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この方程式を暗算で解けるでしょうか!?【ペル方程式】

こんにちは。

数学学芸員のようじ こと 八田陽児です。


もうすぐ高校入試ですね。高校入試には必ずと言っていいほど、一次方程式や連立方程式の文章題が出題されます。文章を読みとって、自分で変数xやyを設定し、式を組み立てて、それを解かなければなりません。



さて、今回はこんな文章題をご用意しました。暗算で解けたらすごいですよ!ぜひ挑戦してみてくださいね!


【ノルマンの軍隊の問題】

正方形に並んだ兵士の軍隊が61あり、王様の命令のもと、王様を中心として並びなおすと、大きな正方形ができた。さて、全体で何人でしょう??


まずは、分からない数をxやyと置いてみます。

すなわち、最初の軍隊の正方形の一辺をy人、最後の正方形の一辺をx人と置くと


数学美術館 


と書くことができます。


この方程式を解けばいいのです。




文字数2つに式が1つ??解けないのでは???


はい。そうです。答えは無数にありそうですね。ですので、最小解を求めてください。




このような


数学美術館 

のような形をした方程式をペル方程式と呼びます。

(この方程式を研究していたのは、ジョン・ペルという数学者ではなかったのですが、オイラーが勘違いしてジョン・ペル氏が研究をしていると思い込み、ペル方程式と名付けたそうですが…。)


さて、上の問題解けましたか?


もし解けない場合は、別の問題として61を60や62として解いてみてください。これならまだ暗算で解けるかもしれません。


60と62の解が求まったら、61は60と62の間の数なので・・・




??( ゚∀゚



60と62の間だからと言って、解も間になるのでしょうか?


違います。



61のペル方程式の最小解は


x=1766319049

y=226153980


となります!


王様を含めた全兵力はなんと3119882982860264401人

(地球人だけでなく宇宙人もいれないといけません!)


暗算で解けた方はいらっしゃいましたでしょうか??



60と62は小さい数が解なのに、間の61はとてつもなく巨大な数が解になるのですね。不思議です。

61は60と62の間なんて全く関係ないのですね。


ちなみにこちら にペル方程式の最小解を求めるサイトがあります!

(Keisanというサイトです。)

大人になってから数学は遅い!?

こんにちは。

数学学芸員のようじ こと 八田陽児です。



長野での会社の同僚が、大人になってから某K文式学習を始め、1年間で小学生の分野から高校生の分野まで到達されました。その方がとっても素敵なことをおっしゃっていましたので、ご紹介しますね。


難しい問題でも、ヒントをフルに活用すればいつか解けると気付き、だんだんと答えが見えてくる楽しさを味わっています。与えられたヒントを使ってどうしたらいいのか、それを気づくことができて、何だかもつれた紐をほどいていくような。。。その時はなんとなく解いているのに、だんだんと中身が見えてくる!


今、人生で一番数学が楽しいよっ!!


ともおっしゃっていました。


大人から数学なんて遅すぎる…。そう思っていませんか??


そんなことは絶対にないと思います。


数学は人を苦しめるための学問ではありません。昔々の人は、数学を使って宇宙や大自然の真理を解き明かそうとしました。


数学は世の理を解き明かす学問であり、また、現代社会には必要不可欠なツールです。


金融、IT、テクノロジー、色々な分野に数学が使われています。



人は数学を好きになれるようになっている生き物だと思います。


ぜひ毛嫌いせずに数学の楽しさに触れて頂きたいものです。せっかくヒトとして生まれてきたのですから(^ ^)



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ありがとうございました!




○○と××と△△が同じ人がいる確率は!?【ハトの巣理論】

こんにちは。

数学学芸員のようじ こと 八田陽児です。



今年は寅年ですね。


みなさんは何年ですか?私はサル年です。



さて、今まったくランダムに選ばれた6人が集まりました。


6人が集まって、自分の干支について話しています。


干支は日本だと12種類。(別の国だと違う動物が入るようですね。)



さて問題です!


干支は12種類で6人集まるのだから、同じ干支の人がいる確率は1/2??



そしてさらに問題です!!


必ず同じ干支の人同士の組ができるためには何人集まればいいでしょう?

(当たり前といえば当たり前の答えですが…)





ここまではまだ当たり前のお話です。


ではこんな問題はどうでしょうか?



「日本には、同じ髪の毛の本数の人が少なくとも1組います。」


これって本当?ウソ?(数学で本当かウソかなんてわかるの!?)








干支の問題と髪の毛の問題、両方とも同じ数学の理論で説明できます。


その理論の名は・・・( ゚∀゚)ノ


ハトの巣理論(原理)


これはその名の通り、「ハトが巣に入る」理論(原理)なんです。(ほんとですって!)



ハトが10羽いる。ハトの巣が9箱ある。どのハトの巣にも、少なくとも1匹のハトが入る時、少なくとも1つの箱にはハトが2匹いる。


という理論(原理)なんですよ!!!

