なぁ、あの頃のオレ。
お前の一日はな、今思い返しても働きすぎ小学生や。
◆ 働いて、走って、また走る日常
朝は新聞配達。
まだ太陽も寝ぼけてる時間にチャリ漕いで、
ポストに新聞突っ込んで、
「おはようございます!」より先に
「寒っ!!」が口から出る生活。
ほんで学校終わったら、
放課後は当然のようにサッカー。
家に帰ってきてもな、
“靴を脱ぐ”ちゃう。
靴を飛ばす。
玄関に着地するかどうかは運次第。
ランドセル?
床に放り投げ。
「ただいま!」より先に
「神社いってきまーーす!!」
……なぁオレ。
どんな家庭やねん。
もはや家は中継地点。
水分補給所。
神社に着いた瞬間、
靴下脱いで裸足。
境内入ったらスイッチON。
神社=ホームスタジアム。
賽銭箱=ゴール裏。
完全に、
サッカーが生活の中心やった。
◆ 避けて通れん「部活どれ問題」
そんなある日。
ついに来た。
「部活動、どれに入る?」問題。
クラス中がザワザワして、
「野球部入る?」
「バスケどうする?」
って話してるのに、
オレだけ心ここにあらず。
頭の中は、
夕方の神社。
裸足。
団子サッカー。
……おい、学校戻ってこい。
でも家帰った瞬間、
空気が変わる。
リビングに漂う、
野球部一択感。
兄貴は野球部。
オトンはテレビつけたら
巨人か阪神。
部屋の隅には、
なぜかバット3本。
誰が使うねん。
一家でフルメンバーか。
正直な話、
オレも思った。
「まぁ……野球部なんやろなぁ」
強い意志はない。
ただの流され体質。
◆ ひろちゃんの一言
そんな予定調和を
ぶち壊したんが、
ひろちゃんや。
一緒にアホなことして、
一緒にサッカーしてきた存在。
ある日、
ニヤッと笑って言うてきた。
「なぁ、一緒にサッカー部入ろうや!」
なぁオレ。
この一言、
心のど真ん中に直撃。
ストライクちゃう。
場外ホームラン。
「は!?そんなん決まりやん!!」
オトンの空気も、
野球の家系も、
全部ミジンコ以下。
「ひろちゃんと一緒にサッカーしたい」
それだけで、
入部届に名前書いた。
確認ゼロ。
勢い100%。
◆ まさかのすれ違い
翌日。
ウキウキで入部届提出。
休み時間、
ひろちゃんのとこへ全力ダッシュ。
「オレもサッカー部入ったで!!」
そしたらな。
ひろちゃん、
めちゃ爽やかな顔で言うた。
「オレ、野球部になってん」
「オカンが勝手に出してもうててん」
……ん?
なぁオレ。
今、世界止まったな。
胸の奥、スコーンって音したやろ。
しかもそのあと、
ひろちゃん、
何事もなかったように
プロレスごっこ再開。
切り替え早すぎやろ。
オレだけ、
一人取り残される。
誰のために
サッカー部入ったんやっけ。
◆ それでもボール蹴ったら
その日の夜。
布団の中で天井見つめて考える。
「オレ、なにしてんねやろ」
でもな、
次の日。
練習でボール蹴った瞬間、
胸の奥がズキューンって鳴った。
あぁ、
やっぱオレ、これ好きやわ。
誰がおるとか、
一緒やったとか、
もう関係なかった。
オレはオレで、
走りたかっただけや。
◆ ここからが、本番
こうしてオレは、
初めて
「自分で選んだ場所」に
一人で立つことになった。
心細かったけど、
同時に
ちょっと誇らしかった。
【一言まとめ】
すれ違ったけど、
オレはちゃんと自分で選んでた。
【次回】
次回、なぜか柔道着。
前回
▶第14話
「月500円で7年走り続けたオレ」
https://note.com/regal_wren4369/n/n711c46cdb63c?sub_rt=share_pw
次回
▶第16話
「サッカー部員のオレ、柔道着を着せられる」
はじめての方はこちら👇
【第1話】
「不器用オトンと顔色センサー全開の子ども時代」
https://note.com/regal_wren4369/n/n802c36a0d555
まとめて読む方はこちら👇
【青春編まとめ】
https://note.com/regal_wren4369/n/nc16f5879e57c?sub_rt=share_pw
