第14話 「月500円で7年走り続けたオレ」 | 夢見てズレて転び続けたオレの黒歴史ノート

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失敗だらけの人生を笑いに変換中。夢見てズレて空回り、今も迷子。成功談なし、再現性もなし。でも続けてます。青春編(全64話)完結済み。




なぁ、あの頃のオレ。

サッカーで毎日全力ダッシュしとったやろ。

その余ったエネルギー、
なぜか労働に回されとるからな。

誰の判断やねん。

◆ 兄貴の「働く」宣言

始まりは突然やった。

ある日、兄貴が友達と一緒に
新聞配達を始めたんや。

小学校高学年のくせに、
急に「働く」とか言い出して、
何を目指してたんか今でも謎。

ただな、
新聞配達って
早朝が地獄レベルで暗い。

特に冬。
朝5時。
街灯ポツン。
犬の鳴き声だけ。

完全にホラー。

兄貴、
たぶんビビったんやろな。

ある日いきなり、
オレに言うてきた。

「月500円やるから手伝え」

なぁオレ。
その時の顔、覚えとるで。

「500円!?!?!?」

小2の価値観で言うたら、
20億円。
石油王。
人生勝ち組。

理由?
意味?
将来性?

全部どうでもええ。
500円で即契約。

◆ 暗闇が怖い男たちとオレ

しかもな、
問題は兄貴だけやなかった。

一緒に配っとった
兄貴の友達も、
暗闇が怖い。

友達もオレに言う。

「なぁ…今日オレの方ついてきてくれへん?」

気づけばオレ、
早朝の暗闇が怖い小学生男子2名に
取り合いされる存在。

なんやこれ。
どうなっとんねん。

朝5時に
「今日オレの方な!」
「昨日お前やったやろ!」

人生で一番モテた瞬間、
間違いなくここ。

◆ 気づけば一人、残ってた

でもな、
時間って残酷や。

数年経って、
兄貴と友達、
そろって辞めた。

潔すぎる。

で、残されたのが──
オレ。

新聞屋のおっちゃんが言う。

「頼むでオレくん、このまま続けてくれへんか」

気づいたら、
契約更新。

サインしてへん。
同意してへん。
でも継続。

ブラック企業、爆誕。

◆ 小学生、7年勤務

そこからオレ、
小2〜中学卒業まで
新聞配達継続。

7年。

雨の日も、
風の日も、
台風の日も、
雪でチャリ何回もコケた日も。

なぁオレ。
誰が小学生に
こんな責任背負わせたんや。

◆ それでも走るのが好きやった

それでもな、
当時のオレは
しんどいと思ってへんかった。

サッカーも新聞配達も、
オレにとっては
「働く」やなくて
「走る」やった。

ポストに新聞入れる音。
朝焼けの空。
白い息。

気づいたら、
なんか好きになっとった。

月500円は

どう考えても安い。


まぁ途中からはちゃんと 

普通の配達代もらえる

ようになったけどな。 


最初の500円契約が

すべての始まりやった。



でもな、
オレはここで
「続ける力」
「逃げへん癖」
「自分で動く感覚」

そういうもんを
知らん間に手に入れてた。

◆ 次に欲しくなったもの

走れて、
ボール触れて、
毎日全力。

そうしてオレ、
思い始める。

「これ、もっとやりたい」

走るだけやなくて、
どこかに
ちゃんと属したくなる。

そう。
次は──
部活。

【一言まとめ】
月500円で始まった新聞配達は、
気づけば7年続いてた。
オレは走りながら、
生き方の基礎体力を作ってた。

【次回】
好きだけじゃ通用せえへん世界。
部活という名の、
もう一段深い沼が始まる。