夢見てズレて転び続けたオレの黒歴史ノート

◆
メールの中身なぁ、あの頃のオレ。
半年ぶりに届いた、
イタリアのコーチからのメール。
震える手で開いた。
お前の頭の中では、
もう内容は決まってた。
「イタリアへ来い。」
これや。
下手したら、
「待たせたな。」
「次はプロ契約や。」
ぐらい書いてある思てた。
なぁオレ。
勝手にコーチのセリフまで
用意すな。
ほんでメール読む。
そこには、
日本の会社名と連絡先。
「詳しいことは、
こちらへ問い合わせてください。」
……。
なぁオレ。
「来い。」
ちゃうんかい。
かなり待って届いたん、
イタリア行きの招待状ちゃう。
問い合わせ先や。
でもな。
日本に、
イタリアへつながる会社がある。
それだけで、
お前の中のイタリア熱が、
一気に復活した。
◆
電話する前から出発会社名見る。
電話番号見る。
また会社名見る。
また電話番号見る。
なぁオレ。
何回見ても、
電話番号は増えへんぞ。
むしろ、
減ることもない。
それでも嬉しかった。
ずっとほったらかしてた、
イタリア語の本を引っ張り出す。
表紙見る。
開く。
……。
全然分からん。
なぁオレ。
夢は復活したけど、
イタリア語は全然復活してへん。
……
そもそも、
備わってない。
ほんで写真見る。
レッサーパンダ。
キリスト。
白髪じいじ。
ちびっ子達。
もう頭の中では、
イタリアへ戻っとる。
飛行機乗る。
ミラノ着く。
ボール蹴る。
イタリア語しゃべる。
……。
なぁオレ。
最後のやつだけ、
完全に妄想や。
まだ電話すらしてへん。
それやのに、
妄想だけ先に、
イタリア入国しとった。
◆
温度差エグい電話次の日。
さっそく会社へ電話する。
中年ぐらいの男性が出た。
声は比較的若い。
でも話し方は、
めちゃくちゃ事務的やった。
オレは紹介された経緯と、
イタリアへ留学したいことを説明する。
担当者。
「現在、
イタリアサッカー留学を
斡旋する企画を考えております。」
「内容が決まりましたら、
またご連絡いたします。」
オレ。
「分かりました!」
電話切る。
……。
「よっしゃぁぁぁ!!」
部屋一周走る。
イタリア語の本出す。
写真並べる。
ほんで頭ん中。
イタリア。
ピザ。
パスタ。
ティラミス。
サッカー。
……。
なぁオレ。
留学行く気か、
食べに行く気か、
どっちや。
ほんで勢い余って、
地球儀まで回す。
……。
なぁオレ。
イタリア探したかったんか、
地球回したかったんか、
どっちや。
◆
5分後に1人考えるガッツポーズしたまま、
ニヤニヤしてる。
もう気持ちは、
完全にイタリアや。
……でもな。
5分後。
担当者の言葉が、
ゆっくり頭に戻ってくる。
「これから、
企画を考えておりまして……」
……。
ん?
……。
なぁオレ。
ちょっと待て。
「これから企画する。」
って言うてへんかったか?
ほな、いつやねん。
来月か?
半年後か?
一年後か?
ホンマに、
やろうとしてるんか?
部屋で一人、
だんだん腹立ってくる。
「企画って何やねん!」
「考えてるって、
どこまで考えてんねん!」
「日にちぐらい、
決めてから言うてくれや!」
なぁオレ。
誰にキレとんねん。
担当者、
何も悪ない。
ちゃんと最初から、
「これから企画します。」
言うてくれとる。
勝手に聞き飛ばして、
勝手に飛行機乗って、
勝手にイタリア着いて、
勝手に腹立てとるんはお前や。
5分前。
地球儀回して、
「イタリアーー!!」
5分後。
日本の部屋で、
「企画って何やねん!」
……
なぁオレ。
情緒、
時差ボケしとる。
◆
それでも復活した夢結局。
また待つことになった。
いつになるんか分からん。
ホンマに、
実現するんかも、
まだ分からん。
それでもな。
長い間、
消えかけてた気持ちは戻ってきた。
「またイタリアへ行きたい。」
その思いや。
イタリア語の本を、
もう一回開く。
相変わらず、
全然分からん。
なぁオレ。
気持ちはイタリア。
学力は日本に置き去りや。
でも少しずつ、
また前を向き始めた。
土木の仕事も続けた。
しんどい。
疲れる。
それでも前とは、
少しだけ違った。
働いた先に、
イタリアが見え始めた。
◆
結論なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
メール一通で舞い上がって、
電話一本で、
もうイタリア行った気になってたな。
「これから企画します。」
その一言で、
5分後には現実へ引き戻されて、
一人で勝手に腹立てとった。
でもな。
あの電話で決まったんは、
留学ちゃう。
たった一つ。
「もしかしたら。」
その可能性だけや。
希望ってな。
「決まった未来」
から生まれるんちゃう。
「もしかしたら。」
その一言だけで、
人間は、
もう一回歩き出せるんや。
まぁお前の場合、
希望があったんちゃう。
ただ、
気ぃ早すぎただけや。
……
でもな。
あの気ぃ早さがあったから、
お前はもう一回、
夢の方を向けたんや。
【
一言まとめ】
企画はこれから。
妄想だけは、
すでにイタリア到着済みやった。
【
次回】
待ちに待った一本の連絡。
ついに、
イタリアサッカー留学が動き出す。

◆
忘れてた最後の事件部屋掃除してた。
まだ片付け終わってへん。
イタリアの写真。
パンフレット。
ぐちゃぐちゃのメモ。
色々そのまま置いてある。
なぁオレ。
写真見てたら、
一つ思い出した。
そういや帰国の日。
最後に、
とんでもない事件あったな。
……
いや。
事件というか、
オレの人生で、
一番しょうもない判断や。
原因は……
イタリアでもろた、
エロ本。
しかも3冊。
なぁオレ。
最後にもろた思い出、
そこなんや。
ほんで成田空港。
前歩いてた外国人。
何か……
めっちゃ怪しそうな雰囲気。
革ジャン。
サングラス。
ヒゲ。
……。
勝手に犯罪者扱いすな。
完全に、
お前の思い込みや。
ところがや。
税関で止められる。
カバン開けられる。
服出される。
ズボン出される。
靴まで出される。
荷物、
全部ひっくり返されてる。
なぁオレ。
もう、
めちゃくちゃや。
針一本でも
見逃さんぞ。
そんな勢いや。
空気、
ピリッピリ。
係員も真剣。
外国人も真剣。
なぁオレ。
思い込みや思たら、
ホンマに調べられとるやん。
その瞬間や。
オレの頭ん中、
エロ本しかない。
もう妄想始まる。
「ちょっと、
こちらへ。」
別室。
警察官入ってくる。
「これは君のか?」
手錠。
カチャッ。
全国ニュース。
『イタリア帰りの日本人。
エロ本3冊所持で、
緊急逮捕。』
なぁオレ。
誰が見るねん。
そんなニュース。
ほんでオカン。
テレビ見ながら、
「アンタ何してんの!」
……。
全部、
頭ん中だけや。
◆
エロ本との別れなぁオレ。
もうアカン。
