住宅みちしるべ -3ページ目

市街地(準防火地域)の木造3階建の欠陥住宅

先日のブログでも書きましたが、


市街地(準防火地域)に建つ木造3階建の住宅は


いろいろと厳しい制限を受けます。




周囲で火災が発生した時を想定して、


窓(開口部)にもこんな規定があるのです。




延焼の恐れのある範囲に該当する外壁の開口部は


シャッターや雨戸などの防火戸または、網入りガラスを


設置する事が建築基準法施行令並びに告示第1360号で規定


されてます。




*延焼の恐れのある部分

隣地境界線もしくは道路中心線より、1階においては3m、

2階においては5mの範囲。



住宅みちしるべ

この現場では網入りガラスが使用されていませんでした。


当然、防火設備違反に該当します。




市街地で 3階建て住宅をご検討の方は是非ご相談ください。



2階建住宅のロフトや小屋裏収納

最近の2階建住宅では、ロフトや小屋裏収納を付けるケースが多いようです。


2階建ての住宅の小屋裏を利用することは、設計上、私自身もメリットが


大きいと感じます。




特に、市街地で敷地が狭い時は、収納が十分に取れないため


小屋裏収納は有効でしょう。




ただし、一つ気をつけていただきたい事があります。


それは・・・




2階建住宅のロフトや小屋裏収納の最高天井高さは


1400mm以下にすること。


仮に1400mmを超えてしまうと、3階建になってしまいます。


確認が通らない可能性があります。




2階建で確認申請書を作成していれば、


検査済証も取ることはできないでしょう・・・・




もし、気になるようでしたら、確認申請書を見てみてください。


2階建で小屋裏収納やロフトがあり、


実際の天井高が1400mmを超えていないか・・・・


金物の緩み

木造の住宅は常に木材の乾燥収縮という問題が付きまといます。


乾燥収縮とは名の通り、木材が乾燥して縮んでしまうこと。


もともと120mm(4寸)の柱だったものが、115mmとかになってしまいます。




もちろん、しっかりと乾燥させたものを使えばいいのですが、


絶対ゼロにはなりません。




結果、どのような不具合が起こるのか??


こんなことが起こります。


住宅みちしるべ



これは梁と梁を接合する羽子板という金物です。


簡単に指で廻ってしまいます。


これでは接合部に歪みや隙間が生じてしまいます。




最近ではこのようなボルトの緩みを防止するために、


スプリングワッシャー付きのものや、ゴムが挟み込んで


あるものも出てきてますので、そういう金物を使えば


乾燥収縮しても大丈夫なのでは???

木造3階建の欠陥住宅

木造3階建の住宅(特に建売住宅)は欠陥 が多いです。


特に密集地に建てられるものはその傾向が顕著です。


なぜか??




木造3階建住宅は建築基準法第20条により、構造計算の義務付け、


さらに、準防火地域内では同法第62条、第136条の2により、


準耐火構造とする事が義務付けられ、2階建ではないような厳しい


基準があります。




建売住宅は価格が安いため、画一的で手間のかからない住宅としなければ


なりませんが、法令による規制が多く、現場では施工の手間がかかる為、


法令に適合する住宅を建てる事が難しいんです。


これが、木造3階建の建売住宅に欠陥 が多い理由です。

(もちろんすべてではないですが・・・・・)



