夢見てズレて転び続けたオレの黒歴史ノート -4ページ目

夢見てズレて転び続けたオレの黒歴史ノート

【連載】

なぁ、あの頃のオレ。
ちゃんとできへん人生の話

青春編 (64話完結済)
社会人編 現在執筆中

第1話はこちら
https://note.com/regal_wren4369/n/n802c36a0d555






◆ 調子に乗る前に言っとく


なぁ、あの頃のオレ。
ここから一気にお前、
調子乗り始めるからな。

先に言っとく。
安心せえ。

それ、
実力ちゃう。

全部、
ま・ぐ・れ・や。

◆ 団子サッカーという名の無法地帯

昼休みのサッカーは相変わらずや。

団子状態。
ワチャワチャ。

ルール?
曖昧。

ポジション?
なにそれ美味しいん?

全員が全員、
ボールしか見てへん。

サッカーというより、
ボール争奪戦。
知性ゼロ。

◆ たまに起きる「事故」

せやけどな、
その中で
一個だけ確実に変わってきたことがある。

それが──
「たまに、うまくいく瞬間」

ほんまに、
た・ま・に、や。

◆ 歴史が改ざんされた瞬間

ある日、
偶然ボールが足元に転がってきて、
なんとなく前に蹴った。

そしたら──

「あれ?」
「抜けた?」

相手、置き去り。

……いや、
たぶん相手が
自分の足に引っかかって
勝手にコケただけ。

でもな、
オレの中では
その瞬間、

歴史が書き換えられた。

【公式記録】
「オレ、ドリブルで相手を抜く」

記念日制定レベル。

◆ 勘違い界のエース誕生

さらに追い討ち事件。

また別の日。
ゴール前で
適当に蹴ったシュート。

力も方向も
何も考えてへん。

ボール、
ゴロゴロ…
ゴロゴロ……

……入った。

キーパー?
知らん。

たぶん砂いじってた。
人生について考えてた可能性もある。

でもその瞬間、
オレの頭の中で鳴った音。

🎉 パァァァン 🎉

「……え?」
「今のオレ、
 ちょっとサッカーしてたんちゃう?」

勘違い界のエース、
ここに誕生。

◆ 一番危険な感覚

なぁオレ。
この
“うまくいった感覚”
これが一番危険や。

一回でも味わうと、
脳が覚える。

「もう一回」
「またあれやりたい」

はい、
中毒の始まり。

◆ 日常が侵食されていく

ここからや。
オレの
日常がおかしくなっていくのは。

学校の行き帰り。
支給されたドッジボール。

普通はな、
手に持つやろ?

オレは違う。

網の袋に入れて、
蹴りながら登下校。

「ドゥンッ」
「ドゥンッ」
「ドゥンッ」

なぁオレ。
通学路で
リズム刻むな。

完全に不審者。

◆ 定期的に起きる田んぼ事件

そして、
定期的に起きる悲劇。

網、
ビリッ。

ボール、
ポーン。

一直線。

田植え前の
田んぼへダイブ。

靴下脱いで
即突入。

泥、冷たい。
足、ズブズブ。
カエル、ゲコゲコ。

なぁオレ。
今なら言える。

それ全部、
楽しかったやろ。

怒られる恐怖より、
ボール失う恐怖のほうが
もう勝ってる。

◆ 世界の中心がボールになる

昼休みも異常。

給食出た瞬間、
ほぼ反射。

味?
知らん。

噛む < 飲み込む。

一日がな、
完全にサッカー中心で
回り始めてた。

午前中=ウォーミングアップ
昼休み=本番
午後=余韻

授業?
副菜。

主食はボール。

◆ もう戻れへん地点

雨の日。

運動場使えへん。

それだけで、
テンション奈落。

窓の外の雨を見て
ため息つく小学生。

なぁオレ。
感情の比重、
完全におかしいぞ。

気づいたら、
サッカーは
「遊び」やなくなってた。

生活の一部。
呼吸と同じ。

なぁオレ。
この時点で、
もう後戻りできへん。

でもな、
この勘違いの勢いは、
次の話で――

【一言まとめ】
まぐれは、才能よりも人を惑わせる。

【次回】
その勘違いが、

「選ばれる側」だと思わせてくる。


前回
▶第10話「自分を忘れたら、オレが1番うるさかった」



次回
▶第12話「サッカーで調子乗った結果、教室で現実に引き戻されたオレ」



はじめての方はこちら👇
【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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 【青春編まとめ】