次は絶対、
オレの番や。
ほんでオレ、
一回引き返す。
トイレ入る。
個室入る。
かばんから、
エロ本3冊取り出す。
……。
なぁオレ。
何、
並べとんねん。
しばらく見つめる。
イタリア最後の、
お別れや。
……。
いやいや。
何に感情移入しとんねん。
数分悩む。
捨てる。
また手止まる。
捨てようとする。
また拾おうとする。
なぁオレ。
どんだけ
未練あんねん。
ほんで最後。
「すまん。」
心の中で謝って、
ゴミ箱へ。
これで終わった。
そう思た。
ほんで覚悟決めて、
税関向かう。
ドキドキする。
係員、
オレ見る。
……。
「どうぞ。」
以上。
……。
なぁオレ。
終わりかい。
荷物も開けへん。
カバンも見ぃひん。
何にも聞かれへん。
そのまま通過。
なぁオレ。
マジでエロ本
持って帰れたやん。
あの数分、
何やってん。
イタリア最後の後悔。
PK外したことちゃう。
エロ本捨てたことや。
◆
現実は待ってくれへん帰国して数日。
また土木の仕事が始まる。
朝早い。
暑い。
重たい。
毎日ヘトヘトや。
なぁオレ。
イタリアでは、
芝生の上走っとった。
日本帰ったら、
土の上、
鉄筋運んどる。
落差エグい。
でもな。
またイタリア行くためや。
そう思て、
頑張っとった。
最初は仕事終わってから、
イタリア語教室も
ちゃんと通ってた。
でもな。
仕事終わる。
疲れる。
「今回は休も。」
また別の日。
「今日もええか。」
それが何回も続く。
気付いたら、
イタリア語教室、
行かんようになってた。
なぁオレ。
夢ってな。
「もうやめた。」
そう決めて終わるんちゃう。
忙しさに負けて、
少しずつ遠ざかっていくんや。
毎日仕事して。
帰って寝て。
また仕事。
そんな毎日が、
当たり前になってた。
なぁオレ。
あれだけ燃えてた
イタリア熱。
気付いたら、
少しずつ
冷め始めてた。
◆
数ヶ月後の奇跡それから数ヶ月。
毎日、
仕事して。
帰って寝る。
また仕事。
その繰り返しや。
なぁオレ。
最初は毎日、
メール確認しとった。
「今日こそ来てるかも。」
そう思って、
パソコン開く。
でもな。
来るんは、
広告メール。
訳分からん案内。
コーチからは、
何も来ぇへん。
なぁオレ。
数ヶ月って、
長いな。
最初は、
「絶対またイタリア行く。」
思てた。
でも毎日仕事してたら、
そんな気持ちも、
少しずつ薄なっていく。
ある日。
仕事終わって、
何となくパソコン開く。
期待なんか、
もうしてへん。
メール一件。
送り主見る。
……。
イタリア。
なぁオレ。
一瞬、
固まった。
何回も送り主見る。
見間違いちゃう。
コーチや。
手、
震える。
心臓、
バクバクや。
なぁオレ。
好きな女の子から
メール来た時より、
ドキドキしとる。
震える手で、
マウス持つ。
クリックする。
……
画面が開いた。
その瞬間、
オレの人生が、
もう一回動き出した。
◆
結論なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
あの頃は、
もう終わった思てたやろ。
土木の仕事。
毎日の疲れ。
イタリア語教室も行かんようになった。
コーチからの連絡も、
半年間、
何も来ぇへんかった。
だから少しずつ、
夢が遠ざかっていくんや。
でもな。
人生って、
おもろい。
諦めかけた頃に、
急に動き出すことがある。
なぁオレ。
あのメールは、
オレが諦めかけてた夢から届いた、
返事やった。
【
一言まとめ】
夢は、諦めた時に終わるんちゃう。
思いもよらん時に、
また動き出すことがある。
【次回】
半年ぶりに届いた、
イタリアからのメール。
オレの人生、
もう一度動き出す。

◆
帰る日なぁ、あの頃のオレ。
ついに帰る日や。
駅へ向かう。
電車乗る。
ローマへ向かう。
なぁオレ。
行きは、
「イタリア着いたー!!」
やった。
帰りは違う。
昨日まで何とも思わんかった景色。
街も。
駅も。
山も。
全部、
寂しそうに見える。
「もう見られへんのかな。」
そう思うだけで、
全部特別に見えてくる。
なぁオレ。
行きは、
全部ワクワク。
帰りは、
全部切ない。
景色は何も変わってへん。
変わったんは、
お前の心や。
◆
最後までイタリアその日は、
ローマで一泊することになった。
翌朝。
ホテルの朝ごはん。
テーブル見る。
メロン。
「朝から果物か。」
思た。
ほんでよく見たら
その上には、生ハム。
……。
なぁオレ。
誰が考えた。
デザート担当と肉担当を、
同じ皿に乗せたヤツ。
絶対ケンカなるやろ。
ほんで恐る恐る食う。
パクッ。
……。
うまい。
めちゃくちゃうまい。
なぁオレ。
さっきまで
「絶対ケンカなる。」
言うてたヤツが、
一番仲良く食べとる。
昨日までパン硬い言うてたヤツが、
最後は生ハムメロンに、
完全敗北や。
しかも、
「日本帰ったら食べよ。」
思ってた。
でもな。
当時のオレ、
まだ知らん。
あの頃、
地元で生ハムなんか、
ほとんど見たこと無かった。
なぁオレ。
当時の地元のスーパー、
そんなもん売ってへん。
期待しすぎや。
◆
イタリアが遠ざかる朝ごはん食べて、
ローマ空港へ向かう電車乗る。
窓の外見る。
街並み流れる。
昨日まで、
何とも思わんかった景色。
でも今日は、
全部、
「最後」や。
なぁオレ。
行きは、
早く着け思てた。
帰りは、
時間止まれ思てた。
人間、
ほんま勝手やな。
言葉は、
最後までほとんど覚えられへんかった。
でもな。
イタリアは、
ちゃんと好きになってた。
飛行機乗る。
爆睡する。
起きる。
また寝る。
ほんで気付いたら、
日本や。
なぁオレ。
飛行機、
寝てた記憶しかない。
ほんで空港出る。
自動ドア開く。
……。
ムワァァァァァ。
オレ。
「湿気ぇぇぇぇぇ!!」
なぁオレ。
第一声、
それなんや。
イタリアの思い出より、
湿気が先勝つんか。
感動、
3秒で負けた。
イタリアの空気は、
カラッ。
日本の空気は、
モワッ。
髪の毛、
一瞬で膨らむ。
Tシャツ、
一瞬で張り付く。
メンタルまで、
何かジメッとしてくる。
なぁオレ。
湿気だけで、
「あぁ、日本帰って来た。」
思た。
◆
勇者、現実へ帰還家帰る。
玄関開ける。
オカン。
「おかえり。」
オレ。
「ただいま。」
……。
なぁオレ。
ちょっと待つ。
何かあるやろ。
イタリアから
帰って来たんやぞ。
するとオカン。
「アンタ。
洗濯物、
早よ出しや。」
……。
なぁオレ。
もっと他に、
声かけること
あるやろ。
イタリアでは、
「スーーーシーー!!」
日本帰ったら、
「アンタ。」
なぁオレ。
スーシーの寿命、
5秒やった。
ほんでオカン、
オレ見て一言。
「ちょっと痩せた?」
なぁオレ。
そこなんや。
オレの心、
まだイタリアやぞ。
でもな。
オカンは、
