Sun 190929 ホラミロおじさん登場/日本の奇跡を様々な側面から/徳島大盛況(3876回) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 190929 ホラミロおじさん登場/日本の奇跡を様々な側面から/徳島大盛況(3876回)

 ホラミロおじさんとは、テレビでスポーツ観戦中に「ほーら、見ろ」「ほーら、見ろ」と自らの予言的中を自慢しまくるオジサンのことである。ワタクシと同世代のオジサマたちは、ほぼ全員がホラミロおじさんのカテゴリーに入る。

 

 彼らが最も登場しやすいのは、夏の夕暮れの高校野球中継、または秋の深まった日曜日のプロ野球日本シリーズである。

「ほらみろ、バントで2塁に送っただろ」

「ほらみろ、スクイズで『まず1点』だ」

「ほらみろ、やっぱり4番打者は敬遠だっただろ」

「ほらみろ、チェンジアップで三振を狙っただろ」

 

 21世紀に入ってからは、サッカーやラグビーにも出現するようになった。

「ほらみろ、逆転されたアイルランドはFWでゴリゴリ押してくるぞ」

「ほらみろ、ここはPGで3点狙いだ」

その他「別にアンタじゃなくても、ふつう誰でもそう考えます」というレベルの発言で、まるで自分だけが予言したかのように周囲を睨みつけながら悦にいる。

  (ついに徳島に到着した。3年ぶりの徳島である)

 

 9月26日、岩手 → 富山 → 大阪 → 徳島の長い長い出張の旅から無事に帰還した自称オデュッセウスの里芋おじさんは、早速「ほらみろ!!」を連発していた。「ほらみろ、アイルランド戦のフルバックは山中で的中だ」と言うのである。

 

 W杯初戦のロシア戦終盤で投入された山中は、「あわや独走トライか!?」というビッグゲインを連発。キックも大きく正確に伸びて好調さを見せつけた。

 

「こりゃアイルランド戦に先発して、期待以上の大活躍をするんじゃないか」。小学3年からの長いラグビー観戦歴を誇るホラミロ今井は、早い段階で山中先発を予言。先発メンバーが発表されるや「ホラミロ!!」「ホラミロ!!」を連発して周囲をウンザリさせた。

 

 こういう場合、どうしても活躍してもらわなければ困る。というか「ホラミロ!!」の落とし所がなくなる。ワタクシは長身188cmのフルバック山中の活躍ばかりを念じて、2019年9月28日午後4時、ニャゴロワとともにテレビの前に陣取った。

 

 諸君、マスコミの人々は最初の失トライのシーンを示しつつ、「日本のフルバックが相手キックパスにうまく対応できなかったことが原因」と厳しく分析なさるかもしれない。

 

 しかし今井ホラミロの意見では、山中選手は素晴らしい活躍を見せた。中でも前半9分20秒、自陣ゴールライン内側からのロングキックは、ハーフウェイを越える大きな伸びを見せ、大ピンチからたったひと蹴りでジャパンを救ったのである。

 

 そして諸君、これはあくまでNHKの中継に限る話であるが、歴史的大勝利の直後、画面を占領したのは、飛び跳ねて全身で歓喜を表現する山中選手の姿だった。

 

 むかし今井の「C組」「B組」「A組」を受講した医学部志望の秀才♡福岡、松島や姫野やリーチの大活躍もさることながら、長く不遇に苦しんだ山中がこんなふうにクローズアップされるのも、やっぱり今井ホラミロは嬉しかった。

        (徳島200名の大盛況 1)

 

 いやはや、リーチ選手が画面に大映しになるたび、ニャゴロワが「ウニャウニャ、これって、アナタじゃあーりませんか?」と、真剣な目つきで今井君を見上げるのであった。

 

「すげーeasyじゃん」と感じる真ん中からのPGを、SO田村が2回も大きく外したのも、大勝利してみればまあ「ご愛嬌」。「2本とも右に大きく外れた」ということを、次戦に向けての修正材料にすれば、サモア&スコットランド撃破に向けて、むしろプラスに働くんじゃないか。

 

 終盤に狙ったドロップゴールの外れ方も、DG史上マレにみるほどの大きな外れ方で、これまた「ご愛嬌&ご愛嬌」。たとえ「DGがタッチキックになっちゃった」なんてことになっても、それもまた素晴らしいじゃないか。

 

 というか、「相手の武器にはDGもある」と意識させることは、相手守備を前がかりにさせる効果があるのだ。「ある程度リードしたら、グッと引いて安全な守備に専念」という作戦を取られた場合、その守備を切り崩すのは困難だ。

 

 しかし「あんまり引いていると、日本はDGで来るぞ」の意識が相手にあれば、極端に引いてばかりはいられない。だから昨日の田村がDGを選択したのは、次のサモア戦&スコットランド戦、さらに決勝トーナメントに向けて、十分に効き目を発揮するパフォーマンスだったと信じる。