◆ いつもはブレーキ全開

普段のオレはな、
何するにも考えてた。

「今の感情、出してええ?」
「このテンション、浮いてへん?」
「ちょっと抑えたほうが無難ちゃう?」

常に、
感情にブレーキかけながら生きてた。

◆ 運動場だけ感情フリーパス

それが運動場では、

喜び → そのまま喜ぶ
悔しさ → そのまま悔しがる

……おい。
感情フリーパスやんけ。

ここでな、
とんでもないことが起きる。

オレ、
自分を忘れてたんや。

いや、怖い話ちゃうで。
ホラーちゃう。

もっと意味分からんやつ。

◆ 「自分」が消える感覚

「自分がどう思われてるか」
「自分がどう見えてるか」

その“自分”が、
サッカー中は消えてた。

残ってるのは、

・ボール
・ゴール
・相手
・味方

それだけ。

なぁオレ。
それ、
いわゆる“ゾーン”ってやつや。

小学生で体験すな。

◆ 気づいたら別人格

でも当時のオレは知らん。

「なんか楽しい」
「時間早すぎ」
「もう終わり!?」

それだけ。

昼休み終わっても
息切れしたまま。

顔真っ赤。
汗ビショビショ。

教室戻って、
急に我に返る。

「……あ、オレ静かなキャラやった」

思い出すの遅いわ。

◆ 切り替え雑すぎ問題

そのギャップよ。

さっきまで
「パス!パス!」
「ナイスー!」
言うてたやつが、

教室入った瞬間、

「……」

無音。

なぁオレ。
その切り替えスイッチ、
雑すぎるやろ。

◆ 神社サッカー名物・裸足制度

ほんでや。
神社サッカー名物、
あの謎ルール。

裸足。

理由はな、
ゴール裏が
ちっさい川やったから。

ゴール決めるたびに
ボールが川に落ちる。

そのたびに、
誰かが
くつ下脱いで
川に入って
ボール取りに行く。

……冷静に考えたら、
毎回誰かが犠牲になるシステム。

(川に落ちひん工夫せえ!!)

結果、
「最初から脱いどこか」
という
小学生らしすぎる結論。

全員裸足。

石ころ?
知らん。
小枝?
踏む。

血出ても、
「これ勲章や!」

……なぁオレ。
それ武勇伝ちゃう。
ただの不注意や。

◆ 暗くなっても帰らない時間

夕方になっても、
誰も帰らん。

「もう一本だけ!」
「ラストな!ラスト!」

そのラスト、
何回目やねん。

気づいたら真っ暗。
神社の灯りが
ポツンと光ってる。

汗だく。
泥だらけ。
裸足。

完全に
不審者一歩手前の集団。

でもな、
その時間が
めちゃくちゃ幸せやった。

◆ 「楽しい」が「好き」に変わる瞬間

気づいたら、
“楽しい”が
“好き”に変わってた。

嫌なことあっても、
ボール蹴ったら消える。

オトンの怒鳴り声も、
学校の息苦しさも、
全部、
ボールの転がる音が
飲み込んでくれた。

◆ ここではオレでいられた

ここでは誰も、
オレを評価せえへん。

ここでは誰も、
オレに正解を求めへん。

「ここでは怒られへん」
「ここでは、オレがオレでええ」

その感覚が、
じわじわ
オレの中に染み込んでいった。

◆ 気づいてなかった真実

なぁ、あの頃のオレ。
まだこの時は
気づいてへんかったやろ。

誤魔化して作った自分より、
何も考えてへん時の自分のほうが、
よっぽど生きてるってことに。

ただ一つだけ、
ハッキリしてた。

「また、サッカーしたい」

それだけ。

ボールは
ただの遊びやなくなってた。

居場所になり始めてた。

──そしてオレは、

この場所に、だんだん本気になっていく。


前回
▶第9話「気づいたら、ボールが居場所になってたオレ」



次回
▶第11話「まぐれ一発で人生狂わされかけたオレ」



はじめての方はこちら👇
【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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 【青春編まとめ】









