数学美術館  -51ページ目

~靴を売るために靴を捨てる???~

こんにちは。

数学学芸員のようじです。




今日もゲーム理論についてです。



商品を売るために、商品を捨てるなんてことが起こりえるのでしょうか??



こんなお話があります。



あなたは靴職人です。

しかも左の靴しか作りません。

左の靴職人はあなただけです。


一方、右の靴職人は10人います。



靴は右と左がそろって初めて1万円で売れます。





あなたはいつものように10人の右靴職人と取引するために、10足の左の靴を作りました。


すると、右の靴職人はみんなしてこんなことを言い出しました。


「左の靴を100円で買おうじゃないか。お前も右の靴がなければ、売れないのだから100円でも売れないよりマシだろう!!!'`,、('∀`) '`,、」


右の靴職人はみんな結託しているのか、みんなみんな左の靴を買い叩こうとしています。

もうまさにハゲタカです!!!






さて、あなたはどうすればいいでしょうか??

(ちょっと考えてみてくださいね)
























答え)

10足の左の靴のうち、1つを捨てる(つぶす)。





10人の右の靴職人に対して、左の靴は9足。


「さ~、左の靴は9足だよ~。早く買わないともうけがなくなるよ~~~」


10人の右の靴職人は、もう我先に左の靴を買うしかありません!!!


しかもこの場合1万円ぎりぎりに値をつりあげても買ってくれることになります。






1つ捨てることによって、立場が逆転するのですね。


(こんなシーン、ライヤーゲームにありましたね。)

~1万円の価値は??~

こんにちは。

数学学芸員のようじです。




さてこんな競りに参加しましょう。


競売にかけられるのは普通の1万円です。




さて、この1万円。競売にかけるといくらで競り落とされるでしょうか?












答え)1万円




そうですね。1万円です。


某オークション番組のように

「では、この1万円。2円50銭からのスタートです」

と始まっても、


「5円( ゚∀゚)ノ」

「15円( ゚∀゚)ノ」

「100円( ゚∀゚)ノ」


と値段が上がっていき、最終的には1万円でストップします。













ではこんなルールを付け加えます。

1番高値をつけた人が1万円を競り落とせますが、そのとき2番目の値をつけた人はその値をペナルティとして払わなければならない。


この場合、あなたはどのような戦略で臨めばいいでしょうか???




















答え)

オークションに参加しない。




そうです。参加してはいけません。


もし参加してしまうと


「10円( ゚∀゚)」

「30円( ゚∀゚)ノ」


と言っているうちはまだいいですが、


「9990円」

「10000円」


となってもオークションは終わりません。


なぜなら2番手の人はペナルティを払わなければならなくなるからです!!


ですから2番手の人(9990円と言った人)はさらに

「10010円」


と値を吊り上げてくるでしょう。


すると、今度は10000円と言った人が

「10100円」


と値を上げなければなりません。





あとは永遠に同じことの繰り返しです。


ペナルティを払いたくないがためにペナルティがどんどんと大きく膨れ上がっていくのです・・・。





「2番手がペナルティを払う」という条件をつけただけで、ここまで変わってくるのですね。

~封筒交換ゲーム!!~

こんにちは。

数学学芸員のようじです。


今回のネタはセミナーで使用する可能性がありますので、アメンバ限定記事です。







さて、前回の問題をおさらいしましょう。


<封筒交換ゲーム>

・封筒には「1」「2」「4」のどれかが入っている。

・片方は片方の2倍である。

・お互いが交換を希望したら、交換できる。


さて、封筒の中に「2」が入っていた場合、


交換を希望したほうがいいのか?そうでないのか?



答え。

希望してはいけない





自分が「2」であることと、片方は片方の2倍であることから、相手は「1」か「4」と分かります。


ということは、相手が「4」ならば絶対に交換を希望してきません。

なぜなら一番大きな数字なのですから。


また逆に「1」なら必ず交換を希望してきます。





ということは、「相手が交換を希望する=相手の数字は1」、「相手が交換を希望しない=相手の数字は4」となります。


自分が交換を希望してしまうと、相手が1のときのみ成立してしまい、結局損することになります。


だから交換を希望してはいけないのです。







簡単なようで複雑なお話でした。



では更に難しいお話をします。








封筒の中身は「1」「2」「4」「8」「16」「32」・・・「2n」・・・

と無限に続く公比2の等比数列数であるとします。


あなたの封筒の中身は「2」でした。


さて交換を希望すべきでしょうか??







