○○くん、そのマニュアル作ってよ。
仕事してたらよく聞く言葉です。ただ、聞くたびに「またか」とため息が出ることもしばしば。
依頼する側の言い分は、それがないと仕事ができないから、とのことなんですが本当にそうなんでしょうか?
私は、その言葉が技術者をダメにして、その仕事と責任から逃げるための口実に使われているような気がしてなりません。
わからない人がわかるためのマニュアル
例えば何かのシステムを構築して、それが保守・運用のフェーズに入った場合、そこで待ち受ける人たちは、しきりにこの言葉を使いたがります。
「僕たちはその領域がよくわからないんだ。マニュアルがあれば誰でもできるじゃない。だからマニュアルを作ってほしいね」
わからないのは確かにそうかもしれませんが、マニュアルを作ったからといってわかる範囲というのはしれてます。
それが渡されたから、わかったような気がしているだけで、マニュアル範囲外のことは結局何もできません。
そして、マニュアルを渡してもろくに読まれず、いざ必要になったときにページをめくって、ここがよくわからないと質問をされたりします。
であれば、仕様書や設計書レベルのものを渡して、後は自分たちで読み解いてというほうが、本人も努力してよい気がします。
そもそもマニュアルが絶対無いと動かせないほど難解なシステムというのは、まず無いはず。(あるならユーザーインターフェースがおかしい)
大抵のことはコツがあって、なんとなくこうであろうということがそのとおりに動くはずです。
結局、そのマニュアルを手に入れた安心感でそれ以降、何もしないエンジニアとなってしまうのであれば、マニュアルは作らないほうがよいのではないでしょうか。
マニュアルの例外処理
マニュアルで運用することでの問題の一つは、例外だと思ったりします。
マニュアルに含まれる内容というのは、範囲が限られます。
そして、必ずそこに載っていないことがおきたりします。
例外として扱われたことは、どこかにエスカレーションされて処理はされますが、そこでの対応には「マニュアルに載っていないから私たちでは対応できない」とか言うものになり、作る側も運用する側もギクシャクした関係が生まれます。
であれば、マニュアルなんてものを作らずに双方が協力して運用できるような柔軟な体制を作っておいたほうがよいのではないでしょうか。
お互いが情報を共有しあい、対応方針を決めてやっていく。
マニュアルに記載されているか否かの条件判定をするだけの人なんて必要ないですからね。
要はマニュアル人間を育たせないということ
結局マニュアルにばかり頼っている応用力のないエンジニアが育ってしまいます。
確かに新しく物事を覚える際にマニュアルがあったほうが便利です。
しかしそれに頼りすぎるのではなく、自発的に興味を持ち行動するためのエンジニアを育てるには、そういった誰でもわかるようなマニュアルを整備しましょうという環境ではなく、むしろ自分で調べて力をつけていきなさいという環境のほうが適していると感じます。
マニュアルを作ること自体がいけないというわけではありません。
マニュアルを作ることは、そのシステムのことをある程度知っていないといけませんから、作る人はそれなりの努力が必要になります。
問題はそのマニュアルの活かし方ではないかと。
それができたからといって、マニュアルに頼った体制をとり、誰もがそれを読んで同じレベルになりましょう、というのは、それ以外何もできない集団を作ることになりかねません。
保守や運用のやり方というのは、決して1つではないはずです。
その集団の中で、こういったやり方もあるよとレベルを上げていく習慣をつければ、マニュアルに頼らないエンジニアというのが育っていくのではないでしょうか。
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