いつも有難うございます、一葉です。(o^-')b
書き上げることが出来ましたのでお届けします。クマくまったのおまけ話です。
結局メモが見つからなくて、脳内にあったそれを拾い上げて一話にしてみました。
少しでもお楽しみ頂けたら嬉しいです。
■ クマくまった ◇おまけ ■
「 あー、蓮パパにクマ顔のおにぎり?私もこれが良かったぁ 」
私が敦賀さんへ何気なく渡したクマ顔のおにぎりを見てマリアちゃんがそう言った。
「 あ、ごめんね、マリアちゃん。じゃあ敦賀さんには別のを… 」
「 いいよ、半分こするから。マリア、それでいい? 」
「 半分こ?するっ!嬉しいっ。他のも半分こで食べましょう、蓮パパ 」
二人はまるで本当の親子のようにとても自然で
それを見ながら私はそれもそうか…と頭のどこかで納得していた。
マリアちゃんのママが亡くなる前はきっと、こんな風にマリアちゃんはお父さんに甘えていたに違いないから。
始めから父親がいない自分とは違い、彼女は甘え方や接し方をちゃんと心得ているのだな…と思った。
「 うん、いいね。そうしようか 」
それにしても、この日の敦賀さんは妙にノリノリな気がした。
いつにも増して笑顔全開なのがそれを物語っている気がする。
「 ……ところでマリア 」
「 うん? 」
「 このクマ、マリアならどうやって半分こにする? 」
「 え?どうって…普通に? 」
「 普通?マリアの言う普通ってどんな? 」
敦賀さんの質問の意図が分からず、私とマリアちゃんは首を傾げる。
私が作った顔のついたおにぎりは、実は装飾しやすい様にわざと丸くしてあった。
おにぎりを半分にする場合、三角形なら間違いなく左右が対称になるように直角三角形二つにすると思うけど、このおにぎりは丸だからそもそも悩まなくていい気がするのだけど。
「 だから、左右に分けるとか 」
「 左右?ってことは、このクマの右顔と左顔に分けるってこと?マリアはそれでいい? 」
「 …っと、うん、別にそれでいいと思うのだけど 」
「 そう。芸が無いな、マリアは 」
「 はぁ? 」
「 そういうの、面白くないだろ。少なくともパパはそう思う 」
「 あの、ちょっと…敦賀さん…… 」
「 キョーコママは黙ってる! 」
「 はいっ 」
「 いいかい、マリア。このおにぎりは丸だろ? 」
「 ええ、そうね?見た通り 」
「 つまり、どう割っても半分なら形は同じになるだろ? 」
「 そりゃそうね。丸なんだし 」
「 だったら顔を左右で半分とか上下で半分とかじゃなくて、顔前面と後頭部で分けたらいいと思わない?マリアはクマの可愛い顔を見ながらおにぎりを食べられるよ? 」
「「 ………は??? 」」
自信満々にニーッコリと笑った敦賀さんの言葉に、私の脳内でその映像がポヤンと浮かんだ。
たぶんマリアちゃんも同じだったのだろう。
頭の中で顔部分と後頭部とに分けられたクマがニッコリと微笑む。そんな想像をした私たちは敦賀さんの前で思いっきり吹き出した。
「 ……っ…ぷふっ…やだ、敦賀さん、なんて斬新な分け方をするんですか。想像して笑っちゃったじゃないですか 」
「 ふふふっ、本当よ、蓮パパ。そんな分け方はじめて聞くわ 」
「 これのどこがおかしいんだ。俺はこのクマの顔を崩したら可哀想だと思っただけなのに 」
「 だって敦賀さん、そもそも食べちゃったら同じじゃないですか 」
「 同じだからだろ。こんな可愛く作ってくれた君の努力、最後まで堪能したいじゃないか。可愛い顔を崩して食べるなんて勿体ないだろ 」
「 ふふっ。敦賀さん、優しい… 」
「 蓮パパ、だろ?キョーコママ。どう?キュンと来た? 」
「 うにゅっ!突然こっちに顔を近づけないで下さい 」
「 だって…またお仕置きされたいのかなぁと思って 」
「 そんなはずある訳ないじゃないですか 」
「 あん、蓮パパ。早く半分こにして。お腹空いたわ。マリア、顔の部分がいい 」
「 だろ?はい、いいよ。こっちがマリアの分 」
「 わぁい。キョーコママ、いただきます! 」
「 …っ…はい、どうぞ 」
「 俺も、いただきます 」
「 はい、どうぞ 」
やっぱり、ママ…なんて呼ばれるとちょっとどころか随分恥ずかしいもので。
だけど自分が作ったおにぎりを二人が同時にほおばる所を見たら、信じられないほど倖せだと思った。
「 あの~…敦賀さん、ですよね? 」
「 はい? 」
そのとき腕章を付けた3人の女性が敦賀さんに話しかけた。
どうやら運動会の実行委員のようらしい。
はい?と返事をしながらキュラキュラ輝く笑顔を向けた敦賀さんの魅力に圧倒されたのか、声掛けして来た女性たちを始めとする、半径何メートルかの周囲の女性たちまでもが顔をポッと赤らめた。
「 あの…コホン。実はこのあと保護者を交えた集合写真を記念に撮影するのですけど、敦賀さんも参加していただけますか? 」
――――――― 集合写真?!
