けんかをしないケーキの分け方。
こんにちは。
数学学芸員のようじです。
今日はドラえもんの誕生日!!
ドラ焼きを12個買ってきて、ジャイアン、スネ夫、しずちゃん、のびた、ドラえもん、出来杉の6人で分けます。
しかし!
1つ落としてしまい、食べられるドラ焼きが11個に!!!
11個を6人で分けなければなりません。
まず1人に1つ渡します。
残りの5つを6人で分けるにはどうすればいいでしょうか?
5/6だから、5つのドラ焼きをすべて6等分して、その欠片を5つずつ??
それでは小さくなりすぎて、食べにくいですね。
どうすればできるだけ大きいサイズのまま食べられるでしょうか?
実は、このわけ方のヒントは古代エジプトにありました。
昔のエジプトでは、分数を異なる単位分数の和で表す表を作っていました。
(単位分数とは、1/2, 1/3, 1/4, 1/5…など、分子が1の分数のこと)
例えば、
3/4=1/2+1/4
4/5=1/2+1/5+1/10
という具合です。
ではドラえもんの話に戻りましょう。
5/6を異なる単位分数の和で分けてみると・・・
5/6=1/2+1/3
となります。
すなわち5つのドラ焼きのうち、3つを半分にして、2つを3分の1等分にすればいいのです。
そして、それぞれの欠片を1つずつ取ればOKです!
ケーキを切るときに困ったら、ぜひ古代エジプトの技を使ってみてくださいね。
<補足>
すべての有理数は、異なる単位分数の和で表せます。
自然数とは??
こんにちは。
数学学芸員のようじです。
少し休憩していましたので、文字を大きくしての登場です!
さて、前回まで無限のお話をしていました。
無限大(どんどん大きくなること)や無限小(どんどん小さくなること)は、イメージしにくいので高校数学などでは曖昧にされています。
また、日常で無限大について表現するときも我々は曖昧に話しますね。
例えば
「自然数とは、1,2,3・・・となるものだよ」
う~ん、「・・・」って一体なんでしょう???
曖昧です!
では、数学的に自然数とはどのように定義されているのでしょうか?
「・・・」など曖昧な言葉なしで定義できるのでしょうか?
それに成功したのが、ペアノという数学者です。
ペアノは、「自然数」「の後者」「0」を無定義用語(これ以上説明できないものとして、意味を考えずに使用する言葉のこと)として、5つの公理を示しました。
【公理1】
0は自然数である。
【公理2】
任意の自然数の後者は、自然数である。
【公理3】
自然数xの後者と自然数yの後者が一致しているなら、x=yである。
【公理4】
0はどの自然数の後者でもない。
【公理5】
ある性質が0に対しても成り立ち、その上、その性質を持つ任意の自然数の、その後者に対しても成立するなら、その性質はすべての自然数について成立する。
いかがでしょうか?
よくよくよ~く読んでみると、これらを満たすものを「自然数」と定義しましょうといっているのです。
公理1と公理2によって、
「0の後者も自然数」
と分かります。
それを1とでも名づけましょう。
1は自然数なので、1の後者も自然数となります。
それを2と名づけましょう。
・・・
と言うように、自然数が次々と決まってくるのです。
幼稚園から使っていた自然数。
しっかりと定義しようとすると、こんなにも複雑なのですね・・・。
無限・・・ その2
こんにちは。
数学学芸員のようじです。
このブログでは、知識人のための教養とした数学を紹介しています。
(が、内容にはかな~り偏りがあります!)
さて、無限大の続きです。
昔から数学において、無限大の扱いには困っていました。
とてもやっかいなものなので、慎重に扱わなければなりません。
例えば、数学のタブーである「0で割る」。
これは答えが無限大になってしまうので、注意が必要です。
このタブーを許してしまうと、色々な矛盾が生じてしまうのです。
しかし、高校数学で初めて「無限大」について学びますが、そこでは曖昧なことしか教えられません。
「nを無限大」と言われても、何がどうなのかよくわかりません。
高校数学教師はそこを心得ているので、うまいこと言ってなんとなく分かった気にさせてしまいます。
また「限りなく0に近づける」も曖昧ですね。
「限りなく」ってどれくらい!??
大学の数学ではε-δ論法というものによって、これらも厳密に定義づけされています。
高校数学の曖昧さが気になる方はぜひ数学科を受験・・・
う~ん、数学科をすすめることに抵抗が(^ ^A"
無限・・・ その1
こんにちは。
数学学芸員のようじです。
このブログは、知識人のための教養となる数学を紹介しています。
(しかし、教養としての数学とマニアとしての数学の境がどこなのか悩ましいところです・・・。)
今日は∞についてお話します。
∞とは、無限大を表す数学記号です。
この記号の由来はよくわかっていません。
(ローマ数字から導かれたとか、ウロボロスの形だとか・・・様々な説があります。)
我々が生活の中で体感するものはすべて「有限」ですので、無限について想像するのは難しいかもしれません。
例えばこんなことを想像してください。
「劫」という時間単位があります。
これは仏教に出てくる時間単位なのですが、
「天女が100年に一度舞い降りて、大きな岩を羽衣で一振りする。そして、岩がすっかり削り取られるまでにかかる時間」
とあります。
「億劫」とは、「劫」が億です。
これを想像するだけでも膨大な時間と感じますが、それでもまだ無限大には程遠いのです。
無限、無限と軽く口にしますが、その恐ろしさたるや・・・。
9801と超越数
こんにちは。
数学学芸員のようじです。
このブログは知識人の方が、教養として知っておきたい数学を紹介しています。
さて、9801の続きです。(まだ続いています…)
1/9801=で紹介した小数が、もし無限に続くならどうなるのでしょうか?
すなわち
0.123456789
10111213141516171819
20212223242526272829
30313233343536373839
・・・
と小数点以下に自然数が無限に続く小数を考えます。
この数はチャンパーノウン定数と呼ばれる定数で、超越数になります。
超越数、たくさんあることはわかっているのですが、具体的な数はまだ数パターンしか発見されていません。
1/81、1/9801、1/998001などはチャンパーノウン定数を近似した有理数(分数)といえます。
超越数がこんなすっきりした数で近似できるとは驚きですね!!!