(よくよく読んでみたら当たり前に思える理論です。)





このハトの巣理論(ハトの巣原理ともいう)は、無限集合などにも使えるそうで、数え上げることができない集合などで威力を発揮するそうです。


私も大学時代、この原理を使った問題を習った気がしますが、どんな問題だったかは覚えていません・・・。


ハトの巣原理を使った、もっと素敵な問題がありましたら募集します(^ ^)

とてつもなく大きな数は???【グラハム数】

こんにちは。

数学学芸員のようじ こと 八田陽児です。


1googolplexplexplex・・・


よりも大きな数がグラハム数と呼ばれるものだとご紹介しました。


グラハム数とは一体どんな数なのでしょうか?

(ここでいう、plexplex…よりも大きな数というのは、plexをいくつつけてもなかなか追いつきそうにない、という意味であって、plexを無限につけていくと有限であるグラハム数よりかは大きくなるのは当然です。)



その前に、クヌースやアッカーマンが導入した矢印表記を示します。


x↑y



x↑y=xのy乗


と定義します。x^yという表記をご覧になった方もいらっしゃると思いますが、これはクヌース矢印表記の矢印が簡略化されたものなのです。


次に


x↑↑y



x↑x↑x↑・・・↑x (xがy個)


と定義します。


すなわち、x↑↑yを帰納的に以下のように定義します。


x↑↑1=x

x↑↑y=x↑(x↑↑(y-1))


具体的に例を挙げますと、



4↑↑24↑↑3、4↑↑4 はそれぞれ、


数学美術館 -4^4数学美術館 -4^4^4数学美術館 -4^4^4^4


となります。


4が2つ、3つ、4つ上についていく数になるのですね。



では更にクヌース数を帰納的に定義しますよ。↑↑↑は、以下のように定義します。


x↑↑↑1=x

x↑↑↑y=x↑↑(x↑↑↑(y-1))



例)

4↑↑↑2=4↑↑(4↑↑↑1)=4↑↑4


4↑↑4は上で示した数ですね。



4↑↑↑3=4↑↑(4↑↑↑2)=4↑↑(4↑↑4)・・・


これはいったいどうなるのでしょうか?

4↑↑(4↑↑4)とは、4の上に4が4↑↑4、すなわち、4の4の4の4乗乗乗乗こ連なるという数です。(もうすでに書ききれません)


4↑↑↑4でもう書けなくなってきました。。。。



一般的に、↑がn個あるものを「↑…(n個)…↑」=「↑n」と表記し、以下のように定義します。


数学美術館 -x^^^^1

数学美術館 -x^^^^y


さて、ここでやっとグラハム数を定義できます。

グラハム数とは、


数学美術館 -グラハム数

のことです。


どれくらい大きいかというと、もう説明もできないくらい大きいのですが、例のごとくWikipediaグラハム数 にしっかりと書いてありました!ぜひそちらもごらんくださいね。


グラハム数が、どの分野のどんなときに登場するのかはよく知りません。ぜひグラハム数について紹介している本がありましたら、ぜひ教えてくださいね!!


<参考文献>

数の本 J.H.コンウェイ

Wikipedia
















とてつもなく大きな数は??【Googleと数学】

こんにちは。

数学学芸員のようじ こと 八田陽児です。


さて、皆さんはGoogleをご存じかと思いますが、このGoogleの元になった数学用語はご存知でしょうか?



Googleは、グーゴル(googol)という数の単位をもじったものだそうです。



1920年、数学者エドワード・カスナーの甥っ子(9歳)が、黒板に


10000000・・・0000


と0を100個書いた野を見て、


「これは今までにない大きな数だ!!!」


と、感動したそうです。


そしてGoogolという名称をつけたそうです。(でもなんでGoogol?)



もし甥っ子さんが0をあと3つくらいおまけで書いていたら、10の103乗がgoogolになっていたのでしょうか?


Googleの由来は、googol.comにしようとしたらつづりを間違えてgoogle.comにしたからだとか・・・。(本当かどうかは知りません。)



今ではこのgoogolよりも大きな数はたくさんあります。


ちなみにグーゴルプレックス(googolplex)という数は
数学美術館 -googleplex

と書ける数です。


plexとは英語で「10の○乗」を表します。


例)threeplex=1000


ですので、googleplexは「10の1google乗」というわけです。




これを使えばどんどんと大きな数が作れますね。


1googolplexplexplexplex・・・


気が遠くなるほど大きな数が作れます。


でも、これをどれだけ続けても、それよりもまだまだ大きな数を人類は考え出しているのです。

(無限大ではなく、有限の範囲で、人類の考えている一番大きな自然数はグラハム数と呼ばれる数です。)


その他の大きな数:仏教用語からきた数グラハム数