◆ 逃げ場のつもりやった

なぁ、あの頃のオレ。
最初はな、
ほんまに“逃げ場”のつもりやったやろ。

でもな、
逃げてたはずの場所が、
いつの間にか戻りたい場所になってたんや。

怒鳴られるのもイヤ。
比べられるのもイヤ。
正解の顔するのもしんどい。

教室におっても息できひん。
家におっても空気重たい。

せやからオレは、
放課後になると
家でも学校でもない場所に
自然と足が向いてた。

神社や。

理由なんかない。
ただ、そこに
ちょっと広い場所があって、
ボール蹴れたから。

◆ 生き延びた感覚

ボール蹴ってる時間だけが、
「今日も生き延びたな」
って思える時間やった。

でもな──
気づいたらそれ、
“逃げ”やのうて
完全に“日常”になってたんや。

◆ 何も決めてないのに楽しい

最初はほんまに、
近所の友だち数人で
神社の広場に集まっただけ。

「おい、ボール持ってきたで!」
「よっしゃ、チーム決めよや!」

約束もない。
計画もない。
目標もない。

ただ、
ボールがあって、
人が集まっただけ。

それやのに、
なんであんなに楽しかったんやろな。

◆ 自由の正体

土けむり舞う中、
誰かが蹴ったボールが
フワッて空に上がる。

その軌道を、
みんなで一瞬だけ見上げる。

なぁオレ。
今なら分かる。

あれ、
「自由」や。

◆ 下手くそでも続いた理由

せやけどな、
相変わらずオレは下手くそやった。

蹴ったつもりが
スネ直撃。

トラップしたら
ボールだけ旅立つ。

思った方向に
一切飛ばん。

イライラしてボールに八つ当たり。
「なんで言うこと聞かへんねん!」
って、ボールに説教。

でもな、
不思議なもんで、
ちょっとずつ変わっていく。

足の甲に
ピタッて吸いつく瞬間。

狙ったとこに
スッて転がる瞬間。

たったそれだけで、
テンション爆上がり。

なぁオレ。
ハードル低すぎて可愛いな。

◆ 別人格の誕生

この頃からや。

サッカーしてる時のオレ、
今思えば
完全に別人格やった。

・声デカい
・よく走る
・よく転ぶ
・めっちゃ笑う

誰やねんお前。

でもな、
本人は全然そんな自覚なかった。

なぜなら──
自分のこと、
一切考えてへんかったから。

◆ 見られる自分を忘れた時間

なぁオレ。
これ、めちゃくちゃ大事な話やで。

お前な、
サッカーしてる時だけ

「どう見られてるか」

を、
一切考えてへんかった。

パス来たら蹴る。
取られたら追う。
外したら「あぁー!」って叫ぶ。

以上。

感情が、
そのまんま外に出てた。

◆ 逃げ場から居場所へ

気づいたら、
ボールは
ただの遊びやなくなってた。

逃げ場やったはずの場所が、
いつの間にか
「戻ってきたい場所」になってた。

怒られへん。
比べられへん。
正解もいらん。

ここでは、
オレは
考えんでええ。

ただ走って、
ただ蹴って、
ただ笑うだけでよかった。

それだけで、オレは少しだけ生き返ってた。


前回
▶第8話「正解の顔を探してたオレが、やっと息できた話」



次回
▶第10話「自分を忘れたら、オレが1番うるさかった」



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【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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 【青春編まとめ】









あの頃のオレは、

毎日なにかに怯えながら学校に来てた。
なお、敵の正体は不明。


◆ 今日もレーダー起動



なぁ、あの頃のオレ。
相変わらずやな。

学校来ても、
まず最初にやることが
「人の目チェック」。

席着いた瞬間、
レーダー起動。
空気測定。
機嫌観測。

忙しすぎるやろ。 NASAか。
打ち上げ前より緊張しとるやん

誤魔化すスキルも
だいぶ仕上がってきて、

愛想笑い。
相づち。
無難コメント。

フルコンボ。

一見な、
「クラスに馴染んでる風」
には見えてたと思う。

でも中身はどうや?

息、
めっちゃ浅い。

酸素足りてへん。
心、常に軽く窒息状態。

小学生がなる症状ちゃうでそれ。
保健室でも治らんタイプや。

◆ 生きてるフリ



なぁオレ。
それ生きてる言うより、
「止まらんように動いてる」だけや。

そんなオレにもな、
一つだけあったんよ。

「ここなら大丈夫」
って思える時間が。

それが──
朝の運動場。

◆ 今思うと謎ルール



今思い返すとやで?
あの学校のルール、
冷静に考えたら
だいぶ意味分からん。

町内ごとに集団登校して、
朝8時前後から、
約20分。

全校生徒、
ほぼ全員──
強制運動。

なぁオレ。
今なら言える。

「登校=即運動」
どんな教育方針やねん。

しかもその日のメニュー、
決めるのは上級生。

完全縦社会。
小学生版・封建制度。

◆ それでも救われた理由



逆らったら即、
「ノリ悪い奴」
の烙印。

選択肢はない。
従うか、
空気になるか。

内容はだいたい、

ドッジボール。
鬼ごっこ。
たまに誰得かわからんリレー。

……今思うと、
普通にハードや。

でもな。

教室で
あんなに息詰まってたオレが、
この時間だけは
ちょっと違った。

理由はめちゃくちゃシンプル。

運動には
ルールがある。

◆ ルールがある安心



やったらあかんことが決まってる。
やったらええことも決まってる。
空気、読まんでええ。

最高か。
ルールあるってだけで、
こんな安心するって何やねん。
オレ、どんだけ曖昧世界で生きてきとんねん。

教室では
「今どう振る舞うべきか」
を常に考えてたオレが、

運動場では、

ボール来た。
走る。
投げる。

以上。

脳、休憩。
思考、停止。
生存確認。

なぁオレ。
この感覚、
久しぶりやったやろ。

◆ サッカーとの距離が縮まる



そんな流れでな、
サッカーとの出会いは
ほんまに何気なかった。

昼休みの定番は、
ドッジボールかサッカー。

最初はドッジ多め。

でもな、
だんだん空気が変わる。

理由は単純。

ドッジは
コート作らなアカン。
当たったら即退場。
一瞬で
「見学者」。

外野でボール待ちながら、
人生について考え始める。

……小学生が。

でもサッカーは違う。

下手でも、
とりあえず走れる。
ボール1個で
全員参加。

◆ 身体が先に笑った



ルールもポジションも、
正直よう分かってへん。

オフサイド?
なにそれ。
美味しいん?

全員でボール追いかける、
伝説の団子サッカー。
戦術?あるかい。
とりあえず追え。以上。


でもな。

ゴール決めた時、
理由分からんけど、
めっちゃ嬉しかった。

褒められたからちゃう。
評価されたからちゃう。

身体が
先に喜んでた。

教室では
息止めてたオレが、

運動場では
ハァハァ言いながら、
ちゃんと息してた。

◆ 始まりは逃げ場



なぁ、あの頃のオレ。

これな、
もう始まってるで。

このあとオレ、
サッカーに
だいぶ持っていかれる。

でもこの時はまだ、
ただの「逃げ場」。

正解の顔、いらん。
気ぃ使わんでええ。
ミスしても怒鳴られへん。

ただ走って、
蹴って、
息切れしてただけ。

……それだけで、十分やったんやけどな。


前回
▶第7話「その場を誤魔化す才能が伸びたオレ」



次回
▶第9話「気づいたら、ボールが居場所になってたオレ」



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【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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 【青春編まとめ】










◆ 正直キャンペーン、開催



なぁ、あの頃のオレ。
お前が「誤魔化す技術」を
本格的に身につけた日、
ちゃんと覚えてるか?

