以前、こちらの記事で1日3g以下の低塩分では心疾患リスクや死亡率が急激に上昇する。
ということを紹介しました。
塩分を控えすぎると、とあるストレスシステムが働くからです。
それが、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)です。
ざっくり説明すると、体内の塩分濃度が低くなると、血圧を上げるという体内システムです。
RAASの詳しい解説についてはこちらをご覧ください。
低塩分によって体内のレニンが慢性的に増加すると、
レニンが低い人や正常な人よりも心筋梗塞のリスクが7倍高くなりました。[1]
また、レニンとアルドステロンの慢性的な放出は、
インシュリン抵抗性[2][3]、インシュリン産生不足[4]、メタボリックシンドローム[5]、歩行障害[6]、腎臓機能低下[7]に関わることが指摘されています。
塩分やそこに含まれる塩化物は、消化と同化には必須です。
胃酸の材料や胆汁の材料[8]となるからです。
胃酸の分泌が減ると、腹部膨満感、にきび、腹鳴、消化不良、下痢などの症状が現れます。[9]
塩分不足が慢性的になると、副腎機能不全(アジソン病)となることがあり、
副腎がアルドステロンの産生に傾き、他のホルモンの産生が不十分となることがあります。[10][11]
これが副腎疲労(アドレナルファティーグ)と誤認されています。
副腎疲労は医学的には存在しない症状です。
また、低塩分で尿路結石のリスクも高くなります。[12]
現在の医学文献における塩分と血圧の関係は、高塩分で高血圧になるというのが圧倒的多数を占めます。
しかしながら一方で、今回紹介したような文献も多数あり、
塩分摂取は生物的にも歴史的にも長く、塩分の生理的作用が多岐にわたることから、
塩分に高血圧という負の作用があることは一貫していません。
そして、現代では塩といっても様々で、その多くが精製されています。
精製されてしまえば、身体に必要なマグネシウムなどの微量ミネラルが取り除かれてしまい、
純粋なナトリウムだけの固まりとなってしまいます。
それだけで済めば良いかも知れませんが、ここに精製塩が固まるのを防止するために、
フェロシアン化ナトリウム、クエン酸アンモニウム、ケイ酸アルミニウムなどの
固化防止剤が加えられていることもあります。(主に外国産の精製塩)
ケイ酸アルミニウムを薬にしたアドソルビン原末は、腎機能が低下した人は禁忌になっています。
また、近年では海洋汚染によって海塩にマイクロプラスチックの混入が確認されています。[13]
つまり、塩分と一言で言ったとしても、精製塩なのか天然塩なのか不明だし、
海塩であれば、汚染されている可能性もあるわけです。
当然ながら、結果も違ってくると考えられます。
これに加えて、現代食に特有の様々な食品添加物や不自然な調味料、人工甘味料、プーファの多用といった、
様々なものを考慮しなければならないはずです。
塩分の過剰摂取で高血圧になるというのは、一言では片付けられないと思います。
それよりも、低塩分で起こるリスクがあるのはどうしてか。
塩分感受性が高くなるのはどうしてなのか。
塩分以外の要因があるのではないかと、
考えること、追求することが本来の医学であり、多くの患者を救う道ではないのかなと、僕は思います。
【参考文献】
[1]Association of the Renin-Sodium Profile with the Risk of Myocardial Infarction in Patients with Hypertension
N Engl J Med . 1991 Apr 18;324(16):1098-104.
[2]Low-salt diet increases insulin resistance in healthy subjects
Clinical and Experimental. 2011;60(7):965-968.
[3]Salt intake and insulin sensitivity in healthy human volunteers
Clin Sci (Lond) . 2007 Aug;113(3):141-8.
[4] Dietary Sodium Restriction Decreases Insulin Secretion Without Affecting Insulin Sensitivity in Humans
J Clin Endocrinol Metab. 2014 Oct; 99(10): E1895–E1902.
[5]Dietary salt restriction increases plasma lipoprotein and inflammatory marker concentrations in hypertensive patients
Atherosclerosis. 2008;200:410–6.
[6] Mild chronic hyponatremia is associated with falls, unsteadiness, and attention deficits
Am J Med. 2006;119(1):71.e1-8.
[7] Association of plasma aldosterone with cardiovascular mortality in patients with low estimated GFR: the Ludwigshafen Risk and Cardiovascular Health (LURIC) Study
Am J Kidney Dis . 2011 Mar;57(3):403-14.
[8] The sodium and bicarbonate dependence of bile secretion in the guinea-pig
Comp Biochem Physiol A Comp Physiol . 1985;82(2):317-22.
[9]What Is Hypochlorhydria?
Medically Reviewed by Dan Brennan, MD on November 15, 2021
[10] Salt craving: A symptom of Addison's disease?
MAYO CLINIC.April 27,2022.
[11] Adrenal insufficiency
Lancet . 2021 Feb 13;397(10274):613-629.
[12] Changes in urinary stone risk factors in hypocitraturic calcium oxalate stone formers treated with dietary sodium supplementation
J Urol . 2009 Mar;181(3):1140-4.
[13]Microplastics in the Environment: Intake through the Food Web, Human Exposure and Toxicological Effects
Toxics. 2021 Sep; 9(9): 224.
食材や健康全般についてのご質問フォーム(無料)
記事について
すべての記事の内容は、日々学びを重ね、新しい発見や見地があれば更新しています。 各記事に内容に関しましては、より最新に近い記事をご覧ください。 よろしくお願い申し上げます。




