姉歯事件で行政の過失認める初判決
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「建築確認は、危険な建築物を出現させない最後のとりで」――。構造計算書偽造事件によって休業を余儀なくされたビジネスホテル「センターワンホテル半田」(愛知県半田市)が、総額約5億1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2月24日、名古屋地裁で下った。建築確認を下ろした愛知県と、開業指導した総合経営研究所(東京都千代田区、以下は総研)を訴えていた。
戸田久裁判長は、「建築物の安全性を確保するための注意義務を怠った」などとして、被告の愛知県と総研に連帯して約5700万円を支払うように命じた。姉歯秀次元一級建築士が関与した構造計算書偽造事件で、行政側の過失を認めた判決は初めて。
「専門家の常識に反する」と地裁
訴訟では、建築確認制度の趣旨や建築主事の審査対象の範囲などが争点となった。原告側は、「建築主事は適正に確認審査を行い、建築主に不測の損害を被らせないようにする注意義務を負うべきだ」などと主張。県側は、「建築主は、十分な能力を備えた建築士を選任する責任がある」などと反論していた。
判決では、建築主事の立場について、職務上、多数の設計の経験を蓄積でき、審査に関して建築士よりも適切な判断をなし得ると言及。審査範囲について、「建築専門家の常識に反するモデル化がされている場合には、少なくとも真意を設計者に確かめるべきだ」「専門家の間で通用する技術的基準に反する構造設計がされている場合も同様だ」と指摘した。
その上で建築主事の具体的な過失を検討。中廊下を介した2枚の耐力壁と扱うべきところを、中廊下を含めて1枚の耐力壁とモデル化した構造計算に関して、次のように指摘した。「建築専門家としての常識的判断に反し、明らかに不適切。構造計算への影響の大きさから見れば、実質的に建築基準関係規定に適合しないと判断すべきで、注意義務を怠った」。
さらに、1階のピロティ構造について、「一般的に危険と理解されているにもかかわらず、設計者に真意を確認するなど職務上の注意義務を怠った」として過失を認めた。
一方、総研については、「漫然と一体的に営業活動を行っている設計者を選定し、指導監督を怠った」などとし、不法行為責任を認定した。
ホテル側の損害については、「建て替えではなく、耐震補強によって対処し得た」として、補強工事相当額や休業損害額など約2億5300万円に限定。施工者が支払った弁済金などを差し引いて賠償額を決めた。
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建築確認をおろす事に関して一定の責任を認めた判決ですが、
今の今まで、なぜこのような判例が無かったのか不思議なくらいです。
建築確認とは、その設計が一般的に問題がないかどうかを「確認」することです。
なので、素人の建築主(住宅で言うと建て主)が問題ないかどうか分からない部分を
確認するわけですから、一定の責任を負う事も必要かと思います。
今まで、その責任が問われる事は無かったわけですから、これらの確認がその分
ズサンになる可能性は否定できません。
やはり、その「設計」が問題ないかどうかは「 第三者」のプロが見る必要があると
言う事になりそうです。