懐かしすぎるタイトルで恐縮ですがお届けいたします。
実は某短編連載を完結に導くべく原作38巻を読み返そうとしたところ、コミックスからメモ用紙がひらりひらり…。
なんと、無くしたと思っていたおまけのメモ書きが出てきたのです。
図らずも先日、50万人様閲覧記念の一つとして受け付けましたアンケート調査にて、この続きが読みたいとご要望をいただいていたことを思い出し、僭越ながら再び登場となりました。出てきたメモの内容、ほぼ使っていないですけどねww
お楽しみ頂けたら嬉しいです。
■ クマくまった ◇ふたたび ■
目的地に到着したのは予定通りの時刻だった。
指定の駐車場に車を停めた敦賀さんが颯爽と運転席から降り立つ。
チノパン、ポロシャツ、カーディガン…という、至ってシンプルなアルマンディ・コーディネイトの敦賀さんはどこから見ても鬼のように素敵で、そんな敦賀さんの隣に今日いなければならない私は、いつどのタイミングで鼓動が止まっても決しておかしくないと思った。
「 どうした?着いたんだから降りて? 」
「 ああっ、すみません、敦賀さん。わざわざドアを開けてくださらなくても自分で出来ましたのに 」
「 ……敦賀さん? 」
「 あ……う…… 」
車の屋根に片腕を預け、助手席に座ったままの私の顔を覗き込んだ敦賀さんはあくまでも朗らかスマイル。
けれどその笑顔の下にある、相変わらずだな君は…を感じ取った私は二の句を告げることが出来ず、差し伸べられた左手に右手を添えてゆっくりと車外に降り立った。
扉が閉まると同時に発生した一陣の風がスカートの裾を翻し、まだ私の手を支えてくれていた敦賀さんが眩しそうに目を細める。
「 ……ん。やっぱり君はそれで正解だったね。スカートがなびくたびに見え隠れする膝小僧もかわいいよ 」
「 かっ…かわいいとか気軽に褒めないでくださいって何度もお願いしているじゃないですか!どうかもうそっとしておいてください! 」
「 え、どうしようかな。そうやってムキになる君も可愛いから正直やめられないんだけど、俺 」
「 かわいいとか本気でやめてぇぇっ!恥ずかしくて死んじゃいそうなんです!!本当にお願いですからぁぁっ!! 」
ちなみに今日、私は紺色のワンピースを着ていた。
胸元にレースがあしらわれ、腰よりも高めの位置から始まるツイードスカートのワンピース。靴はピンク色のバレーシューズ。
手にしていたのは色を合わせたピンク色のクラッチバッグ。これらはマリアちゃんが大好きなジャンヌダルクで一式揃えたものだった。
「 君の大声の方が俺は恥ずかしいよ。それとも俺と一緒にいるところをみんなに見て欲しいがためのそれだったりする?だったら許すけど 」
「 …っっっ!!! 」
「 ほら、行こう。まずは事務室に行かなきゃ 」
「 敦賀さん。本当に私も行かなきゃだめですか?敦賀さんお一人でもよくないですか? 」
「 良くないよ。そもそもマリアちゃんにお願いされて自信満々に胸を叩いたのは君の方が先だろ? 」
だって!!!
