夢見てズレて転び続けたオレの黒歴史ノート

夢見てズレて転び続けたオレの黒歴史ノート

【連載】

なぁ、あの頃のオレ。
ちゃんとできへん人生の話

青春編 (77話完結済)
社会人編 現在執筆中

第1話はこちら
https://note.com/regal_wren4369/n/n802c36a0d555



海外初心者、準備だけは一流

なぁ、あの頃のオレ。

イタリア行き決まってからのお前、
完全に“ 初海外で浮かれてる人間 ”やった。

まず買ったん、
スーツケース。

しかも鍵付き。

しかも👇

「海外対応!!」

って書いてるやつ。

なぁオレ。

その文字、
めちゃ信じてる。

理由はシンプル。

「イタリアはスリ多い」

この情報だけ、
異常に詳しかったから。

ほんでこの情報、
誰よりも真に受けた人物おる。

……オカンや。

オカン、本気出す方向ミスる

出発前夜。

オカン、

やたら自信満々や。

ほんで👇

「これな」

ドヤ顔で渡してくる。

見たら、

トランクスの内側についた

小さい布袋。

なぁオレ。

用途、

即理解。

──財布用。

しかも場所。

股間。

さらに他の
トランクス全部に!

なぁオレ。

スリ対策というより、
常時落ち着かへん装備や。

でもオカン、 本気。

「イタリア危ないらしいから」
「ここ入れといたら絶対盗られへん」

そらそうや。

盗る側も覚悟決まりすぎる。

こうしてお前、
“財布を股間に収納して
海外行く男” 完成した。

なぁオレ。

世界への第一歩、
だいぶ特殊や。

確認しすぎて逆に不安

出発当日。

確認祭り。

パスポート確認。

チケット確認。

財布確認。

ほんでまたパスポート確認。

しかも途中で👇

「……財布あるよな?」

って、 股間確認。

人生で一番、
自分の股間信用してる。

なぁオレ。

搭乗前にも
もう一回確認してる。

パスポート1回。

チケット1回。

股間3回。

信用してる言うてたわりに、
全然信用してへん。

しかも空港で両替もした。

イタリアのお金、 “リラ”。

10000。

50000。

100000。

なぁオレ。

急に大富豪なった気分。

なお、

ジュース一本が
いくらなんかは知らん。

オトンとオカン、
空港まで来てくれた。

なぁオレ。

あの頃は普通やと思ってた。

でも今思うと、

オトンもオカンも
かなり心配やったんやろな。

そらそうや。

こんな勢いだけの
バカ息子。

親からしたら恐怖や。

オカン👇

「ちゃんと食べや」
「無理したらあかんで」
「財布、ちゃんと入ってる?」

最後それ聞く?

なぁオレ。

親子の会話、
だいぶ特殊や。

空港、強キャラしかおらん

空港着いた瞬間、
もう圧倒される。

広い。

人多い。

ほんで全員、
海外慣れてそう。

オレだけ👇

キョロキョロ。

完全に
『空港で保護される側』 やった。

なぁオレ。

ボンジョルノ覚えたぐらいで、
世界行ける思うな。

出国審査、何もしてないのに怖い

ほんで来た。

出国審査。

何も悪いことしてへんのに、
めちゃくちゃ緊張してる。

ほんで係員さん👇

「パスポートお願いします〜」

めちゃ普通。

でもお前👇

「ぁぃ……」

声、 蚊レベル。

なぁオレ。

世界行く男の声量ちゃう。

ほんでスタンプ押される。

タンッ。

なぁオレ。

この時はまだ、

ただのスタンプやと思ってた。

でもな。

人生の方向変わる音って、

案外こんなもんなんや。

人生初飛行機、だいぶビビる

ほんで飛行機。

これ、
お前人生初。

搭乗口で見た瞬間から、
もうビビってる。

デカい。

近い。

ほんで思ってる👇

(これホンマに飛ぶん……?)

いや飛ぶ。

飛ばんかったらニュースや。

なぁオレ。

飛行機信用してへんのに、

イタリアまでは行こうとしてる。

席座る。

シートベルト締める。

周り、
みんな普通。

オレだけ、
修学旅行初日の小学生。

ほんで飛行機、
滑走路走り始める。

ゴォォォォ……

速い。

めちゃ速い。

なぁオレ。

顔、
だいぶ引きつってる。

しかもお前、
平静装おうとしてる。

でも頭ん中👇

(え、これ浮くん!?)

頭ん中、
ずっと非常ベル鳴ってる。

ほんで離陸。

身体、
座席に押し付けられる。

その瞬間👇

「うわぁ……」

って、
小さい声出てる。

隣のおっちゃん、
チラ見。

なぁオレ。

リアクション、
初めてジェットコースター乗った子供や。

日本、ほんまに遠くなる

飛行機、
どんどん上がっていく。

窓の外。

街、
小さくなっていく。

その瞬間、
急に思った。

「あぁ……
ほんまに日本出るんや」

数ヶ月前まで👇

土木。

親方。

水道管。

ほんで今👇

海外行きの飛行機。

なぁオレ。

人生、

どこでどうなるか
わからん。

でもな。

この時のお前、
怖かったけど、
ちゃんと前向いてた。

それだけは、
ホンマやった。

結論

なぁ、あの頃のオレ。

お前な。

イタリア着く前から、
だいぶテンパってる。

股間ばっか気にして。

空港で迷いそうなって。

出国審査で震えて。

初飛行機で固まって。

でもな。

その全部含めて、
ちゃんと“人生初の海外”やった。

なぁオレ。

夢って、
キラキラだけちゃう。

めちゃくちゃ怖くて、
めちゃくちゃダサい。

でも、
それでも前行くしかなかった。

一言まとめ
海外行く前から、オレのメンタルはずっと緊急事態やった。

次回
ワンフレーズだけで世界に挑んだオレ


◆ 心が何回も置いていかれる場所

なぁ、あの頃のオレ。

イタリア語教室な。

相変わらず、
よう分からんかった。

でもな。

最初の頃みたいに

「帰りたい」

ではなくなってた。

代わりに👇

「分からん」

「でもちょっと面白い」

「やっぱり分からん」

のループや。

なぁオレ。

成長したんちゃう。

混乱に慣れただけや。

教室のクセ強おばちゃん

イタリア語教室で、
働いとったクセ強おばちゃん。

口悪い。

声デカい。

距離感バグってる。

でもな。

情の厚さだけ、
異常。

たぶん5人分ぐらいある。

このおばちゃん、
たぶん見てたんやと思う。

授業についていけへんオレ。

発音で詰まるオレ。

毎回ちょっとだけ
心折れて帰るオレ。

たぶん全部。

気にかけてくれてたんやと思う。

あのおばちゃん、

見てへんようで
めっちゃ見てくれてた。

その日。

急におばちゃんが
お前のとこ来て👇

「アンタ、
まだ諦めてへんやろ?」

……。

なぁオレ。

急に核心くるな。

情報量、多すぎる

ほんでおばちゃん、
興奮気味に言う。

「アンタにピッタリの
短期サッカー合宿あるで!!」

……は?

