僕は、これまでに200冊以上の勉強本を読んできました。
作者さんが、勉強について何を語っているのか、紹介していきたいと思います。
今回は、池谷裕二さんです。
●作者の紹介
職業は、東京大学の教授です。
専門は薬学ですが、脳科学者として有名です。
情報7daysニュースキャスターのコメンテイターとして出演されています。
出身大学は、東京大学です。
●勉強本の紹介
『受験脳の作り方』、『脳の仕組みと科学的勉強法』を読みました。
それから、勉強に直接関係するわけではありませんが、脳に関する本として、『脳には妙なクセがある』を読みました。
それでは、この3つの書籍を通じて、作者が勉強について言及していることを説明します。
●勉強本に書いてあること
勉強本は数多く存在しますが、概ね、以下の3つのことが書いてあります。
①何を勉強するべきか(例えば、英語、行政書士)
②何のために勉強するべきか(例えば、大学入試、資格取得)
③どう勉強するべきか(例えば、時間管理、記憶、速読、モチベーション維持等)
これら3つのうち、作者が何を重視するかによって、勉強本の内容が異なってきます。
それでは、この作者が語っていることを説明したいと思います。
●何を勉強するべきか
『受験脳の作り方』も、『脳の仕組みと科学的勉強法』も、ターゲットとなる読者は学生さんです。
といわけで、数学、英語、国語、理科、社会の勉強をすることが、前提になっています。
こうした複数の科目がある場合、一番最初に得意なことを勉強することを推奨しています。
その理由ですが、得意科目からやれば、勉強が進むので、自信がつくというものがあります。
それから、脳科学の観点からは、学習の転移(1つのことを習得すると基礎能力が身に付き、他に応用できる)が発生するため、良いのだそうです。
●何のために勉強すべきか
繰り返しになりますが、2つの書籍の読者ターゲットは学生さんです。
このため、勉強の目的は、学校の定期テストで良い点数をとる事、最終的には入試で合格する事になります。
ただし、作者はテストや入試のために勉強しろと言っているわけではありません。
テストや受験の対策に取り組むことで、勉強する方法を記憶することが重要だと説明しています。
受験のために憶えた情報は、実生活で使うことはありません。
しかも、大半のことは、時間が経つと忘れてしまいます。
一方、勉強する方法、つまり、試験の期日までに、各科目の内容を理解してこれを記憶するというスキルは、実社会で役に立ちします。
そして、受験のために憶えた情報と異なり、習得した方法の記憶については、ずっと頭のなかに残るのだそうです。
前者を情報記憶と呼び、後者を方法記憶と呼びます。
勉強に関する方法記憶は、大人になってから資格取得のために勉強する際も利用することができます。
勉強以外でも、仕事や趣味にも応用することができます。
学生さんは、テストや受験のために勉強していますが、勉強に関する方法記憶が、その後の人生を豊かなものにするわけです。
●どう勉強するべきか
まず、『受験脳の作り方』の章目を列記してみます。
第1章 記憶の正体を見る
第2章 脳のうまいダマし方
第3章 海馬とLTP
第4章 睡眠の不思議
第5章 ファジーな脳
第6章 天才を作る記憶のしくみ
次に、『脳の仕組みと科学的勉強法』の章目を列記してみます。
第1章 脳の機能は「忘れて当然!」
第2章 曖昧でいい加減な「脳の本質」
第3章 だれでも天才になれる「記憶法」
第4章 記憶の仕組みと学習方法
これら2つ書籍は、両方とも、脳と記憶のメカニズムについて説明したものです。
勉強本としての主題は、記憶法です。
●タイミング良く復習する
人間は、憶えたことを、なぜ、忘れてしまうのか?
脳のメモリーには上限があるからです。
それに、嫌なことも含めて、全てのことを憶えていると、嫌になってしまいます。
だから、脳が重要だと判断したことを憶えるようなメカニズムが存在するわけです。
では、どんなことを脳は重要だと判断するのか?