        (徳島200名の大盛況 2)

 

 そしておそらくラグビー系ホラミロおじさまたちは、SHのプレーを熱く論じているのである。先発した流選手より、後半15分に登場した田中選手のほうが、圧倒的にパフォーマンスが優れているように見えたのだ。

 

「ホラミロ、ジャパンには流より日和佐を選ぶべきだったろ」

「ホラミロ、田中を先発させた方がいいじゃないか」

「ホラミロ、流はテンポが悪い。パス出しが遅い」

きっと今ごろビール片手のホラミロおじさん集団が、串カツ田中あたりに集まって、SH談義に興じていらっしゃる。

 

 確かに諸君、前半20分過ぎから後半にかけて、圧倒的優位に立ちながら決め手を欠いていたジャパンが、SHを交代させたのは後半15分。一気にテンポが上がって、交代のわずか3分後に福岡の逆転トライが生まれる。こりゃ「田中先発論」が出て当然だ。

 

 しかし、考えてもみたまえ。「テンポアップ」という概念には、前半から中盤にかけてのゆったりしたペースが不可欠だ。相手選手がバテて走れなくなったあたりを見計らって、一気にペースを上げる。

 

 流選手が55分までゲームをマネージしたからこそ、55分すぎからのテンポアップが有効なのだ。アイルランド選手たちは、前半30分ごろから明らかに蒸し暑さに負けていた。屈強なFW1列と2列の選手たちの顔を、録画で見直してみたまえ。前半30分過ぎ、すでに真っ赤に紅潮して湯気をあげていた。

 

 それを後半15分まで引っ張って&引っ張って、「もはや走り続けることもイヤ」という段階でSHが交代。一気にテンポを上げ、逆転トライを奪う。その意味でワタクシは「先発SHは流選手で」という主張に組するのである。

 

 クラシック音楽ファンなら誰でも、「ショスタの5番」の話を入門編として知っている。ショスタコビッチ交響曲5番「革命」第4楽章であるが、ムラヴィンスキー指揮のマコトに悠然とした演奏と、バーンスタイン指揮の驚くべき急テンポの演奏は、入門者でも唖然とするほどの好対照を示す。

 

 日本ラグビーのテンポアップは、ムラヴィンスキーからバースタインにバトンタッチするみたいなものかもしれない。第3楽章までムラヴィンスキー、第4楽章になっていきなりバーンスタイン。「こりゃとてもついていけません」と、誰でも呆然とするはずだ。

(徳島の祝勝会は、居酒屋「とくさん」。店員さんの対応が素晴らしかった)

 

 さて諸君、昨日のラグビーは「NHKラジオ第一」でも中継していたのをご存じだろうか。両チーム入り乱れて30人、ありとあらゆるところに難しい反則が潜んでいる複雑なあのゲームを、ラジオで中継する凄まじさを、ぜひ考えてみていただきたい。その困難は想像を絶するものがある。

 

 今井君は大学学部時代、「テレビを買うまい」と決意した男だから、ラグビーもお相撲も昔は全てラジオ中継で聞きまくった。大好きだった早稲田 vs 慶応も、早稲田 vs 明治も、早稲田 vs 同志社も、みんな激烈なラジオ中継で理解したのである。

 

 お相撲のラジオ中継は今でもやっている。どの取り組みも「ガーンと当たった、突っ張った、突っ張った」までしか聞こえない。後は場内の大歓声に押されて「ワアーッ、ワアーッ、ワアーッ!!」以外は何も聞こえないのである。

 

 だから次のジャパン vs サモア戦で、ぜひ諸君、ラジオ中継を体験していただきたい。テレビ中継は、あとから再放送やビデオやNHKオンデマンドでたっぷり復習できる。ちなみにアイルランド戦、ワタクシは映像を3回も復習した。

 

 だから、豊原謙二郎アナの素晴らしい中継も、ほぼ暗記してしまった。「英語4技能」と同じことであって、諸君、深い愛情をもって徹底的に聞きまくれば、あっという間に頭に染み込んでしまう。

 

 2015年南アフリカ戦ラストの「行けぇ!! 行けぇ!!」の絶叫も凄かったが、今回の「もうこれは、奇跡とは言わせない!!」も長く語り継がれることになるだろう。

 

 豊原アナは、すでに前日の「NHKスペシャル」でも、日本ラグビーを徹底取材した番組の最後を強烈な「行けぇ!!」の一言で締めくくっている。4年前の南アフリカ戦を、自ら引き継いだ巧みな構成だった。

 