短期?

合宿?

イタリア?

なぁオレ。

3秒前まで、

次の授業どう乗り切るか
考えてた。

話、
急カーブすぎる。

頭ん中👇

(短期って何日?)
(え、ほんまに行くん?)
(サッカー??)
(海外???)

完全フリーズ。

脳みそ、
混乱しまくってる。

ほんでおばちゃん追撃👇

「友達のイタリア人が紹介してくれてん!」

「本場の空気吸えるで!!」

「アンタ、
行かな誰行くねん!!」

……。

なぁオレ。

まだ覚悟とかちゃう。

まだ決意とかちゃう。

ただただ、

話についていけてへん。

夢、急に“現実”になる

この辺からや。

話が急に現実味帯びてくる。

夢が近づいたんちゃう。

現実が追い付いてきたんや。

飛行機の日付が決まる。

パスポート取る。

金の計算する。

今まで勢いだけで走ってた話に、

急に責任が乗り始めた。

もう後戻りできへん。

お前が言うた

「イタリア行く」が、

本気でお前を追いかけてきたんや。

不安、フルセット

もちろん怖い。

めちゃくちゃ怖い。

言葉、 まだ全然。

サッカー、 通用するか分からん。

海外なんか、
人生初。

しかもお前👇

ちょっと前に
水道管と信用を同時に失った男や。

頭ん中👇

「飛行機落ちたら?」
「道迷ったら?」
「パスポート無くしたら?」
「イタリア人全員、めっちゃ怖かったら?」

なぁオレ。 


 実際の海外なんか知らん。 

 でも不安だけは一人前や。


それでも勝った感情

でもな。

不安より、
もっとデカい感情あった。

「……ほんまに行くんや」

や。

イタリア行くって言い出して。

止められて。

ケガして。

親方に削られて。

イタリア語で置いていかれて。

それでも、
ちょっとずつ積み上げて。

ほんで今。

“短期”の2週間とはいえ、
ほんまにイタリア行けるんや。

なぁオレ。

人生、
やっと夢に追いつき始めてる。

おばちゃん、最後まで勢い

ほんで最後、
おばちゃん。

オレの肩、
ガシッ掴んで👇

「アンタ、
ビビってる顔しとる」

図星。

完全図星。

でも続けて👇

「でもな、
ビビってる時ほど行かなアカン」

……。

なぁオレ。

急に名言出すな。

ほんで感動しかけた次の瞬間👇

バチーーーーン!!!

また背中。

「しっかり頑張ってきいや!!」

なぁオレ。

だから叩くなて!!

天井見ながら、震えてた

家帰って、
一人で天井見てた。

昼間は

「行きます!」

みたいな顔してた。

でも夜なったら、
急に怖なる。

人間、
だいたい夜に弱い。

ついに、
イタリアの土踏む。

テレビの中の世界。

雑誌で見てた世界。

妄想だけやった場所。

そこに、
自分が行く。

正直、
めちゃくちゃ怖い。

何回も思ってた。

行きたい。

でも怖い。

行きたい。

でも怖い。

なぁオレ。

脳みそ、
その二択しかなくなってる。

でもな。

この怖さ、
逃げたら一生後悔するやつやった。

なぁオレ。

お前、
だいぶ震えてる。

でもその顔、
ちょっと嬉しそうや。

結論

なぁ、あの頃のオレ。

夢ってな。

見るだけの時より、
近づいた時の方が怖い。

でもお前、
逃げへんかった。

ビビりながらでも、
ちゃんと前向いてた。

なぁオレ。

あの日のお前、

まだ何も始まってへん。

でもな。

人生のハンドルだけは、

確実に切られてた。

一言まとめ
勢いで追いかけてた夢が、
急に追いかけ返してきた。

次回
ついに日本を飛び出したオレ。


昼は現場、週1でイタリア

なぁ、あの頃のオレ。

あの頃のお前、
平日は普通に土木。

汗。
泥。
親方。

「来い」
「ちゃう」
「遅い」

の無限ループ。

でも週に1回だけ、
空気違った。

イタリア語教室の日や。

作業着脱いで、
電車乗って、
ボンジョルノ言う世界へ行く。

なぁオレ。

人生、
振り幅エグい。

少し前まで👇

「そこ掘れ」
「土運べ」

やったのに、

今👇

「グラッツィエ」
「アリヴェデルチ」

言うてる。

ジャンル変わりすぎや。

相変わらず、イタリア語は難しい

なぁ、あの頃のオレ。

イタリア語教室な。

相変わらず、
しんどかった。

教室向かう電車の中なんか、

毎回頭ん中👇

「今日こそ心折れるかもしれん……」
「いや、たぶん折れる」
「もう折れてる可能性ある」

ずっとこれ。

なぁオレ。

メンタル、
雨の日の段ボールぐらい頼りない。

でもな。

不思議と行く。

行ったところで、
先生の話半分も分からん。

発音も怪しい。

それでもまた来週行く。

なぁオレ。

逃げ癖あるくせに、
たまに変なとこでしつこい。

ほんで昼は、相変わらず現場

でも現実は、
普通に土木。

その日も、 親方と現場。

なぁオレ。

この頃のお前、
ちょっと勘違いし始めてる。

現場に慣れてきた。

道具の名前も少し覚えた。

親方にも前ほど怒られへん。

つまり👇

完全に調子乗ってる。

まだ半人前やのに、
気持ちだけベテランや。

ショベルカー運転しながら、

親方👇

「この辺掘ったらええんか?」

って聞いてくる。

オレ👇

「たぶんその辺っす!」

なぁオレ。

分かってへんやつほど、 返事だけ早い。

親方👇

「ここ大丈夫か?」

オレ👇

「大丈夫っす!」

なぁオレ。

大丈夫ちゃう。

お前が一番危ない。

事件、静かに始まる

ショベルカー👇

ガコン。

ガコン。

ほんで次の瞬間。

バキッ。

……シーン。

オレ👇

「えっ?」

親方👇

「ん?」

次の瞬間。

地面から👇

ブシャァァァァ!!!