たとえばこんな例・・・・



住宅みちしるべ



可燃物である合板が使用されてます。


当然、屋内側の防火被服(図面指定の石膏ボード)が無いため


準耐火構造不適合になります。




このような隠れた欠陥は、まずわかりません。


皮肉な事に、隣が火事になって初めてわかります。



そうならないためにも、



耐震性の欠如

木造軸組工法の欠陥住宅はいろいろな例がありますが、


これは基本的な耐震性の欠如が指摘される例です。




従来、木造軸組工法では筋交いという斜材を配置し、


地震や台風時の水平力に抵抗するための強度を


確保してきました。




ただ、最近はいろいろな工法が生まれてきており、


その主流が構造用合板を釘留めするものです。




構造用合板は釘ピッチ150mm、3×6板を使用する


場合に於いては受け材を設置する等、


いろいろな細則があります。



住宅みちしるべ


この現場では、構造用合板の継ぎ目部分に


受け材がありませんでした。


当然、建築基準法違反に該当します。




やはり施工が一番大事です。


断熱材の垂れ

冬場の冷え込みを抑えるには、床下の断熱材を隙間なく


充填することが一番大事です。


このブログでも幾度となく紹介しましたが、


やはりこのような施工が目立ちます。


住宅みちしるべ


青いものが断熱材です。


冬場、床下の冷気が断熱材と床の隙間に入り込めば、


床の冷え込みだけではなく、床下での結露、


最悪の場合には、カビや腐朽菌が発生する事になります。




特に階段下、和室下、収納下、ユニットバス廻りは


抜けている住宅が多いです。(もちろん欠陥住宅です)


住宅支援機構(FLAT35)の適合住宅でなくても、


最近の裁判では認められているようです。




具体的弊害が発生する前に、上記部分で『寒い』


と思われたら、疑ってみてください。




窓廻りからの雨漏り

今回も雨漏れの事例。


 

業者さんに何回補修してもらっても、雨漏れがなおらない・・・・

 


なぜでしょうか?

 

 

 



答えは簡単です。

 


正しい手順で防水層が連続するように補修しないと

 


直るものも直りません。

 

 



窓廻りは防水の危険個所です。

 



木造の住宅では、防水紙とサッシュのつばに付ける

 


防水両面テープを密着させる必要があります。




両面テープを密着させるには、まず茶色いクラフト紙


を剥がす必要があるのですが・・・・


剥がされてないことが分かります。


住宅みちしるべ



バルコニーからの雨漏れ

バルコニーは漏水の危険箇所です。


特に手すり壁やサッシと床面FRPとの取り合い部分等


注意を要する部分が多々あります。





また、笠木等の固定も、上からビスを打ってしまうと、


漏水が発生します。







これはバルコニーに施工された支柱。


ビスは上から下に施工されており、


コーキング等の処理も見られません。



住宅みちしるべ


下地に伸縮性が期待できる防水層を施工しているなら


わかりますが、もし何もしていなければ、


将来、雨漏れの可能性があります。





施工現場でも見逃されがちですので、


しっかりチェックすることが大切です。

シロアリ対策

木造で家を建てる場合、大敵となるシロアリ


への配慮は欠かせません。


特に、湿気の多い地域等は要注意です。




建築基準法施行令第49条第2項では


「構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、


地面から1m以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、


必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない」


と規定してます。



住宅みちしるべ

このように無処理ですと、シロアリに食べられます。


この現場は薬剤を浸透させた土台を使用することに


なっていましたが、薬剤の注入が確認できません。




通常、薬剤が注入されていれば、緑色をしてます。


また、無色のものでも、薬剤を注入したなら、


インサイジング加工の跡があるはずです。




まあ、檜(ヒノキ)等を使っていたり、


現場で薬剤を散布したなら話はわかりますが・・・・・




もし、何も施してないなら、シロアリやカビ、腐りに見舞われる


最悪の欠陥住宅になってしまいます。

ツーバイフォーの欠陥

ツーバイフォーの住宅は同じ木造でも


構造が全然違います。


もし、軸組工法と同じ概念で設計すると


間違いなく欠陥住宅になります。




たとえばこの例・・・・


天井の根太や梁は支持壁の上でしか継げません。


この写真では2階部分に支持壁(耐力壁)がありますが、


1階にはないのです。


住宅みちしるべ



ツーバイフォーは地震や風(台風)等による


水平力や建物の重量を壁で支持する工法


ですので、柱で支持する在来工法とは


考え方が全く異なるのです。



これは建築基準法の告示にも明確に示されています。

(告示1540号)




こういう構造にしてしまうと、建物の揺れやそれによる


クロスの割れ、建具や窓の開閉不良等を誘発します。