そうや。
あの日や。

オトンが家で使っとった、
コンクリートをならすための
あの“命より大事そうな”コテを──
お前が思いっきり踏んで、
「バキッ!!」っていかせた日。

今思い返しても、
人生の分岐点にしては
効果音が派手すぎる。
音響担当、気合入りすぎやろ。

◆ オトンという環境



休みの日のオトンはな、
ヒマさえあったら掃除して、
コンクリートをこねくり回す人間やった。

午前=掃除。
午後=左官。
機嫌いい日=左官。
機嫌悪い日=さらに左官。

……最終的に
何を目指してたんかは知らん。

しかもやで。
子どもが走り回る庭に、
その大事なコテを
ポンって置いとく判断力。

それはそれで
なかなか攻めてる。

◆ 桜の木理論という地雷



とはいえ、
踏んだオレが悪い。
それは分かっとる。

でもな、
当時のオレには
ちょっと前に仕入れた
一つの“理論”があった。

ジョージ・ワシントンの
「桜の木理論」。

正直に言ったら褒められる。
正直者は許される。
世界は正直で回っている。

……誰やこの理論、
小学生に刷り込んだやつ。

しかもそれを、
アメリカ初代大統領から
そのまんま
日本の鬼瓦オトンに
適用しようとするという、
致命的判断ミス。

◆ 正直の結果



それでもお前は
勇気出したよな。

震える声で言うた。

「……オトン、
 オレが踏んで壊してもうた」

心の中ではもう、
「正直者オレ、表彰状授与」
くらいの勢い。

拍手喝采。
感動BGM。
ワシントン再来。

結果。

雷、落ちた。

「何しとんじゃボケェ!!」

終了。

褒め言葉ゼロ。
感動ゼロ。
正直ポイント、即没収。

それどころか、
「正直に言えば
 許されると思っとんのか!!」
って、
正直に言った罪まで
上乗せペナルティ。

◆ 学習完了



なぁオレ。
正直キャンペーン、
初日で打ち切られたな。

この瞬間、
はっきり学習したよな。

「正直=安全」ちゃう。
「正直=ダメージ倍増」。

その時や。
オレの中で
カチッて音したん。

人格のスイッチ。

◆ 誤魔化しスキル、実装



そこからや。
誤魔化しスキルが
本格稼働し始めたんは。

家では、
怒られそうなことは言わん。
聞かれても曖昧に返す。
「知らん」「覚えてへん」を多用。
場合によってはウソ。

会話というより、
煙幕散布。

学校でも同じ。
雰囲気悪くなりそうなことは言わん。
意見聞かれたら、
「……みんなと同じで」

はい完成。
思考停止型・平和回答。

◆ 誤魔化しの代償



なぁオレ。
それ意見ちゃう。
避難や。

仲良くなる努力やなくて、
怒られへん努力ばっかり
してたで。

誰ともケンカせえへん。
誰にも強く嫌われへん。
でも、誰とも深くつながらへん。

……うっす。

人間関係、
カルピス頼んだら
水だけ出てきた感じ。

でも当時のオレにとっては、
これが最適解やった。

目立たんかったら怒られへん。
怒られへんかったら安全。

人生=
地雷回避ゲーム(セーブ不可)。

こうしてお前は、
その場を誤魔化す才能だけ
順調に育てていった。

──生き残るためにな。


前回
▶第6話「生きるより、まず生き残ることを選んだオレ」



次回
▶第8話「正解の顔を探してたオレが、やっと息できた話」



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【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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 【青春編まとめ】








じいちゃんが言うた。

「素直に生きたらええ」

その言葉を胸ポケットに入れたまま、
オレはまた学校へ戻った。

……ただな。

胸ポケットに入れただけで
人間が変わるなら、
この世に自己啓発本いらんねん。


◆それでも学校に戻る選択

なぁ、あの頃のオレ。

第5話で一回折れて、
オナラ付き人生訓もらって、
それでもまた学校に行くってな。

お前、根性はある。
方向性は迷子やけど。

校門が見えた瞬間、
胃がキュッてなる。

「今日は大丈夫やろか」
「また変な空気ならんやろか」
「昨日の続き、再放送ないよな?」

……なぁオレ。
人生、常にリプレイ恐怖症やんけ。


◆世界は即死ゾーンじゃなかった

意外なことに、
みんな普通やった。

「体大丈夫なん?」
「昨日休んでたやん」

優しい声もある。

なぁオレ。
世界、思ってたより即アウトちゃうかった。
いきなり退場させられるわけでもなかった。

……ただしな。


◆どこにでもいる“地雷設置係”

必ず一人はおる。

空気読まんレジェンド。

「え、ズル休みしてたんやろ?」

来た。
ピンポイント爆撃。

心の中で即座に
“反論会議”が始まる。

(違う違う違う)
(説明せな)
(でも説明って何?)