なぁオレ。

3秒前まで、
現場できる男みたいな顔してた。

全部飛んでった。

オレ👇

「えっ?」

「えっ?」

「えっ?」

なぁオレ。

語彙、
完全終了。

親方👇

「うわ、水道管やんけ!」

なぁオレ。

さっきまでベテラン気取りやったん、

全部なかったことになった。

とりあえず止めにいくオレ

ほんでお前、
反射的に両手で止めにいく。

なぁオレ。

まず謝れ。

なんで戦おうとしてんねん。

いや、
止まるわけない。

でも必死。

顔ビシャビシャ。

服ビシャビシャ。

靴の中、
終了。

なぁオレ。

その姿、

水道管壊した犯人というより、

雨の日に迷子なった犬や。

ほんで親方👇

「止まるかそれぇ!!」

なぁオレ。

そら止まらん。

お前の信用と一緒で、
もう噴き出してる。

親方、普通に止める

ほんで親方、
工具箱からなんか取り出す。

オレ、
まだ必死に押さえてる。

親方👇

「どけどけ」

ほんで割れた塩ビパイプに、
工具つけてギュッと締める。

すると👇

ブシャァァ…… ↓ チョロチョロ……

止まった。

なぁオレ。

止め方、
めちゃプロや。

オレ、
全身ビショビショなってたん、
何やってん。

しかも親方👇

「こうやって止めんねん」

って普通に言うてる。

なぁオレ。

現場の知識、
全部あと出しや。

おっさん、めっちゃ笑ってる

ほんで後ろ見たら、
60代のおっさん。

「アハハハハ!!」

腹抱えて笑ってる。

親方より先に、
おっさんが楽しんでる。

なぁオレ。

被害者、
オレやぞ。

「オレくん、 ビチャビチャやんけぇ!!」

しかも笑いながら👇

「風呂入ったあとみたいやな〜」

なぁオレ。

確かにそうや。

でも今欲しいんは、
タオルや。

それでも、ちょっと楽しかった

でもな。

不思議やけど、
あの頃ちょっと楽しかった。

失敗して。

怒られて。

ビショ濡れなって。

ほんで週1、
イタリア語行って。

人生めちゃくちゃ。

でも退屈ではなかった。

なぁオレ。

あの頃のお前、
ちゃんと前進んでたな。

方向フラフラやったけど。

結論

なぁ、あの頃のオレ。

イタリア語覚える前に、
まず日本の水道管勉強しろ。

ほんで“たぶん”で インフラ触るな。

でもな。

現場で失敗して。

教室で分からへん顔して。

それでもまた来週行って。

その繰り返しで、

お前ちょっとずつ
前向けるようになってた。

なぁオレ。

あの頃のお前、

だいたい失敗してた。

でも止まってはなかった。

一言まとめ

 “たぶん”で掘った結果、水道管とオレが終了した。


次回】 

話が急にデカなって焦るオレ。






どうも、初めまして。

『なぁ、あの頃のオレ。』を


書いてるHIRO355です。


この作品は、 オレ自身の人生を元にした実話です。

16歳。 英語ほぼゼロ。

ワンフレーズ一本でイタリアへ。

柔道をなめて女の子に1秒で投げられ、

親方には振り回され、

転職も繰り返しました。

成功談ではありません。

失敗談です。

しかもかなり多めです。

そんな人生を、

今のオレが 「あの頃のオレ」に

ツッコミを入れながら振り返っています。

関西弁です。

自虐です。

たまに感動します。

でもだいたいアホです。

【まずはここから】

第17話
「柔道なめてたら女の子に1秒で投げられたオレ」

https://note.com/regal_wren4369/n/nddcbf503609c?sub_rt=share_pw


第14話
「新聞配達に駆り出されたオレ」

https://note.com/regal_wren4369/n/n711c46cdb63c?sub_rt=share_pw


第53話
「親方に振り回され続けて、オレのメンタルが削られていった話」

https://note.com/regal_wren4369/n/ndc385d302e8c?sub_rt=share_pw




第55話
「イタリア語なめてたら、秒で心折れたオレ」

https://note.com/regal_wren4369/n/n4830ee0b6236?sub_rt=share_pw


第1話
「親の顔色ばかり見て育ったオレ」
https://note.com/regal_wren4369/n/n802c36a0d555?sub_rt=share_pw


