◆ 教室で起きた小さな事件

授業前、
サッカー仲間と目が合って、

「昨日のシュートさぁ」

って、
自分から話しかけてもうた。

なぁオレ。
それ、事件やぞ。

今までのお前なら、
話しかけられるまで
視線そらしてたやろ。

それがな、
無意識に口が動いた。

理由は単純。

サッカーの話なら、
考えんでも喋れたから。

◆ 初めて顔を出した“素のオレ”

どう思われるとか、
間違えたらどうしようとか、
一瞬だけ
頭から消えてた。

教室で初めて、
“素のオレ”が
ほんの1ミリ、
顔出した瞬間や。

それがな、
めちゃくちゃ嬉しかった。

「あれ?
 オレ、ここにおっても
 ええんちゃう?」

ほんの一瞬やけど、
そう思えたんや。

◆ 潰される音は突然に

休み時間。
サッカー仲間数人で
ワチャワチャ喋ってた。

笑ってた。
声出してた。

……なぁオレ。
その顔、
何年ぶりや。

でもな。
人生って
タイミング悪いねん。

そこに現れる。
例のアイツ。

教室で
いつもチクチク言うてくるヤツ。

そいつが
ニヤッとしながら
こう言うた。

「最近さぁ、
 調子のってるやん」

◆ 一瞬で逆再生

……はい、終了。

さっきまで
ポワッて灯ってた
小さな自信の火。

フッ。

一瞬で消えた。

(あ、出過ぎた?)
(オレ、調子乗った?)
(やっぱりアカンかった?)

笑顔、即収納。
声、即ミュート。
存在感、最小設定。

「……別に」

視線落として、
元のオレ完成。

なぁオレ。
戻るの早すぎるやろ。

◆ 自分で自分を引っ込めた日

その日は、
教室で一言も喋らんかった。

サッカー仲間とも
距離取った。

「また言われたらイヤや」
「調子乗ってるって
 思われたくない」

せっかく出てきた
素のオレを、
自分で引っ込めた。

◆ だから、そこに戻った

でもな。
放課後。

ボール蹴った瞬間、
全部どうでもよくなる。

「あー、これや」

教室で縮こまった分、
グラウンドで
思いっきり走った。

なぁオレ。
この時点で
もう気づいてたやろ。

教室は、
オレを小さくする場所。

サッカーは、
オレを戻してくれる場所。

そら、
ハマるよ。

誰だって、
自分でいられる場所に
逃げたくなる。

【一言まとめ】
一度でも「自分でいられる場所」を知ったら、
人はそこに戻らずにいられない。

【次回】
赤点・雷・親の怒号。

それでもオレは、ボールを選ぶ。


前回
▶第11話「まぐれ一発で人生狂わされかけたオレ」



次回
▶第13話「赤点と雷と、サッカー沼への一直線のオレ」



はじめての方はこちら👇
【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



まとめて読む方はこちら👇  

 【青春編まとめ】










◆ 調子に乗る前に言っとく


なぁ、あの頃のオレ。
ここから一気にお前、
調子乗り始めるからな。

先に言っとく。
安心せえ。

それ、
実力ちゃう。

全部、
ま・ぐ・れ・や。

◆ 団子サッカーという名の無法地帯

昼休みのサッカーは相変わらずや。

団子状態。
ワチャワチャ。

ルール?
曖昧。

ポジション?
なにそれ美味しいん?

全員が全員、
ボールしか見てへん。

サッカーというより、
ボール争奪戦。
知性ゼロ。

◆ たまに起きる「事故」

せやけどな、
その中で
一個だけ確実に変わってきたことがある。

それが──
「たまに、うまくいく瞬間」

ほんまに、
た・ま・に、や。

◆ 歴史が改ざんされた瞬間

ある日、
偶然ボールが足元に転がってきて、
なんとなく前に蹴った。

そしたら──

「あれ?」
「抜けた?」

相手、置き去り。

……いや、
たぶん相手が
自分の足に引っかかって
勝手にコケただけ。

でもな、
オレの中では
その瞬間、

歴史が書き換えられた。

【公式記録】
「オレ、ドリブルで相手を抜く」

記念日制定レベル。

◆ 勘違い界のエース誕生

さらに追い討ち事件。

また別の日。
ゴール前で
適当に蹴ったシュート。

力も方向も
何も考えてへん。

ボール、
ゴロゴロ…
ゴロゴロ……

……入った。

キーパー?
知らん。

たぶん砂いじってた。
人生について考えてた可能性もある。

でもその瞬間、
オレの頭の中で鳴った音。

🎉 パァァァン 🎉

「……え?」
「今のオレ、
 ちょっとサッカーしてたんちゃう?」

勘違い界のエース、
ここに誕生。

◆ 一番危険な感覚

なぁオレ。
この
“うまくいった感覚”
これが一番危険や。

一回でも味わうと、
脳が覚える。

「もう一回」
「またあれやりたい」

はい、
中毒の始まり。

◆ 日常が侵食されていく

ここからや。
オレの
日常がおかしくなっていくのは。

学校の行き帰り。
支給されたドッジボール。

普通はな、
手に持つやろ?

オレは違う。

網の袋に入れて、
蹴りながら登下校。

「ドゥンッ」
「ドゥンッ」
「ドゥンッ」

なぁオレ。
通学路で
リズム刻むな。

完全に不審者。

◆ 定期的に起きる田んぼ事件

そして、
定期的に起きる悲劇。

網、
ビリッ。

ボール、
ポーン。

一直線。

田植え前の
田んぼへダイブ。

靴下脱いで
即突入。

泥、冷たい。
足、ズブズブ。
カエル、ゲコゲコ。

なぁオレ。
今なら言える。

それ全部、
楽しかったやろ。

怒られる恐怖より、
ボール失う恐怖のほうが
もう勝ってる。

◆ 世界の中心がボールになる

昼休みも異常。

給食出た瞬間、
ほぼ反射。

味?
知らん。

噛む < 飲み込む。

一日がな、
完全にサッカー中心で
回り始めてた。

午前中=ウォーミングアップ
昼休み=本番
午後=余韻

授業?
副菜。

主食はボール。

◆ もう戻れへん地点

雨の日。

運動場使えへん。

それだけで、
テンション奈落。

窓の外の雨を見て
ため息つく小学生。

なぁオレ。
感情の比重、
完全におかしいぞ。

気づいたら、
サッカーは
「遊び」やなくなってた。

生活の一部。
呼吸と同じ。

なぁオレ。
この時点で、
もう後戻りできへん。

でもな、
この勘違いの勢いは、
次の話で――

【一言まとめ】
まぐれは、才能よりも人を惑わせる。

【次回】
その勘違いが、

「選ばれる側」だと思わせてくる。


前回
▶第10話「自分を忘れたら、オレが1番うるさかった」



次回
▶第12話「サッカーで調子乗った結果、教室で現実に引き戻されたオレ」



はじめての方はこちら👇
【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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 【青春編まとめ】