結果、

「いや…まぁ…」

……なぁオレ。
その“まぁ”に何を込めた。


◆悟り「このままやと心が先に死ぬ」

その瞬間、悟る。

「あ、これ長期戦や」

身体は出席。
心は欠席。

心の出席番号、
ずっと呼ばれてへん。

このままやと、
心が先に退学する。

せやから考えた。

どうすれば怒られへんか。
どうすれば突っ込まれへんか。
どうすれば存在が薄くなれるか。

発想がもう、
忍者養成学校や。


◆究極の生存戦略、誕生

そして完成する。

名付けて――

置き物系男子。

響き、最弱。

戦闘力ゼロ。
防御力だけ異常進化。


◆置き物マニュアル

基本行動パターン。

・全力うなずき
・否定ゼロ
・意見は心の中だけ
・「へぇ〜」の使い回し

語彙は三種の神器。

「へぇ〜」
「そうなんや〜」
「マジで?」

なぁオレ。
お前の人生、
リアクション芸人か。


◆感情は腹八分目

喜びすぎたら浮く。
落ち込みすぎたら重い。
怒ったら終わる。

よって、
感情は腹八分目。

テンションは常温。
ぬるめ設定。

……どこの温泉や。


◆成功。でも代償あり

この戦略、
実は成功する。

怒られへん。
突っ込まれへん。
目立たへん。

「おとなしいけど害はないやつ」

安全圏、確保。

なぁオレ。
前より生存能力だけ無駄にレベル上がってるやん。

ただな。

その代わりに消えていった。

「これ好き」
「それイヤ」
「ほんまはこうしたい」

全部、
心の押し入れの奥。

「あとで出すから」って
言いながら、

鍵かけてるの、
自分やった。


なぁ、あの頃のオレ。

この頃からや。

お前はもう、

“生きる”より先に
“生き残る”を選び始めてた。

静かに。

誰にも気づかれずに。


前回
▶第5話 「とうとう学校を休んでしまったオレ」



次回
▶第7話「その場を誤魔化す才能が伸びたオレ」



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【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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【青春編まとめ】









第4話で、
オレは「自分を出したら傷つく」という体験をして、
また一段、殻に引きこもりました。

でもな。
心って、限界を超えると
ちゃんとサイン出してくるんやな。

この話は、
オレが初めて「学校を休んだ日」と、
その先で出会った、
想像とまったく違う“安心”の話です。

◆「今日は無理や」と心が言った朝


なぁ、あの頃のオレ。
ついに来たな。
人生で一回は踏む、
「学校、休む日」。

熱はない。
腹も痛くない。
インフルでもない。

ただ一つだけ、
心の奥で
「今日は無理や」
って声がしてた朝。

でも当時のお前は、
その声を
信じてええもんやと思えてへん。

「甘えちゃうか?」
「サボりちゃうか?」
「みんな行ってるのに?」

はい出ました。
自己否定三点セット、
フルコンボ。


◆説明できへんしんどさ

結局オレは、
オカンに
「ちょっとしんどい…」
って言うのが精一杯。

説明?
無理無理。

理由が分からんのに、
どう説明せぇっちゅうねん。

こうしてオレは、
平日の朝に
布団の中で天井を見つめる
という初イベントを経験する。

……静か。

教室のざわつきもない。
チャイムも鳴らん。
誰の視線も刺さらん。

「ほっ…」

ってなるかと思いきや、
即、罪悪感ドーン。

「行ってない自分」
それだけで
心がザワザワ止まらん。

なぁオレ。
休んでるのに、
全然休めてへんやん。


◆人生の避難所、じいちゃん家

そんなオレを見かねたんか、
オカンが言うた。

「じいちゃんとこ、行こか」

……出た。
人生の避難所。

じいちゃんの家は、
相変わらず静か。

怒鳴り声ゼロ。
説教ゼロ。
理由確認、まさかのゼロ。

じいちゃんはな、
オレが学校休んだ理由、
一切聞かんかった。

これ、
地味やけど
めちゃくちゃデカい。


◆会話をすっ飛ばして、解体工事

じいちゃん、
オレの顔をちらっと見て、
こう言うただけや。

「ほな、小屋壊すの手伝ってくれるか」

……は?

なぁじいちゃん。
学校休んだ話から、
即・解体工事って、
会話どこ行った。

ハンマー渡されて、
裏の古い小屋を指差される。

「もうボロいしな」

いや、
オレの心も
なかなかボロいで?

でも有無を言わさず作業開始。

トン。
ガン。
バキ。

……壊れる。
めちゃくちゃ壊れる。


◆壊すたび、心も軽くなる

小屋が壊れるたび、
心の中でも
同じ音してたの、
今なら分かる。

「ちゃんとせな」
「間違えたらあかん」
「気ぃ使え」

全部まとめて、
バキッ。

じいちゃんは黙々と壊す。
何も聞かん。
何も言わん。

ただ、
一緒に動く。

汗かいて、
木くずだらけで、
意味分からんのに、
なぜか楽しい。

なぁオレ。
久しぶりやったな。
「正解探してへん時間」。


◆失敗しても怒られへん世界

壊し終わったあと、
じいちゃんが言う。

「ほな、作り直すか」

……切り替え早すぎ。

釘打って、
組み直して、
曲がったらやり直す。

失敗しても、
じいちゃんは怒らん。

「まぁええか」
「次いこ」

……なぁオレ。
それ、
ずっと欲しかったやつや。


◆最後にきた、想定外の一撃


作業終わり。
縁側で一息ついてた時や。

じいちゃんが
急に真顔で言うた。

「なぁお前。
 じいちゃんのケツ、
 なんか付いてへんか?」

……は?

言われるがまま、
顔近づけた瞬間。

ブゥゥゥッ!!