現在は青春編を連載中です。

月・水・金 朝7時更新。

よかったら、

あの頃のオレを

笑ってやってください。

そして、

今のオレも

たまに迷走してるので、

応援してもらえたら嬉しいです。



指も治って、ついにイタリア語教室へ

なぁ、あの頃のオレ。

親方きっかけで破壊された薬指も、
ようやく治ってきた。

包帯外した右手見ながら、
お前ちょっと思ってる。

「……今や」

いや、
主人公みたいに言うてるけど、
ちょっと前まで👇

土木現場で
石とスコップに指やってもうてたんやぞ。

なぁオレ。

イタリアまでの道、
だいぶ泥臭い。

でもな。

この頃のお前、
ちょっと変わり始めてた。

前みたいに👇

「とりあえず行ったら何とかなる!!」

だけちゃう。

ちゃんと、
“学ぼう”
としてる。

そこでついに決めた。

イタリア語教室。

独学で、
舌と心を同時にへし折られたオレは、

ついに
“人に教わる”
という文明の力を頼ることにした。

なぁオレ。

成長、
だいぶ遅めやけど前進してる。

教室のドア前で緊張

なんでか言うと。

想像してたんと違う。

ただの地味な建物やった。

なぁオレ。

偏見だけで生きるな。

看板には👇

《イタリア語 初級》

初級。

今のお前にピッタリ。

でも武器👇

・チャオ
・ボンジョルノ

以上。

なぁオレ。

語彙力、 観光客以下や。

ドア開けた瞬間、世界違う

意を決して、 ドア開ける。

ほんで広がってた光景👇

おばちゃま天国。

平均年齢、 たぶん50オーバー。

「この前ローマ行ってきてね〜」
「フィレンツェが素敵で〜」

なぁオレ。

ちょっと前まで👇

土。
煙。
一升瓶。

今👇

ローマ。
フィレンツェ。
マダム会話。

しかもな。

おばちゃま達の会話聞いてたら👇

「オリーブオイルが〜」
「イタリアの文化が〜」

オレ👇

「親方が朝から日本酒飲んでまして…」

なぁオレ。

持ちネタ、 全部現場や。

イタリア語より先に、
人生のジャンル変えなアカン。

しかもお前、 作業着感まだ残ってる。

完全に場違い。

一瞬、 本気で思った。

「……場所間違えた?」

ドア、 閉めかけた。

逃げるな、ここがお前の戦場や

震える手で席座る。

なぁオレ。

入る前から、 帰る理由探してる。

しかも若いん、
オレと大学生っぽい男一人だけ。

周り、 みんな余裕ある大人や。

ほんで大学生と目ぇ合う。

無言。

でも分かる。

(仲間や……)
(この空間で浮いてる同盟や……)

心の中で、 固い握手とハグ交わした。

……

と思ったら。

授業始まった瞬間、
普通についていってる。

なぁオレ。

アイツ、
最初からふつうにあっち側や。

勝手に仲間認定したん、
オレやけど。

開始早々、置いていかれる

ほんで授業スタート。

先生、
テンション高めのイタリア人。

開口一番👇

「Buongiorno!!!」

おばちゃま軍団👇

「ボンジョルノ〜!!!」

即レス。

早い。

速すぎる。

オレ👇

「……ボ、ボンジョ……」

0.7秒遅れ。

なぁオレ。

開始3秒で、
もう置いていかれてる。

なぁオレ。

入学初日で、
留年の気配してる。

初級クラス、全然初級ちゃう

そこから地獄。

先生が喋る。

おばちゃま笑う。

オレ、
意味ゼロ。

「今なんて言うた?」
「どこで区切った?」
「何でみんな笑ってるん?」

頭ん中、
ずっとハテナ。

なぁオレ。

さっきまで

「仲間や……」

思ってた大学生も、

普通に笑ってる。

なぁオレ。

アイツも、
ちゃんと理解してる側やった。

裏切り者め。

お前だけ、

字幕なしで映画見てる状態や。

初級クラスいうから来たのに、
初級なんオレだけやん。

しかもお前、
発音の時👇

先生
「グラッツィエ」

オレ
「グラッ……ツェ……」

先生
「もう一度」

オレ
「グラッ……ギャ……」

なぁオレ。

舌と脳みそ、
連携取れてへん。

「アリヴェデルチ」

も👇

「アリ……ベ……デル……」

途中で絡まる。

舌、
ずっと迷子。

先生、
一瞬だけ困った顔。

なぁオレ。

イタリア語教室来たのに、
日本語さえ怪しくなりそうや。

それでも、しがみつく

でもな。

お前、
逃げへんかった。

意味分からん単語も、
とりあえず書く。

発音も、
合ってるか知らんけど声出す。

恥ずかしい。

めちゃくちゃ恥ずかしい。

でもな。

ここで帰ったら、
また同じや。

なぁオレ。

夢追いかける前に、
まず落ち着いて学べ。

ようやく、
そのスタートライン立ったんや。

結論

なぁ、あの頃のオレ。

イタリア行く前に、
まず日本でイタリア語にボコられてる。

でもな。

あの教室入った時、
お前ちょっと変わり始めてた。

勢いだけちゃう。

ちゃんと、
前に進む準備始めてた。

なぁオレ。

ほんまのスタート、
たぶんあの日やったな。

一言まとめ
初級クラスで、一番初心者やったのはオレやった。

次回
現場慣れた気になった瞬間、終わったオレ。


指ミイラ生活、強制スタート

なぁ、あの頃のオレ。

現場でやらかしてもうて、
右手薬指終了。

包帯グルグル巻き。

見た目、
ほぼミイラ。

しかもコイツ、
動かさんでも痛い。

「ズキズキズキズキ」

自己主張だけは一人前。

夜なんか最悪や。

寝ようとした瞬間👇

「ドクン……ズキッ」
「ドクン……ズキッ」

心臓の鼓動と

合わせてきよる。


なぁオレ。

痛み、
リズム刻むな。

しかも昼より、
夜の方が痛い。

なんなんアレ。

夜型なんか。

主張激しすぎる。

ほんでお前、
眠いのに寝られへん。

寝返りで👇

「ッッッッ!!!」

一人で悶絶。

なぁオレ。

イタリアどころか、
まず安眠目指してる。

ケガがくれた“時間”

でもな。

このケガ、
悪いことばっかちゃうかった。

働かれへん。

現場も行かれへん。

つまり👇

時間だけは、
アホほどある。

なぁオレ。

人生、
急に“暇”ぶっこんでくる。

ほんで暇になると、
考える。

「あのままイタリア行ってたら」
「今ごろどうなってたやろ」

でも同時に、
現実も見えてくる。

「……言葉、
全然できへんやん」

今さら。

気づくの、
だいぶ遅い。

なぁオレ。

勢いで海外行こうとしてたくせに、
“会話”の存在後回しすぎる。

独学、スタート

ほんでお前、 イタリア語の参考書開く。

最初のページ👇

「Buongiorno (ボンジョルノ)」

おぉ!!

これは知ってる!!

どっかで聞いたことある!!

この時のオレ、 完全に調子乗ってた。

「余裕やん」 「もう半分イタリア人やん」

なぁオレ。

どこがやねん。

覚えた単語、 まだ1個やぞ。

しかもその1個、 テレビでも聞けるやつや。

「イタリア語、 意外とイケるんちゃう?」

……なお。

この自信、 数ページ後に消滅する。

“gli”とかいうラスボス

次のページ。

“gli”

……誰やねん。

アルファベットの並び、 完全にルール違反。

gとlとi、 三人で何してんねん。

会議でも開いとったんか?