実はこれ、無限を扱うことによってパラドキシカルな話になります。






なぜなら、自分が「2」であるなら相手は「1」か「4」。


1×1/2+4×1/2=2.5


なので、交換したほうがいいと思われます。





さらに、相手は「4」だったとしましょう。


すると対戦者は「2」か「8」かです。


2×1/2+8×1/2=5


なので、交換したほうがいいと思われます。





どのような数字が入っていても、両者が交換に応じたほうがいいという不思議なことが起こります。


戦略としては「交換を希望する」ことが正しいでしょう。

しかし、不思議な状況になります。


無限を扱うと、簡単に不思議なことが起こるのですね。


<余談>

これはバブル崩壊と同じような現象です。

「永遠に値段が上がる」「永遠に価値が上昇する」と思っていると・・・・。


恐ろしいですね。

~封筒の交換ゲーム!~

こんにちは。

数学学芸員のようじです。


ゲーム理論はおもしろい話題ばかりです。

ビジネスにも使えそうな話題ばかりですし、何よりワクワクします。



今日ご紹介するのは「封筒の交換ゲーム」です。





あなたはゲームに参加します。対戦するのは、あなたとAさんです。


封筒が2つあり、自分の選んだ封筒に相手よりも大きい数字が入っていれば勝ちです。

そして封筒には「1」「2」「4」のどれかの数が入っています。


また、「片方にはもう片方の2倍の数が入っています。」と言われました。



「さぁ、自分の選んだ封筒を相手に見られないように見てください。

その結果、お互いが交換を希望すれば、交換できますよ。」







さて、あなたが封筒を覗くと「1」がありました。








ここで問題。


1)あなたは交換を希望したほうがいいでしょうか?

(制限時間5秒)










答え。YES。


そうですね。一番小さい数の1なのですから、希望することが絶対有利です。








さて、相手はどうでしょうか?


Aさんは封筒を覗くと「2」が入っていました。

「片方は片方の2倍」という条件から、相手の封筒には「1」か「4」が入っていることが分かります。


「1」の確率と「4」の確率は同じなので、1/2です。

ですから、期待値は


1×1/2+4×1/2=2.5


と自分の数字の「2」より大きくなります。






ここで問題。


2)ということは、Aさんも交換を希望したほうがいいのでしょうか?


①期待値が2より大きいので希望すべき。

②期待値とか関係なく希望すべきでない。

③どちらでも同じ。





答えは次回♪

(セミナーで扱うかもしれないネタなので、アメンバ限定とさせてください!ごめんなさい!)

~巧妙な言い返し~

こんにちは。

数学学芸員のようじです。





今日ご紹介するのはゲーム理論です。


ゲーム理論は、MBA(経営学修士)の教科でも出てきますので、興味のある方は多いのではないでしょうか?






ある兄弟が、ケーキの取り合いをしています。


お兄さんが先に大きいケーキを取りました。


弟「こんなの不公平だ!」


と弟がいいました。

それに対して、兄はこう聞きました。


兄「お前だったらどうする?」



弟は考えました。

もし「大きいほうをとった」といえば、「そうだろ?だから俺もそうした」と言われてしまいます。

だから、


弟「小さいほうを取るよ。」


と言いました。







さてこれを受けて兄は何と言うでしょうか?


















そうですね。


兄「じゃあお望みの小さいほうを取れたのだから、満足だろうよっ!!!」


と高らかに笑うでしょう・・・。






この交渉は、兄が「お前ならどうする?」と質問した時点で、問題が変わっているのです。

兄はうまく質問し返すことによって相手に両方とも不利な二択を選ばせたのです。



ルールを変えることによって、自分が不利な立場から一気に有利に持ち込めるかもしれない。

ゲーム理論はおもしろいですよ!










さて、これで終わっては弟がかわいそうですね。


みなさんならどうしますか?









そうですね。弟もルールを変えればいいのです。


弟「2つのケーキを両方とも半分にして、分けよう」


といえば、もしかしたら半分の量までは食べられるかもしれません。