『なぁ、あの頃のオレ』青春編 第76話「最後までオモチャやったオレ」 | 夢見てズレて転び続けたオレの黒歴史ノート

夢見てズレて転び続けたオレの黒歴史ノート

【連載】

なぁ、あの頃のオレ。
ちゃんとできへん人生の話

青春編 (77話完結済)
社会人編 現在執筆中

第1話はこちら
https://note.com/regal_wren4369/n/n802c36a0d555



気付いたら最終日

なぁ、あの頃のオレ。

気付いたらや。
合宿最終日。

2週間前。

お前な。

駅で迷う。
ホテル迷う。
電車来ぇへん。

言葉分からん。

顔だけ不安そうな日本人やった。

それが今や。

スーシーや。

なぁオレ。

どういう進化やねん。

人類から寿司になっとるやないか。

イタリア人は思ってたんと違った

正直な。

来る前は思ってた。

イタリア人。

陽気。
適当。
なんとかなる精神。

そんなイメージやった。

でもな。

サッカーなった瞬間、

全然違う。

全員マジや。

誰一人手ぇ抜かへん。

練習中なんか、

笑顔より真顔の方が多い。

でも不思議やった。

グラウンドでは、

本気でぶつかる。
本気で怒る。
本気で勝ちにいく。

なのに、

終わったら終わり。

夜には普通に笑ってる。

肩組んでる。
飯食ってる。

なぁオレ。

お前だけや。

昼の出来事、
夜まで引きずってたん。

サッカー中は戦争。

終わったら日常。

その切り替えは、

最後まで不思議やった。

とにかく歌う国

ほんでな。

イタリア人。

歌う。

とにかく歌う。

誕生日。
歌う。

勝った。
歌う。

負けた。
歌う。

誰かふざけた。

また歌う。

なぁオレ。

感情全部ミュージカルや。

誕生日の子がおった日なんか、

誰か一人が歌い出した瞬間、
全員参戦。

音程?

知らん。

リズム?

感じろ。

声量?

近所迷惑。

なぁオレ。

食堂ちゃう。

ライブ会場や。

オレだけ毎回、

「今なんの歌?」

って顔してた。

でもな。

意味は分からん。

言葉も分からん。

それでも楽しそうなんは伝わる。

生きてるの楽しんでる。

それだけは、

めちゃくちゃ伝わってきた。

表彰式

そして最後。

表彰式。

得点王。
優秀選手。
MVP。

順番に呼ばれていく。

なぁオレ。

全部サッカー上手いやつらや。

そらそうや。

ほんでお前。

完全に見学モード。

するとや。

名前呼ばれる。

「スーシー!!」

……。

……。

オレや。

なぁオレ。

お前もビックリしとる。

何賞やねん。

得点王ちゃう。
MVPちゃう。
技能賞ちゃう。

たぶん、

「遠いとこから来たで賞」

や。

知らんけど。

でもな。

嬉しかった。

めちゃくちゃ嬉しかった。

とまどいながらも前出る。

トロフィー授与

トロフィー受け取る。

なぁオレ。

完全に主役気分や。

ほんでその時や。

コーチが何か言う。

「スーシー!」

「アーーップ!!」

たぶん、

「トロフィー上げろ!」

や。

なぁオレ。

その時のお前、

ちょっと照れてる。

でも嬉しい。

せっかくやしな。

会場。

拍手。

歓声。

完全に主役や。

ほんで。

トロフィーを

エイッ!

って頭の上に掲げた。

会場。

「オォォォォォ!!」

その瞬間や。

ズルッッ!!

……。

……。

ズボン、

完全に下がった。

コーチにやられた。

なぁオレ。

下げるな。

今ちゃうやろ。

パンツ丸見え。

トロフィーは天高く。
笑顔はそのまま。

会場。

大爆笑。

ギャハハハハ!!
ウワァァァァ!!
オォォォォ!!

なぁオレ。

さっきまで

表彰されてる男やった。

でも今は違う。

パンツ丸見えで、

笑顔のままトロフィー掲げてるアホや。

昇格と降格、

同時に味わうな。

みんな笑う。
コーチ笑う。
ちびっ子笑う。
白髪じいじ笑う。

なぁオレ。

味方ゼロや。

トロフィー掲げた瞬間、

ズボン下げられる英雄、

世界探してもおらん。

栄光、

3秒で終わった。

勇気出した日

でもな。
その後や。

お前、
勇気出した。

コーチのところ行った。

ほんで言う。

「イタリアでサッカーしたいねん」
「どっか紹介してほしいねん」

なぁオレ。

珍しく自分から言うたな。

今までやったら、

誰か何とかしてくれる。
そんなことばっかり考えてた。

でもこの日は違う。

自分で言うた。
自分で掴みに行った。

するとコーチ。

あっさり言う。

「連絡する」

たったそれだけ。

でもな。

お前には十分やった。

胸が熱くなった。
泣きそうやった。

数分前まで、

パンツ丸見えやった男とは思われへん。

結論

なぁ、あの頃のオレ。

お前な。

この合宿で、

サッカーも学んだ。

でもそれ以上に、

人との距離。
楽しみ方。
ぶつかり方。

笑われ方。

色んなもん教わったな。

そして最後。

お前は自分から言うた。

「またイタリアでサッカーしたい」

なぁオレ。

あの時のその一言。

あれが次の人生を動かした。

笑われて。
パンツ下げられて。

それでも夢だけは、

ちゃんと前に進んだんや。

一言まとめ
表彰された直後にパンツ下げられたけど、
夢だけはちゃんと掴みに行った。

次回
みんなとの別れ。