途端に私は我に返った。
まさかそれはダメでしょう?
確かに敦賀さんも私も今日はマリアちゃんの保護者代理ではあるけれど、私ならともかく敦賀さんはLMEのトップ俳優なのだから。
敦賀さんはどう答えるんだろう。
もちろんソツなくやり過ごすのだろうと予想していた私のそれを裏切り、敦賀さんはこんなことをのたまった。
「 ……申し訳ないんですけど敦賀蓮として写真に写るのはNGなんですよ 」
「 そ…そうですわよね。やっぱり… 」
「 ええ、すみません。けど、今日はマリアの父親代理として来ていますのでマリアのパパ、ママとして夫婦で…というのであれば参加させて頂きますが… 」
「 ええっ?!本当ですか? 」
「 ちょっ…敦賀さ…… 」
焦った私を左手で軽く制し、敦賀さんはさらに続けた。
「 だけど一つ約束していただけますか? 」
「 なんでしょうか 」
「 その写真を持てるのは一緒に撮影した方のみにしていただきたいんです。焼き増し等も一切なし。もちろん携帯などで二次的に第三者に持って頂くのも全てお断り。それが守られるのであれば喜んで参加させて頂きたいと思います 」
そんなバカな!!
「 まっ!もちろんですわ!!徹底させます! 」
「 良かった。あとそれに関してお願いが… 」
「 なんでしょうか。何でもおっしゃって!! 」
「 あの…俺達は、少なくとも今はまだ本当の夫婦じゃないので記念写真は俺と彼女の分を一枚ずつ用意して頂きたいのですが…。通常は一世帯に一枚だと思うんですが… 」
―――――――― ちょっと、敦賀さん!!!今はまだって何ですか。
分かってます。判ってますよ?!たまたまそういう言葉のつながりになっちゃったんだろうなってことは。
でも!!そんな、この先夫婦になる的な言い方をされたら人様が誤解しちゃうじゃないですか!!もっと気を使った方がいいですよ!!……なんてことはもちろん口に出すことは出来ず。
「 お安い御用ですわ。じゃあ後で呼びにまいりますわね♡ 」
「 ええ、よろしくお願いします 」
……と言って実行委員の女性たちが去ってすぐ、私とマリアちゃんは声を上げた。
「 敦賀さんっ!!! 」
「 蓮様!!本当にいいの? 」
「 いいよ、平気。だってマリアちゃん、普通の運動会を味わいたかったんだろ?これもその一環じゃないか。ね?最上さん 」
「 うっ!!!!! 」
ずるぅぅぅぅいぃぃぃ……っ!!!
そんなことを言われちゃったら縦に頷くしか出来ないじゃないですかぁぁ!
どれだけ優しい人なのこの人ってば!!
「 ……もう、信じられない 」
顔を逸らして二人には聞こえない様、ぼそりと呟いてみたけれど
「 少なくとも今はまだ本当の夫婦じゃないんですって…… 」
そう口にしたら
また信じられないほど倖せな気持ちになった。
E N D
顔のついたおにぎりを半分に分けるとき、なぜ人は顔を左右にするのかといつも不満に思っていました。人様が作ったものですので言ったことなどありませんけど…。
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※さらに続きができました⇒「クマくまった・ふたたび」
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