相変わらず、
いつものオカンやった。
◆
イタリアロス発症部屋帰る。
スーツケース開ける。
服出す。
ほんで出てきた。
大量の写真。
合宿中に、
コーチらが撮ってくれてた写真や。
なぁオレ。
買いすぎや。
何十枚あんねん。
一枚見る。
レッサーパンダ。
相変わらず、
腹立つ顔しとる。
白髪じいじ。
結局最後まで、
呼吸法だけは分からんかった。
キリスト。
何でお前、
ずっと笑っとんねん。
ちびっ子達。
オレに群がっとる。
最後、
号泣したちびっ子。
なぁオレ。
ページめくるたび、
イタリア戻ってまう。
「スーーーシーー!!」
笑い声まで、
聞こえてきそうや。
パンフレット。
ぐちゃぐちゃのメモ。
何書いてるか分からん紙。
全部、
宝物になってた。
気付いたら、
写真見ながら笑ってる。
……。
ほんで次の瞬間、
めちゃくちゃ寂しくなってる。
なぁオレ。
身体だけ帰って来た。
心は、
まだイタリアや。
完全に、
イタリアロス発症。
しかも、
重症や。
なぁオレ。
写真って、
思い出閉じ込める道具ちゃう。
思い出、
全部連れて帰ってくる道具やった。
◆
結論なぁ、あの頃のオレ。
日本には帰って来た。
でも、
帰ってきたんは、
身体だけやった。
心は、
まだイタリアに
置いてきたままや。
レッサーパンダ。
キリスト。
白髪じいじ。
毎日部屋に来てた、
ちびっ子達。
気付いたら、
毎日思い出してた。
写真見て、
笑って。
また寂しくなって。
その繰り返しや。
なぁオレ。
パン硬い。
言葉分からん。
PK外す。
湿気ゼロ。
それでも、
好きになってもうた。
なぁオレ。
その時のお前は、
「また行きたい。」
それしか考えてへんかった。
でもな。
人生って、
本気で思い続けたことは、
時々ほんまになる。
【
一言まとめ】
日本には帰ってきた。
でも、心だけは、
まだイタリアやった。
【
次回】
日々の生活に
イタリアが遠ざかっていく。

◆
最後までスーシー荷物まとめる。
帰る準備する。
なぁオレ。
いよいよ終わりや。
すると来る。
レッサーパンダや。
相変わらず、
ニヤニヤしてる。
ほんで開口一番。
「スーーーシーー!!」
なぁオレ。
最後までそれか。
ほんでオレも、
両手を広げる。
手のひらを上に向ける。
肩をすくめる。
「分からん」のポーズや。
レッサーパンダ。
大爆笑。
すると今度は、
キリスト。
「スーーーシーー!!」
ほんでキリストも、
両手を広げる。
手のひらを上に向ける。
肩をすくめる。
オレの真似や。
オレもやる。
キリストもやる。
レッサーパンダもやる。
全員やる。
なぁオレ。
最後の別れやぞ。
何で全員、
またモノマネ大会やねん。
でもな。
それがアイツらやった。
変にしんみりせぇへん。
笑う。
肩組む。
また笑う。
ほんで最後に、
肩ポンポンって叩かれる。
たったそれだけや。
でもな。
何かめちゃくちゃ嬉しかった。
なぁオレ。
言葉は分からんかった。
でもな。
仲間やと思ってくれてたんは、
ちゃんと伝わった。
◆
白髪じいじとの別れほんで最後。
白髪じいじや。
相変わらず細い。
今日も、
仙人みたいな顔しとる。
なぁオレ。
謎の呼吸法。
足踏み事件。
……
色々あったな。
全部思い出す。
じいじ。
ニコッて笑う。
オレも笑う。
なぁオレ。
結局最後まで、
呼吸法だけは
信用できへんかった。
でもな。
サッカーは本物やった。
じいじも本物やった。
ほんで最後に、
ギューッと抱き締められる。
なぁオレ。
あかん。
その笑顔で、
それされたら。
反則や。
◆
帰りの車そして帰る日。
オレを駅まで
送ってくれることになった。
お気に入りのちびっ子の
お父さんや。
ほんで駐車場行って、
オレ思った。
なぁオレ。
車や。
めちゃくちゃ”外国の車”や。
オレの知ってる車、
もう車ちゃう。
ピカピカや。
デカい。
オレの知ってる車、
全部軽トラに見えた。
お父さんは普通や。
普通に笑ってる。
でもオレの頭の中だけ、
「うわ……」
「絶対高いやつや……」
でいっぱいや。
ほんで助手席乗る。
ドア閉める。
何かもう緊張する。
車内もキレイ。
なぁオレ。
お前の部屋より
キレイや。
ほんで車が走り出す。
お父さん。
色々話しかけてくれる。
日本のこと。
サッカーのこと。
オレのこと。
オレ。
分かることは答える。
分からん時は、
苦笑いする。
でもな。
お父さん。
オレが分からんでも、
ずっと笑って
話してくれてた。
なぁオレ。
言葉は通じへんかった。
でも、
何となく伝わるもんは
あった。
◆
静かすぎるちびっ子……でもな。
ふと思った。
あの子、
今日は静かやな。
いつもやったら、
ずっと喋ってる。
笑ってる。
マジックせがんでくる。
梅干し食って、
叫んでたヤツや。
何かおかしい。
そう思って、
後ろ振り返った。
「スーシー……」
……
ちびっ子や。
泣いてる。
なぁオレ。
めちゃくちゃ泣いてる。
ポロポロちゃう。
ボロボロや。
お母さんの腕にしがみついて、
鼻も涙も、
全部出てる。
顔ぐしゃぐしゃや。
「スーシー……」
また言う。
なぁオレ。
今まで何百回も聞いた。
その呼び方や。
マジックの時も。
梅干しの時も。
食堂でも。
プールでも。
毎日聞いた。
でも今日は違う。
全然違う。
笑ってへん。
泣いとる。
オレも慌てる。
何て言うたらええか、
分からん。
イタリア語も分からん。
英語も分からん。
だから必死に、
カタコトで言う。
「マタアエル。」
ちびっ子。
涙流しながら聞く。
「ホント?」
……。
オレ。
「ホンマや。」
ちびっ子。
もう一回聞く。
「ホント?」
……。
オレ。
頷く。
「ホンマや。」
なぁオレ。
お前な。
発音なんかどうでもよかった。
文法なんかどうでもよかった。
ただ安心させたかった。
それだけやった。
でもな。
ちびっ子。
また泣く。
「スーシー……」
また泣く。
「スーシー……」
なぁオレ。
その辺からや。
危なかったな。
白髪じいじに怒られても、
泣かんかった。
PK止められても、
泣かんかった。
でもな。
ちびっ子の涙だけは、
アカンかった。
◆
駅で交わした約束駅に着く。
車止まる。
でもな。
誰もすぐ降りへん。
なぁオレ。
降りたら終わるん、
分かってるからや。
ちびっ子。
まだ泣いてる。
目真っ赤や。
ほんで車降りた瞬間、
オレに抱きついてきた。
ギューッて。
めちゃくちゃ力強く。
なぁオレ。
お前な。
そんな抱きつかれ方、
人生で何回も無いぞ。
ほんでオレも抱きしめる。
頭撫でる。
何か言わなアカン。
でも言葉出てこん。
イタリア語も知らん。
英語も知らん。
だから結局、
これしか言われへんかった。
「マタクル。」
「ゼッタイクル。」
ちびっ子。
泣きながら聞く。
「ホント?」
オレ。
頷く。