なぁオレ。

まずお前、 英語も怪しいねん。

その状態で イタリア語の裏ボス出てきたら そら詰む。

しかも読み方👇

「リ」と「ギ」の間。

知らん。

その間、 知らん。

なぁオレ。

まず日本語も怪しい日あるのに、 何で外国語2個目行こうとしてんねん。

男か女か、多すぎ問題

しかもイタリア語、
聞き取りは意外とできる。

「ボンジョルノ」
「グラッツィエ」

発音は、
思ってたより耳に入る。

なぁオレ。

ちょっと調子乗り始めてる。

でもな。

次に現れた壁。

男性名詞。
女性名詞。

……は?

単語に、
性別ある。

どういうこと?

参考書には👇

「語尾がoなら男性名詞」
「aなら女性名詞」

とか書いてある。

いや待て。

単語に男も女もあるん?

日本語、
そんなシステムない。

ほんでお前、 途中から混乱し始める。

「これは男?」
「これは女?」
「え、机って男なん?」
「ピザはどっちや?」

なぁオレ。

お前まず、 自分の人生の進路も分かってへんのに。

机の性別気にしてる場合ちゃう。

しかも名詞の頭につく
冠詞っちゅうのが変わる。

il。
la。
uno。
una。

多い。

ルール、 多い。

ほんでお前、 途中から👇

「イタリア人、 なんでこんな複雑にしたん?」

ってキレ始める。

知らんがな。

でもな。

意味分からんなりに、
ちょっとずつ繋がり始める。

発音して、
書いて、
間違えて。

その繰り返し。

なぁオレ。

勢いだけやったお前、
初めて“勉強”してる。

最初に覚えた単語、まさかのコレ

教材にはちゃんと👇

「Ciao(チャオ)」
「Arrivederci
(アリヴェデルチ)」

とか載ってる。

せやのに。

オレの脳に
一瞬で定着した単語がある。

それが👇

ピッツァ。

理由はシンプル。

指ケガして、
テンション最悪の時。

オカンが👇

「なんか食べたいもんある?」

って聞いてくれた。

オレ、
小さい声で👇

「……ピザ」

ほんだら、
ほんまに買ってきてくれた。

その瞬間。

指の痛みより、
ピザの匂いが勝った。

脳、
完全に学習。

ピッツァ=癒やし
ピッツァ=正義

なぁオレ。

覚え方、
だいぶ食欲頼りや。

近所迷惑な語学学習

ほんで参考書には👇

「発音は声に出して覚えましょう」

って書いてある。

真面目なお前、
ちゃんと実践する。

部屋で一人👇

「チャオ!!」
「ボンジョルノォォ!!」
「アリヴェデルチィィ!!」

叫ぶ。

包帯巻いた右手で、
参考書押さえながら、
発音だけ一丁前。

なぁオレ。

まわりから見たら、
だいぶ怖い。

右手ミイラで、

急にイタリア語叫ぶガキ。



ジャンル不明すぎる。

それでも、前には進んでた

でもな。

この頃のお前、
下手くそでも、
意味分からんくても、
ちゃんと前進んでた。

前みたいに👇

「勢いで行く!!」

だけちゃう。

ちゃんと、
積み上げ始めてた。

ゆっくり。

めちゃくちゃ。

遠回り。

でも止まってはなかった。

なぁオレ。

ほんまのスタート、
たぶんあの包帯巻いてた頃や。

一言まとめ
勢いだけの夢は止まった。でも準備は、ここから始まった。

次回

初級クラス来たはずやのに、置いていかれたオレ



指より先に、心が終わりかけてた

なぁ、あの頃のオレ。

現場で薬指やったお前、
病院向かう車の中で、
ずっと手ぇ押さえてた。

タオル、
真っ赤。

しかも痛み、
ジンジンとかちゃう。

ドックンドックン。

脈打つたびに👇

「ッッッ……!!!」

ってなる。

なぁオレ。

心臓、
指に住み始めてる。

しかも親方、
運転しながら👇

「大丈夫や大丈夫や」

って言うてる。

いや、
全然大丈夫ちゃう。

指、
だいぶ終わってる。

レントゲン室、嫌な空気

病院着いて、
レントゲン。

先生、
指見た瞬間👇

「うわぁ……」

ちょっと引いてる。

なぁオレ。

医者が引くな。

ほんでレントゲン見ながら👇

「ん〜〜……」

嫌な間。

めちゃ嫌な間。

お前、
心の中で祈る。

(頼む……
骨折だけはしてませんように……)

なぜならな。

骨折してへんかったら👇

傷だけ治療して終わり。

でも骨折してたら👇

爪、
剥がす。

縫う。

なぁオレ。

説明だけで、
もう帰りたい。

ほんで先生👇

「これは縫わなアカンわ」

終了。

地獄、本番スタート

ほんで先生👇

「まず麻酔しますね〜」

その瞬間、
お前ちょっと安心した。

なぁオレ。

この時まだ知らん。

地獄、
ここからや。

ほんで先生、
薬指の第一関節あたりに👇

ブスッ。

「ッッッッッ!!!」

飛び上がるほど痛い。

なぁオレ。

麻酔でこんな痛いことある!?

