
◆昨日までのオレ、どこ行った
なぁ、あの頃のオレ。
昨日まで胸張って言うてたよな?
「サッカーがない世界なんて、考えられへん!」
……せやのに。
次の日には、
「やめよかな」
って思ってるやん。
ツッコミ追いつかんわ。
人生ってな、
ほんま急カーブ曲がる。
ウインカーも出さずに、
ドリフトしてくるんや。
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◆ほんまに普通の日やった
事件が起きたんは、
ほんまにいつも通りの練習の日。
特別な予兆?
なし。
空は青い。
ボールは丸い。
オレは調子に乗ってる。
「今日も走ったるでぇ!」
そう思った、その矢先や。
◆ゴリラ先輩、現る
相手チームにおった先輩がな、
ちょっと様子おかしかった。
“先輩”って言うより、
進化の途中で人間になった
ゴリラ寄りの霊長類。
胸板は鉄板。
肩幅は軽トラ。
太ももは神社の御神木クラス。
あれ、
サッカー部やんな?
動物園ちゃうよな?
そのゴリラ先輩が、
こっち見てニヤッて笑った瞬間、
嫌な予感しかしなかった。
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◆人生最大の水平移動
次の瞬間。
「フンッッッ!!」
ドーーーーン!!!
オレ、吹っ飛びました。
軽くじゃない。
ガチで。
人生で一番、
水平移動した日やと思う。
ケツから地面に着地して、
ズサァァァーーーッ!!
太ももズルむけ。
砂は入る。
血は出る。
涙は勝手に出る。
「……魂、今ズレたよな?」
一瞬、
自分が自分じゃなくなる感覚。
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◆風呂場で消えたサッカー熱
でもな、
ほんまの地獄はそこからやった。
その夜の風呂。
足先ちょっと浸けた瞬間──
「ぎゃああああああああ!!!!」
完全にホラー。
兄貴が
「殺人事件か!?」
ってドア開けてくるレベル。
その時や。
心の中のサッカー炎が
「ボワァァ……」
って、
一気に弱くなった。
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◆行きたいのに、行けない
次の日から、
自分でも分かるくらい変やった。
放課後、
家の前で棒立ち。
ランドセル下ろしたまま、
空を見る。
「今日サッカー来るん?」
「……いや、今日はええわ」
言うた瞬間、
一番びっくりしたのは
オレ自身やった。
足は動く。
ケガも治りかけ。
でもな、
走りたい気持ちが
出てこない。
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◆初めて出てきた感情
原因はケガの痛みちゃう。
「また、あんな思いするんちゃうか」
その映像だけが、
頭から離れへん。
前なら
「ボール蹴りたい!」
やったのに、
この日は違った。
「痛い思い、したくない」
その気持ちが、
勝ってもうてた。
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◆オレ、やめるんかな
放課後、
空を見上げながら、
ふと思った。
「……オレ、サッカーやめよかな」
人生で初めて、
その言葉が
本気で浮かんだ。
声には出してへん。
誰にも言うてへん。
でもな。
あれは、
ほんまの本音やった。
“サッカーのない世界”
その扉に、
オレは初めて
手をかけたんやと思う。
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【一言まとめ】
好きすぎたからこそ、
初めて「怖い」が勝った。【次回】
サッカーから距離を取ったオレは、別の“逃げ場”を探し始める。
はじめての方はこちら👇
【第1話】
「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」
https://note.com/regal_wren4369/n/n802c36a0d555
まとめて読む方はこちら👇
【青春編まとめ】
https://note.com/regal_wren4369/n/nc16f5879e57c?sub_rt=share_pw