<前回のあらすじ>ジャズライブハウスにうってつけの物件を目にして、いざ契約しようとしたら先に申し込まれてしまった。それでも大天使ミカエルさんのお陰で、一発逆転。契約が流れて、こちらにチャンスが巡ってきたが・・・。
区の創業融資を受けるためには、先に契約金を振込み、創業の意志が固いことを示さなければならない決まりです。内見から数日、物件の契約金8ヵ月分を払い込むために、不動産に連絡入れました。
(この融資については後日、またお話します。)
すると、不動産から
「誠に申し訳ないのですが、この話はキャンセルになりました」
えっ??
あのにこやかにほほ笑む大家さんの顔を思い出し、信じられない言葉に呆然としました。
「今、なんて?」
悪夢を見ているのか??
「大家さんの方で、家族会議を開かれたそうで、音楽をやるお店には貸せないという結論になったそうです」
そんな…、いきなり…(T T)
だったらあの内見の時になぜ言わないのよぉ~(怒)
私の手からハラリと、書類が落ちた。。。ここ数日かけて出来上がった内装設計図面と、融資窓口と詰めていた試算表たち。これらは、今まさに、紙くずになろうとしている…。
「なんでそれをもっと早くに、行ってくれないんですか!! もう図面も出来上がり、試算表もやっとこさ作ったというのに!!融資の段取りまでつけていたんですよ。。。。!!」
不動産は平身低頭で謝るばかり。
「誠に申し訳ありません。ですが、大家さんの家族が反対されているそうで・・・」
「納得できません。きちんと理由が聞きたいので、ぜひ大家さんに会わせてください」
そうして翌日実現した面談の日。
不動産の事務所で待っていると、あの大家さんがやってきました。前回とは別人のように険しい顔をしている。。。多分、道ですれ違ったら、大家さんと気づかずに通り過ぎてしまうかもしれないくらい、顔が違う。。。
そして、その後ろについてきたのが、奥さんとおぼしき年配の女性と、娘さんでした。
三人はまるで阿修羅像のように、険しい顔立ちで事務所に入ってきました。三対一。。なんか不利。
「音楽というから、てっきりジャズ喫茶だと思ったんですよ。ライブハウスとは思わなかったので。。」
顔が怒っている。大家さんとしては、この二人にせっつかれ、家主としての威厳を示さなければならないのだろう。
しかし、ここに楽器を置きますという話もしているときに、しっかり横で相槌を打っていた大家さん。だったら、なぜあの時に確認しないのよぉ~!!わなわな・・
怒りたいのは、こっちの方だと思いながらも、冷静に事業内容を説明し、防音対策もしっかり考えるために内見をし、図面を起こしたということも説明。
それでも、三人の顔はほころばない・・。
「ですから、大家さんが住んでいるというので、防音はかなりしっかり考えました。なぜ、今の段階でそうしたお話がでてきたのですか?」
私は、単刀直入、本音を聞いてみました。
・・・すると、やっぱり。
あの『黒い家』だったのです。
その家の奥さんは、とても神経質な人で、少しでも気に入らないことがあるとすぐに大家さんのところに怒鳴りこんでくるらしいのです。
大家さん本人は、あまり関わりがなかったらしいのですが、もっぱら矢面に立つのは、奥さんで、その家の奥さんとは長年の確執があったようです。契約段階で初めてライブハウスと聞かされた奥さんは、トラブルは必須であると思い、娘さんと一緒に猛反対をしたというのが経緯でした。
あの閉めっぱなしの雨戸。どこか尋常でないオーラを漂わせている、あの雨戸。
やっぱりね。人の勘ってなんて凄いんだと半分冷静になりながら、半分は大家さん家族に同情している私。
多分、ここを食い下がって強引に二者の確執に入り込んでも、いい結果は得られないでしょう。
結局、泣く泣くその物件を断念。
これが最初の挫折でした。