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姉歯事件で行政の過失認める初判決

3/23付けの日経アーキテクチャで以下のような記事が掲載されました。

-----以下、原文-----

「建築確認は、危険な建築物を出現させない最後のとりで」――。構造計算書偽造事件によって休業を余儀なくされたビジネスホテル「センターワンホテル半田」(愛知県半田市)が、総額約5億1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2月24日、名古屋地裁で下った。建築確認を下ろした愛知県と、開業指導した総合経営研究所(東京都千代田区、以下は総研)を訴えていた。

 戸田久裁判長は、「建築物の安全性を確保するための注意義務を怠った」などとして、被告の愛知県と総研に連帯して約5700万円を支払うように命じた。姉歯秀次元一級建築士が関与した構造計算書偽造事件で、行政側の過失を認めた判決は初めて。


「専門家の常識に反する」と地裁

 訴訟では、建築確認制度の趣旨や建築主事の審査対象の範囲などが争点となった。原告側は、「建築主事は適正に確認審査を行い、建築主に不測の損害を被らせないようにする注意義務を負うべきだ」などと主張。県側は、「建築主は、十分な能力を備えた建築士を選任する責任がある」などと反論していた。

 判決では、建築主事の立場について、職務上、多数の設計の経験を蓄積でき、審査に関して建築士よりも適切な判断をなし得ると言及。審査範囲について、「建築専門家の常識に反するモデル化がされている場合には、少なくとも真意を設計者に確かめるべきだ」「専門家の間で通用する技術的基準に反する構造設計がされている場合も同様だ」と指摘した。

 その上で建築主事の具体的な過失を検討。中廊下を介した2枚の耐力壁と扱うべきところを、中廊下を含めて1枚の耐力壁とモデル化した構造計算に関して、次のように指摘した。「建築専門家としての常識的判断に反し、明らかに不適切。構造計算への影響の大きさから見れば、実質的に建築基準関係規定に適合しないと判断すべきで、注意義務を怠った」。

 さらに、1階のピロティ構造について、「一般的に危険と理解されているにもかかわらず、設計者に真意を確認するなど職務上の注意義務を怠った」として過失を認めた。

 一方、総研については、「漫然と一体的に営業活動を行っている設計者を選定し、指導監督を怠った」などとし、不法行為責任を認定した。

 ホテル側の損害については、「建て替えではなく、耐震補強によって対処し得た」として、補強工事相当額や休業損害額など約2億5300万円に限定。施工者が支払った弁済金などを差し引いて賠償額を決めた。


-----ここまで-----


建築確認をおろす事に関して一定の責任を認めた判決ですが、

今の今まで、なぜこのような判例が無かったのか不思議なくらいです。


建築確認とは、その設計が一般的に問題がないかどうかを「確認」することです。

なので、素人の建築主(住宅で言うと建て主)が問題ないかどうか分からない部分を

確認するわけですから、一定の責任を負う事も必要かと思います。


今まで、その責任が問われる事は無かったわけですから、これらの確認がその分

ズサンになる可能性は否定できません。


やはり、その「設計」が問題ないかどうかは「 第三者」のプロが見る必要があると

言う事になりそうです。

欠陥住宅発生の仕組み

欠陥住宅がなぜ発生するのか。

一番多いのが、

設計者、施工者の知識不足に起因するもの。

と、感じています。

では、なぜ本来プロであるはずの設計者や施工者が知識不足に陥るのか。


これは、必要な知識の維持を設計者自身や、施工店自身の「自主性」に

委ねている部分が大きかったからです。



この部分に気がついた国は、建築士を統制するための法律

「建築士法」

の改正を行いました。



この中には新しい法律については、定期的に公的機関が主催する「講習会」に

参加する。

と、言うものです。


私も先日、初めて行われるこの講習会に参加してきました。


なるほど、ここ数年の間に改正された建築に関する法律の内容が多く盛り込まれていました。

確かに、こういったものがある方が良いでしょう。

ただ・・・・


それ以前の法律を知らない人



施工する側

は??


まだまだ、体制を整えるのには時間がかかりそうだと感じました。

建物に「現実的な危険性」なくば責任問わず!?!?

