社内システム構築にデザイナーはいらないの? | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

Webサイトの解像度の基準が変わった? 」にて、社内システムの構築に際しては専任のデザイナーがいないと書きましたが、では社内システムの構築にデザイナーは必要ないのでしょうか。


答えはもちろんNOで、それを専門としてくれている人にきちんとデザインしてくれた方が全体感が統一されますし、専門としないプログラマーがわざわざそっちの方に気を使う必要も無いため、業務の効率も上がります。

しかし、私が勤める情報システム部門にはデザイナーの肩書きを持った人は存在しません。


デザイナーがいない場合、プログラマーが兼任してそれを行う事になりますが、システム全体の画面のレイアウトを予め統一して定めておかないと、個々のプログラマーが勝手に作り出すと全体として物凄く使い勝手の悪いシステムが出来上がってしまいます。

それをサービスとして展開しているものであれば、ユーザーはそれを使わずに他のサービスを使うと言う選択肢がとれますが、社内の場合は、それを使わざるを得ないという状況になります。

ですので、利用者は使い勝手が悪い事を我慢しながら使い続けなくてはなりません。

そういった状況は業務をサポートするシステムが返って足枷となる場合があります。


そもそも、プログラマーはシステムの設計・構築を行い、デザインに関与すべきではないと感じています。

デザインにはデザインをするうえでのやり方が存在し、それを専門とする人も存在するのであまり素人発想で取り組むべきものでもない。

デザイナーがプログラム開発の領域に踏み込まれるのが嫌なのと同じく、プログラマーもデザインの領域に必要無い限り踏み込まない方が良いと思います。

デザイナーが担当した方がよい業務領域については、下記のサイトが参考になります。


第11回 プログラマが知らない,デザイナーの苦労 @ITpro


社内システムのUIは、未だにインターネット黎明期に良く見かけられた、WordなどのドキュメントソフトをHTMLに変換しただけのようなものも存在します。

灰色を基調とし、ボタンをづらづらと並べただけのような物が多く、インターネット上の華やかなサービスととても同じ基盤上に成り立っているとは思えないようなものが存在します。

利用者の多くは、プライベートでもインターネットを利用し、そんな華やかなサービスを利用しているはずなのに何故に社内システムではそれを我慢して使っているのだろうかと疑問に思ったりもします。

確かに業務にそんな華やかさは必要ありませんし、重要な事は社内システムにリッチクライアントを導入する事ではなく、生産性を如何に高められるかと言う事に尽きるかと思いますが、インターネット上のサービスではAjaxやらFlashやらと操作性を意識したサービスがどんどん出てきている中、生産性を高めるアイデアの一環としてそのようなリッチクライアントを導入する事を検討してみても良いかとは感じるところです。


社内にデザイナーが存在しない理由としては、それを専門とすることの意義を認めてくれないことや、それを専門とする業務量が多くない事、デザインする事のコストを抑えたいという意識が上層部ではあると感じます。

まず、UI自体の重要性をあまり上が認識していないことですが、非常に使いづらいシステムがある事は分かっていても、システムの目的である機能を達成できているのであれば、操作性はさほど問題ではないという考えの人もいたりします。

または、操作性が悪いと言う事自体分かっていない。

つまり、システムなんてそんなものだと思ってしまっている。


また、専門のデザイナーを置くほど、それに集中した業務が存在しない事も確かです。

多くの社内システムは、構築が終わると保守フェーズに入り、そうなると機能の改修がメインになってきます。

構築フェーズでは必要なデザイナーも保守フェーズでは、さほど必要となる場面がありません。

その他にも、社内システムの一部では外部のエンタープライズ向けパッケージソフトウェアを導入するケースもあり、デザインそのものが必要ないケースもあります。


そんな理由から社内システムに専任のデザイナーをおくことが敬遠されがちなのではと思います。

もちろん全てがそうではなく、自社でポータルサイトを構築・運営しているようなところでは、そういった専任のデザイナーのポストを置いているところもあると聞きます。


社内システムにデザイナーが必要な理由は、一般的なサービスの場合と同じ意味を持ちますが、少なくとも社内の標準デザインというものを定義する役割を持つ人がいるほうが良いのは明らかです。

ウェブデザイン標準の必要性については、下記サイトが参考になります。


ウェブデザイン標準の必要性 @ usability


また、同サイトでもう一つ面白い記事が


ユーザビリティのROI、落ちてはいるがまだ十分に高い @ usability


ユーザビリティの改善でのビジネス指標の向上率は83%もあるとのこと。

この記事の中で、イントラネットの評価指数も同等の効果があると記載されているところをみると、ユーザビリティの改善効果というものの高さが伺えます。


ただこの辺も、社内システム部門のエンジニアの意識改革が必要になってくるのでしょうね。

エンタープライズ2.0の波によって、社内システムのあり方も変わってこようとしていますので、その辺りで旧態依然の考え方が改まる事を私は期待しているところですが・・・。