完全に罠。
回避不能。
人生初の至近距離被弾。

じいちゃん、
ニヤッと笑って一言。

「確認は大事やろ」

……内容!!

でもな、
久しぶりに
腹から笑った。


◆オナラ明けの人生訓

そのあと、
じいちゃんが湯のみ置いて、
静かに言うた。

「お前はな、
 もっと素直に生きたらええ」

オナラ明けの人生訓。
落差えぐい。

でもその言葉、
胸の奥に
ズンって残った。

素直に生きる。

失敗せぇへんことちゃう。
怒られへんことでもない。

「今日は無理」って思ったら、
無理って言ってええ。

その日、
オレは初めて
“休む”ってことを
ほんの少しだけ許された。


※ここまで読んでくれて、ありがとうございます。

第5話では、
「限界を超えた先」にあったのが、
説教でもアドバイスでもなく、
ただ何も問われない時間やった、
という話を書きました。

次の話では、
この“問われへん安心感”がきっかけで、
オレが少しずつ
「別の世界」に目を向け始めます。

第6話につづきます。


前回
▶第4話 「勇気出したら、心ズタズタにされたオレ」



次回
▶第6話「生きるより、まず生き残ることを選んだオレ」



はじめての方はこちら👇
【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



まとめて読む方はこちら👇  

 【青春編まとめ】







































※NOTEと同時連載中です。


今回は、少ししんどめの回かもしれません。

※第4話です。

第3話で、
オレは「気を使いすぎて何もできない」状態になった。

でもな。
人間、何もせんままやと、
どこかで「このままはアカン」って思ってまう。

この話は、
オレが初めて“ちょっとだけ自分を出してみた日”と、
その結果、どうなったかの話です。


◆ 限界はとっくに超えてた

なぁ、あの頃のオレ。
第3話の時点で、
もうだいぶ限界やったな。

顔は平常。
心は常に非常ベル。

教室におるだけで
HPがじわじわ削られる仕様。
それもう呪いの装備やで。

それでもな、
お前は考えた。

「このままやと、
 ほんまに消えるだけちゃうか?」

せやろ。
薄くなりすぎて、
もう半紙レベルや。

◆ 「ちょっとだけ出してみる」という大決断

そこでお前、
とんでもない決断をする。

「ちょっとだけ、自分出してみよ」

……なぁオレ。
その発想が出た時点で、
ほんまは
めちゃくちゃ偉い。

ただな。
当時のお前は
「もう無理」って声に出すことすら、
怖かったんや。

無理って言ったら、
負けた気がした。
弱いってバレる気がした。

どう振る舞ったらええか分からん。
でも間違えたくない。

みんなは成長してるのに、
オレだけ取り残されてる気がしてた。

◆ 安全第一モードの完成

残るのは、
後悔と自己ツッコミ。

「なんで今言われへんかったんや」
「また変な間できたやん」

この時点でな、
心はもう
安全第一モードに入ってた。

次第にオレ、
“安全地帯”しか
動かんようになる。

先生に当てられへん席。
目立たん場所。
なるべく誰とも絡まん立ち位置。

笑わん。
しゃべらん。
存在感、最小設定。

それでようやく、
心拍数が
少しだけ落ち着く。

……なぁオレ。
それ、
生きてるって言えるか?

◆ 教室におるのに、外にいる感覚

教室におるのに、
ずっと外におる感覚。

誰かと目合うだけで疲れる。
笑い声聞くだけで消耗する。

それでもお前は、
「変わらなアカン」
って思ってもうたんや。

せやから、
その時選んだ方法がこれ。

「笑顔で対応する」

うん。
間違ってへん。
教科書的には満点。

でもなオレ。
忘れてへんか?

お前の笑顔、
人生で
作り笑顔しか
解放されてへん
ってこと。

それやのに、
「よし、笑顔や!」
って、
いきなり必殺技使うな。

◆ 作り笑顔、実戦投入

登校。
いつもの戦闘態勢。

肩ガチガチ。
呼吸浅め。
心拍数BPM180。

でも今日は違う。

勇気出して、
口角を上げる。

ニコッ。

……いや、
それニコッちゃう。
不安と恐怖を
無理やり引き上げた
引きつり顔や。

本人は
気づいてへんけどな。

◆ 地雷、直踏み

で、
その状態で話しかけられる。

「昨日のテレビ見た?」

来た。
会話イベント。

今日は逃げたらアカン。
今日は“出す日”や。

オレ、
必死に笑顔キープ。

「見た見た〜」

声、ワントーン高い。
目、笑ってない。

結果どうなったか。

「……なんで笑ってんの?」

一瞬、
時間が止まる。

(え?)
(今のアカンかった?)

さらに追撃。

「バカにしてるんか?」

……ファッ!?

◆ 心が折れる音

なぁオレ。
それ言われた瞬間の
心の音、覚えてるか?

ピシッ

って、
なけなしの自信に
ヒビ入った音や。

ちゃうちゃうちゃう!!
違う意味の笑いや!!

好意や!!
善意や!!
敵意ゼロや!!

