逆転したパワハラ疑惑 | ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

25年以上1つの会社に健常者として勤務し、係長として人の上に立つようになった私が、
どのようにASD(自閉症スペクトラム)の特性と折り合いをつけて生活しているか、
その方法をお伝えしていきたいと思います。

ブログにお越しいただきありがとうございます^^

 

ASD(自閉症スペクトラム)当事者

女係長 鹿島じゅんです。

 

私の発達障害に関する診断結果

コチラです。

 

専門家でも見分けるのは難しいと言われる、

発達障害と愛着障害。

 

自分は本当は発達障害ではなく、

愛着障害なのではないかと思い振り返った、

私の愛着障害に関する生育歴

コチラです。

 

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この記事は前回の続きとなります。

まだ読まれていない方は、

よろしければこちらからお読みください↓


私は今では大分改善されたものの、

20〜40代中頃までは、

ASD自閉症スペクトラムの特性からか、

仕事に真面目で、

融通の利かない働き方をしていたため、

今年1月に転勤してきた営業所長からずっと、


「部下に対する指導が、

厳しいんじゃないの?」


と言われ続け、


「この人は何も現場のことが分かっていない」


と、

イラついていた時期がありました。


そのため、

うちの営業所の新人が匿名で、

本社にパワハラの被害を訴えた話を、

課長から聞かされた時、

その口ぶりから、


営業所長は、

私がパワハラを行ったと

思っている


と察し、

課長もそう考えているように感じました。


私は自分が、

パワハラを働いたとは思っていませんでしたが、

上司達の先入観から、

一方的に悪者にされてしまうことを防ぐためと、

部下Aがどれだけ、

仕事の手を抜いたりミスをしたりしているか、

上司に知らしめるために、


敢えて課長の前で指導する


方法を採ることで、

部下Aの働きぶりを知ってもらい、

私の指導は正当なものだと、

間接的に伝えることで、

自分の身を守ろうとしていました。


その行動を起こすことで、

私が期待していたのは、


私と部下Aのやり取りを、

(私が悪いという)先入観なく、

フラットな視点で見てもらう


ということだったのですが、

部下Aが自ら引き起こした事件により、

この私の行動は、

予想以上の成果をもたらしました。


私にそんな成果をもたらした、

部下Aが引き起こした事件が、

何だったかと言うと。


係長(私)と、

課長の承認が必要な、

本社への報告を未承認で行う


という行動をとっていたのです。


その部下Aの行動が露見したのは、

部下Aの回してきた書類の間違いを、

私が見つけたからでした。


パワハラ疑惑の話を受けて、

課長から指導方法を考えるように言われた私は、

部下Aが指示した通りに仕事をせず、

自分で勝手なアレンジをして、

そのせいで私に書類を回すのが遅くなり、

私が残業する羽目になっても、

あえて何も言わず、

部下Aのペースに合わせるようにしていました。


そのため部下Aの仕事はどんどん遅くなり、

その日も私は、

部下Aが退社時間後に回してきた、

報告期限の迫っていた、

本社への報告書類を確認するために、

残業をしていました。


そしてその書類に間違いを見つけた私は、

普段なら、

残業時間中に部下に仕事は振らないのですが、

その報告の期限が迫っていたことと、

勤務時間外に私に仕事を回してきたのは、

部下Aが先であり、

他の仕事をしていた部下Aも残っていたため、

私は部下Aを呼んで、


「これ、間違っているから修正して」


と部下Aに書類を返そうとしました。


けれど、

私に呼ばれて私の机の前まできた部下Aは、

なぜか頑なに、

私が差し出した書類を、

受け取ろうとしませんでした。


その書類は、

会社で使っているシステムに入力した内容を、

印刷した書類だったため、

修正するにはシステムの登録を、

