
◆ 調子に乗る前に言っとく
なぁ、あの頃のオレ。
ここから一気にお前、
調子乗り始めるからな。
先に言っとく。
安心せえ。
それ、
実力ちゃう。
全部、
ま・ぐ・れ・や。
◆ 団子サッカーという名の無法地帯
昼休みのサッカーは相変わらずや。
団子状態。
ワチャワチャ。
ルール?
曖昧。
ポジション?
なにそれ美味しいん?
全員が全員、
ボールしか見てへん。
サッカーというより、
ボール争奪戦。
知性ゼロ。
◆ たまに起きる「事故」
せやけどな、
その中で
一個だけ確実に変わってきたことがある。
それが──
「たまに、うまくいく瞬間」
ほんまに、
た・ま・に、や。
◆ 歴史が改ざんされた瞬間
ある日、
偶然ボールが足元に転がってきて、
なんとなく前に蹴った。
そしたら──
「あれ?」
「抜けた?」
相手、置き去り。
……いや、
たぶん相手が
自分の足に引っかかって
勝手にコケただけ。
でもな、
オレの中では
その瞬間、
歴史が書き換えられた。
【公式記録】
「オレ、ドリブルで相手を抜く」
記念日制定レベル。
◆ 勘違い界のエース誕生
さらに追い討ち事件。
また別の日。
ゴール前で
適当に蹴ったシュート。
力も方向も
何も考えてへん。
ボール、
ゴロゴロ…
ゴロゴロ……
……入った。
キーパー?
知らん。
たぶん砂いじってた。
人生について考えてた可能性もある。
でもその瞬間、
オレの頭の中で鳴った音。
🎉 パァァァン 🎉
「……え?」
「今のオレ、
ちょっとサッカーしてたんちゃう?」
勘違い界のエース、
ここに誕生。
◆ 一番危険な感覚
なぁオレ。
この
“うまくいった感覚”
これが一番危険や。
一回でも味わうと、
脳が覚える。
「もう一回」
「またあれやりたい」
はい、
中毒の始まり。
◆ 日常が侵食されていく
ここからや。
オレの
日常がおかしくなっていくのは。
学校の行き帰り。
支給されたドッジボール。
普通はな、
手に持つやろ?
オレは違う。
網の袋に入れて、
蹴りながら登下校。
「ドゥンッ」
「ドゥンッ」
「ドゥンッ」
なぁオレ。
通学路で
リズム刻むな。
完全に不審者。
◆ 定期的に起きる田んぼ事件
そして、
定期的に起きる悲劇。
網、
ビリッ。
ボール、
ポーン。
一直線。
田植え前の
田んぼへダイブ。
靴下脱いで
即突入。
泥、冷たい。
足、ズブズブ。
カエル、ゲコゲコ。
なぁオレ。
今なら言える。
それ全部、
楽しかったやろ。
怒られる恐怖より、
ボール失う恐怖のほうが
もう勝ってる。
◆ 世界の中心がボールになる
昼休みも異常。
給食出た瞬間、
ほぼ反射。
味?
知らん。
噛む < 飲み込む。
一日がな、
完全にサッカー中心で
回り始めてた。
午前中=ウォーミングアップ
昼休み=本番
午後=余韻
授業?
副菜。
主食はボール。
◆ もう戻れへん地点
雨の日。
運動場使えへん。
それだけで、
テンション奈落。
窓の外の雨を見て
ため息つく小学生。
なぁオレ。
感情の比重、
完全におかしいぞ。
気づいたら、
サッカーは
「遊び」やなくなってた。
生活の一部。
呼吸と同じ。
なぁオレ。
この時点で、
もう後戻りできへん。
でもな、
この勘違いの勢いは、
次の話で――
【一言まとめ】
まぐれは、才能よりも人を惑わせる。
【次回】
その勘違いが、
「選ばれる側」だと思わせてくる。
次回
▶第12話「サッカーで調子乗った結果、教室で現実に引き戻されたオレ」
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【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」
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