例えば、危険なことです。
車が突然出てきた場所、蛇がいた場所は、瞬時に記憶します。
健康と生命を守る必要がある情報は、、脳がしっかりと記憶するわけです。
危険という観点以外にも、脳が重要だと判断することがあります。
嬉しいことや驚いたことなど、感情が動いた場合、脳は、重要だと判断するようです。
こうして私たちの脳内に思い出が構築されていきます。
こうしたこと以外にも、脳が重要だと判断する事象があります。
それは、繰り返しインプットされた場合です。
繰り返し発生する状況に、脳は反応し、それを重要だと判断して、しっかりと記憶するのだそうです。
勉強における復習の重要性を脳科学の観点から説明したわけです。
もちろんですが、脳科学者でなくても、復習が重要であることは、誰でも知っている話です。
ここからが重要になります。
脳の性質を踏まえて、タイミング良く復習すれば、効率的に記憶することができるのだそうです。
エビングハウスの忘却曲線というものがあります。
これは、時間経過とともに、曲線的に忘却が進むというものです。
以下の図のとおり、憶えたことは、翌日には1/3、7日後には1/4しか残っていません。
1か月が経過すると、ほぼ何も憶えていない状況に陥るのだそうです。
もちろんですが、毎日毎日、憶えなおせば、記憶をキープできます。
でも、こんなことをやっていると、たくさんのことを勉強できません。
いつまでたっても先に進めません。
でも、復習しなければ、せっかく勉強したことも忘れてしまいます。
そこで、重要になってくるのが、復習するタイミングです。
いいタイミングで憶え直せば、記憶が長期化するのだそうです。
脳科学的には、以下のタイミングが良いのだそうです。
①翌日
②1週間後
③2週間後
④1か月後
4回の想起と憶え直しを行う場合、1週間に4回やるのではなく、1か月の中で4回やれば、効果が高まるわけです。
なるほどですね。
●タイミング良く勉強する
LTPが発生すると記憶が長期化するそうです。
LTPとは、神経細胞同士の強く結合する反応です。
つまり、故意にLPTを発生させれば、記憶力が高まるわけです。
では、どんなときにLPTは発生するのか?
2つあります。
1つ目は、シータ波という脳波が発生しているときなのだそうです。
では、どんな時にシータ波は発生するのか?
好奇心が働いた時です。
だから、イヤだイヤだと思いながら勉強をしない方がいいです。
それから、寝ているときもシータ波が発生します。
だから、憶えたいことがある場合、寝る前に詰め込んだ法がいいです。
2つ目は、空腹の時なのだそうです。
野生動物にとって、空腹は命を失うリスクが高まったことを意味します。
そういう状態に陥ると、動物は、自然と集中力が増します。
人間も同じなのだそうです。
空腹になると集中力が高まり、満腹になると集中力は低下します。
以上のことをまとめると、脳科学の観点から考えれば以下の時間に勉強すれば良いわけです。
①食前
②寝る前
●憶える際のコツ
先ほど、危険のこと、嬉しいこと、驚いたことなど、感情が動いた場合、脳は、重要だと判断するという話をしました。
何かを憶える際、感情が動くよう仕向けると、記憶が定着しやすいわけです。
そう考えると、有名人から話を聞くのは、良いことです。感情が動くからです。
それから、講義の合間に、面白い話をしてくれる講師も良いです。これも感情が動くからです。
受講生の感情が動けば、講義の内容が記憶されます。
こうしたことから、カリスマ講師の講義を選ぶというのが、有効な手段になります。
講義はインプットですが、記憶を定着させるためには、アウトプットを増やした方がいいそうです。
例えば、小テストがアウトプットです。
憶える機会を増やすより、自分がちゃんと憶えているかどうか確かる回数を増やした方が良いというわけです。
さらに、何かを経験した方が記憶に残りやすいそうです。
確かに、憶えるつもりで情報を記憶したものは、いつのまにか忘れてしまいます。
経験の場合は、憶えるつもりもないのに憶えてしまいます。
つまり、経験になるように仕向けることが重要になります。
では、具体的に何をするばいいのか?
憶えたことを人に説明するのが有効なのだそうです。
説明するという経験により、記憶を行うわけです。
しかも、アウトプットをするわけですから、記憶に定着しやすいです。
でも、勉強に関する話を聞いてくれる人が、いつでもどこでも、いるわけではありません。
だったらどうするか?
エアー授業をやればいいです。
誰かがそこにいるかのように、声に出して、憶えたことを説明します。
こうした工夫をすることにより、効率的に記憶することができるわけです。
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