 神奈川県立湘南高校時代はラグビー部のキャプテン。フランカーとしてチームを神奈川県大会ベスト8に導いた。神奈川には、かつては花園で準優勝2回の相模台工があり、今も桐蔭学園や慶応など強豪がひしめいている。その神奈川でベスト8の実績があるなら、そりゃ実況も見事なはずだ。

 

 8712月、伝説の「雪の早明戦」を中学生として観戦。その熱戦に憧れて早稲田大学に進学。うーん、まさに全身でラグビーを愛していらっしゃる。サモア戦、スコットランド戦、さらに決勝トーナメントでも、ぜひ絶品の実況を担当していただきたい。

 

 特に素晴らしいのは、感動の場面の直後の沈黙だ。民放の皆様は、サッカーでもバレーでも沈黙は一切ありえない。どこまでも喋り続けてうるさいから、今井君なんかは音声をMuteにして静寂を楽しむことにしている。

 

 NHKから国民を守らなければならないと考える人も少なくないらしいが、ワタクシはむしろ民放から沈黙と静寂を守りたい。

 

 2015年の南アフリカ戦でも、2018年夏の甲子園「金足農 vs 近江高校」の2ランスクイズ直後も、NHKの実況アナは数十秒の沈黙を守って、深い静寂の中の感激を味わわせてくれた。

(徳島「とくさん」の「刺身いいとこどり」。おいしゅーございました)

 

 今回の奇跡の中で最も感動的なのは、実は超満員のスタジアムではないだろうか。ジャパン以外の試合でも、どのスタジアムにも空席は見られない。普段のラグビー人気を考えると、ここまで人気が沸騰しているのはオールドファンとして信じがたい思いである。

 

 しかも、そのマナーはまさに「ミラクル」の一語に尽きる模範的なもの。実はワタクシは心配していたのだ。相手へのブーイング、レフェリーへのブーイング、トランペットその他の鳴り物の登場、相手PG時の「はずせ」「はずせ」コール。他の競技ならありがちなそういう風景が、ラグビーで展開されたら台無しじゃないか。

 

 しかし実際に大会が始まってみると、どこの会場もこれ以上考えられないほどの模範的な観戦ぶり。海外のメディアでも驚きの声が上がっているそうだ。

 

 確かにスタジアムを観察してみると、年齢層はマコトに高い。40歳代・50歳代・60歳代。20世紀終盤のラグビーブーム時代に育った世代だから、観戦マナーを熟知しているのかもしれない。

 

 しかし諸君、まさに「文句ナシ」だ。相手チームの国歌も、歌詞カードを見ながら熱く合唱する。好プレーには敵も味方もなく熱い拍手が湧き上がる。こりゃいいや。これなら、オリンピックも大いに楽しみになってきた。

 

 なお、2015年南アフリカ戦の奇跡など、今井がラグビー関連でブログに書き綴ってきた記事から、いくつかを抜粋して以下に示しておく。秋の日曜の長い夜を持て余している諸君は、是非クリックして読んでみてくれたまえ。

 

Thu 150827 ほらみろ、日本は勝った 歴史的大勝利に涙する 熊本は早朝からお祭りだ

Wed 150916 ホラミロオジサン 咀嚼なしの嚥下 鶏の丸焼き(また夏マルセイユ23)

Sat 150829 どうかい&どうかい 熊本の仕事で高揚する 福岡の福岡高の福岡君

Wed 101006 呼び起こされる記憶 今泉清と「いーち、にー、さーん、しー、ごー!!!」

Fri 160205 西田善夫アナの思い出 ラグビー・バレー・高校野球 梅が丘で梅をめでる

Tue 150901 前がかりになりすぎ 自ら背後のスペースで守備を攪乱する DGでもいい

 

 (徳島駅前風景。そごうの向こうが「眉山」である)

 

 こうして今井君は、長い出張もラグビーのことを考えればちっとも苦しくない。25日、大阪から岡山経由で徳島へ。特急「うずしお」は、宇多津で進行方向が逆になり、高松で再び進行方向が変わる。ヨーロッパの列車よろしく「どっちが前なの?」という不思議な運行の末に、13時すぎの徳島に到着した。

 

 宿泊は、徳島駅前「ホテルクレメント」。「チェックインは14時ですが、1000円の追加料金を払えば、今すぐ部屋に入れます」と、何だか意地悪なフロントのコトバに苛立ったが、まあ1000円のことだ、グッと我慢して1時間の平安を獲得した。

 

 徳島の公開授業は、出席者200名で超満員。高2・高1を中心に、中3・中2・中1の諸君まで出席して、サトイモどんの熱い講義に90分、一人たりとも居眠りすることなく、大爆笑を繰り返しながら耳を傾けた。ホテルが少しぐらい意地悪でも、生徒諸君さえこんなに熱心なら、ワタクシとしてこれ以上の満足はないのである。

 

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