でもな、
そんな説明できる余裕、
当時のお前にはない。

頭の中、
即・緊急会議。

(謝る?)
(否定する?)
(黙る?)
(もう一回笑う?←最悪)

結局、
何も言えずに
視線そらすだけ。

……はい。
勇気、全ロス。

◆ 「笑う=危険」になった瞬間

なぁオレ。
初めて出した一歩が、
地雷直踏みやったな。

そっからや。

お前、
露骨に怖なったやろ。

笑うのが。

「また言われたらどうしよ」
「誤解されたらどうしよ」
「そもそも、
 オレが笑うのが
 間違いやったんちゃうか?」

……いや違う。
間違ってへん。

でも当時のお前には、
そう思われへん。

むしろ確信してまう。

「やっぱりオレは、
 何も出さんほうがええんや」

そうやって、
オレはまた一段、
自分を引っ込めた。

この日から、
オレの中で

「正解だけを探す人生」が始まった。


※続きは、第5話で書きます。


前回
▶第3話 「気ぃ使いすぎて、笑うのも怖なったオレ」



次回
▶第5話 「とうとう学校を休んでしまったオレ」



はじめての方はこちら👇
【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」




まとめて読む方はこちら👇  

 【青春編まとめ】









※第3話です。



第1話で「顔色センサー」が完成し、
第2話で「自己否定」がフル装備されたオレ。

そのままの状態で、
今度は学校という場所に放り込まれます。

結論から言うと、

ここは全然、安全地帯じゃありませんでした。



◆ 学校=安全地帯…ではなかった

なぁ、あの頃のオレ。
オトンの機嫌ばっかり気にするスキル身につけて、
自己否定をゴリゴリに強化して。

そんな状態で学校行ったらどうなるか、
……そらこうなるわな。

登校した瞬間から、もう戦闘態勢。
ランドセル背負ってるけど、
心は完全に最前線。

「これ言ったら怒られる?」
「今、笑ってええタイミング?」
「……笑ったら死ぬ?(※死なん)」

……なぁオレ。
まだ一時間目も始まってへんぞ。
気ぃ使いすぎや。

でも当時のお前には、
それが“普通”やったんよな。

◆ 家で身につけたクセを、そのまま持ち込んだ

家ではオトンの機嫌ひとつで空気が凍る。
怒りの理由は分からん。
昨日OKでも今日はアウト。

そんな環境で育ったら、
「先に読む」しか生き残る道ないやん。

そのクセ、
学校にまでフル装備で持ってきてもうた。

クラスの輪の中におっても、
オレは会話してへん。
完全に様子見。

誰が今どんな顔してるか。
誰の声がちょっと強いか。
次に誰が不機嫌になりそうか。

完全に人間レーダー。
しかも感度MAX。
誤作動多め。

もはや
空気読み選手権・小学生の部
優勝候補。

※競技内容:
一言ミスったら即メンタル粉砕。

◆ 笑う=危険行為、みたいになってた

笑われるかどうかより、
怒られへんかどうかが最優先。

なぁオレ。
学校って友だち作る場所やんな?
なんでお前、
地雷原を、見つからんようにコソコソ進んでる気分やねん。

クラスで誰かが言い合い始めると、
胸がギュッてなる。

「……え?オレ、なんかした?」

いや、してへん。
してへんけど、
心が勝手に反応する。

自意識過剰ちゃう。
家でな、
「怒り=自分のせい」
って公式を、
骨の髄まで刷り込まれてたんや。

だから誰かの声が強くなるだけで、
脳内反省会が即スタート。

「さっきの態度、あかんかった?」
「あの相づち、軽すぎた?」
「存在感、出しすぎた?」

……存在感出しすぎって何やねん。
オレ、半透明人間か。

◆ 人の中におるのに、ひとりやった

みんながワイワイ笑ってる教室で、
オレだけ顔の筋肉が石像。

笑い声が大きくなるほど、
オレの中は
シーン……って静まっていく。

笑いたいのに、
笑い方が分からん。
入っていきたいのに、
なに話していいか分からん。

気づいたら、
人の中におるのに、
心だけ一歩引いてる。

人が怖い。
でも嫌いちゃう。
関わりたい。
でも間違えたくない。

この矛盾が、
オレを一番疲れさせてた。

◆ 何もしてないのに、すり減っていく

家でも緊張。
学校でも緊張。
気抜いたら怒られる気がして、
ずっと肩すくめて生きてる。

休み時間。
みんなが走り回ってる横で、
オレは一人、
机の傷をなぞってた。

「……オレ、どうしたらええんやろ」

友だちの作り方も、
笑うタイミングも、
正解が分からん。

間違えへんようにしてたら、
何もできんくなってた。

目立たんように。
波立てんように。
壊れんように。

そうやって守った結果、
オレ自身が
どんどん薄なっていく。

なぁオレ。
これ以上、
自分消してどないするんや。

◆ それでも踏ん張ってた、あの頃のオレ

でも当時のお前は、
それしか知らんかった。

学校での
“正しい振る舞い方”が分からんまま、
ただ必死で耐えてた。

この時点で、
もうだいぶ限界や。

せやけどまだ、
お前は踏ん張る。

しんどい理由も分からんまま、
「ちゃんとせな」だけを
握りしめてな。

──この踏ん張りが、
次の一歩を呼ぶことになる。

ただその一歩は、
前に進む一歩やなかった。

オレはこのあと、
「自分を出そうとして失敗する」
という、別の地獄に足を突っ込みます。

第4話につづきます。


前回
▶第2話 「自己否定、フル装備完了のオレ」



次回
▶第4話 「勇気出したら、心ズタズタにされたオレ」



はじめての方はこちら👇
