Sat 181208 本当に医者になりたいの?/カネと安定の論旨/秋田が大活躍の1年 3767回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 181208 本当に医者になりたいの?/カネと安定の論旨/秋田が大活躍の1年 3767回

 5年も10年も昔に書いた記事が、いきなりその日のアクセス数のトップに来ることがよくある。どういうわけだか先月から、「Wed 081203 現代文の授業を切るな 「読み方は一つだけ」と決め込むな」というタイトル記事が人気で、これ1本だけで1週間に1000アクセスとか、なかなかの賑わいになっている。

 

 この時期になると、もう1つぐいぐい順位の上がってくるのが

Fri 081010 赤本には間違いが多いという噂で悩むな 過去問の正解で右往左往するな

 Tue 081118 入試直後に答え合わせをするな/試験後に群れて帰るな

の2本であって、特に前者は「赤本 間違い」でググって見ると必ずトップで登場する。

    (秋田駅に出現した世界文化遺産ナマハゲの勇姿)

 

 ま、その気持ちはマコトによく理解できるので、予備校のテキストとか授業ではあんなによく理解できていたのに、「いざ過去問にチャレンジ」という段になるとさっぱり解けない。

 

 制限時間で半分しか解けず、しかも採点して見ると正解率は4割以下。そりゃ楕円男 → サトイモ大魔王にでもすがりつくしかないだろう。普通の受験生で、過去問をやってみて愕然とするのはむしろ健全なのだが、その辺の理由についても、ぜひ今井の昔の記事をいろいろ読み返してくれたまえ。

   (秋田駅前のなまはげちゃん。可愛いじゃないか)

 

 医学部志望でずっと頑張ってきたのに、この時期になると「ホントに医学部でいいんだろうか」と悩み始め、勉強に手がつかなくなる人も少なくない。

 

 そりゃ新聞や雑誌やテレビであんなに煽られ、「今は東京大学より医学部が人気です」みたいな記事をたっぷり読まされれば、理系の優秀な高校生は深く考えもせずにひたすら医学部、医学部以外は大学の名に値しないような錯覚に陥ったりするかもしれない。

 

 しかも雑誌記事の論旨はマコトに情けない。

「不安定な世の中、先の見えない将来に不安を感じた若者たちが、確実に高収入が得られ、世間の尊敬も集まる医師を目指すのは当然です」

「これからも医学部人気は衰えないでしょう」

とおっしゃるのである。

 

 そういう記事の論法はだいたいどれも同じで、まずは「東大より医学部がトレンディ」と結論を書き、その上でPretty塾かどうすんだい?(おなじみの仮名でございます)の部長クラスの発言を引用する。

 

 最後に具体例として、有名〇〇高校のAさんとか、国立大医学部2回生のB君とかの証言がくっつくのも、その種の記事の共通点だ。何人かインタビューした中で、最初から決まっていた結論に導くのに都合のいい発言だけをピックアップして掲載する。

  (秋田犬の1年でもあった。秋田空港「ハチ公」の勇姿)

 

 あんなにマジメなSunRise新聞でもEveryDay新聞でも(仮名でございます)、この論法と論旨は同じである。先にあった結論からみて都合の悪いインタビューや発言は、意地でも掲載してもらえない。

 

 だから「いや、ワタシは医学部より京都大学理学部を選びます」「東大理科1類で基礎研究に励みたいです」なんてのは、こういう記事に限っては全く存在しなかったことになっちゃうわけだ。

 

 今井君みたいな予備校講師が、もっと都合の悪い発言をしても、無視というか黙殺というか、一切かまってもらえない。「もっとかまってよ」「もっとかまってよ」と里芋ゴロゴロ転がって、「お池にはまってさあたいへん」みたいに甘えてみても、メディアは少しも顧みない。

(秋田駅前のクリスマスツリー。秋田犬がトナカイ役を任せられている)

 

 ボクは、すでに何度か書いてきたように、21世紀の優秀な若者たちがこぞって医学部を目指す理由は、決して「カネ」「安定」「世間体」なんかではないと確信するのだ。

 

 だから、この種の雑誌記事を読んでいると、嫌悪感が先に立つ。というか「虫唾が走る」。若者諸君、マスメディアのご意見に任せておくと、諸君のマジメで純粋な気持ちは、すべて「カネ」と「安定した高収入を保証された将来」に集約されてしまうのだ。

 

 地域貢献がしたい、国際貢献がしたい、苦しんでいる人々を救いたい。たとえ苦しくても自らを犠牲にして身を粉にして働きたい。いくらマジメに若者がそう訴えても、「違うでしょ、要するに将来が不安なんでしょ」「結局オカネと安定と世間体でしょ」と、ニヤリと笑ってオシマイにされてしまう。

 

 そういう時代が、すでに20年も30年も続いてきた。「東大より医学部です」から、最近は「東大京大より医学部医学科です」の表現に変わり、医学部保健学科とか医学部看護学科をご丁寧に対象から外すイヤらしい努力までなさる。

 (秋田のオシャレな居酒屋でハタハタの塩焼きを注文する)

 

 ワタクシはすでに10年前、「医師になりたくないなら、安易に医学部を志望するな」という記事を書いた。ご丁寧に3回に分けて連載した。

Fri 081226 医師になりたくないなら、安易に医学部を志望するな(1/3)
Sat 081227 医師になりたくないなら、安易に医学部を志望するな(2/3)
Sun 081228 医師になりたくないなら、安易に医学部を志望するな(3/3)

 

 この3本ともたいへんな人気であって、12月から2月にかけて驚くべきアクセス数になる。センター試験の直後にググッとトップのほうに上昇してきて、今日まで書いた合計3800本の記事の中で、トップ20にランクインしたりする。「高輪ゲートウェイ」とは雲泥の差でござるね。