「ホンマや。」
なぁオレ。
その時のお前な。
その約束、
本気やった。
その場しのぎちゃう。
慰めでもない。
ほんまに戻って来るつもりやった。
ほんで最後。
もう一回抱きしめる。
お父さんと握手。
お母さんにもお礼言う。
ちびっ子。
最後まで泣いてる。
「スーシー……」
なぁオレ。
今までずっと、
笑いながら呼ばれてた名前や。
でもその時だけは違った。
ちょっとだけ、
特別な名前になってた。
◆
結論なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
イタリア来た時は、
サッカーしか見えてへんかった。
上手くなりたい。
プロなりたい。
そればっかりやった。
でもな。
帰る頃には違った。
レッサーパンダ。
キリスト。
白髪じいじ。
毎日部屋来てた、
ちびっ子達。
気付いたら、
サッカー以外にも、
大事なもん増えてた。
言葉は分からんかった。
文化も違った。
でもな。
笑った時間は本物やった。
怒られた時間も本物やった。
泣かれた時間も本物やった。
なぁオレ。
あの日、
駅で言うたな。
「また来る。」
「絶対来る。」
その時のお前は、
本気やった。
心の底から、
本気やった。
でもな。
あの日の約束は、
ただの別れの言葉やなかった。
お前の人生を、
もう一度イタリアへ向かわせる約束になったんや。
【
一言まとめ】
サッカーを学びに来たのに、
最後は、人との別れが一番忘れられへんかった。
【
次回】
日本へ帰国。
そしてオレは、もう一度、
イタリアを目指し始める。

◆
気付いたら最終日なぁ、あの頃のオレ。
気付いたらや。
合宿最終日。
2週間前。
お前な。
駅で迷う。
ホテル迷う。
電車来ぇへん。
言葉分からん。
顔だけ不安そうな日本人やった。
それが今や。
スーシーや。
なぁオレ。
どういう進化やねん。
人類から寿司になっとるやないか。
◆
イタリア人は思ってたんと違った正直な。
来る前は思ってた。
イタリア人。
陽気。
適当。
なんとかなる精神。
そんなイメージやった。
でもな。
サッカーなった瞬間、
全然違う。
全員マジや。
誰一人手ぇ抜かへん。
練習中なんか、
笑顔より真顔の方が多い。
でも不思議やった。
グラウンドでは、
本気でぶつかる。
本気で怒る。
本気で勝ちにいく。
なのに、
終わったら終わり。
夜には普通に笑ってる。
肩組んでる。
飯食ってる。
なぁオレ。
お前だけや。
昼の出来事、
夜まで引きずってたん。
サッカー中は戦争。
終わったら日常。
その切り替えは、
最後まで不思議やった。
◆
とにかく歌う国ほんでな。
イタリア人。
歌う。
とにかく歌う。
誕生日。
歌う。
勝った。
歌う。
負けた。
歌う。
誰かふざけた。
また歌う。
なぁオレ。
感情全部ミュージカルや。
誕生日の子がおった日なんか、
誰か一人が歌い出した瞬間、
全員参戦。
音程?
知らん。
リズム?
感じろ。
声量?
近所迷惑。
なぁオレ。
食堂ちゃう。
ライブ会場や。
オレだけ毎回、
「今なんの歌?」
って顔してた。
でもな。
意味は分からん。
言葉も分からん。
それでも楽しそうなんは伝わる。
生きてるの楽しんでる。
それだけは、
めちゃくちゃ伝わってきた。
◆
表彰式そして最後。
表彰式。
得点王。
優秀選手。
MVP。
順番に呼ばれていく。
なぁオレ。
全部サッカー上手いやつらや。
そらそうや。
ほんでお前。
完全に見学モード。
するとや。
名前呼ばれる。
「スーシー!!」
……。
……。
オレや。
なぁオレ。
お前もビックリしとる。
何賞やねん。
得点王ちゃう。
MVPちゃう。
技能賞ちゃう。
たぶん、
「遠いとこから来たで賞」
や。
知らんけど。
でもな。
嬉しかった。
めちゃくちゃ嬉しかった。
とまどいながらも前出る。
◆
トロフィー授与トロフィー受け取る。
なぁオレ。
完全に主役気分や。
ほんでその時や。
コーチが何か言う。
「スーシー!」
「アーーップ!!」
たぶん、
「トロフィー上げろ!」
や。
なぁオレ。
その時のお前、
ちょっと照れてる。
でも嬉しい。
せっかくやしな。
会場。
拍手。
歓声。
完全に主役や。
ほんで。
トロフィーを
エイッ!
って頭の上に掲げた。
会場。
「オォォォォォ!!」
その瞬間や。
ズルッッ!!
……。
……。
ズボン、
完全に下がった。
コーチにやられた。
なぁオレ。
下げるな。
今ちゃうやろ。
パンツ丸見え。
トロフィーは天高く。
笑顔はそのまま。
会場。
大爆笑。
ギャハハハハ!!
ウワァァァァ!!
オォォォォ!!
なぁオレ。
さっきまで
表彰されてる男やった。
でも今は違う。
パンツ丸見えで、
笑顔のままトロフィー掲げてるアホや。
昇格と降格、
同時に味わうな。
みんな笑う。
コーチ笑う。
ちびっ子笑う。
白髪じいじ笑う。
なぁオレ。
味方ゼロや。
トロフィー掲げた瞬間、
ズボン下げられる英雄、
世界探してもおらん。
栄光、
3秒で終わった。
◆
勇気出した日でもな。
その後や。
お前、
勇気出した。
コーチのところ行った。
ほんで言う。
「イタリアでサッカーしたいねん」
「どっか紹介してほしいねん」
なぁオレ。
珍しく自分から言うたな。
今までやったら、
誰か何とかしてくれる。
そんなことばっかり考えてた。
でもこの日は違う。
自分で言うた。
自分で掴みに行った。
するとコーチ。
あっさり言う。
「連絡する」
たったそれだけ。
でもな。
お前には十分やった。
胸が熱くなった。
泣きそうやった。
数分前まで、
パンツ丸見えやった男とは思われへん。
◆
結論なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
この合宿で、
サッカーも学んだ。
でもそれ以上に、
人との距離。
楽しみ方。
ぶつかり方。
笑われ方。
色んなもん教わったな。
そして最後。
お前は自分から言うた。
「またイタリアでサッカーしたい」
なぁオレ。
あの時のその一言。
あれが次の人生を動かした。
笑われて。
パンツ下げられて。
それでも夢だけは、
ちゃんと前に進んだんや。
【
一言まとめ】
表彰された直後にパンツ下げられたけど、
夢だけはちゃんと掴みに行った。
【
次回】
みんなとの別れ。

◆
ついに対抗戦なぁ、あの頃のオレ。
ついに来たな。
チーム対抗戦や。
イタリア来てから、
呼吸法。
改名。
マジック。
金玉。
梅干し。
ディスコ。
なぁオレ。
サッカー合宿の内容、
だいぶ迷子やったな。
でもこの日は違う。
ちゃんとサッカーや。
ほんでな。
実はその頃のお前、
少しだけ自信ついてた。
理由はフリーキック練習。
コーチが聞いてきた。
「右角、蹴れるか?」
オレ、
「うん。」
軽く返事する。
ほんで蹴ったら、
カーン!!