しかも終わらへん。

ブスッ。

ブスッ。

第一関節の周りに、
何本も刺してくる。

お前、
ベッドの上で👇

「ぬぉぉぉぉ……!!!」

変な声漏れてる。

なぁオレ。

爪剥がす前に、
心ほぼ折れてる。

捕獲、開始

しかも先生👇

「ちょっとみんな、
押さえといて〜」

看護師のおばちゃん軍団、
集結。

右腕固定。

肩押さえられる。

身体押さえられる。

なぁオレ。

治療というより、
猛獣捕獲。

しかもお前、
変な意地ある。

「暴れるんだけはイヤや」

って思ってる。

なんでやねん。

そこは普通に暴れてええやろ。

でもお前👇

歯ぁ食いしばって耐える。

なぁオレ。

痛みの中でも、
思春期こじらせてる。

“ベリッ”の瞬間

ほんで麻酔効いてきた頃。

先生、
指触りながら👇

「はい、爪取りますね〜」

軽い。

言い方、
軽すぎる。

次の瞬間。

ベリッ……

なぁオレ。

その音、
一生忘れへん。

麻酔効いてても、
なんか分かる。

「あ、今、
人間として大事な部分いった」

って。

ほんで先生、
グイグイ縫う。

糸通す。

引っ張る。

お前、
天井見ながら👇

(もう帰りたい……)

しか考えてへん。

看護師のおばちゃん、優しい

でもな。

横のおばちゃん達、
めちゃ優しかった。

「えらいな〜」
「我慢強いな〜」

って、
ずっと声かけてくれる。

お前、
汗ダラダラ。

顔真っ白。

でもな。

変なプライドだけは残ってる。

「痛いです!!」

とは言わへん。

ただ👇

「ぐっ……!!」
「ぬぉぉ……!!」

変な声だけ出る。

なぁオレ。

最後まで、
カッコつけ方ズレてる。

包帯グルグルのオレ

全部終わった後。

右手、
包帯グルグル巻き。

薬指、
完全戦闘不能。

その手見た瞬間、
急に現実感きた。

イタリア行くはずやった。

サッカーするはずやった。

でも今👇

土木現場で指潰して、
病院で爪剥がされてる。

なぁオレ。

人生、
だいぶ迷走してる。

ケガがくれた“止まる時間”

仕事、
強制ストップ。

現場も行かれへん。

走るのも無理。

家で、
包帯グルグル巻きの手見ながら、
ボーッとしてる。

なぁオレ。

急に暇なると、
人間いろいろ考える。

「オレ何してんねやろ」

って。

周りは高校生活。

青春。

部活。

でもお前👇

畳の上で、
指ドクンドクンさせてる。

なぁオレ。

青春のジャンル、
だいぶ独特や。

でも、ここからやった

でもな。

今のオレは思う。

あのケガ、
ただ痛かっただけちゃう。

強制的に、
一回止められたんや。

走り続けて。

焦って。

空回りしてたお前を。

ほんでその時間が、
初めて“言葉”と向き合う時間になった。

イタリア語。

ちゃんと勉強しよう。

ちゃんと準備しよう。

そう思い始めたん、
たぶんあの頃や。

なぁオレ。

夢って、
勢いだけじゃ届かへんかったな。

結論

なぁ、あの頃のオレ。

お前な。

病院で爪剥がされながら、
人生まで見つめ直してる。

だいぶ壮絶や。

でもな。

あの痛みも。

焦りも。

遠回りも。

全部、
後の人生に繋がってた。

なぁオレ。

止まった時間にも、
ちゃんと意味あったんやな。

一言まとめ
薬指より先に、オレのメンタルが悲鳴あげてた。

次回】
勢いだけで夢見てたオレ、
初めて“言葉”と本気で向き合う。


現場、“呼ばれ待ち”の毎日

なぁ、あの頃のオレ。

あの頃のお前、
現場でずっと走ってた。

「来い」
「戻れ」
「それ持ってこい」

親方に呼ばれるたび、
小走り。

砂利道シャカシャカ。

ロープ抱えてシャカシャカ。

道具持ってシャカシャカ。

なぁオレ。

サッカー辞めても、
無駄に走力だけ維持してる。

呼ぶ意味、だいぶ謎

50メートルぐらい離れた場所で、
土掘ってた時のこと。

親方👇

「おーい!!ちょっと来い!!」

オレ、
全力ダッシュ。

砂利道、
爆走。

息切らしながら到着。

ほんで親方👇

「その横の道具、とって」

……え?

それ、
あんたの手ぇ届く距離やん。

なぁオレ。

移動距離と内容、
全然釣り合ってへん。

しかも数分後また👇

「おーい!!来い!!」

走る。

「やっぱええわ」

なぁ親方。

判断、
呼ぶ前に終わらせといてくれ。

親方、静かに怖い

しかも怖いんが、
親方別に怒鳴らへんこと。

静か。

でも怖い。

「……ちゃう」
「……それやない」

低い声で、
ジワジワ削ってくる。

なぁオレ。

怒鳴られるより、
静かな圧の方が逃げ場ない。

しかもお前、
まだ初心者。

何がどこにあるんか、
全然分からん。

鉄。

パイプ。

ロープ。

全部、
土まみれ。

全部、
茶色。

なぁオレ。

初心者には、
現場の景色ほぼ迷路や。

小走り人生、地味に削られる

親方、
歩くんも速い。

オレ、
ずっと後ろ小走り。

しかも👇

「ちゃう」
「戻れ」
「やっぱこっち」

無限ループ。

なぁオレ。

人生、
ずっとミニゲームやらされてる。

最初はな。

オレも思ってた。

「これは社会勉強や」
「ここ耐えたらイタリアや」

って。

でもな。

毎日続くと、
じわじわ削られる。

説明なし。

正解不明。

空気だけピリピリ。

ほんでお前、
変に真面目。

ちゃんとやろうとする。

でも空回る。

ほんでまた👇

「……ちゃう」

なぁオレ。

脳みそ、
だいぶ処理落ちしてる。

休憩時間だけ、別世界

でも不思議なんが、
休憩中の親方。

急に普通のおっちゃん戻る。

缶コーヒー飲みながら👇

「オレくん、
サッカーどないや?」

とか聞いてくる。

笑う時もある。

冗談言う時もある。

なぁオレ。

仕事中との落差、
情緒おかしなる。

しかも60代のおっさん、
横で👇

「あぁぁぁ〜〜……」

って、
毎回温泉入った時
みたいな声出してる。

なぁオレ。

休憩所だけ、
空気ゆるすぎる。

でもな。

親方が立ち上がった瞬間👇

空気、
またピリッて戻る。

おっさんも静かなる。

オレも背筋伸びる。

なぁオレ。

現場の空気、
親方中心に回りすぎや。

気づけば、余裕なくなってた

その頃のお前、
ちょっと焦ってた。

周りは高校生活。

青春。

部活。

でもお前👇

泥まみれで、
親方に小走りさせられてる。

なぁオレ。

想像してた未来と、
だいぶ違う。

だから余計、
ちゃんとやろうとしてた。

怒られたくない。

認められたい。

迷惑かけたくない。

でも空回る。

ほんでまた👇

「……ちゃう」

その繰り返し。

なぁオレ。

メンタル、
静かに削れていってる。

その瞬間、嫌な音した

ほんでその日。

お前、
何度も呼ばれて
かなりイラついてた。

ムシャクシャしてた。

ほんでスコップで土を👇

パン!!