 

 やっぱり青年諸君は、悩みに悩んでいるのである。ホントに医者になりたいのか? 他にやりたいことがあって、理学部にも工学部にも農学部にも惹かれているのに、いつの間にかメディアに流されて、こうして医学部志望のままで受験直前になっちゃったんじゃないのか。

 (こんなオシャレな居酒屋、昔の秋田には1軒もなかった)

 

 そこへ諸君、SunRise新聞系のオピニオン雑誌で、いきなり「医者じゃ儲からない? 工学系が人気」という趣旨の記事が出た。あれだけ「東大より医学部」と30年も煽り続けて、いきなり「医者じゃもう儲からない時代」「だからAI系の工学部が人気」とおっしゃるのである。

 

 お馴染み、まずPrettyちゃんやどうすんだい?あたりの部長クラスの発言が登場。「頑張って医学部に進学しても、最近は他の学部に転学する学生がいるようです」とトレンドを明かす。東大理科3類に合格したのに、あえて工学部へ進学した学生の例が上がる。

 

 そしてこれも超お馴染み、医学部を辞めた学生が具体例として登場する。大阪医科大学に通っていたが、東京大学の理科1類だったか2類だったかに入学し直しただ男子学生が、「将来の不安な医師の道」を捨てた自らの選択を誇らしげに語るわけだ。

(秋田名物・ギバサ。海藻の一種であるが、納豆みたいに力一杯かき混ぜて、目いっぱいねばねばさせてから、ジュルジュルすすり上げるのが正しい食し方である)

 

 どうしても諸君、マスメディアの人々は青年の選択を「カネ」「安定」「出世」で把握したいようなのだ。それが最優先で、「やりたいことが他にあった」というのは余計な背景としか考えてもらえない。下手をすれば「後づけ」の扱いをされてしまう。

 

 おっと危ない、今井君はあまりの怒りと苛立ちに耐えきれず、思わず「こんな人たち」とシンゾー流の発言をしてしまいそうになった。いかんいかん。そうじゃない。コロコロ里芋君は、「やりたいことをやりたい」という青年たちの純粋でマジメな夢と選択を、カネと安定だけに還元してほしくないだけなのだ。

(ハタハタ。2尾ずつじゃ面倒なので、一気に3人前、6尾を焼いてくれとワガママを言ってみた)

 

 こういうわけで諸君、せっかく故郷・秋田を気持ちよく旅していたというのに、ふとネットでニュースなんかを読んじゃったおかげで、大いに気分を悪くした。

 

 こういう時はやっぱりメシであり、今井君はオトナだからメシにはお酒もつきものだ。ワタクシが秋田高校に通っていた頃には影も形もなかったたいへんお洒落な秋田料理屋を、秋田駅西口に発見した。

 

「むげん堂」。おお、外も中も目いっぱいお洒落であって、「これがあの秋田かいな」と、信じがたい気持ちである。大きなテーブルに案内されて、さっそく「ハタハタの塩焼き」と話題の「ギバサ」、昔から大好きな「酒は天下の 太平山」を、とりあえず2合注文した。

 

 店員のオネーサマも、ちっとも訛っていないのである。まだ午後5時だったから、他の酔っ払いはほとんどいないが、隣の隣のテーブルのオジサマ2名も、訛りの「な」の字もない都会人。どうやら大学の教員であるらしい。

 

 諸君、2018年は最初から最後まで、来る日も来る日も秋田が大活躍した年だった。早春の秋田犬の大活躍は、夏の金足農業の大躍進に引き継がれ、締めくくりにナマハゲどんが世界遺産に登録された。秋田人の面目躍如であって、今井君もマコトにおめでたい。

(今井にかかると、ハタハタはあっという間にこんな残骸になる)

 

 秋田駅前のクリスマスツリーでも、トナカイ役は秋田犬の諸君である。トナカイのツノをつけた秋田犬のぬいぐるみがこの上なく可愛らしい。ハタハタも豊漁らしくて、店のマスターも「あの里芋さんにハタハタをすすめてきなさい」と従業員にハッパをかけたらしい。

 

 純粋&生粋の秋田人である今井君は、ハタハタの食べ方も巧妙かつ豪快である。1皿2尾であるが、ハタハタ2尾だなんて、30秒もかからない。大昔の秋田では、ハタハタは魚屋で木箱で買い、1晩か2晩で箱は空っぽ、何しろ1人で1晩20匹ぐらい、軽く平らげたものである。

 

「ええい、面倒だ」「一気に3皿分、6尾を焼いてきてください」。そういう豪快な注文をして、しかもその6尾、5分かからずにまた胃袋に消えた。コツがあるのだ。骨はスーッと頭から抜ける。あとは身を丸呑みにする勢い。オヤツみたいにして激しくむしゃぶりつくのである。

 

 諸君、ワタクシは来年もまた秋田が大活躍する1年になってほしい。「あきたか旋風」も(スミマセン、昨日の続きでした)、来年でも再来年でもいい、ぜひ実現してほしい。

 

 思わず「太平山」も熱燗でもう2合追加。「若者が求めるのは結局カネと安定」というマコトにイヤらしい雑誌記事のことなんか、いつの間にかすっかり忘れてしまっていたのだった。

 

1E(Cd) Böhm & BerlinerMOZART 46 SYMPHONIEN 4/10

2E(Cd) Böhm & BerlinerMOZART 46 SYMPHONIEN 5/10

3E(Cd) Böhm & BerlinerMOZART 46 SYMPHONIEN 6/10

6D(DMv) NOCTURNAL ANIMALS

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