右角のバー直撃。
コーチも見てた。
チームメイトも見てた。
なぁオレ。
一本当たっただけや。
一本当たっただけやのに、
お前の脳内ではもう、
セリエAデビュー決まっとる。
まだ練習やぞ。
◆
世界との差と勘違い試合始まる。
速い。
上手い。
強い。
なぁオレ。
ボールが来る前に、
次のプレー決まっとる。
オレだけや。
ボール来てから考えてるん。
でもな。
不思議やった。
圧倒される。
悔しい。
でも逃げたくはならへん。
むしろ、
負けたくなかった。
追いつきたかった。
同じピッチで、
もっとやりたかった。
なぁオレ。
この頃からやな。
サッカーがさらに
面白くなり始めてたんは。
でもな。
全く通用せんかった訳ちゃう。
たまに止める。
たまに蹴れる。
たまに褒められる。
ほんでその「たまに」が、
危険やった。
なぁオレ。
お前な。
ちょっと褒められたら、
すぐ勘違いする。
人生ずっとそうや。
◆
スーシーコール試合終盤。
PK獲得。
なぁオレ。
正直な。
お前は蹴る気なんか全然無かった。
「誰が蹴るんやろな」
ぐらいに思ってた。
するとや。
コーチがこっち見る。
ほんで指差す。
「スーシー。」
……。
……。
え?
オレ?
なぁオレ。
その瞬間や。
お前の脳みそ、
一気に都合良くなった。
「やっぱりな。」
「オレのフリーキック。」
「評価されてたんや。」
なぁオレ。
違うかもしれんやろ。
まだ分からんやろ。
でもお前の中では、
もう代表選出ぐらいの出来事やった。
誰もそんなこと
言うてへん。
「スーシー!!」
「スーシー!!」
「スーシー!!」
なぁオレ。
ゴール裏におった。
ちびっ子軍団や。
マジックのサクラ達や。
梅干しの共犯者達や。
ほんで全員、
めちゃくちゃ応援してる。
「スーシー!!」
「スーシー!!」
なぁオレ。
その瞬間。
お前の脳みそ、
壊れた。
◆
始まる妄想なぁオレ。
PKってな。
決めたら一点や。
それだけや。
でもお前の頭の中では違う。
オレ決める。
↓
ちびっ子大歓声。
↓
肩車。
↓
スーシーコール。
↓
新聞載る。
↓
セリエA。
↓
ワールドカップ。
↓
バロンドール。
↓
教科書載る。
なぁオレ。
飛び級しすぎや。
ほんでさらに思う。
「普通に決めてもおもんないな」
その考え、今すぐ捨てろ。
蹴る前のオレに、
誰か言うたってくれ。
◆
悲劇お前が狙ったんは、
チップキック。
思いっきり蹴るフリ。
ほんでフワッと浮かせる。
キーパー左右に飛ぶ。
ゴールど真ん中に
フワッと吸い込まれる。
……。
一瞬の沈黙。
なぁオレ。
頭の中では
もう完璧や。
オレ大歓声。
頭の中ではな。
なぁオレ。
現実はどうや。
ゴール裏。
「スーシー!!」
「スーシー!!」
ちびっ子ら叫んでる。
お前さらに気持ち高ぶる。
キーパーかまえる。
オレ、助走入る。
キーパー動かへん。
オレ、
思いっきり蹴るフリする。
ほんで軽く蹴る。
フワッ。
……
……
キーパー。
一瞬驚く。
……
動かへん。
……
そのままや。
なぁオレ。
キーパー全然動かへん。
ほんで立っとる。
パシッ。
終了。
なぁオレ。
めちゃくちゃ
普通に取られた。
キーパーな。
読んだんちゃう。
予測したんちゃう。
ただビビったけど
立っとっただけや。
ほんでボールがっちりキャッチ。
◆ ちびっ子のリアクション
一瞬静かになる。
ほんで次の瞬間。
「ノォォォォォ!!」
ちびっ子達絶叫。
頭抱える。
しゃがみ込む。
なぁオレ。
相変わらず
リアクションがデカい。
でもな。
一番恥ずかしいんは、
オレや。
普通に蹴ったら良かった。
ほんまに。
それだけやった。
なぁオレ。
お前な。
たまにこういうとこある。
100点狙わんでええ場面で、
120点狙って0点なる。
なぁオレ。
そういうとこやぞ。
◆
帰りたくなかったでもな。
試合終わって、
みんなと歩いてた時。
ふと思った。
悔しかった。
恥ずかしかった。
でもそれ以上に、
楽しかった。
なぁオレ。
正直な。
試合内容あんま覚えてへん。
何対何やったかも、
もう覚えてへん。
でもな。
一つだけ覚えてる。
帰りたくなかった。
もっとここでやりたい。
もっと上手くなりたい。
もっとみんなとおりたい。
そう思った。
◆
結論なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
世界レベルとの差より先に、
自分の調子乗り癖を知ったな。
PKは止められた。
ちびっ子には叫ばれた。
だいぶ恥かいた。
でもな。
イタリア来る前より、
サッカー好きになってた。
それだけは本物やった。
【
一言まとめ】
普通に蹴れば英雄。
調子乗った結果、
伝説だけ残った。
【
次回】
合宿最終日。
帰りたくないオレ。

◆
白髪じいじ本領発揮なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
白髪じいじのこと、
少し見直したけど、
まだちょっとナメとったやろ。
呼吸法のじいじ。
吊ったボールの練習だけ
めちゃくちゃうまい。
そんな認識やった。
でもな。
サッカー始まった瞬間、
その認識、
木っ端みじんになる。
その日のミニゲーム。
相手チームに、
あの白髪じいじがおった。
見た目は完全におじいちゃん。
でもな。
気付いたらおる。
またおる。
さっきもおった。
なぁオレ。
ホラー映画の敵か。
走らん。
無駄に動かん。
でもそこにおる。
なぁオレ。
GPSでも付いてんのか。
前おる。
横おる。
パスコース塞いどる。
なぁオレ。
瞬間移動でも覚えたんか。
ほんでお前、
だんだん意地になる。
絶対負けたくない。
年齢とか関係ない。
ここはイタリアや。
結果が全てや。
なぁオレ。
その気持ちはええ。
でも相手選べ。
◆
オレ事件起こすほんで事件は起きる。
ボール追う。
全力で踏み込む。
その瞬間や。
グンッ!!