【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」



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 【青春編まとめ】








※第2話です。

第1話で完成した「顔色センサー」に、
今度は「自己否定」が追加されます。

この時点で、

オレの装備はだいたい重すぎです。



◆日曜日=説教フルマラソンの日

なぁ、あの頃のオレ。
日曜日って聞いたら、
普通は「遊べる日」やろ。

でもお前にとっては違ったな。

日曜日=
「オトン在宅・長時間コース」
=説教フルマラソン開催日。

フェス言うても楽しい方ちゃう。
出演者ひとり、観客ひとり。
音楽なし。
屋台なし。
あるのは緊張感だけ。

しかも朝イチから始まる。
目覚ましより早い説教。

「早く起きろ!」
「朝メシ早よ食え!」
「歯磨け!」
「部屋片付けろ!」
「掃除しろ!」
「テレビばっか見てるな!」

……なぁオトン。
これ全部、
一文にまとめられへんか?

前菜からデザートまで
フルコースで出されると、
心がもたれるねん。

「本日の注意事項」
紙に書いて冷蔵庫に貼っといてくれたら、
オレ毎日それ見て生きるから。

◆言ってること自体は、間違ってなかった

ここでな、
今のオレから補足しとく。

オトンの言うてること、
全部がおかしかったわけちゃう。

清潔は大事。
整理整頓も大事。
生活リズム整えるのも、そら大事。

今なら分かる。
言ってる内容だけ見たら、
割とまっとうなことも多かった。

でも問題はそこちゃう。

問題は
「出し方」と
「積み重なり方」。

◆常に「できてない前提」で生きる日常

常に
「できてない前提」。
「足りてない前提」。

ちゃんとできた日は、
何も言われへん。
存在確認、ゼロ。

ちょっとでも抜けたら、
全否定。
人格ごと持ってかれる。

それがな、
毎日、毎週、
積み重なるとどうなるか。

◆「大人しいなぁ」の破壊力

──ある日や。

近所のおっちゃんに声かけられた。

「お、〇〇んとこの子か」
「えらい大人しいなぁ」

ただそれだけ。
悪気もない、
よくある一言。

でもな、
その瞬間、
オレの頭の中で
勝手に翻訳が始まった。

「大人しい」
=暗い
=元気ない
=なんか足りてない
=オレ、あかん子

……なぁオレ。
誰もそんなこと言うてへん。

言うてへんのに、
オレの脳内AI、
最悪の意訳しかしよらん。

しかもこのAI、
アップデート不可。
常にネガティブ最新版。

◆「自分をそのまま受け取れない」状態

その時、
ハッキリ分かった。

あぁオレもう、
「自分をそのまま受け取る」
って機能、壊れてるんやなって。

最初の頃はな、
オトンに注意されても、

「はい」
「分かった」

って素直に返事してた。

でも回数重なると、
オレの中で
勝手に変換されるようになる。

部屋片付けろ
=今のオレ、あかん

早く風呂入れ
=だらしない人間

テレビばっか見るな
=価値ない

誰もそこまで言うてへんのに、
オレがオレを裁いてた。

◆褒め成分ゼロ生活の副作用

追い打ちがな、
オトンの注意には
“褒め”が一切ないこと。

できて当たり前。
できてへんかったら怒られる。

褒め成分、
限界まで薄めたカルピス。
ほぼ水。

これな、
子どもには地味に効く。

オレ、だんだん
「何しても足りてない」
って感覚になる。

頑張っても
「まだ足りん」。

サボったら
「ほら見ろ」。

はい、詰み。

◆怒られないために動く人生

そこでオレが編み出した
生き延びるための戦術。

それが
「先に怒られへんように動く」。

言われる前に片付ける。
言われる前に風呂入る。
言われる前に歯磨く。

……これな、
自発性ちゃう。
完全に予防医療。

オトンの怒りが噴火する前に、
必死で消火活動。

◆自己否定、フル装備完了

その結果どうなったか。

オレの
「自分のペース」
完全消滅。

基準は常に
「オトンがどう思うか」。

楽しいかどうか、ちゃう。
やりたいかどうか,ちゃう。
怒られへんかどうか。

第1話で身につけた
「機嫌センサー」に、
この回で
「自己否定」が上乗せされた。

なぁオレ。
そら強なるわ。

・人の機嫌を察知する力
・自分を責めるクセ

このダブル装備。

防御力は高い。
でもな、
心のHPは
常に瀕死。

ここまで来たらもう、
人の目、気にせん方が無理や。

……なぁオレ。
次のステージは学校や。

※ここまで読んでくれて、ありがとうございます。

第2話では、
「怒られないために動く」
「正解っぽい行動を先回りで選ぶ」
そんな生き方が、いつの間にか“自分の基準”になっていった話を書きました。

この連載は、
成功談でも、スカッとする話でもありません。
うまくできなかったこと、
逃げたこと、
ズレたまま進んできた人生を、
今の目線で一つずつ言葉にしていく記録です。

次の話では、
この“顔色を読むクセ”を持ったまま、
オレが学校という外の世界に出ていき、
さらに息苦しくなっていく話をします。

第3話につづきます。


前回
▶第1話 「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」


次回
▶第3話 「気ぃ使いすぎて、笑うのも怖なったオレ」




はじめての方はこちら👇
【第1話】「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」


 まとめて読む方はこちら👇  

 【青春編まとめ】