「囲碁って終わりがよく分からない。」
「まずは打ってみようとかじゃなくて、ちゃんと納得してから打ちたい」
そういう人のためにこの記事を書きます。
この記事は5回に分かれています。
もし既に基本ルールが分かっているなら、いきなり(その5)だけを読んでも大丈夫です。
なお、この記事は「囲碁の終わり」に的を絞っていますので、コウやセキなどについては触れていません。その点はご了承ください。
その1:囲碁の基本ルール(勝敗の決め方) 本記事
その2:囲碁の基本ルール(囲めば取れる) こちらからどうぞ
その3:取られない石(生きている石) こちらからどうぞ
その4:なぜこれで終局なのか こちらからどうぞ
その5:終局が分からないままで囲碁を打つ方法 こちらからどうぞ
囲碁の終わりを理解するには、後で出てくるルール2:「囲めば取れる」という、大大大原則をよ~く理解する必要があります。
囲碁において、この「囲めば取れる」というワクワクドキドキのルールが超重要、というか、ほぼこれしかないと言っても良いほどの基本であり、囲碁の終わりもこの「囲めば取れる」「囲まれると取られる」があるから終わりになるのです。
と言われたら、さっそく囲碁の終わりを理解したいでしょうが、急がば回れ。
まずは落ち着いてルールのおさらいから行きましょう。
ルール0:碁盤の罫線の交点に打つ。黒白黒白と順番に打つ。置いた石は動かない。
これは解説不要ですね。ここからが本番。
ルール1(日本式):
勝敗は碁石で囲んだ陣地の大きさで決める。
つまり、陣地の大きい方が勝ち。
これがイメージできる人は幸運です。以下は全部飛ばして、次のルール2へ行ってOKです。
幸運にも私はイメージできたのですが、私の実の兄は理解できなかった。
「陣地って何だよ。」
「真ん中に1個置いて全部俺の陣地って言ったらどうすんだよ。」
「碁盤の周囲をぐるっと囲んで全部俺の陣地って言ったらどうすんだよ。」
こんな調子です。
もしあなたもそう思ったのなら、それは素晴らしい!!
これらは、実は、囲碁の本質を突いた疑問なのです。
そして、それはそう簡単に解ける疑問ではありません。
そんなあなたにお贈りするのが次のルール1(純碁式)です。
ルール1(純碁式):
勝敗は盤上に置いた碁石の数の多さで決める。
つまり、盤上に残った石の多い方が勝ち。
これが分からない人は居ないでしょう。ただの数比べですから。
でもこれだと、日本式と純碁式では違うゲームになっちゃいそう?
いえいえ、実は同じ結果になるのです。
簡単に言うと、盤上に作った自分の陣地を自分の石で埋めて行って、全部の石数を数えるのが純碁です。陣地を石で埋めないのが日本式。
碁石は交互に一つずつ置きますので、使った黒石と白石の数は同じか黒が1個多いかしかありません。なので碁石以外の陣地を数えても、全部埋めてから石数を数えてもほぼ同じ結果になります。(「ほぼ」に突っ込むのは今はご遠慮ください)
ということで、ルール1については、日本式か純碁式のどちらか自分で理解しやすい方を選んでください。
ただし、碁会所もネット碁も普通は日本式ですので、実際に純碁で対局する時には、お相手の方に了解を取る必要があります。「まだ初心者なので純碁で、つまり石数で競いたい」と。
参考までに、もう一つのルール1をご紹介します。
ルール1(中国式):
勝敗は、盤上に置いた碁石の数と陣地の数の合計で決める。
つまり、碁石の数+陣地の数の合計が大きい方の勝ち。
色々あって混乱するかな?
この中国式は、日本式と純碁式の折衷案のようなもので、実はとても便利です。
絶対おすすめのスマホアプリ「囲碁クエスト」はこの中国ルールを採用しています。
以上3つのルール1は、実は数え方の違いだけであって、囲碁の本質は何も変わりません。
数え方としても日本式はとても優れているので、古来から日本ではこの陣地を数える方式となっています。
では、ここでルール1のおさらいをします。
5路盤ですが、これが終局図として説明します。
「終わりが分からないのに終局図とか言われても分からないよ。」
「まだ打てるところあるじゃん。なんでこれで終わりなんだよ。」
という心の声が聞こえましたので、ちょっと補足。
そう、最終的にその疑問に答えるために、この記事を書いています。
我慢して、最後まで読んでもらえれば、分かるようになります。
ですので、ここはとりあえず、この図で終局となった、と仮定してください。
当然ながら、対局者のいずれかが終わりに納得しなければまだ打ち続けることはできます。
ここでは、この図で双方が終わりだと思った、ということです。
と書いていて改めて気が付きましたが、囲碁はどうなったら終わりなの?に対する答えは、両対局者が終局に同意したら終わり、ということになります。
もしあなたがまだ打ちたければ終わりではなく、続けて打っても良いのです。
ただ、ここでは説明の都合上、ここで両者が終局に合意した、と考えてください。
日本式の場合
日本式では、上の図で陣地を数えます。
黒の陣地△が7個、白の陣地□が6個なので、黒の1目勝ちです。
次に純碁式です。
最初の終局図からさらに自分の陣地に石を置けるだけ置いて行きます。
後で説明するルール2があるので、黒も白もこれ以上石を置くと全部の石が取られてしまうので、これ以上はどちらも置きません。双方パスです。
純碁だとこの状態が終局です。
石数は、黒が11個、白が10個なので黒の1目勝ちです。
次に中国式です。
中国式だと、石数と陣地の合計を数えます。
黒は石が6個、陣地が7個で合計13点。白は石が6個、陣地が6個で合計12点。
黒の1目勝ちです。
ルール1はどれでも同じになるということが、お分かりいただけたかと思います。
実はルール1は「将棋は王様取ったら勝ちだけど、囲碁はどうやったら勝ちなの?」への答えです。
石で作る陣地を競っているし、石数そのものを競っているし、盤面に占める領域の大きさを競っているのです。簡単に言うと、黒と白の大きさ比べです。
ここまで分かると、テレビに映った盤面をちらっと見て「なんか黒の方が大きそうだね」などと言えるようになりますね。
さて今回はここまでです。
次回は囲碁の本質部分、ワクワクドキドキの根源、ルール2:「囲めば取れる」です。