足の裏に、
嫌な感触。
なぁオレ。
あの感触、
今でも覚えてる。
ほんで次の瞬間。
「アアアアアアアアア!!!」
白髪じいじ絶叫。
顔真っ赤。
怒りMAX。
なぁオレ。
昼間の太陽より熱い。
オレ、
思いっきり足踏んでもうた。
しかも、
白髪じいじの足。
なぁオレ。
よりによってや。
世界中に人おるのに、
なんで白髪じいじ選ぶねん。
空気が凍る。
選手止まる。
ボール止まる。
鳥も止まった気がした。
時間まで止まった気がした。
なぁオレ。
気のせいやけどな。
でもそれぐらい終わった思った。
◆
人生終了のお知らせオレの頭の中、
真っ白。
「あ、終わった……」
「強制送還や……」
「空港で親父待ってるやつや……」
なぁオレ。
また始まったな。
でも本気やった。
白髪じいじ、
足押さえながら睨んでる。
めちゃくちゃ睨んでる。
なぁオレ。
今なら分かる。
普通に痛かっただけや。
でも当時のお前には、
処刑宣告に見えとる。
審判も見る。
コーチも見る。
みんな見る。
逃げ場ゼロ。
オレ、
その場で直立不動。
謝ろうとする。
でもイタリア語出てこん。
口だけパクパク。
なぁオレ。
壊れた金魚や。
勇気出して謝る。
でもじいじ、
怒り収まらん。
手振り払われる。
なぁオレ。
心折れる音したな。
パキッて。
◆
最後の晩餐結局そのまま終了。
夜。
夕食。
パスタ。
パン。
肉。
めちゃくちゃ美味そう。
でもな。
味なんか分からん。
なぁオレ。
昼まではご馳走やった。
今は全部、
最後の晩餐に見えとる。
視線の先には、
白髪じいじ。
同じ空間おるだけで、
心拍数上がる。
フォーク持つ。
じいじ見る。
パスタ食う。
また目ぇ逸らす。
なぁオレ。
好きな子ちゃうねん。
怯えてるだけや。
ほんでお前、
覚悟決める。
「今しかない……」
震える足で立ち上がる。
なぁオレ。
その勇気は偉い。
◆
勇気出して白髪じいじの前へじいじの前に立つ。
ほんで必死に、
脳内のイタリア語フォルダ漁る。
「スクージィ……」
「ミア……」
「コルパ……」
発音合ってるか知らん。
文法も知らん。
でもな。
謝ってる気持ちだけは本物や。
すると――
白髪じいじ。
ふっと笑う。
なぁオレ。
……あれ?
昼の鬼、
消えた。
ほんで一言。
「ダイジョーブダイジョーブ〜!」
……。
……え?
なぁオレ。
前に教えた日本語、
ちゃんと覚えとったんか。
急な日本語やめろ。
心臓もたへん。
しかもめちゃくちゃ優しい。
昼は鬼やと思った。
夜は天使やった。
振り幅エグい。
ほんでじいじ、
オレをギュッと抱きしめる。
ニコニコしてる。
さっきと別人や。
なぁオレ。
昼間の形相、
どこ行った。
オレ、
危うく泣きそうになる。
いや、
半分泣いてた。
ありがとう。
白髪天使じいじ。
昼は悪魔やと思った。
夜は天使やった。
◆
結論なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
白髪じいじの足踏んだだけで、
人生終わった思ってたな。
でもな。
終わったんちゃう。
ちゃんと謝ったら、
ちゃんと伝わった。
言葉は下手くそ。
発音もグダグダ。
でもな。
気持ちは通じた。
なぁオレ。
結局最後まで、
白髪じいじの呼吸法だけは、
信用でけへんかったけどな。
【
一言まとめ】
人生終わった思ったら、
白髪じいじが天使やった。
【
次回】
ヒーローになる予定やったオレ。

◆
初めてのディスコなぁ、あの頃のオレ。
お前な。
昼はプールで柱になってたのに、
夜はディスコや。
忙しいな。
人間って、
一日でこんな振り幅あるんやな。
その日の夜。
レッサーパンダとキリストが、
どこかへ行こうと言い出した。
着いた先はディスコ。
人生初や。
入口から爆音。
ズンズン。
ドンドン。
なぁオレ。
まだ入ってへんのに、
もう帰りたくなっとるやないか。
ディスコって何するんや。
踊るんか。
誰と踊るんや。
知らん人か。
無理や。
そもそもオレ、
フォークダンスですら怪しかったぞ。
◆
オレだけ明らかに違う中へ入る。
真っ暗。
爆音。
人だらけ。
男も踊る。
女も踊る。
笑う。
叫ぶ。
また踊る。
なんやこの空間。
ほんで周りを見る。
西洋人。
また西洋人。
どこ見ても西洋人。
なぁオレ。
当たり前や。
ここイタリアや。
でもな。
当時のお前、
だんだん不安になってくる。
「……あれ?」
「オレだけちゃう?」
アジア人。
完全に浮いてる気がする。
まぁ、いまさらやけどな。
なぁオレ。
誰も見てへん。
でもお前の頭の中では、
全員見てる。
「なんか見られてへん?」
「オレだけちゃう?」
「もしかして入ったらアカンかった?」
被害妄想スタート。
ほんでさらに暴走。
「いや待て……」
「オレ怪しまれてへん?」
「もしかして……」
「ドラッグの売人とか思われてへん?」
なぁオレ。
どこをどう見たら
16歳の売人やねん。
財布しか持ってへんやろ。
しかも金もそんな無い。
店員が歩いてくる。
お前ビビる。
「来た。」
「絶対来た。」
「注意される。」
でも店員。
普通に横通過。
なぁオレ。
主人公なん、
お前だけの物語や。
誰もお前に興味ない。
完全に一人で事件起こしてる。
◆
謎の自信でもな。
みんな踊ってる。
オレも踊らなアカン。
でもな。
その時のお前、
一つだけ思ってた。
「待てよ……」
「オレ踊ったことないだけで……」
「実はめちゃくちゃ才能あるんちゃうか?」
なぁオレ。
その自信、
どこから湧いてきてん。
ほんでさらに妄想する。
オレ踊る。
↓
みんな止まる。
↓
「アイツ誰や?」
↓
拍手。
↓
アンコール。
↓
サイン会。
↓
そしてレアル移籍。
なぁオレ。
入店5分でスターなる気や。
とりあえずまわりのマネする。
でも緊張してるから、
ガチガチ。
踊ってるんか、
なんか宇宙人よんでるんか、
わからんことなってる。
なぁオレ。
お前だけ動きに目的が無い。
周りはリズムに乗ってる。
オレだけ故障。
完全に故障。
Wi-Fi切れたロボットや。
ほんでオレも考える。
どうしたら踊れてるように見えるんや。
とりあえず頷く。
うん。
うん。
うん。
だけで踊ってる気になってる。
なぁオレ。
それ踊りちゃう。
居酒屋で説教聞いてる人や。
◆
誰も見てへんと思ったらしばらくして気付いた。
みんな楽しそうやねん。
知らん人同士で笑う。
肩組む。
踊る。
また笑う。
なんやこの国。
距離感どうなっとんねん。
昨日はプールで、
スーシー言われた。
今日はディスコで、
ロボットや。
忙しいな。
合宿生活。
ほんでオレ。
途中から考えるのやめた。
もうええ。
踊れてなくてもええ。
誰もオレなんか見てへん。
そう思った瞬間や。
レッサーパンダ。
「スーーーシーーー!!」
キリスト。
「スーーーシーーー!!」
なぁオレ。
見られとるやないか。
めちゃくちゃ見られとるやないか。
しかも笑っとる。
腹抱えて笑っとる。
なぁオレ。
さっきまでの妄想では、
拍手喝采やったやろ。
現実は、
珍しい踊りする日本人として
消費されとる。
◆
付いてくるヤンキー帰り道。
三人で歩いていた。
すると後ろから、
ヤンキーっぽい男三人組。
ついてくる。
オレでも分かる。
ヤバそうや。
キリストもチラッと見る。
レッサーパンダも少しだけ見る。
さっきまで笑ってた二人が、
警戒してた。
空気が変わる。
誰も喋らへん。
オレも怖なってきた。
何か言わな。
何か言わな。
何か。
何か。
……
(いや待て。)
(なんでオレが何か言わなアカンねん。)
(でも沈黙もしんどい。)
オレの脳内にある、
イタリア語フォルダを開く。
チャオ。
ボンジョルノ。
グラッツィエ。
……。
……。
なぁオレ。
なんでそれだけやねん。
もっとあるやろ。
でもな。
焦った脳みそは恐ろしい。
その瞬間。
オレの頭の中に、
あの単語が現れた。
なぁオレ。
よりによって、
そのカード切るか?