パン!!

って叩いた瞬間──

ズルッ。

次の瞬間。

スコップの柄と、
デカい石の間に👇

薬指、
ギィィィィィン!!!!

打ちつけてもうた。

なぁオレ。

そこ、
絶対やったらアカン場所や。

右手見たら👇

血、
ドバァァァァ!!

薬指、
パックリ。

第一関節、
裂けてる。

なんかもう、
“ケガ”
ってより
“事件”。

……終わった。

なぁオレ。

あの瞬間、
ほんまに時間止まったよな。

親方飛んでくる

ほんでな。

血見た瞬間、

親方が走って来た。

なぁオレ。

あの親方がやで。

普段、

「来い」

しか言わん男が、

めちゃくちゃ俊敏。

ほんで👇

タオル持って来る。

指押さえる。

止血する。

手際いい。

なぁオレ。

ちょっと思ったよな。

「親方めっちゃ、
カッコええやん……」

って。

でも次の瞬間👇

いや待て。

アンタのせいやっ!!

なぁオレ。

犯人と救急隊員、

ほぼ同じ人や。

結論

なぁ、あの頃のオレ。

夢追って、
現場入って、
毎日小走りして。

気づいたら、
心も身体も削られてた。

でもな。

あの頃のお前、
ちゃんと前進もうとはしてた。

空回りしても。

方向ズレても。

必死やった。

なぁオレ。

その日のお前、
まだ知らんかったよな。

この後、
病院でもう一回地獄始まること。

一言まとめ
親方の「来い」に振り回された最後、オレの薬指が悲鳴あげた。

次回
病院でオレのメンタルまで終了しかけた話。


少しだけ、現場に馴染み始めてた

なぁ、あの頃のオレ。

人間って怖いな。

最初イヤやった土木現場。

気づいたら、
ちょっとずつ身体が慣れてきてる。

朝起きて、
作業着着て、
泥の匂い嗅いで。

ほんで普通に、
親方のトラック乗ってる。

なぁオレ。

順応能力、
使う場所ちょっと違う。

制服が、ちょっと眩しかった

現場向かう途中。

信号待ちしてた時や。

横を、
高校生らが自転車で走っていく。

制服。

笑い声。

朝練バッグ。

なんかもう、
青春そのもの。

なぁオレ。

その光景、
ちょっと眩しすぎた。

しかもお前、
何人かには👇

「イタリア行く」

って言うてもうてる。

たぶん周り、
もうお前のこと👇

“海外行ったヤツ”

やと思ってる。

でも現実👇

土。

煙。

作業着。

なぁオレ。

人生、
予定とだいぶ違う方向走ってる。

しかも同級生っぽい影見えた瞬間👇

帽子、
グッッッて深く被る。

なぁオレ。

完全に逃亡中の人間や。

木材燃やし係、爆誕

ほんでたまに社長が、


「木ぃ燃やしといて〜」

って、
オレ一人現場置いてかれる。

周り、
誰もおらん。

木材だけ山積み。

なぁオレ。

仕事というより、
ほぼキャンプや。

ほんで帰り際👇

「適当に遊んどいてええでぇ〜」

って、
ミッション車置いていかれる。

いや待て。

遊びのレベルおかしい。

説明?
もちろんない。

クラッチ?
知らん。

半クラ?
聞いたこともない。

でも敷地広い。

誰もおらん。

お前、
恐る恐る発進。

ガコン!!!

エンスト。

ガッタン!!!

また止まる。

なぁオレ。

車との会話、
ずっとケンカや。

でも何回かやってるうちに、
ちょっとずつ前進めるようになる。

するとお前👇

「……あれ?
なんか分かってきた」

急に調子乗り始める。

なぁオレ。

根拠ない自信、
ほんま好きやな。

田んぼ道、自由すぎる

現場近く、
ほぼ田んぼ。

車も全然通らん。

ほんでお前、
調子乗って外出る。

ガコン!!

止まる。

ガッタン!!