福岡の高裁で、とても信じられないような判決が出たようです。
以下は2009/3/9に発信された日経アーキテクチャの記事です。

----以下、原文----

設計・監理者が契約関係にない第三者に負う不法行為責任の範囲はどこまでか─。購入した集合住宅兼店舗に欠陥があったと主張して、大分県別府市内の男性が、設計・監理者と施工者を相手取り、約3億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審の判決が2月6日、福岡高裁であった。石井宏治裁判長は、「居住者などの生命、身体または財産に対する現実的な危険性が生じていたとは認められない」として、原告側の請求を棄却した。

 この訴訟を巡っては、福岡高裁が2004年12月に「違法性が強度である場合に限って、不法行為責任がある」と判断。原告側の請求を棄却し、一審の大分地裁と判断が分かれた。最高裁は07年7月に「建物としての基本的な安全性を欠く場合、設計・監理者や施工者に賠償責任がある」と判断し、審理を差し戻していた。

建物の不具合は認める

 差し戻し審のポイントは、最高裁が示した「基本的な安全性を損なう瑕疵」の解釈だった。原告側は、建築基準法や、その関連法令違反を指すなどと主張していた。

 福岡高裁は判決文で、「建築基準法や関連法令の違反が、直ちに私法上の義務違反に当たるとは言えない」と指摘。「建築物の一部のはく落や崩落による事故が起きる恐れがあるなど、現実的な危険性が必要だ」との解釈を示した上で、原告側が主張する建物の不具合を個別に検討。壁や床のひび割れ、バルコニーの手すりのぐらつきなどを事実と認定したが、いずれも「現実的な危険性が生じていたとは認められない」と判断し、原告側の訴えを退けた。

 判決を受け、原告側は上告した。代理人の幸田雅弘弁護士は「法令で定める最低限の安全基準以上に、現実的な危険性を要求することは、違法な建築行為の範囲を不当に限定するもの。最高裁の判断を誤解した判決だ」と話している。


----ここまで----

詳細は分かりませんが、この判決については他の弁護士からもかなりの異論が唱えられているようです。わざわざ記事になるくらいだから、当然とも言えますが・・・

「現実的な危険性が生じていたとはいえない」

から、瑕疵では無いと言うのでは、

「事故が起こったら初めて瑕疵と認めるよ」

と、言ってるようなものではないでしょうか。。。

もし、これがまかり通れば、

「建築基準法を守ってないから、危険性はあるんだろうけど、100年に1度程度の地震に対する
 危険性なんてあんまり現実的じゃないから、守らなくてもいいよ。」

と、言っても良いと言う事でしょうか???

全く不可解極まりない判決に思います。

詳細をお知りの方いましたら、是非ご連絡下さい。

釘打ち ツーバイフォー(2×4)工法

こんにちわ。




本日はツーバイフォー(2×4)住宅の欠陥住宅事例。


ツーバイフォー工法の命。


それは・・・・




釘!!




ツーバイフォーは木材を釘打ちして留めることにより


壁や床、屋根を作っていきます。




なので、釘をうち忘れたり、使用する釘を間違えたり


すると、強度が不足となってしまいます。



たとえばこれ・・・・・


住宅みちしるべ

縦の木材(スタッド(縦枠))に釘が打たれていない事


がわかりますでしょうか?


ここには300mm以内の間隔で釘を打つ必要があります。


しかも使用するべき釘も決まっています。




2×4工法に使用される釘の種類は4種類

(CN50、CN65、CN75、CN90)


これらを場所によって使い分ける。


一軒の家に使用される釘の数・・・・・


なんと・・・・




数千本・・・・




打ち忘れは絶対にあります。


しっかりとした監理と知識、検査が必要なことは


言うまでもありません。

RC(鉄筋コンクリート)造のカビ・・・・

こんにちわ。

 

 

 

RC(鉄筋コンクリート)造の建物で

 

カビが生えてきたという問い合わせをよく受けます。

 

しかし、これも欠陥住宅の可能性が高い現象の一つです。

 



こちらはある住宅の浴室換気口からの写真。


図面では内断熱(ウレタン吹き付け30mm)の指示がありますが・・・・


住宅みちしるべ


断熱材の施工は確認できません。




この部分は熱橋(ヒートブリッジ)となります。


その名の通り、熱のかけ橋です。




そして・・・・


冬期に外壁が冷やされ、表面の温度が露天温度


(結露する温度です)に達すると、外壁内側表面が結露を起こします。




結果としてカビが発生します!!