すかさず叫んだ。
「ストロンツォナーポーリー!!」
……。
沈黙。
なぁ、オレ。
そらそうや。
キリストがオレを見る。
肩を掴まれる。
「スーーーシーーー!!」
怒ってる。
めちゃくちゃ怒ってる。
でも呆れてる。
怒り七割。
呆れ三割。
そんな顔やった。
なぁオレ。
空気変えたかった気持ちは分かる。
でも、
なんでその選択肢やってん。
イタリア語フォルダ、
一個しか入ってへんのか。
すると後ろの三人組。
大爆笑。
笑いながら去っていった。
助かった。
結果的には助かった。
でも今でも分からん。
あの状況で、
なんでオレの脳みそは、
ストロンツォナーポーリを選んだんや。
なぁオレ。
あの頃から、
脳みそのネジ、
何本か外れてたんやろうな。
◆
結論なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
ディスコ入っただけで、
勝手に容疑者気分なっとった。
誰も見てへん。
誰も疑ってへん。
でもお前だけ、
頭の中だけ
ずっと緊急事態宣言やった。
ほんで最後は、
ヤンキー相手に
ストロンツォナーポーリや。
なぁオレ。
踊れへん以前に、
色々ズレとる。
【
一言まとめ】
誰もオレを疑ってへんのに、
オレだけずっと容疑者気分やった。
【
次回】白髪じいじがキレる。

◆
流れるプールとオレの視線なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
その日はチーム全員で
レクリエーションやった。
でっかいプール施設。
音楽ガンガン。
人だらけ。
イタリア人だらけ。
流れるプールに入りながら、
オレもみんなと遊んでいた。
すると、
近くでイタリア人の女の子たちが
キャーキャー騒ぎ始めた。
走る。
笑う。
飛び込む。
また笑う。
なんやあのテンション。
電池何本入っとんねん。
当時のオレは16歳。
そら見る。
そら見てまう。
人類共通や。
ほんで流れるプールに流されながら、
ニヤニヤ。
ニヤニヤ。
ニヤニヤ。
なぁオレ。
流されてるの身体だけちゃう。
理性も流されとる。
しかも当時のオレはアホやった。
見てるくせに、
見つかったら終わりやと思ってた。
なんで終わるんかは知らん。
でも終わりやと思ってた。
もしかしたら急に
話しかけられるかもしれん。
「ハーイ」
とか言われるかもしれん。
ほんで、
「アナタ、カッコイイデス」
とか言われるかもしれん。
さらに、
「ツキアッテクダサイ」
とか言われるかもしれん。
なぁオレ。
何を心配しとんねん。
その可能性、
流れるプールの水が急に
コーラになるくらい低いぞ。
しかも炭酸抜けてないやつや。
オレ当時からヤバかった。
もし言われたらどうしよう。
断るんか。
いや待て。
断る理由も無い。
でも付き合う勇気も無い。
・・・
まず話しかけられてから悩め。
なぁオレ。
予定だけ
世界一進んでる。
すると突然、
後頭部をバシッと叩かれた。
振り返る。
レッサーパンダや。
「スーーーシーーー!!」
指差して大爆笑。
終わった。
女の子にはバレてない。
でもレッサーパンダにはバレた。
それが一番終わりやった。
◆
スーシー拡散事件最悪なことに、
レッサーパンダはそこで終わらへん。
キリストのところへ行く。
何か説明する。
キリストがこっちを見る。
ニヤッ。
嫌な予感。
そして、
「スーーーシーーー!!」
お前もか。
さらに周りの連中も笑い出す。
「スーーーシーーー!!」
「スーーーシーーー!!」
なぁオレ。
オレ何した。
ただ女の子見てただけや。
若い男子として正常な行動や。
ほんで全員楽しそうや。
なんやこの国。
人の失敗を共有財産にするの
早すぎるやろ。
◆
DJという名の恐怖しばらくすると、
施設中央のステージが騒がしくなった。
DJみたいな兄ちゃんが出てきた。
マイクを握る。
観客が歓声を上げる。
何か喋ってる。
当然オレには分からん。
でも。
嫌な予感だけは分かる。
すると会場がさらに盛り上がった。
周りがザワつく。
手を挙げてるヤツもおる。
レッサーパンダも反応した。
嫌な予感しかしない。
オレはイタリア語が分からん。
でもな。
こういう時だけは分かる。
絶対ロクなこと言うてない。
たぶん、
「誰かステージ上がってこい」
や。
その瞬間、
オレの頭の中で
勝手に物語が始まった。
ステージに上がる。
↓
DJが何か質問する。
↓
当然分からん。
↓
適当に答える。
↓
DJ大爆笑。
↓
観客大爆笑。
↓
女の子登場。
↓
女の子と踊らされる。
↓
オレ棒立ち。
↓
女の子困る。
↓
会場爆笑。
↓
イタリア終了。
↓
オレ終了。
↓
人生終了。
なぁオレ。
何一つ起こってへん。
まだステージにも
上がってへん。
全部お前の妄想や。
でも当時は本気やった。
絶対そうなると思ってた。
だから嫌やった。
めちゃくちゃ嫌やった。
◆
拒否するオレその瞬間やった。
レッサーパンダが、
オレの腕を掴んだ。
「スーーーシーーー!!」
嫌や。
絶対嫌や。
オレは立候補してへん。
なんで本人の意思無視やねん。
民主主義どこいった。
レッサーパンダが引っ張る。
オレ逃げる。
引っ張る。
逃げる。
もう必死や。
頭の中では、
女の子との公開処刑イベントが
始まっとる。
逃げなアカン。
何としても逃げなアカン。
ほんで近くの柱を発見した。
ガシッ。
抱きつく。
両腕。
両脚。
完全ロック。
もう離れへん。
なぁオレ。
柱にも
選ぶ権利あるぞ。
しかもそれ、
コアラやないか。
サッカー小僧ちゃう。
野生動物や。
レッサーパンダが引っ張る。
離れへん。
もう一回引っ張る。
まだ離れへん。
なぁオレ。
柱との信頼関係だけ、
完成してる。
キリストも笑いながら引っ張る。
離れへん。
なぁオレ。
お前その根性、
なんで練習の時に出てこんねん。
周りは大爆笑。
キリストは腹抱えてる。
レッサーパンダは涙流してる。