あんな風にお願いをされちゃったら胸がキュンとしちゃうじゃないですか。
授業参観に誰も来てくれない寂しさや切なさを私は知っているのだもの。
「 ……そう。マリアちゃんの学校、今度、授業参観があるの 」
「 そうなの。だからマリア……。ね、お姉さま!マリアの授業参観に来て欲しいって言ったら、お姉さまは来てくれる?マリアのお願い、聞いてくれる? 」
「 マリアちゃん。私なんかでいいの? 」
「 いい!お姉さまがいい。お姉さまに来て欲しい!! 」
「 そう?だったらいいわ!どーんと任せて!絶対に行くわ 」
「 ほんとに?ほんとのほんとね!? 」
「 ほんとのほんとよ。大丈夫 」
「 やった、嬉しい!お姉さま、ありがとう!!じゃあ当日は蓮パパと一緒に学校に来てねっ。約束よ、キョーコママ♪ 」
「 ……え? 」
「 そうだ、蓮パパにご報告しなきゃ!キョーコママからちゃんと了解貰ったわって♡ 」
「 え?ちょっと待って、マリアちゃん!ママなの?私がまたママになるの?!?! 」
「 そうよ、お姉さま。だって父兄参観よ?だから蓮さまがパパ♪お姉さまがママ♡……あ、もしもし、蓮さま? 」
「 待って、マリアちゃん!それ誰に電話してるのぉぉぉ!!! 」
まさかまた敦賀さんと一緒に…とお願いされるとは夢にも思わず。
携帯を耳に押し当て、ルンルンな足取りで去ってゆくマリアちゃんに撤回なんてとても出来ず。
結局、私は今日、敦賀さんと一緒にマリアちゃんの授業参観をするために敦賀さん同伴で学校に来てしまったのです。
「 すみません。宝田マリアの父兄ですが… 」
それにしても…。いくらマリアちゃんが望んだからって、血縁者でもない私たちがパパ、ママっていうのはどうかと思うでしょう?しかもマリアちゃんの学校は校舎に入る前に必ず事務局に許可をいただかなきゃならないというのに。
だけど話は事前に通っていたらしく、敦賀さんが窓口で声をかけた途端に、いらしたわ…という声とともに黄色いざわめきが聞こえた。
いえ…というより、もう駐車場から校舎に向かうまでの間にだいぶ注目を浴びていて黄色い声は聞こえていましたけれども。
「 はい、お待ちしておりました!!本日の授業参観にいらしたんですよね。いま教室までご案内しますね! 」
「 いえ、案内は結構です。俺たち以外にもまだたくさんいらっしゃるんでしょうし、そのたびに案内されていたらお仕事に差し支えるでしょう?俺たちは場所を教えていただければ十分です。妻と一緒ですから 」
妻?!妻って誰のことですか、敦賀さん!?
もしかしなくても私のことですか?!
やだ、もうすでに心臓が止まりそう!
恥ずかしくて火を噴きそう~~~!!!
ほら、事務局の人たちも全員顔を真っ赤にして口元を両手で抑えているじゃないですか!!もう悶絶っっっ!!!
「 …ええ、分かりました、ありがとう。じゃ、行こうか、キョーコママ。……キョーコママ? 」
「 あっ!!! 」
「 どうした、壁に貼りついたりして。何か面白いものでも?それともいつもの挙動不審? 」
いつもの…って!!いったい誰のせいだと思っているんですか!誰のせいだと!
妻とか、妻とか、妻とか~~~!!どれだけ私を悶絶させるつもりですか!!
「 かわいい目で睨まない。こっちだって。行くよ 」
「 ……あうっ 」
授業参観で父兄がいるだけじゃなくちょうど休み時間ということもあって、敦賀さんと並んで歩いているだけでものすごい注目を浴びていた。
さらに敦賀さんは私が迷子にならないようになのか、私の肩を抱きながら歩いていたから恥ずかしさは富士山級で、ざわめきも半端なかった。
それが聞こえていたのだろう。目的地の教室にたどり着く前に廊下に出ていたマリアちゃんが私たちを迎えに来てくれた。
「 蓮パパ!キョーコママ!良かった、間に合ったのね 」
「 もちろん。約束しただろ。マリアの頑張っているところを最初から最後まで見るよって 」
「 えへへ。嬉しい。それに、今日のキョーコママ、とっても素敵!!マリアが好きなジャンヌダルクね。とっても似合ってる。素敵よ 」
「 …ありがとう、マリアちゃん。褒められて嬉しいやらむず痒いやら。私としてはもう一刻も早く授業が始まって欲しいんだけど 」
「 うふふ。教室はこっちよ 」
まもなく授業が始まった。
