後継者
Dear Brian,
Do you remember Mark Twain's line I quoted some time ago: Mark Twain said that when we was 17 he was ashamed how little his father knew about anything. Later when he was 23 he was astonished to find out how much his father learned in those six years.
tata
一週間前タタがくれたメールだ。読んでから涙が頬を伝って、ぽたぽたとコートの襟に落ち始めた。余りにも的中したんだから、全く。
タタ、ママ、大好きだぜ。今まではごめんね。俺が日本に来るまで分からなかったが、タタとママが俺の唯一の両親だ。今まで育ててくれて、ありがとう。本当にありがとう。お陰で俺は18年間も生きてきて、こんなにいい人になることができたんだ。多少迷ったり失敗したりはするけど、俺は俺しかいられないし、この俺のほかに誰かになりたくない。昔は自分のことを誰かの所為にしたくてタタとママに色んな迷惑をかけてしまって、ごめん。でも、俺は頑張るよ。もっといい人になって、いつかきちんと親孝行する。俺は、タタとママの息子なんだから!
we’re 仲間だぜ
先週から電子辞書が行方不明になっていた。部屋のどこかで潜んでいるだろうかなと思っていたがわざわざ捜す暇がなくて、きっといつか現れてくるだろうと自分に言い聞かせながらついに一週間が経った。それは今年の1月、ロックフェラー支店の紀伊国屋で買ったもので、もう一年近くずっと使ってきたSEIKOの電子辞書だ。一年間もよく働き続けてくれたもので、そのような貴重なものを失くしてしまったと考えるとかなり凹んだが、いつか見つかるだろうという甘い妄想を抱え、正に自分らしい現実逃避の状態だった。ところが、今日学校の忘れ物取扱所に行ってみたらそこにあった。辞書のケースの特徴を説明した時それは青だと言ったが、実際にそのケースが青と黒の組み合わせで、どちらかというと黒のところの方が多いから、最初は取扱所の人がなかなか見つけてくれなかった。しかし黒のやつを見せてもらうようにしつこく頼んだら、その中にあったのは俺の愛しい辞書だった。自分のものだと証明する為にそれを一度手に取り、素早く操作するとメモリーに登録した難しい常用外の漢字のリストを表示させた。釦・捌・碧・攬・黎など、全部で19件だった。
操作は簡単だし、色々便利な機能がついているし、他の電子辞書と比べれば非常に小さくてよく「可愛い」と他の人に言って貰う、俺の愛しい電子辞書だ。もう一度俺のところに戻ってきて凄く嬉しい。ありがとう、辞書よ。
バナナbag
寝られるだけ寝ておき、9時半頃六本木へ出かけた。翌朝の5時半シフトが終わると、一旦家に戻って朝飯を食べておいた。日本語能力試験の受験会場となっていた拓殖大学に着いたところ、一つの怪我を除けば絶好調であった。それはバイト先でダーツ台のアップの時に、ボードに刺されていたダートのチップの破片でできた擦り傷で、掌の一つの皺に沿って皮膚がきれいに切られた。出血はしなかったが手を動かすたびちくちくする。そして試験が始まったら間もなく、緊張していないと何度も自分に言い聞かせながらも、手だけが汗でびしょびしょになり、鉛筆が握りづらくなった。掌を上げて見てみると、蛍光灯の光線が皺の窪みに溜まっていた汗に反射していたのが見えた。塩分に晒された傷口が放った新鮮な痛みと、その異様な輝きはとても印象的だった。
金髪
テストまで後26時間。
試験日に向かって生きてきた一年間は終わろうとしている。しかし明日の受験で、夢が叶う訳ではない。明日は、夢への第一歩だ、それ以下でも以上でもない。
覚悟はいいか?明日からペースをどんどん上げていくぜ。
二重螺旋
俺が初めて日本語能力試験と向き合ったのは今年の1月10日、11ヶ月前のことだ。冬期休暇でニューヨークの実家に帰っていた俺はあのテストに挑戦し、挫折した。苦汁を舐める思いをした俺は、それから4ヶ月にわたって受験勉強に取り組んだ。調子に乗ったり滅入り込んだりして、中途半端な勉強振りだったが、結局教授が行ってくださった模擬試験で79%を取得した。
あの時から7ヶ月、漸く実戦に立ち向かう時が来た。止まらない武者震いと、燃え上がる怒りは心から溢れ出ている。
俺の日本語は間違いだらけで、実際日本に来たら刺々しい口調で人を傷付けてばかりいる。文章も全く下手糞で、外国語の学者としては失格だ。
だがな、それでも俺は自分のことが好きだぜ。格好悪くても、ださくても、だらしなくても、馬鹿でも、駄目人間でも、何と言われても俺は徹底的な自信を持っている。転んだり、失敗したりはするが、その度に立ち上がる自分が大好きだ。