ギークといえば、あることに没頭し、それに深く精通し、そして特定分野において強い影響力を持つ人といった意味があったりしますが、日常ではあまりこの言葉が使われる機会はありません。
よく使われるのは、このギークを意訳した(IT系の)オタクという言葉です。
しかし、その2つの言葉のニュアンスは少し違います。
というのも、ギークだといえるほどある分野に没頭し、精通し、強い影響力を持つ人なんてそうそういません。
いるのは、それを意訳した「オタク」の方です。
が、オタクも特定分野に没頭し、精通している点ではギークと近いものがあります。
いわばギーク予備軍(プチ・ギーク)のような感じ。
が、このプチ・ギークはギークほど社会的に影響力を与えなくとも、その企業内であったり、あるソーシャルにおいては強い影響力を持ったりします。
そして、扱いに難しいところがあったりはするものの、持ち前の高い集中力と好奇心は、そのベクトルを正しい方向に向けてあげることで、仕事でも高い能力を発揮してくれます。
そんなチームに一人はいてほしいプチ・ギークの育て方を書いてみたいと思います。
1. 得意分野の課題を与える
ギークはそれに精通する課題を与えると喜んで取り組んでくれます。
ギークは、少し変わっていてコントロールが難しい場合がありますが、特定の課題でそれをコントロールするとうまくいきます。
そして、自らその課題を解決するための方法というものを考え、ほんの少しの猶予で解決策に導いてくれたりします。
2. micromanageをしない
つまりは、突っ込んで細かくギークをコントロールしないという事です。
ギークは、大抵言わなくとも何らかの課題を解決するために自助自立をしています。
細かく管理をすることで、その反発を招く恐れがあるため、全体の方向性が正しければよしとして、細かな道筋をつけるのはあまりよい結果を招きません。
3. 情報を与える
ギークは、初めから様々な情報に精通しているわけではありません。
ある一つのことに没頭していると、その中から関連する情報を拾い、そして興味が拡大していくわけです。
なので、情報の収集能力が非常に長けているわけではありません。
情報を綱渡りするのがうまいだけです。
4. 余計な事をさせない
日本の階層社会では、右にならえのキャリアパスを描かせることが、人を育てると信じられている部分がありますが、それはギーク(もしくはギーク予備軍)を殺すことになります。
ギークにはギークのなすべき仕事があるわけなので、それをこなすことに注力させるべきです。
5. 褒めること
賞賛がギークにとってのエネルギー源となっていることはよく聞く話です。
ところがあまりギークを褒める環境は無かったりします。
何故そこまで?という冷ややかな目で見られたりもします。
確かに何故にそこまでということはしばしばあるものです。
しかし、ギークにとっては気づいたらそこにたどり着いただけの事であって、不思議なことではありません。
そんなギークの心を奪ってはいけません。
6. 権限を与える
ここまであげてきたことを実現させるには、ある程度の権限をギークが持っていないとできないでしょう。
障壁をクリアするための適切な権限を与えておくことで、ギークは自由に時間と手段を使うことが可能になり、最短の方法で最良の方法を導いてくれます。
7. ライバルを置く
切磋琢磨できる環境がよい緊張感を与えて、その人の能力をよりいっそう高めてくれます。
やはり自分ひとりだけががんばっていると思うような環境では、それ以上の努力をしようとは思わなくなるものです。
周りによきライバルがいることで、負けん気の強いギークはより強力な能力を身につけていくでしょう。
そして、ギークがギークを作るよいスパイラルができると思います。
ここにあげたすべてを与えれば誰もがそうなるわけではないと思います。
向いている人と向いていない人というのはやはりいるもので、自由に権限や時間を与えることでも、それをうまく使う人とそうではない人がもちろんいます。
ただ、ギークを育てるのはその人の生まれ持った素質だけでなく、その周りにある環境が何よりも重要な要素になることは間違いないと思います。