また止まる。

なぁオレ。

運転技術、
ほぼ祈りや。

でもちょっとずつ、
前に進めるようになる。

その時のお前、
ちょっと嬉しそうやった。

イタリアとか関係なく、
ただ単純に👇

「動いた!!」

が嬉しい。

なぁオレ。

青春、
意外な場所で発生してる。

おっさん、急に健康志向

60代のおっさん。

休憩中、
相変わらずタバコ吸ってる。

ほんで毎回👇

「これはもう、
死んでも辞められへんわ〜」

って言うてる。

なぁオレ。

そのセリフ、
縁起悪すぎる。

でもある日。

健康診断帰りのおっさん、
なんか静か。

ほんでボソッと👇

「肺に黒い影ある言われた……」

次の日。

タバコ、
消滅。

なぁオレ。

決断、
競馬のゲート開くぐらい速い。

昨日まで👇

「死んでも辞められへん」

言うてた人とは思えへん。

気づけば、笑える日も増えてた

最初はイヤやった現場。

でもな。

気づいたら、
ちょっと笑える日も増えてた。

エンストして。

泥まみれなって。

木ぃ燃やして。

ほんで昼休憩には👇

気づいたら、
土まみれのままメシ食ってる。

なぁオレ。

ちょっと前まで👇

「セリエA!!!」

言うてたヤツとは思えへん。

でもな。

あの頃のお前、
終わりたくなかったんや。

夢からズレても。

ダサくても。

前には進みたかった。

その気持ちだけは、
ずっと消えてへんかった。

結論

なぁ、あの頃のオレ。

イタリア行ったことになってるのに、
現実は田んぼでエンストしてる。

学生見たら帽子深く被って、
泥まみれで働いて。

人生、
思ってた方向と全然ちゃう。

でもな。

あの頃のお前、
ちゃんと前には進んでた。

遠回りでも。

不器用でも。

止まらへんかった。

なぁオレ。

あの頃はまだ、
この寄り道が
後で全部繋がるなんか、
全然知らんかったな。

一言まとめ
イタリア行ったことになってたオレ、普通に田んぼでエンストしてた。

次回
親方に振り回され続けた結果、
ついにオレ、やらかす。


夢の続きのはずやった

なぁ、あの頃のオレ。

イタリア行き、
一回止まった。

家の空気、
最悪。

オトン怒る。

オカン泣く。

先生来る。

もう、
だいぶ修羅場。

でもな。

そんな空気の中で、
間入ってくれたんが、
親戚のおっちゃんやった。

オトンに向かって👇

「若い頃は、
挑戦してナンボやろ〜!」

「やらしたって〜なぁ〜!」

って。

なぁオレ。

あの時のおっちゃん、
だいぶヒーローやった。

でも現実問題、
金は要る。

だから結局👇

「とりあえず働け」

って流れになる。

ほんで兄貴の知り合いが、
土木会社紹介してくれた。

「働きながら、
また海外目指したらええ」

そう思ってた。

……うん。

方向性は分かる。

でもなオレ。

なんで人生立て直す第一歩が
土木現場やねん。

セリエAまでのルート、
急に泥と煙増えてる。

会社、4人しかおらん

会社いうても、
オレ入れてたった4人。

社長。
親方。
60代のおっさん。
ほんで中卒のオレ。

なぁオレ。

メンツ、
だいぶ濃い。

しかもお前以外、
全員“昭和の現場”で生きてる。

そこへお前👇

「チャオ」
「ボンジョルノ」

しか知らん中卒サッカー少年。

なぁオレ。

異物混入にも程ある。

社長だけ、なんか優しい

でも社長だけは、
なんか優しかった。

いつもニコニコ。

怒鳴らへん。

新しい現場の前の

測量みたいなんする日は、
よう連れてってくれた。

「オレくん、
今日付いてきて〜」

その瞬間👇

心の中ガッツポーズ。

なぁオレ。

社長同行の日、
ちょっと遠足。

ほんで道中、
自販機見つけた社長が👇

「好きなん買うてき〜」

お金渡してくれる。

オレ👇

(やったぁぁぁ!!!)

なぁオレ。

喜び方、
小5の夏休みや。

しかもお前👇

(今日はコーラいけるか……?)

とか真剣に悩んでる。

人生迷子やのに、
炭酸への情熱だけ本気。

おっさん、ずっと“よっこらしょ”

あともう一人。

60代ぐらいのおっさん。

小柄。

なんかするたび👇

「よっこらしょ〜」

座って👇

「あぁぁぁ〜〜」

なぁオレ。

その声、
温泉に入った時に言うやつや。

昼飯は、
奥さんの手作り弁当。

くちゃくちゃ食べる。

でも全然イヤちゃう。

なんかずっと、
小動物みたい。

親方おらん時は、
めちゃ喋る。

めちゃ笑う。

でも親方来た瞬間👇

スンッ……

なぁオレ。

空気、
急に朝礼。

親方、ラスボス感すごい

ほんで親方。

初対面の印象👇

顔、真っ黒。

日に焼けすぎて、
もはや革。

ほんで前歯、
数本行方不明。

なぁオレ。

現場のラスボス出てきた。

でも休憩中は意外と陽気。

「兄ちゃん若いな〜」
「サッカーやっとるんか〜」

よう喋る。

よう笑う。

オレこの時👇

(怖そうやけど、
意外とええ人かも?)

って思ってた。

甘い。

激甘。

黒蜜ドバドバのわらび餅ぐらい甘い。

なぁオレ。

社会、
ナメすぎや。

朝のルーティンがおかしい

毎朝の流れ。

倉庫集合。

荷物積む。

……ここまでは普通。

問題はここから。

現場向かう前、
親方が突然取り出す。

🍶一升瓶🍶

なぁオレ。

ここで逃げろ。

でもお前、
まだ思ってる。

(職人さんって、
こういう文化なんかな……)

いやちゃう。

完全にアウトや。

親方、
日本酒をコップになみなみ。

ほんで一言。

「ほな、行こか!!!」

ゴクゴクゴク……

一気飲み。

なぁオレ。

景気づけの概念、
だいぶ終わってる。

車内、ほぼ命がけ

ほんでそのまま、
運転席へ。

オレ、
助手席。

いや待て。

今、
酒飲んだよな???

しかも運転、
まあまあ荒い。

車間距離、
気分。

カーブ、
根性。

ブレーキ、
雰囲気。

なぁ親方。

運転に精神論持ち込むな。

さらに🚬タバコスパスパ🚬

前歯ない部分に、
うまいこと固定してる。

なぁ親方。

その才能、
別方向で活かしてくれ。

車内、
煙モクモク。

オレ、
息苦しくて窓ちょっと開けた。

次の瞬間👇

「寒いから閉めてくれや」

心の中👇

(ほなタバコ吸うなや!!!)

でも言えへん。

なぁオレ。

メンタル、
毎日アウェー戦。

現場、全部怖い

現場着いてからも、
毎日必死。

「見て覚えろ」
「考えろ」
「遅い」

理不尽三点セット。

しかも親方、
別に怒鳴らへん。

でも静かに怖い。

「……ちゃう」
「……それやない」

その低い声が、
ジワジワ削ってくる。

なぁオレ。

怒鳴られる方が、
まだ逃げ道ある。

それでも走る

でもな。

家帰った後。

お前、
走ってた。

泥まみれ。

腰バキバキ。

手ぇ真っ黒。

でもシューズ履いて、
夜道走る。

サッカー、
まだ諦めてへんかった。

走ってる時だけ、
まだ夢の続きみたいやった。

なぁオレ。

ボロボロやのに、
そこだけは止まらへんかったな。

結論

なぁ、あの頃のオレ。

夢追ってたはずやのに、
気づけば命がけで出勤してる。

イタリアより先に、
現場で人生鍛えられてる。

でもな。

あの頃のお前、
必死やった。

人生止まりたくなかった。

だから、
どんな場所でも
前進もうとしてた。

なぁオレ。

方向ズレまくってても、
本気だけは止まってへんかった。

一言まとめ
夢追ってたはずやのに、気づけば命がけで出勤してた。

次回】
親方に振り回され続けた結果、
ついにオレ、やらかす。