職場がオープンなWeb2.0を取り入れるのは必然か? @ ITmedia エンタープライズ
最近、この手の話題が多いですね。
インターネットの世界でのWeb2.0というキーワードにまつわる各種サービスが落ち着きをみせ、次の流行は企業内だと食指を動かそうとしているのでしょうか。
2.0と言う言葉は若干聞き飽きたところはありますし、エンタープライズ2.0ってそもそも何処が1.0だったんでしょうか・・・。
以前、「社内に押し寄せるWeb2.0の波 」にも書いたように、巷で流行っているようなWeb2.0系のサービスって企業内では昔からありました。
共有知を活かそう、構造化しようという試みは社内では当たり前にある考え方です。
仕事は人により成り立っているので、その人を活かす、その人の持っているノウハウを活用しようと言う考えはあってしかるべきで、昔からそのためのナレッジデータベース構築などあれやこれやの手によってそれを実現しようと試みてきたわけです。
しかしながら、現状の流行を見るとそれらが多くは失敗に終わった事は言うまでもありません。
なので、私自身はエンタープライズ2.0などと大それたお題をつけるのではなく、それがBlogやWikiなどシステムの呼称が変わったに過ぎないと感じています。
現に、Web1.0と今では呼ばれる時代から共有知を活かす試みが成功に終わった事例もあるわけです。
ただ、その共有知という点だけにスポットを当ててみてみると、今回は流れが逆な事があげられます。
インターネットとイントラネットの歴史を見てみると、インターネットが流行りだした95年ごろには既にインターネット上に散らばる無数の情報を取り次ぐ何かが必要だと言う事でYahooなどのポータルサイトが登場しだしました。
企業内では、98年ごろにようやくITが浸透しだし電子メールやグループウェアなどが導入されています。
さらに遅れること2年、今度はイントラネットに散らばるデータや、導入が相次いだ社内システムをどうにかするためにポータルの考えを社内に持ち込みだしました。EIPなんて言葉が流行しましたね。
その後に、ITバブルの崩壊もあり社内のIT投資は鈍化していきましたが、この頃(2002年頃)にひそかに流行を見せていたのがナレッジ系のシステムでした。
大部分で失敗に終わったであろうこれらの試みは、それから5年後にインターネットの世界でWeb2.0という言葉で再度脚光を浴びました。
社内から見た視点では、このように既にあった考えだったのにという感じで見えるわけです。
もちろん、その頃のシステムと今のものとでは全然違うと言うのはそうなんですが、根本にある考え方はどちらも共通しています。
AjaxやRSSなどの技術基盤が異なると言うだけで。
ナレッジDBなどのシステムが流行った頃は、今のように共有知を活かす事ができるオープン系のソフトウェアと言うものもほとんどありませんでしたので導入はベンダが構築したパッケージソフトウェアを導入する事になり、かなり敷居が高いものでした。
BlogやWikiのように手軽に導入するうえに、自由に情報を更新するというスタイルは当時ありませんでしたので高いパッケージを導入し、運用するためのルールをがっちりと決め、社員に研修を行いと言うかなり大掛かりなものでした。
ですので、下記の記事
「敷居の低さ」が企業の知を「カイゼン」する @ ITmedia エンタープライズ
のように、現状の流行のシステムの敷居の低さというのはメリットとしては理解できます。
一つ気になる点が、その敷居の低さというのが、企業内のお堅い風潮に合うかどうかという点。
そのお気軽さ故に情報が再び社内に氾濫する恐れがありますし、その玉石混合の状態から玉だけを取り出す手段を整備しなければなりません。
また、例えそれが石であっても磨けば玉に変わることもあり、ただそれを石だとはき捨てるのではなく、それら一つ一つの石を玉に変える為の方法を、知の共有でもたらす文化を根付かせる事も重要かと感じます。
エンタープライズ2.0という言葉自体は、そういった企業の柔軟な姿勢を伴って初めて定着できる言葉なのかもしれませんね。