
なぁ、あの頃のオレ。
飛行機乗った瞬間、
お前もう気付いてたな。
「アカン」
って。
まだ何も起きてへん。
でももうアカン。
周り見たら外国人。
前も外国人。
後ろも外国人。
聞こえる言葉も全部外国語。
なぁオレ。
海外ってそういうもんや。
なんで今さら驚いとんねん。
でも当時のオレは本気でそう思ってた。
完全に修学旅行で
一人だけ集合場所
間違えたヤツの顔してた。
しかもな。
この時のオレ。
英語ほぼゼロ。
それやのに、
イタリア行こうとしてる。
なぁオレ。
今考えたら、
地図持たずに
アマゾン入るくらい無謀や。
◆ オレには切り札がある
しばらくしてCAさん来る。
キレイやった。
めちゃくちゃキレイやった。
なぁオレ。
人生初海外より、
そっちに驚いとる。
ほんでな。
一回だけ。
ほんま一回だけ。
目が合った。
気がした。
たぶん気のせいや。
でも当時のオレは違う。
(あれ?)
(今見た?)
(オレ見た?)
(オレに好意ある?)
なぁオレ。
そんなわけない。
仕事や。
そしてCAさん遠くで
客に何か聞いてる。
当然分からん。
なぁオレ。
海外、
急にリスニングテスト始まる。
頭ん中パニック。
でもな。
お前には切り札があった。
飛行機乗る前から
何十回も練習した英語。
たぶん当時のオレ、
それだけで戦えると
思ってた。
CAさんが近付く。
心拍数上がる。
汗かく。
でも大丈夫。
お前は勢いよく言った。
「ビーフプリーズ!!」
勢いだけで発射。
するとCAさん👇
「OK!」
通じた。
通じたで。
なぁオレ。
人生で一番、
牛に感謝した瞬間や。
しかも安心しすぎて、
次に飲み物聞かれた時も、
危うく
「ビーフ……」
言いかけてる。
なぁオレ。
会話全部、
肉で突破しようとするな。
さらに頭の中では、
「よし。」
「英語いける。」
「海外余裕や。」
なぁオレ。
通じた単語一個やぞ。
調子乗るの早すぎる。
◆ 機内食より周りが気になる
機内食が来た。
なんか全部知らん匂い。
周りは普通にナイフとフォーク。
オレだけ、
(どっから食うんや……)
って考えてた。
ほんでパンめちゃくちゃ硬い。
硬いなんてもんちゃう。
おでこに投げられたら、
血ブシャーや。
なぁオレ。
機内食ちゃう。
凶器や。
◆ トイレという名のアトラクション
途中でトイレ行きたくなった。
でも飛行機のトイレ怖い。
ドアの開け方分からん。
鍵も不安。
ほんで最大の敵。
水流すやつ。
ゴォォォォォン!!!
音デカすぎる。
なぁオレ。
人類流す音ちゃう。
戦闘機発進や。
しかも一瞬、
吸い込まれる思ってる。
分かってる。
吸い込まれへん。
でも当時のオレ。
本気で思っとった。
もし吸い込まれたら、
どうなるんやろ。
トイレ。
↓
吸い込まれる。
↓
外出る。
↓
上空一万メートル。
↓
終了。
なぁオレ。
心配する方向どうなっとんねん。
◆ 経由地、勝手に犯罪者
乗り継ぎの空港。
広い。
静か。
知らん空気。
知らん匂い。
ほんで前見たら、
銃持った警備員。
ヒゲ。
イカつい顔。
映画でしか見たことないやつ。
その瞬間。
オレの頭ん中スタート。
目合った。
終わった。
怪しまれてる。
何もしてへんけど。
怪しまれてる。
呼び止められる。
英語で質問される。
答えられへん。
焦る。
「ビーフプリーズ。」
さらに質問される。
「ビーフプリーズ。」
警備員困る。
「ビーフプリーズ。」
最終的に逮捕。
なぁオレ。
牛で刑務所行くな。
ほんで金属探知機。
(これ鳴ったら終わりや)
(その場で捕まる)
(イタリア行く前に刑務所や)
(オカンになんて説明しよ……)
頭ん中だけ完全に犯罪者。
結果。
………。
無音。
普通に通過。
なぁオレ。
お前ずっと一人で事件起こしとるな。
◆ まだイタリア着いてない
待合で座る。
外を見る。
知らん飛行機。
知らん人。
知らん空。
そこで少しだけ思った。
「あぁ……」
「ほんまに日本離れたんやな」
不安やった。
怖かった。
でも、
ちょっとだけワクワクもしてた。
なぁオレ。
英語は全然分からん。
海外も初めて。
ビーフプリーズしか武器ない。
それでも、
お前は前に進んでた。
◆ 結論
なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
“ビーフプリーズ”一本で、
世界行こうとしてる。
海外初。
飛行機初。
英語ほぼゼロ。
今考えたら、
だいぶ無謀や。
でもな。
夢追う時って、
案外そんなもんかもしれん。
知識も無い。
準備も足りへん。
でも行く。
なぁオレ。
あの時のお前、
勇気があったんか、
ただのアホやったんか、
今でもちょっと分からん。
たぶんアホや。
【一言まとめ】
英語力ゼロ。
牛への信頼だけで世界に挑んだ。
【次回】
「ローマ空港で軽く終わりかけたオレ」