ですので、RC造の家に住まれている方で、


カビを確認された方は、注意が必要です。


原因は大きく分けて3つ・・・・





・結露によるもの(断熱材の施工不良)


・雨漏れによるもの


・換気不良によるもの(換気扇の容量不足も含む)




施工会社にカビが発生したと伝えると


『 ちゃんと換気してないからです 』


『 換気扇の容量を増やしましょう 』


とか言ってくるようですが・・・・




本当の原因は違う場所かもしれません。


そんな時は建築士にチェックしてもらいましょう。


軸組の緊結不良

こんにちわ。

今日は木造軸組に使用される金物の留め方が悪いという

欠陥住宅事例。

これは小屋裏の梁と梁の接合部。

金物は施工されていますが、釘で留めてあるだけです・・・・

本来はボルトで締める必要があります。


(住宅金融公庫仕様書(FLAT35))


住宅みちしるべ

梁がずれているのがわかりますでしょうか?


金物の重要性がよくわかる例です。




木造軸組工法において、接合部の強度の為には


金物は必要不可欠なものです。


金物の接合部の不良があると、


こんな症状が現れます。




『壁や天井のクロスの割れ』




注意してくださいね。

雨が漏れやすい形状??

欠陥住宅になりやすい形状??


そんな形状でしょうか??


こんな形状です。



住宅みちしるべ


この家は軒が短い(無い)事に気づかれましたか??


そう・・・


軒が無い(短い)家は雨漏れしやすいんです。




なぜか??


防水紙の廻り込みが確保できないからです。


簡単にいえば、防水上は最悪のデザインということ。





もしあなたの家が雨漏れになって


業者が良く言う一言・・・・



『 結露でしょう!! 』


『 なので、換気扇をつけておきましょう!! 』


『 コーキングですぐ直しましょう!! 』


『 木は生きていますから、動くんです!! 』




これに当てはまるような事を言われたら、


我々にご連絡を・・・・・・


http://www.j-michishirube.net/mail/form.html

擁壁の傾斜・強度不足による家の不同沈下(傾き)

本日は擁壁が傾いて、結果的に家も傾いたという


欠陥住宅事例です。




この写真をご覧いただきたいのですが、


擁壁(1m)の上にブロックが積まれて


その上に家が建っている事がわかります。



住宅みちしるべ

計画では擁壁の上の荷重にコンクリートブロック


2段分の重さは想定されていませんでした。




土というのは意外と重く、ブロック2段分でも


約700kg/㎡ぐらいになります。




不用意に基礎を作るときに出た土を捨てずに


敷地にばらまいたりすると、擁壁設計時に


想定していない力がかかり、傾くことがあります。


(擁壁が傾く以外にも、沈下、すべり、破壊等も生じる可能性があります。)




ちなみにこちらはこんな不具合も・・・・・


鉄筋ピッチが500mm・・・・


設計では250mmのはずが・・・


住宅みちしるべ

完全に強度不足です。





皆様も気をつけていただきたいのが、


下記写真にあるような亀裂です。


住宅みちしるべ


こんな亀裂は要注意!!


もしかすると擁壁に何かがあるかもしれません・・・・

建売住宅(条件付き土地)購入の注意事項

この頃さぼり気味でしたので


シリーズとして・・・・



今度は建売は建売でも


『条件付き土地』を購入して


指定の工務店で家を建てる方法


いわゆる『 売り建て』についてです。




これはまずは土地は売買契約で契約する。


それから不動産屋さんが指定する施工店


で建築するものです。




宅地建物取引業法第36条では


契約締結時期の制限というものが存在します。


これによると、建築確認済証が交付されるまでは


『売買契約』の締結ができないとなっています。




ということは、建物の建築確認済証がない状態で


建物を契約するため、契約は・・・・・




『請負契約』になります。


ご不安な方は聞いてみてください。




『当然、建物については請負契約


を締結するんですよね?』って




建売住宅購入時の注意 ~検査済証は必ず~

本日は世にも稀な事例・・・


とは言っても昔はよくあったらしいですが・・・・




建売住宅を購入する際に絶対に確認してほしいことがあります。


それは



『検査済証があるかどうか!?』




ということです。


検査済証とは建物が完成する前に、役所の検査に


合格した建物に交付される書類です。




もし検査済証をいかなる理由であれ出せないのなら、


断言してもいいです。




その住宅は100%欠陥住宅です。




なぜならば、役所の検査を受けることができない


法律違反(しかもすぐにわかる)があるからです。




ぜひぜひご注意ください。


絶対に契約してはいけません。