しまいには近くの知らんイタリア人まで、
「スーーーシーーー!!」
叫び始めた。
誰やねん。
お前オレ知らんやろ。
なんで参加しとんねん。
ほんで親指立てるな。
オレ今それどころちゃうねん。
人生を賭けた柱防衛戦やねん。
◆
結論結局、
オレは最後まで柱から離れへんかった。
ステージにも上がらへんかった。
当時は恥かくのが怖かった。
目立つのが怖かった。
笑われるのが怖かった。
だから必死で逃げた。
今なら分かる。
たぶん上がってても、
そこまで大事故にはならんかった。
でも当時のお前には、
世界滅亡レベルやったんや。
あの時は必死やった。
今のオレなら言う。
なぁオレ。
そこまでして柱守らんでええねん。
そのままステージ上がっとけ。
絶対そっちの方がおもろかった。
・・・
まあ、
あの日、
一番頼れる存在は、
柱やったけどな。
【
一言まとめ】
ステージには上がれなかった。
でも、柱だけは
最後まで離さへんかった。
【
次回】ディスコで故障したオレ。

◆
みんなから呼ばれるなぁ、あの頃のオレ。
イタリア来て数日。
なぜか知らんけど、
レッサーパンダがやたら話しかけてくる。
練習中も。
食堂でも。
寮でも。
見つけたら来る。
ほんで毎回、
めっちゃ笑顔で
「スーシー!」
って呼んでくる。
なぁオレ。
スーシーちゃう。
寿司でもない。
でもイタリア人、
全員スーシー。
訂正したい。
でも語学力ない。
すでに浸透してもうてる。
結果。
スーシー確定。
◆
オレの必殺技問題は会話や。
当然やけど、
イタリア語分からん。
英語もほぼ分からん。
向こうが何か言う。
オレ分からん。
向こうまた言う。
オレもっと分からん。
そこで登場するんが、
お前の必殺技や。
両手広げる。
肩すくめる。
「分からん」
のポーズ。
これ。
なぁオレ。
会話全部これ。
練習の話。
これ。
ご飯の話。
これ。
女の子の話。
もちろんこれ。
将来の夢。
はい、これ。
もはや会話ちゃう。
身振り手振りで
人生乗り切ってる。
◆
レッサーパンダ爆笑ある日や。
レッサーパンダが
何か話しかけてくる。
もちろん分からん。
オレ。
いつものやつ。
両手広げて肩すくめるポーズ。
すると。
レッサーパンダ爆笑。
何でやねん。
ほんでまた、
「スーシー!」
同じポーズ。
オレの真似。
周りも笑う。
なぁオレ。
どうやらお前、
知らん間にモノマネされてる。
しかも人気ネタや。
◆
レッサーパンダにハメられるある日や。
レッサーパンダが
ニヤニヤしながら近付いてきた。
ほんでオレの耳元で
何か言う。
もちろん分からん。
すると今度は
キリスト指差してる。
どうやら
あれを言え。
そういうことらしい。
なぁオレ。
お前な。
意味も知らんまま、
一切ためらわへん。
ほんで大声で叫ぶ。
「ストロンツォ ナーポーリ!!」
グラウンドに響く。
レッサーパンダ爆笑。
周りも爆笑。
オレだけ知らん。
なぁオレ。
自信満々で
地雷踏んでる。
すると――
キリスト立ち上がる。
笑ってる。
でも来る。
めちゃくちゃ来る。
なぁオレ。
怒って追いかけられるより、
笑って追いかけられる方が
怖いことある。
オレ逃げる。
キリスト追う。
オレ逃げる。
キリスト追う。
レッサーパンダ転げて笑う。
なぁオレ。
お前、
イタリアまで来て
何してんねん。
後で聞いたら
「アホのナポリ」
みたいな意味やった。
なぁオレ。
意味も知らん悪口を
大声で叫ぶな。
◆
感染拡大数日後。
キリストまでやり始めた。
食堂。
キリスト。
「スーシー!」
オレのポーズする。
レッサーパンダ爆笑。
周りも爆笑。
オレだけ意味分からん。
ほんでまた。
「スーシー!」
オレのポーズする。
キリスト爆笑。
なぁオレ。
お前な。
サッカー学びに来てるねん。
何でジェスチャー芸人なってんねん。
さらに数日後。
ゴリラマンまで感染。
練習終わり。
ゴリラマン。
「スーシー!」
オレのポーズする。
なぁオレ。
感染力エグい。
ジェスチャー界のインフルエンザや。
誰も止めへん。
感染拡大中や。
しかもゴリラマン。
体デカいから迫力ある。
オレのポーズする。
それだけで笑える。
オレの必殺技、
完全にチームのおもちゃになってた。
◆
オレだけ知らんなぁオレ。
人生で初めてや。
主役やのに
内容知らん。
不思議やった。
みんな笑う。
みんな真似する。
オレだけ置いてけぼり。
でも周り笑ってるから、
とりあえず笑う。
なぁオレ。
笑いの内容知らんまま笑ってる。
たまにレッサーパンダとキリスト、
オレ見ながらニヤニヤしてる。
絶対何か言うてる。
でも分からん。
なぁオレ。
語学力ゼロやと、
悪口かイジりかも判定できへん。
◆
距離感バグってたでもな。
日本やったら、
そんなイジられ方したら、
ちょっと気まずい。
でもイタリア人は違った。
イジる。
笑う。
肩組む。
また笑う。
頭なでる。
また肩組む。
距離近い。
近い近い。
近い近い近い。
なぁオレ。
あと5センチでキスや。
ほんで向こう、
誰も気にしてへん。
ちょっと前に知り合ったばっかりやのに、
もう昔からの友達みたいな距離感やった。
◆
結論なぁ、あの頃のオレ。
お前な。
イタリア語はあんまり覚えてへん。
英語もほぼ喋れへん。
でもな。
ジェスチャーだけは
勝手に輸出してた。
サッカー学びに来たはずやのに、
最初に広まったん、
プレースタイルちゃう。
両手広げて肩すくめるポーズ。
今思えば、
みんなバカにしてたんやない。
仲間に入れてくれてたんや。
なぁオレ。
言葉は通じへんかった。
でも笑いだけは
通じてたんやな。
なぁオレ。
サッカーは
まだまだやった。
でも笑いだけは、
チームの一員になれてたな。
まぁその時のお前、
そんなことより、
「何でオレの真似ばっかりすんねん」
って思ってたけどな。
【
一言まとめ】
イタリア語は覚えられへんかった。
でもジェスチャーだけは大流行した。
【
次回】
プールでやらかすオレ。