変更する必要がありました。


私もそのシステムは使えない訳ではなく、

むしろ、

部下Aが仕事に慣れない5月までは、

私が肩代わりして、

入力を行なっていたシステムだったため、

私が修正しても良かったのですが、


パワハラを訴えたお陰で、

間違っても許される


などと、

誤った認識を持って欲しくなかったは私は、

自分の間違いを自分で修正してもらうために、

根気強く、

受け取ってもらえない書類を、

部下Aに差し出し続けました。


それでもなかなか受け取らない部下Aに対し、

私が、


「簡単に修正出来る内容でしょう?」


というと、

部下Aはなぜか、

とても申し訳無さそうな表情を浮かべて、

耳を近づけないと聞き取れない位の小さな声で、


「修正できません」


と言ってきたのです。


先ほども書いた通り、

部下Aが仕事に慣れるまで、

私が肩代わりして行っていた入力だったため、


「私もやっていたけど、簡単に修正出来たよ?」



と私が答えると、

部下Aは悲しそうな顔になって、

こう私に言ったのです。


「データを承認済みで確定させたため、

もう修正は出来ません」


私は部下Aの言葉に自分の耳を疑いました。


その時の部下Aの顔と声は、

まさにイジメられて怯えているような、

様相を呈していましたが、

その発言は、

自分の行動にあり得ないほどの自信を持った、

人間しか取れない行動だったからです。


要するに部下Aは、


係長(私)と課長の承認を受けてから、

データを確定させるのを面倒に感じたため、

自分の入力内容に間違いはないと判断し、

データを入力した時点で勝手に承認・確定させ、

本社へすでに報告してしまっていた


のです。


それは入社してからまだ4ヶ月目、

私から入力業務を引き継いでから、

まだ2ヶ月目の新人が勝手な判断で行うには、

あり得ないレベルの行動でした。


そして、その報告は、

一度確定してしまったら、

修正することは出来ないため、

くれぐれも課長や係長は、

気を付けて入力内容を点検するようにと、

つい先日、

本社から全国の支社や営業所に、

メールで注意喚起されていた報告だったのです。


「何で私と課長の承認も受けてないのに、

そんな勝手なことをしたの!」


さすがに感情が昂ぶって、

声を荒げてしまった私に対して返ってきたのは、

さらに耳を疑う言葉でした。


「だって係長、

このデータを確定させるのに、

係長や課長の承認が必要だって、

教えてくださらなかったから」


この部下Aの言葉に、

私の怒りは限界に達しました。


なぜなら、

部下Aが作成した書類は今まで全て、

私の点検を受けてから報告を行っていたし、


本社への報告期限に間に合わないから、

その書類を点検するために、

その日私が残業していることを部下Aは知っていた


からでした。


私や課長の承認が必要ない報告ならば、

私はその日、

残業などせずとも良かったのです。


私は部下Aの、

うなだれた悲しそうな顔をみながら、


よく、そんな被害者顔が出来るな


と思いました。


もし、状況を全く知らない他の部署の人が、

この様子を見ていたら、

私が部下Aをイジメていると、

受け取ったことでしょう。


私は部下Aの勝手な言い分に、

本当に怒りで手が震えるほどでしたが、

ここで感情に任せて叱っては、

部下Aが私にパワハラを受けたと主張する、

隙を作ってしまうと思い、

なるべく自分の心を冷静に保つように、

努めました。


そして、

自分はあくまで、

私と課長の承認が必要だと知らなかったと、

言い張る部下Aに対し、

自分の非を認めさせるために、

冷静な声で部下Aに対してこう言いました。


「他の報告は全部私の点検を受けて行ってるのに、

これだけ私の点検が要らないと思ったの?」


「つい先日、

この報告を行う際は修正が出来ないから、

課長係長は、

気をつけて入力内容を点検するようにって、

本社からメールきてたの見たよね?」


怒りに任せて声を出すのではなく、

怒りを抑えて淡々と言葉を発する私に対し、

言い訳出来なくなったのか、

部下Aはその後、