すでに到着していた父兄はもちろん、次々と現れるお父さんやらお母さんやらもつい視線を奪われるのか敦賀さんを盗み見ている。
その敦賀さんは慣れているからなのか自然な雰囲気で立っていて…。そんな人の隣にたたずんでいなければならない私としては大変いたたまれない気分になって、当の敦賀さんは一体どんな顔でそこにいるんだろうと隣の敦賀さんを見上げると、なぜか敦賀さんは私を見ていた。
「 …っ!!なんで私を見ているんですか 」
「 ん?なんでって……みんなが君を見ているからつい俺も? 」
「 私じゃないです。みなさんは敦賀さんに注目なさっているんですよ。なに勘違いしているんですか 」
「 いや、確かにね。俺、体が大きいから大抵二度見されるけど、でもいま皆さんは間違いなく君を見ていると思うよ。だって君、今日は特に可愛いからね 」
「 ……っっ!! 」
もうやめてぇぇ!…と、叫ぶことも出来ず。
この甘い拷問プレイにあとどれだけ耐えられるかしらと何度も決壊しそうになる頬を懸命に押しとどめる。授業の始まりから終わりまで私は終始肩を震わせていた。
授業の終了を知らせる鐘が鳴り響いたとき、私がどれだけホッとしたか分かっていただけますでしょうか。
あとは帰るだけで済む。
やっと終わると思っていた矢先……。
「 蓮パパ、キョーコママ!今日は来てくれてありがとう!マリア、すっごく嬉しかった 」
「 どういたしまして。俺もマリアが頑張っている姿を見られて良かったよ 」
「 うふっ。ほんと?えへへ 」
「 本当だよ。頑張ったご褒美になにかおいしいものを…と行きたいところだけどマリアはまだ授業があるんだよな。しっかり頑張るんだよ 」
「 うん、頑張る。……えーと、ちなみにだけど、そうするとパパとママはこれからデートするってこと?おいしいものを食べに行くの? 」
「 デート!?するわけないでしょう、マリアちゃん。敦賀さんはとっても忙しい人なのよ! 」
「 敦賀さんじゃないだろ、キョーコママ 」
「 うっ…… 」
「 けど、そうだな。せっかく2人で出てきたんだし、今日はキョーコママがこんなにお洒落していることだし、こんな機会そうはないから独身時代を思い出してデートでもする? 」
「 独身時代って何ですか! 」
「 だってそうなるだろ。俺たちいま夫婦なんだから 」
「 そんな細かいとこまで演出しなくていいと思います!もうそろそろ終わってください!! 」
「 ……そう。キョーコママは俺が夫であることが嫌なんだ。その服も靴もバッグも、誰より愛しい妻がかわいくなるように、と俺が見立てて贈ったのに。ひどいよな、マリア。パパ傷ついちゃったよ 」
そう。実はジャンヌダルクでこれら一式を買ってくれたのは敦賀さんなのです。
一般的に入学式は白をベースに、卒業式は黒をベースにした服装であることが父兄の基本らしく、また授業参観はその中間を選ぶのがベストなのだそうで…。
この服装は嬉々とした敦賀さんがコーディネイトしてくれたもの。
「 可愛そう、蓮パパ。ひどい!ひどいわ、キョーコママ。蓮パパを泣かさないで! 」
「 ちょっ…マリアちゃん、悪乗りしすぎ…… 」
「 マリア!嬉しいよ、マリアはパパの味方なんだね!? 」
「 そうよ、蓮パパ。マリアはパパの味方よ!でも大丈夫。ママだってすぐに気づくわ。パパが素敵な人だってこと!
ね?ママ。本当は照れ隠しなんでしょ?パパと一緒にデートするわよね?! 」
なにそれ、悪いのは私ですか!?敦賀さんが素敵な人だってことはもう嫌ってほどご存知ですけど、私だって!!
周囲の注目を浴びながらマリアちゃんにじっと見上げられたらそれ以外の選択肢を選べず、私は恥ずかしさのあまり両手で顔を隠した状態で小さくコクンと頷いた。
「 ……っ!!! 」
「 するって蓮パパ!キョーコママったらいま両手で顔を隠しながらウンってジェスチャーしたわよ!良かったわね、パパ!! 」
「 ほんとに、キョーコママ?よし。じゃあこのあとデートだ!独身時代を思い出してね♡ 」
なんでそんなに嬉しそうなの。しかもいったいどんな戯言!
私たちまだ独身じゃないですか、敦賀さん!!
E N D
ノリノリ蓮くんのまま終わる(笑)
※続きません
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※妙番リクにて、この続きが出来ました⇒蓮キョ・パパママ再び
◇有限実践組・主要リンク◇