沈黙を守ったまま、

ただ俯いて立っているばかりでした。


嵐が過ぎ去るのを待っているかのような、

無言の部下Aと、

いつまでもこの状態を続けていても、

時間の無駄だと考えた私は、

幸いその日、

課長は会議でまだ営業所に残っていたため、


「この件は課長に報告して対処を考えます」


と部下Aに告げると、

部下Aに自分の席に戻るように伝えました。


部下Aはやはり小さな声で、


「はい」


と答えると、

自分の席に戻り、

私に呼ばれるまで行っていた仕事を再開しました。


その後、程なくして、

会議を終了して事務所に戻ってきた課長に対し、

私は神妙な面持ちで、


「課長、申し訳ありませんが、

今からお時間いただいてもよろしいでしょうか?」


と声をかけました。


私の只事ならない様子を感じた課長は、

今戻ってきた会議室が空いているから、

会議室で話そう、

ということになりました。


その時、

事務所に残っていたのは私と部下A、

そして課長の3人だけだったため、

私は課長と事務所を出ていく時に、


「私と課長の話は長くなると思うので、

帰る時は戸締りをしておいてください」


と部下Aに対して声をかけておきました。


これも、

私と課長が会議室から帰ってこなかったため、

帰宅することが出来なかったと、

部下Aに言わせないための配慮でした。


課長は部下Aが私に、

頻繁に指導されていることは知っていたけれど、

その内容はあまり知りませんでした。


それは、

今までの部下Aのミスや言動は、

課長まで話が上がるような大事になる前に、

私がフォローしていたからでした。


だから今までの部下Aのミスは、

課長に影響を与えることはありませんでしたが、


今回の件は課長の責任が問われる


内容となっていました。


そして課長は、

今回の件で自分が被害を被ることで、


私が頻繁に部下Aを指導しているのは、

パワハラではなく、

部下A側に問題があるから


なのだと認識してくれたようでした。


私と課長の話し合いは、

今回の間違った報告へのフォロー方法から、

今後の部下Aに対する、

仕事の指導方法の検討まで、

多岐に渡ったため、

結局、1時間を超える形となってしまいました。


私と課長が話し合いを終えて、

事務所に戻る時、


「遅くなったから、

部下Aは帰っているかもしれませんね」


と私が言うと、

課長は、


「自分が勝手なことをしたために、

上司達が話し合っているのに、

帰るのはおかしいでしょう」


と言っていたのですが、

事務所に戻ると、

案の定、部下Aは帰宅していました。


この行動にも課長は呆れたようでしたが、

私は普段の部下Aの行動をみていたので、

驚きはしませんでした。


部下Aは常に、

自分がラクする選択をする人間だったからです。


あまりに課長が唖然としていたため、


「まぁ、私なら、

自分のせいで上司が残っていたら、

帰れませんけどね」


とフォローすると、課長も、


「そうですよね、私も帰れません」


と言っていました。


次の日にも、

部下Aの方から、

自分が勝手に行ってミスした報告の件で、

私達を遅くまで残業させてしまったことに対し、

謝罪したり、

どのように修正するのか確認したりすることは、

ありませんでした。



この日の出来事が、きっかけとなり。


課長は部下Aの社会人としておかしい言動が、

目につくようになったようでした。


それに伴い、

私が部下Aにパワハラを働いているのではなく、

部下Aの仕事に対する意識や、

社会人としての考え方が甘えているために、

当たり前の指導でも、

パワハラと受け取られていることを、

課長に気付いてもらうことができ、

そのおかげで営業所長にも、

私がパワハラを働いている訳ではないと、

理解してもらえるようになりました。


部下Aの行った勝手な報告のフォローで、

私の仕事は増えてしまったものの。


結果的に、私は。


パワハラ係長から、

部下に苦労している係長


との、

当初の自分の望み以上の認識の変換を、

上司達に行ってもらうことが出来たのでした。